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2016年10月24日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く1抜刀心持引歌10業歌右身

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
1、抜刀心持引歌
10)業歌右身二首
浮雲
 麓より吹上られし浮雲ハ
         四方の高根を立つゝむなり
山下風
 高根より吹き下す風の強けれバ
         麓の木々ハ雪もたまらず
*読み解く
 この右身二本の業歌は浮雲と山下風で高峯に「吹き上げる浮雲」・麓に「吹き下す風」を歌って対になっています。
浮雲
 三河方面を訪れた時、この歌の様な景色によく出合いました。谷間から湧き出る様に雲が山頂を目指して吹き上げられて行きます。山頂付近は浮雲が集まって頂きが見えなくなってしまいます。

 この歌と英信流四本目浮雲をイメージするのですが、立膝から右側の敵が我が柄を取ろうとする手を避けて、ふわ~と立上り、敵が「しまった」と退がろうとするのに合わせて、足を踏みもじて抜き付けて行く。
 其の時、勢いよく動作を付ければ敵は慌てて間を離れてしまいそうです。
 ふわ~と仕留めるのが心理的にはよさそうです。などとごつごつ演じている人を見て思っています。
 無理やり歌に合わせて見ても意味の無い事かも知れません。お題頂戴して歌を詠んだと言うことも有りえます。
 俳句の師匠から、情景に感動して詠むと「それがどうした」とつれない評価です。

英信流居合之事四本目「浮雲」
「右へ振り向き足を踏みもぢ彳腰をひねり抜付左の手を添へて敵を突倒春心尓て右の足上拍子に刀を春ねへ引切先を後へはね扨上へ冠り膝の外へ打込ミ後同前又刀を引て切先を後へはね春して取りて打込事も有」


山下風 
 英信流(立膝の部)五本目は山下風、山下風は(やまおろし)と読むのでしょう。現在の無双直伝英信流では業名は颪(おろし)の文字を付けています。広辞苑では「山颪」の文字をもって(やまおろし)としています。たぶん「山下風」では無く「山颪」の文字を山・下・風と縦書きにすると下と風が離して書かれていて写し違えているのだろうと思います。大江先生は「颪」を当てていますが(又山おろしとも云ふ)と有ります。下村派の曽田先生は「颪(山下)」山下風と添え書きしています。

 浮雲と違って山颪は山の上の方から吹き降ろされる風で、其の風が強く、麓の木々には雪も降り積もらない、と詠んでいます。
 「たまらず」は溜らずでも堪らずでもいいでしょう。
 英信流(立膝の部)の颪にこの歌をイメージすると、敵が我が刀の柄を取らんと手を出すのを、敵の手をするりと外して、ドンと顔面を打ち据え、逃がさじと胸に抜き付ける場面にイメージするか、夢想神傳流の山下風ならば、敵が刀を抜こうと手を掛ける其の手と足を打ち据える、何れにしても敵の初動を素早く制してしまいます。

英信流居合之事五本目「山下風」
「右へ振り向き右の足と右の手を柄と一所尓て打倒し抜付後同前但足は右足也 浮雲と足は相違也」

 

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