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2016年12月17日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く4英信流居合之事10抜打

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
4、英信流居合之事
10)十本目抜打
抜打
 大森流の抜打二同之事也
読み
抜打(ぬきうち)
 大森流の抜打に同じ事也 
読み解く
 英信流居合之事では十本目は抜打で大森流之事の十一本目抜打と同じ事と云って居ます。
大森流居合之事十一本目抜打
 座して居る所を向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み開いて納る 尤も請流に非ず此所筆に及ばず

 大江先生の英信流抜打は長谷川流真向で現在は無双直伝英信流居合兵法立膝の部真向です。
大江先生の立膝の部真向
「正面に向って座し、腰を伸し趾先を立て、刀を上に抜き上段となり、同体にて切る此時両膝を左右に少し開く。血拭ひは其姿勢のまゝ刀を納め、伸したる腰は徐ろに正座に直り、刀の納まると同時に臀部を両足踵の上に乗せ、静に正座となる。」

 大江先生の大森流抜き打ち、無双直伝英信流居合兵法正座の部抜打となります。
「正面に座す、対座にて前の敵を斬る心組にて其正座の儘刀を前より頭上に抜き、上段に冠り、身体を前に少し出し、前面の頭上を斬る、血拭ひは中腰の同体にて刀を納む。」

 大江先生は、大森流は「刀を前より頭上に抜き」英信流は「刀を上に抜き」です。古伝の「向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み」の心持ちが文面からは見られません。

 大江先生の系統も後に河野先生の頃から正座の部抜打に「もし敵斬り込み来たりてもその刀を受け流す気にて行う」とあり、真向にも「(右拳は顔前を通して頭上に)刀を左肩側より体を囲う様に剣先を下げて抜き取り・・」とその心持を伝えています。

 林安太夫政詡による英信流居合目録秘訣に「勝事無疵に勝と思ふべからず我身を先ず土壇となして後自然に勝有」と、相手に打たせて其の機に乗じ応じると言うものです。居合心を忘れては土佐の居合ではなくなってしまいます。

 何時誰が指導されたのか、闇討ちだまし討ちの様に、敵の動作など無関係に抜いて上段に振り冠り、跳び込んで大きな音を立てて打込む。何がこの業のポイントかもわからずになっているのではないでしょうか。

 抜打は本来大森流も英信流も江戸中期では同じであったのでしょう。
 刀を前に抜く、上に抜くいずれも相手が打込んで来る事を意識した動作であるべきものでしょう。
 一方的に斬り掛っていくのではない処が忘れられると闇打ちです。古伝は上に抜くのも横に抜くのも指定して居ません、どちらでもいいのでしょう。現代風に演ずれば大森流は横に抜き、英信流は上に抜く。坐し方も正座であれとは云っていません。
 英信流による立て膝による抜打も是と云って支障に成る事など見当たりません。現代居合では何故正座によって抜き打つのでしょう。そこが研究課題ですが答えは無いでしょう。

 この、抜打に付いては、「向より切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み開いて納る 尤も請流に非ず此所筆に及ばず」の処を充分研究すべきものでしょう。「請流しに非ず」と云っています。
 「我身を先ず土壇となして後自然に勝有」を噛みしめてみますと、新陰流の合し打ちの心得を要求されている様に思えてなりません。

 

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