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2016年12月21日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く5太刀打之事1出合

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
5、太刀打之事
1)一本目出合
出合
 相かかり二かゝり相手より下へ抜付るを抜合せ留て打込相手請る右足也
読み
出合(であい)
 相掛りに懸かり 相手より下へ抜き付けるを抜き合わせ留めて 打込み 相手請ける右足也
読み解く
 此の太刀打之事一本目出合は、曽田本に依れば五藤先生、谷村先生の業付口伝を基に曽田先生が竹村静夫と実演したといいます。明治維新から昭和の初めまで忘れられていた仕組(組太刀)だったのでしょう。
 
 五藤先生・谷村先生業附口伝より出合(仕打納)
「是は互に刀を鞘に納めて合懸りにてスカスカと行く場合にて右の足を出しさかさまに抜き合せ敵引く処を付け込みて左足にてかむり右足にて討也此の時敵一歩退き頭上にて十文字に請け止むる也互に中段となり我二歩退き敵二歩進みあらためて五歩退く也納刀」

 古伝の出合を稽古して見ます。この太刀打之事は鞘付木刀を使用するものです。
 出合の「相懸り」は走り込まず五藤先生の手附の様に双方ともスカスカと歩み寄り場合に至ると打太刀より右足を踏込み膝下に抜き付けて来る。
 遣方(仕太刀)透かさず右足を踏込み抜刀して之を膝下で受け留める。此処は業附口伝では双方刀を下に抜き合わせて相打ちですが、古伝は「相手より下へ抜付るを抜合せ留て」ですから打太刀が足に抜き付けて来るので、仕太刀は右足を囲う様に受け留めるのです。

 古伝の抜合わせ留て打込相手請る右足也」
 打太刀は請け留められて、上段に振り冠むろうとするのを、遣方は左足を右足に引き付けるや上段に振り冠り右足を踏み込んで打太刀の真向に斬り下す。
 打太刀左足を一歩退き右足を追い足に頭上にて十文字に請け留める。
この請け留めは土佐の居合の組太刀の形では、柄を左にして敵刀を刃で受けるのが定番になっていますが、少々不自然ですから、柄を右にして左手を刀の棟に添えて請ける十文字請けも稽古しておきますと良いかと思います。
 互に中段となり遣方二歩退き、打太刀二歩進み改めて五歩退いて血振り納刀す。と現代の組太刀は歩数まで指定しています。

 出合のポイントは、打太刀から柄に手を掛けるのです。
そして打太刀から間境で仕掛けて来る、遣方はそれを受ける処が先ず最初の出合です。

 どちらとも云えず双方間境を越して抜刀し申し合わせの膝下に相打ちでは無いのです。
 遣方も抜付けんとするが、打太刀が勝り、打太刀が斬り付けんとする瞬間に打込まれる部位を守る運剣が欲しいものです。

大江先生の改変した無双直伝英信流居合道形「出合」
 「打太刀は柄に手を掛ける、仕太刀は打太刀の如く、柄に手を掛け、双方体を前方少しく屈め、虎走りにて五尺の距離に出て、右足を出したるとき、膝の処にて打は請、仕は抜打にて刃を合す、仕太刀は直ちに、右足左足と一歩摺り込みて上段より真面に打込む、打太刀は左足より右足と追足にて退き、刀を左斜にして受ける、仕太刀は二歩退り、打太刀は二歩出て、中段の構えとなり、残心を示す、之れより互に後へ五歩づつ下り元の位置に帰り血拭ひ刀を納む。」

 
大江先生の出合いは、打太刀が仕太刀の抜打ちを「膝の処にて打は請」ています。此処は古伝では、仕太刀が請けています。
 仕太刀は抜打ちを留められ、追い込む様に摺り込んで、上段から打ち込むので打太刀は下りながら「刀を左斜にして受ける」のですが、この表現では、柄を右に切先を左にして受けると解するのが普通でしょう。此処は五藤先生の「敵一歩退き頭上にて十文字に請け止むる也」とも違う様です。古伝は「相手請る右足也」とおおらかです。

 古伝を演ずる場合、書かれた文章を忠実に辿る事が大切です、書かれていない動作は状況下で最も適切な動作であるべきで、同時に次にある文言に対応できるものであるべきでしょう。
 出合いの歩数や形に捉われすぎても意味の無い申し合わせの殺陣の演舞になってしまいます。これでは、合同演舞で足並み手並みを揃えるのも思いつくはずです。
 また、早いばかりの力任せで実の無い形を見かけますが、時代劇のヤクザのチャンバラの様で忙しいばかりです。

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