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2016年12月27日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く5太刀打之事4請入

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
5、太刀打之事
4)四本目請入
請入
 前の如く打合相手八相に打を前の如く二留又相手より真甲を打を躰を右へ開きひじを切先尓て留勝
読み
請入(うけいれ・うけいり)
 前の如く打ち合い 相手八相に打つを前の如くに留め 又 相手より真甲(真向)を打つを   体を右へ開き肘を切先にて留め勝
読み解く
 前の如くを三本目請流から引用して請入を補足します。
 遣方も高山相手も高山或ハ肩へかまえるかの中也相手待処へ 遣方歩行右の足にて出合ふ打込を打太刀請け 扨打太刀の方より少し引いて裏を八相に打を前の如く左足にて出合いて留め又相手より真甲を打を躰を右へ開きひじを切先尓て留勝


 「前の如く打合」この神傳流秘書も省略が多くて其の都度前に戻らなければなりません。
 秘伝は毛筆による写し書きでは「前の如く」で省略したくなります。
 この、手附で気が付きましたがここでは「打太刀」を「相手」と書いています。気になる処ですが相手と書いたり打太刀と書いたり、我を「遣方」と書いたり「我」は当然として「相手八相に打を前の如くに留」と云う様に省略してしまったり、統一性が見られなくてマニュアル育ちには古伝は不向きです。
 其の上句読点もないので、切る処を間違えると違う意味になってしまう事も有ります。

 三本目請流を終え、互に中央で刀を合わせ(此処は打太刀三歩進み遣方三歩下る)、打太刀は其の儘、遣方は五歩退き元の位置に戻る。現代風ではこうなるでしょう。
 打太刀、遣方共に高山、または八相に構える。
 遣方スカスカと歩み行き、間境を左足で越すや右足を踏み込んで打太刀の左面を打つ、打太刀右足を踏み出し八相にこれを受ける。この受太刀は刃で受けるのがこの流では当たり前ですが摺落とすように受けるのも工夫でしょう。
 打太刀、逆八相から右足を引くや遣方の右面を八相に打つ。遣方左足を踏み込んで打太刀の打ち込みを受ける。
 打太刀左足を引いて上段に構え真向に打ち込まんとする。遣方右足を右斜め前に踏み込み右半身となるや打太刀の打ち下さんとする左肘を切っ先にて斬り左足を右足後方に摺り込む。
 打太刀右足を少し引いて青眼に刀を下ろし、遣方左足を正面に戻し右足を追い足にして付け、打太刀右足より三歩出て、遣方左足より三歩退き刀を合わせ、打太刀其の儘、遣方五歩下がり元に戻る。

 古伝には足捌きも演武の為の進退も書かれていませんが現代風に付けて見ました。
 此の太刀打之事四本目請入で、現代風に仕太刀が八相に打込むとしましたが、此処は古伝は仕太刀が打込のは高山ならば真向打込、肩から(八相の構え)ならば八相でしょう。当然受太刀も異なります。
 又、「打太刀が真甲に打つ」は、打ち込まんとするとしましたが、古傳の文言では「相手より真甲を打を躰を右へ開きひじを切先尓て留勝」ですから打込んで来るのを体を右に開いて外しと読めるのですが、体を交わし敵の打ち下ろさんとする肘を切先で打つが、居合剣士に向く方法でしょう。

曽田先生に依る五藤先生、谷村先生の業附口伝太刀打之位請込
 「是も同じく相懸りにても敵待かけても不苦請流の如く八相にかたぎスカスカと行て真向へ打込也敵十文字に請て請流の如く裏より八相に打其処を我も左の足を出し請流の如く止むる也敵其時かむりて表より討たんとする所を其儘左の肘へ太刀をすける也」

 「左の肘へ太刀をすける也」の「すける」は「すく」で削ぎ切る、転じて掬い切るかもしれません。

大江先生の英信流の型の三本目絶妙剣がこの業に近いものです。
 「打太刀は其のまゝにて左足を出して体を斜向きに八相となり、仕太刀は青眼より左足を出して八相となる、仕太刀は八相のまゝ右足より五歩交互に進み出て、同体にて右足を踏み出して、右面を切る、打太刀は右足を引きて、前の如く打合せ、打太刀は左足を引きて上段構となりて、斬撃の意を示す。之と同時に
仕太刀は右足を出して体を右半身とし、中腰となりて、左甲手を斬る、静に青眼になりつゝ打太刀は、三歩出で、仕太刀は三歩退る」

 仕太刀は八相から打太刀の「右面を切る」ですから、一旦上段に振り冠ってから右面に逆八相に打ち込むのでしょう。古伝は違う様です。

 「体を半身とし、中腰となりて、左甲手を斬る」ここが「すける」状態でしょうか、師伝によっては仕太刀は中腰になり右から掬い上げるように打太刀の左肘に切り付けています。
 古伝は「相手より真甲を打を躰を右へ開きひじを切先にて留勝」です。打太刀は上段に構えるや打ち込んで来るのを、遣方はすばやく筋を変わって打太刀の左肘を斬るのでしょう。
 打太刀が斬られるために上段に構えて待っているようにしているなど論外です。

 直線的に間を外さない技を学びました、ここでは敵の動きを察知して、敵が左足を引いて上段に構え打下さんとする瞬前に、我は筋を変わって付け入り、その左肘を切るのでしょう。
 筋替えが早すぎれば敵が転じるかもしれません。もたもたして居れば真向に打ち込まれます。
 筋を変わらずに、「打太刀は左足を引きて上段構となりて」に附け入って、下から掬い斬りに左肘を斬るなども変化業を稽古しておくと形が生きてきます。

 ある人曰く「申し合わせだから」・・・・そんな形稽古など何度やって居ても意味は無さそうです。此の業だけで幾つもの技の稽古が出来るものです。

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