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2016年12月19日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く5太刀打之事前書

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
5、太刀打之事
前書
太刀打之事(鞘木刀也 立合之事也)
   神傳流秘書による無双神傳英信流居合兵法には、空間刀法の居合に設対者を設けた仕組(組居合・組太刀・勢法)が組み入れられています。
 抜き打ちの一刀で制する事が出来ない場合に応じる、或は先を取られた場合に応じるもので所謂型(形)剣術です。
 「形」は井せい(わく)と彡せん(模様)の会意兼形声文字で、いろいろな模様をなすわくどりやかたのこと、外に見えるかたち。
 「型」は井せい(わく)と刂(刀)と土による会意兼形声文字で、砂や粘土でつくった鋳型のこと。形と同系の言葉。
 武術や演芸で基準となるしぐさや歌い方に形・型は使われています。どちらでもよいのでしょう。(藤堂明保学研漢和辞典より)
 稽古には鞘付き木刀を用いています。立合とは立って行い、互に木刀で太刀打ちをする稽古形である事を意味しています。
 
太刀打之位などという呼び方の「位」については、「人」と「立」の会意文字で「人がある位置にしっかり立つ姿」地位をあらわすもので、この使い方は土佐の居合の古伝神傳流秘書には見当たりません。
 第12代林益之丞政誠により安永五年1776年に書かれて嘉永五年1852年に谷村亀之丞自雄により書き写されたという「英信流目録」に棒立合之位・小太刀之位・大森流居合之位などと書かれていますので、業の順序や位置をあらわす様にして、他流からの借り物かもしれません。
 
 形を稽古するに当たり最初から木刀を構えて打ち合うのではなく、鞘に納められて居る木刀を腰に差して、双方間合いに至り木刀を抜付けて行くのと、初めから木刀を構えて立ち合うのとが組み込まれています。従って抜付ける鞘の内を学べ間と間合いを覚える居合らしい仕組です。
 居合が仮想敵相手の空間刀法ですから、敵を想定するにもぜひ初心の内から学ぶべきものでしょう。
 
 大江先生は、古伝の太刀打之事を廃して「英信流居合の型」を組み上げられています。
内容は、太刀打之事に添ったものですが、中学生に覚えやすく安全で居合の業と関連させたりしています。古伝神傳流秘書の太刀打之事は10本ですが、大江先生の改変したものは7本です。明治40年頃に中学校で居合を指導する機会に組み立てたと思われます。
 当時大日本武徳会の形稽古の為に大日本剣道形が検討されていました、其れに乗らんとして考えられたのか、純粋に居合にあう双方打ち合う形を創作されたのか意図は不明です。
古伝の形を捨て去るべき理由も見当たりません。
 
 一本目は大江先生も古傳太刀打之事と同様出合から始まりますが、双方刀を鞘に納め大森流の虎乱刀(正座の部追風)の様に虎走りに駆け寄り膝下に抜き打ちして居ます。
 古伝太刀打之事は「相懸りにかゝり」で双方間を詰める仕方は、工夫次第の様です。大江先生は、白兵戦を思い描き「突撃!」の号令で走り行く兵士を想像されたかもしれません。
 此の相懸りについては、曽田本に依れば無双直伝英信流第16代五藤先生、第15代谷村先生の業付口伝を基に竹村静夫と実演したというものによると、「出合、是者互に刀を鞘に納めて相懸りにスカスカと行く・・」と歩み足を思わせます。
 現代居合による古伝太刀打之位も大江先生の走り込んで抜き合う方法が浸透していて、何故か居合の抜付けの気位や古流剣術の彼我立合い接近するイメージからかけ離れ、ドタバタ接近して品格の乏しい感じを受けるのは、打ち手の気位によるのか、「突撃!」の合図に突っ込んでいく姿を彷彿とさせるためか命を懸けて強敵と対する重厚感が伝わりません。
 古伝の太刀打之事は、双方歩み寄る事から始めたいものです。

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