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2016年11月 9日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く3大森流居合之事3右刀

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
3、大森流居合之事
3)右刀
右刀
  右足を踏み出し右へ振り向抜付打込血震納る
読み
右刀(うとう)
 右足を踏み出し右へ振り向き 抜き付け打込み 血振り納める
読み解く
 座仕方は正座であるかは文章上では見られませんが、無双直伝英信流を業ずる者は大森流は正座と刷り込まれています。
 大江先生の正座の部の業が大森流と同じものとしてこれも認識されています、但し、何故か業名が古伝と変わっています。

 古伝神傳流秘書の大森流居合之事「右刀」は無双直伝英信流居合正座の部では三本目「左」となります。右、左が逆になります。
 古伝は敵を意識して、我が右側に敵が我と同様に座すのですが、大江先生の正座の部の「左」は道場での正面に対し我は左向きに座すことを意味します。
 敵は古伝と同様に我が右側に座している想定です。

 前回の左刀は、「左の足を踏み出し向へ抜付け打込み」でした

 今回の右刀は「右足を踏み出し右へ振り向抜付打込」と明らかに回転する業を示しています。
 「右刀」が敵が右側であるかどうかは、この右へ振り向の文言が示しています。右に振り向いて我が右側に座す相敵に抜付け、打ち込むのです。

 古伝の文章の順番に忠実に再現しますと、右足を踏み出してから右に振り向く動作は現代居合では不自然ですが、左膝が軸であれば問題は無いでしょう。
 腰を上げ爪先立つや、少し右足を踏み出し抜き付ける時更に踏み出すのも出来るはずです。

 次の四本目當刀では「左廻りに後へ振り向き左の足を踏出し如前」ですから、振り向いてから踏み込んで抜き付ける現代居合の「後」の動作です、古伝の文章がチョット気になる処です。足を踏み込む事によって刀勢も増し、敵との間も瞬時に適合させるには古伝の文章は疑問です

 右刀は「右へ振り向き右足を踏み出し向抜付打込血震納る」と現代居合では稽古されています。
 土佐の居合を知らなければ何と云う事でも無く通過してしまいそうです。

 古伝はこの様に短い文章だけですから、抜けた動作の細部は師匠からの口伝・口授であり看取り稽古で覚えていくのでしょう。余り厳密に形に拘るべきでは無く、考えられる想定は、稽古して置く位の余裕が欲しいものです。物差しで測る程の判定基準などは古伝にはありません。然しその位の厳密さを持ち合せていませんと、業が完成できず棒振りに終わる事も事実です。

第十二代林益之丞政誠の英信流目録による大森流居合之位三本目「右刀」
 是は左脇へ向て座する也右へ廻り右の足をふみ出し抜付して討込血ぶるひの時左の足を右に揃納る時右を一足引納る也

*これはもう、現代居合そのものです。
 此の目録は安永五年1776年に書かれたもので、嘉永五年1852年第十五代谷村亀之丞自雄によって書写されたものです。

 江戸で夢想神傳英信流を習ったのは、林六太夫守政です。年表を付記しておきます。

寛文21662年 林六太夫守政生まれる

享保171732年 第9代林六太夫守政没す 70

明和元年1764年 林安太夫政詡 居合兵法極意秘訣を誌す

安永51776年 第10代林安太夫政詡没す

11代大黒元右衛門清勝

12代林益太夫政誠 英信流目録2巻書く

文政21819年 山川久蔵幸雅 神傳流秘書を写す

嘉永51852年 第15代谷村亀之丞自雄 英信流目録2巻を写す

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