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2016年11月21日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く3大森流居合之事9勢中刀

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
3、大森流居合之事
9)九本目勢中刀
勢中刀
 右の向より切て懸るを踏出し立って抜付打込血震し納る此事は膝を付けす 又抜付二拂捨て打込事も有

読み
勢中刀(せいちゅうとう)
 右の向こうより切って懸るを 踏み出し立って抜付け打込む血震(振)いし納める 此の事は膝を着けず 又抜付けに払い捨てて打込む事も有り
読み解く
  敵が「右の向より切て懸る」ですから、敵は我の右側正面から仕掛けて来ます。我は正面に対し左向きに座すのでしょう。現代居合の無双直伝英信流正統正流では斜め左向きと教えられます。
 これも、敵は我の右脇に坐しているのか、向うに離れた位置に立って仕掛て来るのか想定は自由です。しかし次の「踏出し立って抜付」ですから、大森流の「右刀」を稽古していますから、敵の仕掛けに応じて、両手を刀に懸け右廻りに敵に振り向き、立上り右足を踏み込み敵の機先を制して抜き打つ。現代居合では敵の打ち込まんとする上段に構えたその両小手に抜き付ける。
小手を制せられ怯む敵に右足に左足を引きつけ右足を踏み込んで上段から打込み、大森流の血振るいをし、右足に左足を踏み揃え、右足を引いて納刀膝を着かず立ったままの納刀です。

 「又抜付に払捨て打込事も有り」と抜き付けには、払い捨てるのも有りと云います。
 右足を踏込み半身で敵の小手を押さえる抜き付け、払い捨てる場合は半身で抜き付け右に体を披いて抜き放つのでしょう。此の場合小手を斬るのも胴を斬るのも足もありそうです。今では、払い捨てる動作をすれば「業違い」扱いになりそうです。

安永5年1776年の林益之丞政誠の英信流目録大森流居合之位勢中刀
「是も坐して居也少し右向の方より敵立て来る心持也我其時右の足より立ち一文字に払ふ也其儘かむり討込む也跡は血ぶるひをし左の足を右の足に揃納る時右の足一足引納る時すねをつかぬ也」

 ここでは、我は正面向きに座していると読んでもいいでしょう、敵は少し右の正面から立って仕掛て来る、我は其の時立ち上がって右足を踏み込んで横一文字に払い捨てに敵に抜き付ける。何処を斬るかなど指定はされていません。現代居合は敵の籠手が一般的ですから稽古はその様だったかも知れません。
 其の足の儘(右足前の儘)振り冠って敵に打込む跡は血振いし左足を前足の右足に引き付け、右足を引いて立ったまま納刀する。

 勢中刀とは見事な業名です、敵の打ち込まんとする勢い半ばで制する業です。現代の月影の名称は、大江先生が改変してしまった古伝太刀打之事の五本目月影(居合道形の鍔留)の業名からの引用です。
 敵の打ち込みにすらりと立ち上がって抜き打つ様子が月影に相応しいなどと仰る大家も居られますがどうでしょう。そんな事をイメージすると、抜打ちして見栄を切ってしまい敵は逃げてしまいそうです。此処は敵の両小手を切るや(又は切り払うや)振り冠って真向に斬り下す方が古伝らしい。

 現代居合は想定が絞られています。敵の攻撃のどのあたりに抜き付けるなど微細です。其の上、後退する敵に附け込んで追足又は歩み足で追込み真向から斬り下しています。

 古流ならば、敵の斬り込みに、右足を大きく深く入って抜き打ち、その場で左右の足の踏み替えによる筋を変えての斬り下ろしも稽古しておきたい処です。

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