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2016年11月19日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く3大森流居合之事8逆刀

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
3、大森流居合之事
8)八本目逆刀
逆刀
 向より切て懸るを先々二廻り抜打二切右足を進んて亦打込ミ足踏揃へ又右足を後へ引冠逆手に取返し前を突逆手二納る也
読み
逆刀(ぎゃくとう)
 向うより切って懸るを 先々に廻り抜打に切り右足を進んで亦打込み足を踏み揃え 又右足を後へ引き冠る 逆手に取り返し前を突き 逆手に納めるなり
読み解く
 
この抜けだらけの手附ではどの様に動作を付けたらいいのでしょう。
 大森流は無双直伝英信流正座の部の居合ですから、我れ正面に向いて座すところ、敵が正面より上段に振り冠って切って懸るのを、「先々に廻り抜打に切」ですが、はてどうしましょう。当時の動作が見えません。
 我と同様に正座して対座している敵が立ち上がって切って懸る想定で稽古をしてみる方法もあるでしょう。又座したまま刀を上に抜いて打ち込んで来るのもあるでしょう。或は、少し離れた位置から上段に振り冠りスルスルと歩み寄って打ち込んで来るのもありでしょう。

 いずれにしても、間が近ければ、間を外す時間はないので、我は刀を抜き上げて敵の刀を受け流すや右足を踏み込み敵の頭上に打ち込むのでしょう。無外流の「連」、全居連の「刀法前後切」が使えます。
 次いで、しまったと引く敵を逃さじと、左足膝を右足踵に引付、右足を踏み込み更に打ち込む。
 左足を右足に踏み揃え、右足を後方へ引き上段に振り冠り残心。左足前の足踏みのまま正眼に刀を下ろし右膝を着き、右手を逆手に取り直し切っ先を倒れた敵に付け留めを刺す。逆手のまま納刀。

 敵が間境で上段に振り冠って居るならば、我も来るなら来いと右足を少し踏み込みつつ刀を抜き出し、敵が間を越して打ち込むや立ち上がりつつ右足を引いて間を外し、同時に刀を受け流すように抜き上げ、外されて引かんとする相敵に右足を踏み込み打ち込む。
 敵が更に引かんとするのを右足を踏み込み打ち込み左足を右足に引付る。
 敵が倒れるや、右足を後ろに引いて刀を引き冠り上段となる、刀を下ろし正眼に構え、右膝を着き、右手を逆手に持ち替え倒れた相手を突き留めを刺して逆手のまま納刀する。

 しかし、これでは「向より切て懸るを先々に廻り抜打ち・・」になっているでしょうか。前回の順刀の抜き打ちを思い出しました。現代では介錯として稽古して居ますが、順刀の抜刀は立ち上がって打込む「抜打」を彷彿とさせます。これならば「先々・・」が出来そうです。敵が我に遅れて摺落すのを更に追い込んで打込む事は出来そうです。
「順刀(介錯のコト 曽田メモ)
 右足を立左足を引と一処に立抜打也又ハ八相二切跡は前二同し

 第12代林益之丞政誠の安永5年1776年の英信流目録の大森流居合之位逆刀に先々に廻った」ような雰囲気が見られるのでを之を読んでみます。
「是は坐して居りすっと立其儘引抜向え拝み討に打ちつづけて二つ打其時両足を揃え太刀を亦かむり其の時右の足を跡へ引すねをつき亦太刀を前へそろりとおろし柄を逆手にとり左の手にて刀のむねをおさえ太刀の刃を上へ向て手前へそろりと引納る也初発刀より此迄は納るすねをつく也」

*近代に近づくと、どんどん業手附が特定されてしまう様です。古伝は武術としてあらゆる状況に応じられる動作のポイントを手附けとして示したのでしょう。

 現代居合の様に実戦など何処へやら、演武を主として集団稽古をしてしまいますと業の想定を明確にせざるを得ません。まして昇段審査や競技会向けでは想定は特定されなければ判定すら不能になってしまいます。制定居合の出来た理由は判定者の能力不足以外に無さそうです。自流ですらそうですから、他流など及びもつきません。

大森流(正座の部)逆刀(附込)
 「剣理:座位にある我に対敵立位にて正面より斬り込み来るを、我れ立ち上がりながら一歩後に退きてその斬り込み来る敵刀を摺り落して外し、(立ち上がり切ったる我が顔面頭上にて敵刀を摺り落とす気分にて)対敵の顔面に斬り付けるも不十分なりし為、対敵後退するを我れ直ちに追撃して勝つ意也。」(当代の正座の部「附込」の解説より)

*この現代居合では明らかに後の先から先々に転じています。

 古伝神傳流秘書は「おおらか」でした。

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