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2016年11月 7日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く3大森流居合之事2左刀

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
3、大森流居合之事
2)二本目左刀
左刀
 左の足を踏み出し向へ抜付け打込み扨血震して立時足を前之左の足へ踏み揃へ左足を引て納める以下血震する事ハ足を立替へ先踏出したる足を引て納る也
左刀(さとう)
 左の足を踏み出し向うへ抜き付け打込み 扨 血振りして 立つ時足を前の左足へ踏み揃え 左足を引いて納める 以下 血振りする事は足を立替え 先に踏み出したる足を引いて納める也

読み解く
 この手附では、我はどのように座し、敵は何処に居るのか判断に苦しみます。
「左の足を踏み出し向へ抜付け」をやってみます。向うは正面です、正面に向いて座し、左足を踏み込んで正面の敵に抜付ける、是で、古伝の通りで間違いはなさそうです。

 初発刀は右足を踏み出し正面に抜付ける、二本目の左刀は左足を踏み出し正面に抜きつける。何の不思議も無いのですが、何故正面の敵に右足だ左足だと踏み込み足を変える必要があるのでしょう。左刀とは踏み込み足をさして言っているのでしょうか。

 そこで、次の三本目右刀を読んでみます。
「右足を踏み出し右へ振り向抜付打込血震納る」

 右刀は、右へ振り向いて抜付けています。敵は右脇に座すと読めます。
足の踏み込みではなく敵の座す位置が右脇で、我は右廻りに振り向き右足を踏み込んで抜付ける業です。
 左刀・右刀とセットにすれば、左刀は敵が左脇に座すので左廻りに振り向き左足を踏み込んで抜き付けると判断できます。でも、左刀には「左廻りに振り向き」などと言う文言は無いのです。曽田先生の写し損ないでしょうか。木村栄寿先生の細川家本をチェックしてみますが、「左の足を踏み出し向へ抜付け打込み・・」で同じ様なものです。

次の四本目當刀はどうでしょう。
「左廻りに後へ振り向抜付打込血震納る」

 當刀は敵は後ろに居ると読めます。ところが、當刀は左廻りに振り向いて抜付けています。右廻りでも問題はありません。左廻りを指定する理由は何でしょう。

 現代の無双直伝英信流では、稽古の仕方は以下のようになっています。敵を意識していたものを道場正面に対する坐した方向をさしています。

 古伝は敵が何処に居るかが業名に示されているのです。これも明治以降の第17代大江正路先生の改変と聞き及びますが、何故変えたのか疑問です。
一本目は前、敵は正面、正面向きに座し右足を踏み出し正面の相手に抜付け打込。
二本目は右、敵は左脇、右向きに座し左廻りに振り向き左足を踏み込んで左脇の相手に抜付け打込。
三本目は左、敵は右脇、左向きに座し右廻りに振り向き右足を踏み込んで右脇の相手に抜付け打込。
四本目は後、敵は後ろで我が方を向いて座す、後向きに座し左廻りに振り向き左足を踏み込んで後方の相手に抜付け打込。

 この神傳流秘書の大森流之事二本目左刀は初発刀と同様に正面向きに座し左足を踏み出して正面の敵に抜付け上段に振り冠って真向に打込み、血ふるいの際、踏み出した左足に右足を引きつけて立ち上がり、左足を引いて納刀する。
 左右の足の踏み出しを教え、踏み出した足に後足を引き付けて立ち上がり、踏み出した足を引いて納刀する事を教えている様に思えます。
 三本目の右刀とのセットで左刀は左廻り、右刀は右廻りを習うのも何らおかしくはないのですが、敢えて、「左廻りに振り向き」の文言の無い処に古伝の味わいがある気がします。
 「左廻りに振り向き」は四本目當刀にあるので、古伝は稽古はできる様になっています。當刀の右廻りを稽古して前後左右自由自在に出来て、「出来た!」でしょう。

 参考に、第十二代林益之丞政誠による安永五年1776年の英信流目録を第十五代谷村亀之丞自雄が嘉永五年1852年に書写している中に、大森流居合之位に二本目左刀がありますからこれを読んでみます。

左刀:是は右脇へ向て座る也ひだりへ廻り左の足を一足ふみ出抜付すぐに打込亦血ぶるひをして立時右の足を左に揃納る時左を一と足引納る也

 神傳流秘書に無い部分の「左廻りに振り向き」を補っています。是では、謎が深まるばかりです。先師の教えを追求せずに変えてしまっています。
 神傳流秘書の2本目左刀は左足を踏み出し正面に抜き付けるでいいのでしょう。360度右廻りも左廻りも、相手次第に稽古をして見ます。
 ついでに右足踏み出し、左足踏み出し、どの角度にでも自由自在に抜き付けます。
 

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