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2016年11月29日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く4英信流居合之事1横雲

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
4、英信流居合之事
1)一本目横雲
横雲
右足を向へ踏出し抜付打込ミ開き足を引て先に坐したる通りニして納る
読み
横雲(よこぐも)
 右足を向へ踏み出し 抜き付け打込み開き 足を引いて先に坐したる通りにして納める

読み解く
 「坐したる通りニして納る」と有るのですが英信流居合の座し方がどこにも示されていません。「是は重信翁より段々相伝した居合」であれば、正座である事は風習から考えてあり得ないでしょう。胡坐か立膝でしょう。
 どの様な胡坐かどの様な立膝かは解りそうも有りません。
 そこで、座仕方は今日まで伝承されている、右足を立て左足を折り敷いた座仕方、或は右足を立て左膝を着き爪先立って腰を挙げた蹲踞としておきます。

 立膝で対座する敵の害意を察し、我は正面に右足を踏み出し横一文字に抜き付け、上段に振り冠って真向に打ち込み、刀を横に開いて刀を納めつつ踏み出した右足を引いて座して居た様にして納める。

 この古伝によると、英信流居合の横雲は、右足を踏み出し抜き付けるのです。無双直伝英信流の現代居合もこの手附に従っているのでしょう。
 左足を後方に引いて抜き付ける夢想神伝流の横雲は古伝をいじってしまった様です。大森流(正座の部)で右足を踏み出したのだから、英信流(立膝の部)は退き足に依る抜き付けを覚える業と決めつけるものでは無いでしょう。どちらも充分稽古して見たいものです。ついでに正坐しての英信流を演じられればとも思います。

 夢想神伝流の山蔦先生の横雲は「初伝の初発刀と同じ要領で抜き付けるが、一歩踏み出すのに反し左足を後ろに引くと同時に抜き付ける。相手との距離が充分ある時は右足を一歩踏み出して抜き付けるもあるが、業の基本としては左足を引いて抜き付ける」

 下村派細川義昌系統と思われる広島の白石元一先生の「大森流・長谷川流・伯耆流居合術手引」に依りますと横雲は「右足を踏み出すと同時に横一文字に敵の右眼に斬りつけ、更に左膝を右足踝の所まで十分引きつけると同時に刀を左方より振り冠り、右足を踏み出すと同時に斬り下ろす」
これでは、夢想神伝流が細川先生に辿れるとも言い難くなります。

 古伝は先師の精進によって生み出された業技法であり、それを元にした業の組み合わせ順なのです。ですから、英信流ならば一本目から11本目まで通して抜き、その繰り返しによって運剣動作を学ぶ事で気剣体一致を自得するとなる筈です。
 立膝の一つの業を上手くなろうとして繰り返し稽古しますと、膝を痛めてしまいます。通して抜く事によって、膝への負担が緩和される様にも思います。
 ある程度業における動作を覚えたら英信流(立膝の部)を通しで稽古することを特に膝が心配な50歳以上の方にお勧めします。

 古伝はおおらかです、師伝によって技を演じ古伝の求めるものが掴めれば良いのですが、特定の仕方をすべてとされる単純な武的演舞派の師匠のもとでは古伝は横を向いてしまいます。

 ある大家曰く
「古伝など幾ら読んでみても何も解らない、無駄な事」
「古伝の動作は復元出来るわけはない」

 にもかかわらず、「元はこうだった」???何が元なのでしょう、知ったかぶりもいい加減にしてほしいものです。

 もう一つ、正座による初発刀(前)の抜き付けと、立膝による横雲の抜き付けは何が違うのでしょう。

 座仕方の違いから、立膝は左足爪先立って腰を上げると、当然右膝はすでに立って居ます、右足は左膝の位置に土踏まずが有る筈です。ですからすでに右足は正座の踏み込みの半分ぐらいの距離を稼いでいるのです。
 其の上すでに体構えは出来ています。右足を少し踏み出すばかりなのです。この違いを剣先に如何に有利に乗せられるかがポイントでしょう。

 中山博道先生も「右足を僅か前方に踏み出し大森流の初発刀と同様に抜刀して直ちに頭上に振り被り・・」でした。この英信流との違いを中山博道先生亡き後なぜ理解出来なかったのでしょう。
 立膝の座し方が不充分で「どっこいしょ」と腰を上げる方には無関係な話ですが・・・。

 それから、大凡70歳過ぎの師匠の所に入門しますと、師匠は立膝の居合は出来なくなっています。其の為に立膝の正しい指導が疎かになるきらいがある様です。その様な道場では、教士や八段になっても英信流や奥居合が出来ない人を見かけます。それでは指導者としての資格を疑います。
近年は高齢者の入門が目立ちます、稽古法にも工夫が必要ですが、昔ながらの方法では益々業技法は廃れていくでしょう。

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