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2017年1月

2017年1月31日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒2太刀合之棒6笠之羽

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
2)太刀合之棒
六本目笠之羽
笠之羽
 相手高山二か満へ居る処へ如此棒をかつぎ行を相手打込むを一方二亭合せ一方二亭張り扨一ツ廻して詰る
読み
笠之羽(かさのはね)
 相手高山に構え居る処へ 此の如く棒を担ぎ行を 相手打込むを 一方にて合せ 一方にて張り 扨 一つ廻して詰める
参考
「此の如く棒を担ぎ行を」は、両肩の首の後ろで棒を横に水平に担ぎ両手で棒を支えている黒塗りの絵が挿入されています。

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2017年1月30日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く6坂橋流棒2太刀合之棒5小鬢流

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
6、坂橋流棒
2)太刀合之棒
五本目小鬢流
小鬢流
 小鬢へ打懸る外先耳同し
*読み
小鬢流(こびんながし)
 小鬢へ打ち懸かる外 先に同じ
省略されてしまった部分を補って手附を完成させます。
小鬢流(こびんながし)
 相手高山遣方棒を左の手尓て持居る処へ相手打懸る処へ右の手尓て棒を逆手耳取り下を上二亭合せ又一方に亭小鬢をなぐ又打込を此度ハ右を後へ引左身二亭如前下を上二亭合せ小鬢をなき扨水車耳取り廻し追込み扨相手より又打込を我右身ならば下二春るを棒の先を面耳突付る心にて合せ勝也
読み
小鬢流(こびんながし)
 相手高山 遣方棒を左の手にて持ち居る処へ 相手打ち懸かる処へ 右の手にて棒を逆手に取り下を上て合せ 又 一方にて小鬢を薙ぐ 又 打込を此の度は右を後へ引き 左身にて前の如く下を上にて合せ小鬢を薙ぎ 扨 水車に取り廻し追込み 扨 相手より又打込を 我れ右身ならば下に張るを 棒の先を面に突き付ける心にて合せ勝つ也
*
読み解く
  相手は太刀を高山(上段)に構えています。
 遣方は「棒を左の手にて持居る処へ」ですから、棒中を左手で持って自然体で立つと思うのですが、次の「相手打懸る処へ右の手にて棒を逆手に取り」なので、此処は棒合と同様、左手で杖の様に突いて左足をやや前に半身に立ちます。

 相手高山から遣方の左面に打込んで来る。
 遣方、右手を逆手にして左手の下方に持ち、右肩から廻して棒の下を上にして相手の打ち込みを右足を踏み替えて合わせる。

 「又一方にて小鬢をなぐ」は、左手を後ろに引いて左肩から棒を廻し棒の上を下にして左足を踏み替え相手の右小鬢を薙ぐ。

 又、相手右面に打ち込んで来るを、左手を其の儘右手で棒を後ろに引いて右から廻し棒の下を上にして右足を踏み替え右半身(左身)になって相手の打ち込みを張る。
 即座に左手を引いて棒を左肩から廻し左足を踏込み相手の左小鬢を薙ぐ。

 扨、引く相手を、棒を水車に取り廻し追込んで行く、相手態勢を整え真向に打込んで来るのを、我れ右身であれば「下にするを」は棒の先を少し下げておいて棒の先を相手の面に突き付ける心持で突き上げて合わせ勝。

 英信流目録の棒太刀合之位も小鬢流は「是盤鬢を打也跡同し前も同し」

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2017年1月29日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒2太刀合之棒5小鬢流

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
2)太刀合之棒
五本目小鬢流
小鬢流
 小鬢へ打懸る外先耳同し
*読み
小鬢流(こびんながし)
 小鬢へ打ち懸かる外 先に同じ
省略されてしまった部分を補って手附を完成させます。
小鬢流(こびんながし)
 相手高山遣方棒を左の手尓て持居る処へ相手打懸る処へ右の手尓て棒を逆手耳取り下を上二亭合せ又一方に亭小鬢をなぐ又打込を此度ハ右を後へ引左身二亭如前下を上二亭合せ小鬢をなき扨水車耳取り廻し追込み扨相手より又打込を我右身ならば下二春るを棒の先を面耳突付る心にて合せ勝也
読み
小鬢流(こびんながし)
 相手高山 遣方棒を左の手にて持ち居る処へ 相手打ち懸かる処へ 右の手にて棒を逆手に取り下を上て合せ 又 一方にて小鬢を薙ぐ 又 打込を此の度は右を後へ引き 左身にて前の如く下を上にて合せ小鬢を薙ぎ 扨 水車に取り廻し追込み 扨 相手より又打込を 我れ右身ならば下に張るを 棒の先を面に突き付ける心にて合せ勝つ也
 

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2017年1月28日 (土)

曽田本その1神傳流秘書を読み解く6坂橋流棒2太刀合之棒4小手落

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
6、坂橋流棒
2)太刀合之棒
四本目小手落
小手落
 是又上二同し小手を拂ひ落し常ハ太刀を張る水車同然之業なり
読み
小手落(こておとし)
 是又、上に同じ 小手を払い落とし 常は太刀を張る 水車同然の業也
省略されている文章を復元しておきます。
小手落(こておとし)
 相手高山遣方棒を左の手尓て持居る処へ相手打懸る処へ右の手尓て棒を逆手耳取り下を上二亭合せ又一方に亭小手を拂ひ落す又打込を此度ハ右を後へ引左身二亭如前下を上二亭合せ小手を拂日落し扨水車耳取り廻し追込み扨相手より又打込を我右身ならば下二春るを棒の先を面耳突付る心にて合せ勝也
省略されている文章の復元の読み
小手落(こておとし)
 相手高山 遣方棒を左の手にて持ち居る処へ 相手打ち懸かる処へ 右の手にて棒を逆手に取り下を上て合せ 又 一方にて小手を払い落す 又 打込を此の度は右を後へ引き 左身にて前の如く下を上にて合せ小手を払い落す 扨 水車に取り廻し追込み 扨 相手より又打込を 我れ右身ならば下に張るを 棒の先を面に突き付ける心にて合せ勝つ也
読み解く
  相手は太刀を高山(上段)に構えています。
 遣方は「棒を左の手にて持居る処へ」ですから、棒中を左手で持って自然体で立つと思うのですが、次の「相手打懸る処へ右の手にて棒を逆手に取り」なので、此処は棒合と同様、左手で杖の様に突いて左足をやや前に半身に立ちます。

 相手高山から遣方の左面に打込んで来る。
 遣方、右手を逆手にして左手の下方に持ち、右肩から廻して棒の下を上にして相手の打ち込みを右足を踏み替えて合わせる。

 「又一方にて小手を払い落す」は、左手を後ろに引いて左肩から棒を廻し棒の上を下にして左足を踏み替え相手の右小手を払い落す。

 又、相手右面に打ち込んで来るを、左手を其の儘右手で棒を後ろに引いて右から廻し棒の下を上にして右足を踏み替え右半身(左身)になって相手の打ち込みを張る。
 即座に左手を引いて棒を左肩から廻し左足を踏込み相手の左小手を払い落す。

 扨、引く相手を、棒を水車に取り廻し追込んで行く、相手態勢を整え真向に打込んで来るのを、我れ右身であれば「下にするを」は棒の先を少し下げておいて棒の先を相手の面に突き付ける心持で突き上げて合わせ勝。

「小手を払い落す」ために、有効な棒の操作がいくつもありそうですが、前の業と同様な動作で応じてみました。
「常に太刀を張る」はこの場合、相手太刀を受けるのではなく張る心持を言うのだろうと思います。

これも英信流目録の棒太刀合之棒より「小手落」
「手首を上より討つ也跡同じ前も同じ」

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2017年1月27日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒2太刀合之棒4小手落

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
2)太刀合之棒
四本目小手落
小手落
 是又上二同し小手を拂ひ落し常ハ太刀を張る水車同然之業なり
読み
小手落(こておとし)
 是又、上に同じ 小手を払い落とし 常は太刀を張る 水車同然の業也
省略されている文章を復元しておきます。
小手落(こておとし)
 相手高山遣方棒を左の手尓て持居る処へ相手打懸る処へ右の手尓て棒を逆手耳取り下を上二亭合せ又一方に亭小手を拂ひ落す又打込を此度ハ右を後へ引左身二亭如前下を上二亭合せ小手を拂日落し扨水車耳取り廻し追込み扨相手より又打込を我右身ならば下二春るを棒の先を面耳突付る心にて合せ勝也
省略されている文章の復元の読み
小手落(こておとし)
 相手高山 遣方棒を左の手にて持ち居る処へ 相手打ち懸かる処へ 右の手にて棒を逆手に取り下を上て合せ 又 一方にて小手を払い落す 又 打込を此の度は右を後へ引き 左身にて前の如く下を上にて合せ小手を払い落す 扨 水車に取り廻し追込み 扨 相手より又打込を 我れ右身ならば下に張るを 棒の先を面に突き付ける心にて合せ勝つ也

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2017年1月26日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く6坂橋流棒2太刀合之棒3小手上

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
6、坂橋流棒
2)太刀合棒
三本目小手上
小手上
 腰をなが春して小手をはね上類也水車同前
読み
 小手上(こてあげ)
腰を薙がずして小手を撥ね上げるなり 水車同前
省略されている文章を復元しておきます。
小手上(こてあげ)
 相手高山遣方棒を左の手尓て持居る処へ相手打懸る処へ右の手尓て棒を逆手耳取り下を上二亭合せ又一方に亭小手をなぐ又打込を此度ハ右を後へ引左身二亭如前下を上二亭合せ小手をなき扨水車耳取り廻し追込み扨相手より又打込を我右身ならば下二春るを棒の先を面耳突付る心にて合せ勝也
省略されている文章の復元の読み
小手上(こてあげ)
 相手高山 遣方棒を左の手にて持ち居る処へ 相手打ち懸かる処へ 右の手にて棒を逆手に取り下を上て合せ 又 一方にて小手を薙ぐ 又 打込を此の度は右を後へ引き 左身にて前の如く下を上にて合せ小手を薙ぎ 扨 水車に取り廻し追込み 扨 相手より又打込を 我れ右身ならば下に張るを 棒の先を面に突き付ける心にて合せ勝つ也

読み解く
  一本目脛をなぐ、二本目腰をなぐの次として三本目小手をはね上げる技になります。
 相手高山から遣方の左面に打込んで来る。
 遣方、右手を逆手にして左手の下方に持ち、右肩から廻して棒の下を上にして相手の打ち込みを右足を踏み替えて合わせる。

 「又一方にて小手をなぐ」は、左手を後ろに引いて左肩から棒を廻し棒の上を下にして左足を踏み替え相手の右小手をはね上げる様に薙ぐ。
 又、相手右面に打ち込んで来るを、左手を其の儘右手で棒を後ろに引いて右から廻し棒の下を上にして右足を踏み替え右半身(左身)になって相手の打ち込みを張る。
 即座に左手を引いて棒を左肩から廻し左足を踏込み相手の左小手をはね上げる様に薙ぐ。

 扨、引く相手を、棒を水車に取り廻し追込んで行く、相手態勢を整え真向に打込んで来るのを、我れ右身であれば「下にするを」は棒の先を少し下げておいて棒の先を相手の面に突き付ける心持で突き上げて合わせ勝。

第12代の英信流目録の居合太刀合巻 棒太刀合之位 「小手揚」
「手首を下たよりはねあげる也跡同じ前も同断」

*小手上の文字が小手揚になっています。小手の上から打つのではない、小手を跳ね上げるんだと拘ったのでしょう。

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2017年1月25日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒2太刀合之棒3小手上

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
2)太刀合之棒
三本目小手上
小手上
 腰をなが春して小手をはね上類也水車同前
読み
 小手上(こてあげ)
腰を薙がずして小手を撥ね上げるなり 水車同前
省略されている文章を復元しておきます。
小手上(こてあげ)
 相手高山遣方棒を左の手尓て持居る処へ相手打懸る処へ右の手尓て棒を逆手耳取り下を上二亭合せ又一方に亭小手をなぐ又打込を此度ハ右を後へ引左身二亭如前下を上二亭合せ小手をなき扨水車耳取り廻し追込み扨相手より又打込を我右身ならば下二春るを棒の先を面耳突付る心にて合せ勝也
省略されている文章の復元の読み
小手上(こてあげ)
 相手高山 遣方棒を左の手にて持ち居る処へ 相手打ち懸かる処へ 右の手にて棒を逆手に取り下を上て合せ 又 一方にて小手を薙ぐ 又 打込を此の度は右を後へ引き 左身にて前の如く下を上にて合せ小手を薙ぎ 扨 水車に取り廻し追込み 扨 相手より又打込を 我れ右身ならば下に張るを 棒の先を面に突き付ける心にて合せ勝つ也

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2017年1月24日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く6坂橋流棒2太刀合之棒2腰車

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
6、坂橋流棒
2)太刀合之棒
二本目腰車
腰車
 脛砕に替事なし脛をなかすして腰をなくの違ひ也水車同前也
読み
腰車(こしぐるま)
 脛碎きに替る事なし 脛を薙がずして腰を薙ぐの違い也 水車前に同じ也
読み解く
 前回の脛碎の業の、脛に打ち込む処を腰に打ち込むと替えただけの業です。
 前回も同様ですが、「なぐ」は「薙ぐ」の文字を当ててみました。「打つ」と言っていない処を意識したのです。
 「薙ぐ」は、かる、そる、なぐ、横ざまに払って切る、また、倒す。打つのとは違うので、足を引いて外すのが言葉に準じそうな気がします。

 此の業も第12代林益之丞政誠の英信流目録に残されています。
英信流目録 居合棒太刀合巻 棒太刀合之位 「腰車」
「是も同し事也棒を腰へあつるなり跡は何れも同じ」


 一本目脛砕に同じで脛を腰に替えただけですから、変えた手附を参考にしておきます。

腰車
 相手高山遣方棒を左の手尓て持居る処へ相手打懸る処へ右の手尓て棒を逆手耳取り下を上二亭合せ又一方に亭腰をなぐ又打込を此度ハ右を後へ引左身二亭如前下を上二亭合せ腰をなき扨水車耳取り廻し追込み扨相手より又打込を我右身ならば下二春るを棒の先を面耳突付る心にて合せ勝也
読み
腰車(こしぐるま)
 相手高山 遣方棒を左の手にて持ち居る処へ 相手打ち懸かる処へ 右の手にて棒を逆手に取り下を上て合せ 又 一方にて腰を薙ぐ 又 打込を此の度は右を後へ引き 左身にて前の如く下を上にて合せ腰を薙ぎ 扨 水車に取り廻し追込み 扨 相手より又打込を 我れ右身ならば下に張るを 棒の先を面に突き付ける心にて合せ勝つ也

 

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2017年1月23日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒2太刀合之棒2腰車

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
2)太刀合之棒
二本目腰車
腰車
 脛砕に替事なし脛をなかすして腰をなくの違ひ也水車同前也
読み
腰車(こしぐるま)
 脛砕きに替る事なし 脛を薙がずして腰を薙ぐの違い也 水車前に同じ也
参考 前回の太刀合之棒一本目脛砕
脛碎(スネクダキ)
 相手高山遣方棒を左の手尓て持居る処へ相手打懸る処へ右の手尓て棒を逆手耳取り下を上二亭合せ又一方に亭脛をなぐ又打込を此度ハ右を後へ引左身二亭如前下を上二亭合せ脛をなき扨水車耳取り廻し追込み扨相手より又打込を我右身ならば下二春るを棒の先を面耳突付る心にて合せ勝也
読み
脛碎(すねくだき)
 相手高山 遣方棒を左の手にて持ち居る処へ 相手打ち懸かる処へ 右の手にて棒を逆手に取り下を上にて合せ 又 一方にて脛を薙ぐ 又 打込を此の度は右を後へ引き 左身にて前の如く下を上にて合せ脛を薙ぎ 扨 水車に取り廻し追込み 扨 相手より又打込を 我れ右身ならば下に張るを 棒の先を面に突き付ける心にて合せ勝つ也

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2017年1月22日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を詠み解く6坂橋流棒2太刀合之棒1脛砕

曽田本その1
1.神傳流秘書を詠み解く
6、坂橋流棒
2)太刀合之棒
一本目脛碎
脛碎(スネクダキ)
 相手高山遣方棒を左の手尓て持居る処へ相手打懸る処へ右の手尓て棒を逆手耳取り下を上二亭合せ又一方に亭脛をなぐ又打込を此度ハ右を後へ引左身二亭如前下を上二亭合せ脛をなき扨水車耳取り廻し追込み扨相手より又打込を我右身ならば下二春るを棒の先を面耳突付る心にて合せ勝也
読み
脛碎(すねくだき)
相手高山 遣方棒を左の手にて持ち居る処へ 相手打ち懸かる処へ 右の手にて棒を逆手に取り下を上にて合せ 又 一方にて脛を薙ぐ 又 打込を此の度は右を後へ引き 左身にて前の如く下を上にて合せ脛を薙ぎ 扨 水車に取り廻し追込み 扨 相手より又打込を 我れ右身ならば下に張るを 棒の先を面に突き付ける心にて合せ勝つ也
読み解く
 業名の始めの一字が読めません。月偏に旁は布です。二本目は腰車、三本目が小手上・・と順次上に上がっていますから、「脛」すねくだき「脛碎」でいいのでしょう。河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では「脛砕」です。

 この「太刀合之棒」も坂橋流棒なのだろうと思います。
坂橋流の棒と棒の「棒合」の次で、太刀と棒に依る「太刀合之棒」ですから相手は太刀で遣方は棒での攻防です。

 相手は太刀を高山(上段)に構えています。
 遣方は「棒を左の手にて持居る処へ」ですから、棒中を左手で持って自然体で立つと思うのですが、次の「相手打懸る処へ右の手にて棒を逆手に取り」なので、此処は棒合と同様、左手で杖の様に突いて左足をやや前に半身に立ちます。

 相手高山から遣方の左面に打込んで来る。
 遣方、右手を逆手にして左手の下方に持ち、右肩から廻して棒の下を上にして相手の打ち込みを右足を踏み替えて合わせる。

 「又一方にて脛をなぐ」は、左手を後ろに引いて左肩から棒を廻し棒の上を下にして左足を踏み替え相手の右足脛を薙ぐ。

 又、相手右面に打ち込んで来るを、左手を其の儘右手で棒を後ろに引いて右から廻し棒の下を上にして右足を踏み替え右半身(左身)になって相手の打ち込みを張る。
 即座に左手を引いて棒を左肩から廻し左足を踏込み相手の左脛を薙ぐ。

 扨、引く相手を、棒を水車に取り廻し追込んで行く、相手態勢を整え真向に打込んで来るのを、我れ右身であれば「下にするを」は棒の先を少し下げておいて棒の先を相手の面に突き付ける心持で突き上げて合わせ勝。

 坂橋流の「水車に取り廻し」はどの様にするのか不明です。頭上で水平に廻す、正面で縦に廻す、右片手で8の字に廻す。
此処は水車ですから縦に廻すのが手附に従う事かも知れません。

 この太刀合之棒についても第12代林益之丞政誠による安永5年1776年の英信流目録に残されています。原文のまま掲載しておきます。

英信流目録居合棒太刀合之巻 棒太刀合之巻一本目脛碎
 「是は敵は太刀を上段にかむり我は左の手にて棒の中を持杖に突き楽々立合也敵ふみ込おがみ討に打所我は右の手にて棒の上のはしを逆手に取り右の足を一足引き右の手を下へさげ棒の下たのはしを太刀へ合せ右の足を一足ふみ込み右の手にて持ちたるはしにて敵の左の脛を打ち先をさげ左の手を上へあげ討也
敵亦討所をさげておるはしにて太刀をはね躰をかわり左の手にて持たるはしを敵の左の脚へ当て我も左の足をふみ込み棒を跡へくり出し車の如くかまえる也
其の所を敵我が足を片手にてなぐる也
それより水車を廻し追込む也
但し棒は右で二つ左で二つづつ廻していくつも廻し行うく迄追込む也
右の手の行たる時追い留り候えば(?)敵拝み討に打所を下たより棒の先にて拳をはね上げ亦我も其儘棒の先にて拝討に打なり
敵其所を請て我が棒の先を左の手にてとり右の手にて持たる太刀を我がみけんへ討也
我其所を左の片手にて棒を上へさし上げ右の手にて棒の前えより敵の右の手首をとり棒を前へおし手を我が方へ引きかためる也
俗に云棒しばりなり
亦左の手が先へ出てくる時追當りたれば先をさげ持て敵討所を真見合へ棒の先をさし付右の手を下げてかためる也」


 英信流目録の太刀合一本目は脛碎ですが、神傳流秘書に初めは同じようなものですが、水車の廻し様は「右で二つ左で二つづつ」の様に幾つも廻して追い込んで行く、廻し方は右、左持ち替えなのか、両手で廻し右廻り左廻りか口伝でしょう。廻す位置も頭上か正面か左右脇か・・?。
英信流目録では棒縛りの技が加わっています。
 是は棒術の各流派に伝わっている、普通の技法でしょう。
 我、真向に拝み討つと相手たまらず棒を左手で掴んで、右手で太刀を振り下して来るのを左手を差し上げて相手の腕を留め右手で相手の腕を取って棒を押し、右手を引き込んで「棒しばり」にする。
 棒しばりにしないで神傳流秘書の様に面(眉間)に突き込むのも伝えています。
 業は他流を取り入れたり、新たな発案により進化する見本のようなものです。

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2017年1月21日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流之棒2太刀合之棒1脛碎

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
2)太刀合之棒
一本目脛碎
脛碎(スネクダキ)
 相手高山遣方棒を左の手尓て持居る処へ相手打懸る処へ右の手尓て棒を逆手耳取り下を上二亭合せ又一方に亭脛をなぐ又打込を此度ハ右を後へ引左身二亭如前下を上二亭合せ脛をなき扨水車耳取り廻し追込み扨相手より又打込を我右身ならば下二春るを棒の先を面耳突付る心にて合せ勝也
読み
脛碎(すねくだき)
 相手高山 遣方棒を左の手にて持ち居る処へ 相手打ち懸かる処へ 右の手にて棒を逆手に取り下を上にて合せ 又 一方にて脛を薙ぐ 又 打込を此の度は右を後へ引き 左身にて前の如く下を上にて合せ脛を薙ぎ 扨 水車に取り廻し追込み 扨 相手より又打込を 我れ右身ならば下に張るを 棒の先を面に突き付ける心にて合せ勝つ也

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2017年1月20日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く6坂橋流棒1棒合5込入

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
6、坂橋流棒
1)棒合
五本目込入
込入
 追込の如く両方立合我足を一足つゝ引上下合せ相手打込むを中二亭請下二亭合せ張如前勝也  以上五本
追込の如両方立合
追込:・・両方棒を左の手尓て持ち杖に突立合

読み
込入(こみいり)
 追込の如く 両方立ち合い 我が足を一足づつ引き上下合わせ 相手打込むを 中にて請け下にて合せ張り 前の如く勝つ也
 
 「前の如く打ち懸けて勝」の前の如くの部分は、三本目立合の「下にて合せ一方を廻し掛けて勝」

読み解く
 「追込の如く両方立合」ですから、一本目の様に双方棒を左手で杖に突き左足をやや前にして左足先に棒を突いて立合う。

 相手、右手を左手の下方に棒に添え右から廻して遣方の左面に右足を踏み込んで打込んで来る、遣方は左足を引いて同様に右手を左手の下方に添え右から廻して之を上で請ける。

 相手、右手を其の儘に左手を引いて棒の下を取り、左から廻して左足を踏み込んで遣方の右足に打込んで来る、遣方は右足を引いて同様に右手を其の儘に左手を引いて棒の下を取り左から廻して左足の前で之を請ける。

 相手、更に左手を其の儘に右手を棒の上に取り右から廻して右足を踏み込んで真向に打込んで来る、遣方は左足を引いて両手で棒を頭上に捧げ棒中で之を請ける。

 相手、更に左足を右足に引き付け、棒を右肩に取り右足を踏み込んで遣方の右足に打込んで来る、遣方左足を引き右足も追い足に之を下にてはり請けに請けるや左足を右足に引き付け、右肩から棒を廻し掛けて右足を踏込み相手の左面に打込み勝。

 相手前へ前へと攻めて来るのを一足づつ下りながら之に合わせ、真向に打込んで来るのを頭上に十文字に請け、更に足に打込んで来るのを下がりながら張り受けに合わせるや、攻めに転じて廻し掛けて踏み込んで打ち込み勝。

 此の業も第十二代林益之丞政誠による英信流目録の居合棒太刀合巻棒合五つより「込入」が参考になります。
「是は楽々棒の中を持ち先の如く立合也敵より上え打懸る所を我も右の上えにて請け右の足を一足引き敵左の下を出す也其時我も左の下たを合せ左の足を一足引き敵亦上より討所を両手にて両端を取り左の足を踏み込み十文字に請け下た下たとはねる也仕廻は右の足にて詰る也。」

 棒の中を持ちは、二本目の立合が左手で棒の中を持って相対して立合うでした、右手で棒の上の端を逆手に取って、相手が右面に打ち懸けて来るのを、同様に足を踏み替え、左足を踏込み右の上で請ける。
 相手右足を一足引いて、左の下を打って来る、其の時我も右足を踏込み左の下で合せる。
 相手左足を一足引いて、真向に打込んで来るので、これを両手を棒の端に取り左足を踏み込み十文字に顔面上で請ける。十文字に請けるや、相手棒を左膝・右膝と足を踏み替えつつ打込んで来るのを、我も右足を踏込み替え左膝、左足を踏み替え右膝と合せはね、しまいは右足前にて詰める。

 

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2017年1月19日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒1棒合5込入

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
1)棒合
五本目込入
込入
 追込の如く両方立合我足を一足つゝ引上下合せ相手打込むを中二亭請下二亭合せ張如前勝也

読み
込入(こみいり)
 追込の如く両方立ち合う 我足を一足づつ引き上下合せ 相手打込むを中にて請け 下にて合せ 前の如く張り勝つ
追込の如両方立合
追込:・・両方棒を左の手尓て持ち杖に突立合
 
 

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2017年1月18日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く6坂橋流棒1棒合4行違

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
6、坂橋流棒
1)棒合
四本目行違
行違
 両方右の手二亭棒を引摺り右あい二行違ふ時見返りて下を上二亭合せ又一方を上二亭合せ又一方を下二亭合張如前打懸て勝
「前の如く打ち懸けて勝」の前の如くの部分は、三本目請込の「下にて合せ一方を廻し掛けて勝」

 
読み
 行違(ゆきちがい)
 両方右の手にて棒を引き摺り 右あいに行き違う時 見返りて 下を上にて合せ 又 一方にて合せ 又 一方を下にて合わせ張り 前の如く打ち懸けて勝

 「前の如く打ち懸けて勝」の前の如くの部分は、三本目立合の「下にて合せ一方を廻し掛けて勝」

読み解く
 双方共に右手に棒の中ほどを持って引きずるようして右側を行き違う。
行き違ってお互いに見返り、左足出たとき棒の上を左手で持ち、右手を逆手に持ち替え、左に廻りながら右肩に棒を振り上げ、右足を踏み込んで相手の左面に打ち込み双方棒を合わす。ここが「見返りて下を上に合せ」の部分になります。

 「又一方を上にて合せ」は、右手を其の儘、棒を左手で後方に引き寄せ握りを持ち替え棒の上を下に下を上にして左肩に廻し、左足を踏み替えて相手の右面に打ち込む、相手、同様に棒を左肩に廻し右足を踏み替えてこれを受ける。

 「又一方を下にて合張」は双方、左手を其の儘、右手を後方に引いて棒の上を下に、下を上にして右肩から廻して右足を踏み替え相手の出足に打ち込む。

 「如前打懸て勝」は、三本目請込の業の「下にて合張り廻し掛て勝」を再現します。相手棒を張りこみ左足を踏み込み相手棒を左に廻し掛けて相手右面に打込み勝。

 第12代林益之丞政誠による英信流目録居合棒太刀合巻棒合5つ「引違」
 「是は楽々右の手にて棒の端を取り引違う也其引違い様に左の手にて棒の中を取り右の手をさげ棒の下を上げ上にて亦合せ亦下た下たと合也仕廻は右にて詰る也」

*神傳流秘書は「行違」ですが英信流目録は「引違」です。この違いは「行」の草書体と「引」の草書体の読み違いとも取れますが、棒を引きずって相手と擦れ違う訳でそれ以上追及しても原本が見当たりませんので意味はないでしょう。

 右手で棒の中ほどより上をもって、後ろの端を下げて相手とすれ違います。古伝の稽古では指定がなければ相手も同じ様に構えるものです。
 すれ違うや棒の中ほどを左手で逆手に持ち、振り向きざま棒の下で相手の右面を打つ、合わされて即座に左手を引いて棒を返して相手の左面を打ち、合わされるやその足のまま相手の左膝を打ち、合わされて足を踏み替え相手の右膝を打ち、合わされて足を踏み替え右足を踏み込んで水月を突く。
 英信流目録では「廻し掛けて勝」では無く「仕廻は右にて詰る」に変わっています。

 

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2017年1月17日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒1棒合4行違

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
1)棒合
四本目行違
行違
 両方右の手二亭棒を引摺り右あい二行違ふ時見返りて下を上二亭合せ又一方を上二亭合せ又一方を下二亭合張如前打懸て勝
*読み
 行違(ゆきちがい)
 両方右の手にて棒を引き摺り 右あいに行き違う時 見返りて 下を上にて合せ 又 一方にて合せ 又 一方を下にて合わせ張り 前の如く打ち懸けて勝

 「前の如く打ち懸けて勝」の前の如くの部分は、三本目立合の「下にて合せ一方を廻し掛けて勝」
 

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2017年1月16日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く6坂橋流棒1棒合3請込

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
6、坂橋流棒
1)棒合
三本目請込
請込
 打ッ亭懸るを中二て請下二亭合せ一方尓て張尤立合請込ハ一ツに続ヶ遣ふ扨一方を廻し掛て勝
読み
請込(うけこみ)
 打って懸かるを中にて請け 下にて合せ 一方にて張る 尤も 立合と請込は一つに続けて遣う 扨一方を廻し掛けて勝つ

読み解く
 坂橋流の棒合の三本目は「請込」です。鞘木刀を使った仕組(組太刀)の太刀打之位で4本目に「請入」という業がありました。曽田先生のメモ書きに「請込共云う」、とあります。
 此の組太刀は大江先生に依る英信流居合之型の三本目独妙剣です。この棒の動作とは業名のみ同じで関連性は無さそうです。

 「尤立合請込ハ一ツに続ヶ遣ふ(尤も 立合と請込は一つに続けて遣う)とされています。と云う事は二本目の立合で相手の棒を左に巻き捨てて棒の先を相手に詰めて勝のですが、相手、棒を振り上げて遣方の真向に右足を踏み込んで打ち懸けて来るのを、「中にて請」ですから遣方、左足、右足と追い足で退り、両手で頭上に一文字に請ける。

 相手、更に棒を振り上げ右足に打込んで来る、「下にて合せ」ですから、遣方左足を右足に踏み替下で合わせる。
 「一方にて張」は同方向にと読めるのですが右足を引いてしまいましたから「もう一方にて張り」として、更に左足に打ち込んで来るのを、右足を踏み替え同時に棒の先を左手に摺り込み、右手を棒中にして右上から、相手棒を張りこみ左足を踏み込み相手棒を左に廻し掛けて相手右面に打込み勝。

 古流剣術の切先の方向と、左右の足捌きの有り様を参考にし、踏み替え足を基準にして見ました。

 業名の請込から相手の攻撃を請けつつ勝ち口を得る様にしました。十文字請けして右下で合せ、即座に攻撃に出て相手の出足に張りこんで相手が合せるや、廻し掛けして面に勝も有でしょう。

第12代林益之丞政誠による英信流目録居合棒立合巻棒合五つ「請込」
「亦上より打所を両手にて棒の両端をとり十文字に請下た下たと張る也仕廻は右にて詰る也」

この場合は、十文字受けは同じですが、其の後遣方は相手の左下、右下と張り込んで、最後は右足を踏み込んで水月に詰めるでしょう。
時代の進化でしょうか手付の動作が変わっています。英信流には昔から先師の教えを変える癖があるようです・・・進化でしょうか。
 と云うよりも。実戦に則した形は相手の攻撃に如何様にも応じられる無形である事を教えてくれている様に思っています。

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2017年1月15日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒1棒合3請込

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
1)棒合
三本目請込
請込
 打ッ亭懸るを中二て請下二亭合せ一方尓て張尤立合請込ハ一ツに続ヶ遣ふ扨一方を廻し掛て勝
読み
請込(うけこみ)
 打って懸かるを中にて請け 下にて合せ 一方にて張る
 尤も 立合と請込は一つに続けて遣う 扨一方を廻し掛けて勝つ
 

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2017年1月14日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く6坂橋流棒1棒合2立合

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
6、坂橋流棒
1)棒合
二本目立合
立合
如前立合棒を逆手二取り下を上二亭合又下二亭合せ巻捨る
前之通り持立合たる時両方の手二亭逆手二取足を引て下を上尓て合又下二亭合遣方より左へ巻捨る
読み
立合(たちあい)
 前の如く立合い 棒を逆手に取り 下を上にて合せ 又 下にて合せ 巻捨てる
前の通り持ち 立合いたる時 両方の手にて逆手に取り 足を引いて下を上にて合せ 又 下にて合せ 遣方より左へ巻き捨てる
*「如前立合」「前之通り持立合たる時」
追込:「両方棒を左の手尓て持杖二突き・・」
読み解く
 前の如く立合う、ですから棒を杖に突いて左足先に立て、左手で胸の辺りに添えて右足をやや引いてやや半身に双方立って出合います。
 相手「棒を逆手に取り」は左手の下方に右手の拇指を下向きに逆手に添え、「下を上にて合せ」は棒を、右肩から廻して地に突いていた棒の先を上にして、左面に打込んできます。
 遣方も同様に左足を引いて之を請ける。
 遣方即座に左手を引きつつ、棒の先へ右手を滑らせ、左肩から廻して左足を踏み替え左手を前にして相手の右足を打つ、相手も同様にして右足を踏み替え之を請ける。
 相手請けるや、下らんとする処、遣方より棒の先を上げつつ相手の棒を左に巻き捨て、棒の先を相手の水月に詰める。

 此の業も、第12代林益之丞政誠による英信流目録より居合棒太刀合巻棒合五つ「立合」から神傳流秘書に無い動作を学んでみます。
 「是は楽々左の手にて棒の中を持ち近く立合也楽々右手にて棒の上のはしを逆手に取り右の足を跡へ引き逆様に合せ亦楽々右の手を上えあげ下たを合せ巻き捨るなり」

 英信流目録では、棒の中を持って立合い、棒の上を右手を逆手に持ち右足を引いて右面に打込んで双方合わせています。
 打込み合わせるや、右手を引いて左手を棒の上に滑らせ右手を上に上げ乍ら右肩から廻して相手の左足に打込む、相手これに合わせるを左に巻き落とし水月に詰める。

 

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2017年1月13日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒1棒合2立合

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
1)棒合
二本目立合
立合
如前立合棒を逆手二取り下を上二亭合又下二亭合せ巻捨る
前之通り持立合たる時両方の手二亭逆手二取足を引て下を上尓て合又下二亭合遣方より左へ巻捨る
読み
立合(たちあい)
前の如く立合い 棒を逆手に取り 下を上にて合せ 又 下にて合せ 巻捨てる
前の通り持ち 立合いたる時 両方の手にて逆手に取り 足を引いて下を上にて合せ 又 下にて合せ 遣方より左へ巻き捨てる
*「如前立合」「前之通り持立合たる時」
追込:「両方棒を左の手尓て持杖二突き・・」
 
 

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2017年1月12日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く6坂橋流棒1棒合1追込

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
6、坂橋流棒
1)棒合
一本目追込
上下上下と合張り又一方を打懸て勝
両方棒を左の手尓て持杖二突立合上を合下を合又上を合又下を合遣方より一方二亭張り又一方を打懸て勝也
読み
追込(おいこみ)
 上下 上下と合い張り 又 一方を打懸けて勝つ
 両方棒を左の手にて持ち 杖に突き立ち合う 上を合わせ下を合わせ 又 下を合わせ 遣方より一方にて張り 又 一方を打ち懸けて勝也

読み解く
 双方とも棒を左手に持ち杖(つえ)に突き立合う。左手の位置は自然体で握り易く杖(つえ)を突く位置、棒の中程でしょう。杖ならば杖の上を掌で被せてもいいでしょう。

 一本目は業名「追込」ですから、相手が先に棒に右手を懸け仕掛けて来るのに応じ、遣方が追い込んで行き、相手は下って行く打ち合いを想定して見ます。

 双方棒を左手で杖(つえ)を突く様に持ち、棒の先を左足先前に付け右足をやや後ろに退いて立つ。
 相手、棒を持つ左手の下に右手を逆手に添え、左手を滑らせて棒の上方を持ち、右肩から廻して右足を踏み込んで我が左面に打ち懸けて来る、遣方も同様に右足を踏み込んで相手の棒に打ち懸けて之を留める。

 遣方透かさず左足を右足踵に踏込み棒を右肩に取るや右足を踏み込んで打方の右足に打込む。
 相手棒を右肩に担ぎ打込まんとするが、遣方に攻め込まれ右足を引いて左足に引き付け左足を引くや、右足前で同様に遣方の棒を請ける。

 遣方、左手を引いて右手を棒の先に滑らせ、左手を棒の中程まで滑らせ左肩に廻し取るや左足を踏み込んで、相手の右面を打つ、相手右足を引いて同様に之を請ける。
 遣方、透かさず右足を左足に引き付け、同様に棒を左肩に取るや、左足を踏み込んで相手の左足に打込む。
 相手、左足を右足に引き付け、右足を引いて之を請ける。

 遣方、左足に右足を引きつけ、棒を振り上げ、左足を踏み込んで相手の右足に打ち懸かる、相手是を退き乍ら請ける、遣方即座に左足に右足を引き付け乍ら右手を後方に引いて左手を滑らせ棒の先を握り、右肩から棒を廻し乍ら右手を棒中に滑らせ右足を踏み込んで打方の左面を打ち勝つ。
 双方、右半身で棒を合せ元の位置に戻る。 

 幸い十二代林益之丞政誠による英信流目録に棒の業が残っていました。原文の儘とします。
安永五年1776年英信流目録棒合五つ「追込」
「上え下た上え下た下た右を打出す時は右の足を先え出し左の下を合する時は左の足を出し仕廻は右の足にて詰る也」


 追込みですから遣方にどんどん攻め進んでもらいました。
棒は上下は有りませんから、上下を返して打ってみました。刀と同様に一方を先端として、手を持ち替えずに順の打ち逆の打ちなども追い込みながら詰めて行かれるでしょう。


棒:ぼう、人を打つためのぼう、木を両手で捧げ持つ木の棒、棍(こん)は丸く太い棒。杖は長い棒。手に持てるほどの細長い木・竹・金属などの称。
棒術:武芸の一つ、棍棒を得物とする武術。

杖:じょう、つえ、歩行を助けるため手にもつ長い棒、人をたたく長い棒、丈は「十たす手の会意文字で、手尺の幅の10倍の長さをあらわす。長い棒。
杖術・杖道:武道の一つ、剣道の一部門で剣の代わりに樫の丸木杖を用いる。江戸時代初め、夢想権之助勝吉の創始?。

仗:じょう、こん棒や長柄の武器、長い木の棒。
長さの単位尺の10倍約3m、杖。

 現代では一般的に、棒は5尺・6尺で杖は3尺・4尺2寸1分で太さは8分・9分・1寸で八角の一寸のものもあります。この坂橋流の棒はどの様な長さを基準にしたのか不明です。
 独り稽古には4尺2寸1分の杖が自宅でも振れますし、短かすぎると言うこともないでしょう、其の上移動にも邪魔になりません。

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2017年1月11日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒1棒合1追込

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
1)棒合
一本目追込
上下上下と合張り又一方を打懸て勝両方棒を左の手尓て持杖二突立合上を合下を合又上を合又下を合遣方より一方二亭張り又一方を打懸て勝也
読み
棒合(ぼうあい・ぼうあわせ)
 上下上下と合い張り 又一方を打ち懸けて勝 両方棒を左の手にて持ち 杖に突き立ち合う 上を合せ下を合せ 又 上を合せ 又下を合せ 遣方より一方にて張り 又一方を打ち懸けて勝也
 

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2017年1月10日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く6坂橋流棒1棒合添え書き

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
6、坂橋流棒
1)棒合 添え書き
棒合 
是者坂橋流之棒也ト言
 「是は坂橋流之棒の棒と言う」と添え書きが施されています。
 土佐の居合は総合武術だったと言えるその一つが棒術です。槍・薙刀は神傳流秘書にはありません。
 居合術の発生が戦国末期であり、立合いの剣術とは異なる居合術という刀法を林崎甚助重信公が編み出したわけで、本来居合術には抜き付けばかりでは無く柔術なども付属していたかもしれません。他の武器に依る術は、当時のものを嗜めば事足りていたと思われます。
 神傳流秘書に書き込まれた棒術は「坂橋流之棒」であると添え書きされて居ます、此処では棒と棒の攻防を「棒合(ぼうあい・ぼうあわせ)」としています。棒と太刀の攻防を「太刀合之棒(たちあいのぼう)」としています。
 恐らく、第九代林六大夫守政が江戸勤番の折り居合と共に習い覚えたものでしょう。「坂橋流」の棒に就いては資料も無く不明です。
 南山大学の榎本鏡司教授による「北信濃における無雙直伝流の伝承について」の論文の中に「無双流和棒縄居合目録」天明三年1783年大矢蕃昌編述・滝沢登愛所持による資料に「棒目録」として、この土佐に伝わった坂橋流之棒と同じ業名がチラついています。
棒目録
大ちらし・小ちらし・棒合すね払・腰車・小手揚・小手落・見帰り・笠場・さい棒・辻堅・五輪くだき
曽田本その1の神傳流秘書
棒合:追込・立合・請込・行違・込入
太刀合之棒:□砕(脛砕)・腰車・小手上・小手落・小鬢流・笠之羽・見返・袖返
曽田本その1の英信流目録
棒太刀合之棒:□砕(脛砕)・腰車・小手揚・小手落・小鬢流・笠之羽・見返・袖返
棒合五ツ:追込ミ・立合・請込・引違イ・込入
心持之事:間之棒・込入之棒・首尾用法・一本之棒・障棒
極意之大事:盲目杖・眼杭・金杭・立合心ノ大事・戸入之事・棒縛之事・引合之棒之事・常之棒
*この、北信濃の棒と業名が似ているのは、「太刀合之棒」だけに見られ「棒合」には見られません。坂橋流之棒は「棒合」だけで「太刀合之棒」は、別の棒術であったかも知れません。坂橋流之棒本流の行方は知りません。
 この流の癖で他流のものを其の儘取り込んで自流を仕立て上げて行く習性が強いようです。
 例えば大森流居合之事、後で出て来る夏原流和之事などもそれでしょう。現代でも師匠が何処かで習って来たものを、無双直伝英信流に付加してどれが元か判らなくなっている道場もあったりしています。
 
 坂橋流の棒に就いては資料がありません。居合との関連も特に見られないもので単独の棒術でしょう。第9代林六大夫守政が習った武術の一つだったと思います。
 居合と棒などへの展開があれば楽しいものですが其れは有りません。個人的にご研究ください。
 棒術を研究される方によって、術理から他流を辿っていただければ辿り付けるかもしれませんが、興味のある方にお願いしておきます。
 
 どの様な棒を使用するのかは書かれたものが有りませんから不明です。恐らく江戸時代末期には失伝してこれを演ずる人はいなかったと思います。
 書かれてある通りに手附と睨めっこしながら棒を振り回していれば仮想敵との攻防を心がけて来た居合剣士には出来る筈です。
 武器である棒は、現代風に棒か杖かなどの区別も流派に於ける太さ長さの指定も不明ですから、棒や杖の好きなもの扱いやすいものを用意されればいいでしょう。
 参考に河野百錬先生の「無双直伝英信流居合兵法叢書」第六章になります。木村栄寿先生の「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流伝書集及び業手付解説」では神傳流業手付に収録されています。
 
 

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2017年1月 9日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文6坂橋流棒1棒合添え書き

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
6、坂橋流棒
1)棒合添え書き
棒合
 是者坂橋流之棒也ト言
読み
 棒合(ぼうあい・ぼうあわせ)
 是は坂橋流の棒なりと言う
 

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2017年1月 8日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く5太刀打之事10打込

 
曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
5、太刀打之事
10)十本目打込
打込
相懸又は打太刀待処へ遣方より請て打込み勝
読み
打込(うちこみ)
 相懸り 又は 打太刀待つ処へ遣方より請けて打込み勝つ
読み解く
 この業の文章は判読し難いので困ります。
 打太刀待つ処へ又は相懸りに懸るのでしょう。
 前回の心妙剣が打太刀上段、遣方納刀。絶妙剣が双方上段でしょうから、此処も双方上段で行きます。特に指定されていませんから、相青眼でも良いでしょう、
 「遣方より請て打込み」は、上段に構え相懸りにスカスカと歩み寄り、打太刀が打込んで来るのを遣方も直ちに請けて(応じて)、打込んで勝と読みます。
 それとも、遣方より打込まれるのを打太刀が請けて、打込んで打太刀が勝ってしまっては仕組みの意味が根底から崩れてしまいます。文章と睨めっこしてもそうは読み取れないでしょう。

 此処は、一刀流の切落しや新陰流の合し打ちと考える処でしょう。合し打ちは相手が真向に打ち込むのを遣方も応じて真向に打ち込みます。
 その辺の呼吸を「遣方より請て」と書き表したのかもしれません。太刀を斬り落とされて、遣方の太刀が打太刀の頭上に打ち込まれ打太刀が負けるのです。
 政岡先生は「斬り結ぶのみ」としています。是では、唯の太刀を真向打ちして双方の中間で合せているだけです。
 動画で見たり、稽古を見ていますと、大方はこの斬り結びで終わらせていますが、このような稽古ではこの打ち込みから得られるものは何も無さそうです。

 曽田先生の業附口伝によりますと「(伝書になし口伝あり) (留の打込なり)仕打中段、双方真向に物打にて刀を合はし青眼に直り退く」
 この業附口伝は、合し打ちを暗示しています。「双方真向に」を稽古し、相手に打ち勝つ技を手に入れなければただの上手な棒振りです
 (留の打込みなり)
は真向合し打ちで勝負がついて「物打にて刀を合し青眼に直り退く」でしょう。
 中には、真向に打ち合い、打太刀の刀を遣方の鍔で弾き落すのだがそこまでやらずに中途で物打合せするとか言っているのを聞いたことが有ります。やれやれ・・・。
 第9代林六太夫守政がせっかく持ち込んであった新陰流の「合し打ち」を失念してしまったように思えてなりません。
 
 土佐の居合は元々総合武術として持ち込まれたものです。大森流(正座の部)や英信流(立膝の部)と平行して太刀打も指導すべきものです。決して太刀打は高段者のものでは無いのです。
 居合は一人稽古による空間刀法ですが、稽古では常に相手の動きを知り、仕懸けて来るのを認識する習慣が欲しいものです。そして、間と間合いを知り、体軸を基とした前後左右の使い様の認識が出来て来るからです。
 他の武術では柔道、合気道、空手、太極拳などをされる方はどんどん先に進めるはずです。居合だけの不器用なへぼの言葉に惑わされ、貴重な時間を無駄にしない様にしたいものです。
 かと言って正しい指導者も無く、古流を学ぶ気も無く、自ら手附を読み解く能力も無い剣士には古伝の心持ちは不向きです。古傳太刀打之事は、演武会を飾る武的演舞で終わらせては残念です。

 太刀打之事学ぶに当たっては、ゆっくり・大きく・正確に行うべきで、いたずらに早さと剛力で誤魔化したのでは、時代劇のチャンバラの見過ぎです。そして決して申し合わせの熟練した武的演舞に陥るべきではないでしょう。
 太刀打之事を終わります。

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2017年1月 7日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文5太刀打之事10打込

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
5、太刀打之事
10)十本目打込
打込
 相懸又ハ打太刀待処へ遣方より請て打込ミ勝也
読み
打込(うちこみ)
 相掛 又は 打太刀待つ所へ 遣方より請けて打ち込み勝つ也

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2017年1月 6日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み取る5太刀打之事9心妙剣

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
5.太刀打之事
9)九本目心妙剣
心妙剣
 相懸也打太刀打込を抜なり二請て打込ミ勝也打込む時相手の刀越於し能希る業あるべ之
読み
心妙剣(しんみょうけん)
 相懸り也 打太刀打ち込むを 抜く為りに請けて打込み勝つ也 打ち込む時 相手の刀を押し除ける業あるべし

読み解く
 打太刀上段に構え、遣方刀を鞘に納め、合懸りにスカスカと歩み寄り、打方真向に打ち込んで来るのを遣方抜くなりにこれを請ける。
 遣方左手を柄に添え、左足を踏み込み打太刀の刀を右下に押し退ける様に落とし上段に振り冠って右足を踏み込んで打太刀の真向を打つ。

 相手が打ち込んで来るのを片手抜き請けに切先を左に顔前頭上に請け止める、左手を柄に添えて強引に押し退ける様にしてみますが、力押しで余り良いとは思えません。
 打太刀が再び打ち込まんと上段に振り上げんとする機を捉えて押し退けるべきでしょう。あるいは、我れが右足を少し引いてフット拮抗を破ってその機に押し退けるべきでしょう。
 腕力に頼った剛力では稽古の必要はないでしょう。
 あるいは、打太刀の打ち込みを抜き請けに請けるや体を左に転じて押し退けるように擦り落としてしまうとか研究課題でしょう。
 大人のチャンバラでは太刀打之事はないはずです。

曽田先生の業附口伝心明剣
 この業附口伝は谷村先生、五藤先生による業附口伝です。
「是も相懸りにても相手待ちかけても不苦敵は真向へかむり我鞘に納てスカスカと行也
其時我片手にて十文字に請る也其儘敵引也スグに我打込勝也気合大事也云々

 最後に打込む時は敵の刀を押し除ける様にして左足を踏み込敵の首根に打込む也」
 曽田先生の業附口伝が古伝を補っているようです。

政岡先生は、無双直伝英信流居合兵法地之巻で「額前で十文字に受けるや直ちに左手を柄にかけつゝ左足を踏み込み体を開きながら刀を右下にまき落とし刀を後ろからまわして首根を斜めに切る」と見事に相手の打ち込みを瞬時に受けていなしています。

 ここは、右足を踏み込み相手打込むのを、抜き請けに片手で受けるや柄に左手を添え、左足をやや左前に踏み込み体を開き、相手刀を右に巻き落し、廻し打ちに斬り込む、を力任せに「よいしょ」とごつごつとせずに流れる様に当たり拍子に捌く事が出来れば良いのでしょう。
 或は「其儘敵引く也・スグ敵の刀を押し除ける様にして」の機を捕えるかでしょう。此の処の打太刀の役割は大切です。

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2017年1月 5日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文5太刀打之事9心妙剣

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
5.太刀打之事
9)九本目心妙剣
心妙剣
 相懸也打太刀打込を抜也二請て打込ミ勝也打込む時相手の刀越於し能希る業あるべ

 相懸かりなり 打太刀打込を抜くなりに請けて 打ち込み勝つ也 打込む時相手の刀を押し除ける業あるべし

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2017年1月 4日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く5太刀打之事8絶妙剣

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
5、太刀打之事
8)八本目絶妙剣
絶妙剣
 高山二かまへ行て打込ミ打太刀より亦打込を請て相手の面へ摺り込ミ相手肩へ取る
(請くる時ハ切先二手をそへ頭の上尓て十文字二請希留むるあり)
読み
絶妙剣(ぜつみょうけん)
 高山に構え行きて打込み 打太刀より亦打込を請けて 相手の面へ摺り込み相手肩へ取る
(請ける時は 切先に手を添え頭の上にて十文字に請け留めるもあり)

読み解く
 「高山に構へ行て」は遣方高山、打太刀高山でしょう。高山の構えは、上段です。この流の上段はどのように構えたかは不明です。大森六郎左衛門に第九代林六太夫守政が剣術の指導を受けたという事ですと真陰流の雷刀と思われます。
 竹刀剣道の上段とは違って左拳を頭の上まで上げ額より前に出ない様にし、太刀の角度は45度位後方上向き、太刀を振り上げる時肩を下げる意識で肘を拡げます。
 竹刀打ちに見られる、肘をすぼめて構え、肘をすぼめて打込むのとは違うと思われます。
 無双直伝英信流及び夢想神傳流による現代居合は竹刀剣道の統一理論に合わせる指導者によって失念したと思われます。
 河野先生の大日本居合道図譜に於ける上段は、「我が両拳の下より敵の頭上を見下ろす心持ちにて刀を頭上に把り剣先は高く構ゆ」ですが、左拳は額のやや上前、刀は45度で両肘の間から敵を覗き見する様です。是は一刀流の上段でしょう。

 打太刀が前回の独妙剣で中央から五歩退いていれば合い進み、留まっていれば待ち受けています。
 双方上段に構え、遣方スカスカと歩み行き、遣方間境を越すや右足を踏み込んで打太刀の真向に打ち下す。打太刀右足を少し引いて頭上にて請ける、打太刀右足を踏み込み遣方の真向に打込む、遣り方之を右足を引いて頭上にて左手を物打ちに添え十文字に請けるや、打太刀の刀を右に摺り落とし打太刀の面へ摺り込み勝。
 「相手肩へ取る」は打太刀摺り込まれて一歩下って八相に取り負けを示す。

 「高山二かまへ行て打込ミ打太刀より亦打込を請て」の解釈ですが遣方から仕掛けましたが、此処は打太刀から仕掛けても良いでしょう。この文章の「打太刀より亦打込む」の読み取り次第です。打太刀に先に仕かけられて、遣方請けて更に打込まれる其処を切先に左手を添え十文字請けして摺落して詰める、打太刀八相に構えて負けを示す。

 次の遣方が十文字請けして摺り込む方法についてですが、物打下辺りに左手を添え、切先を左に右手を左手よりやや高く取り十文字請けします。
 其の添え手は、一般に拇指と食指の股に刀の棟を挟む様にして添えるのを指導されますがそれでは、真向に打込まれた場合砕かれてしまいます。
 刀の棟が食指の第3関節から小指の下のふくらみに掌を斜めになる様にして顔前頭上に左手を右手より稍々前にして刃を上にして受けます。
 十文字請けした処を支点にして左入り身となって打太刀の刀を摺落とし、切先を摺り込み詰めます。
 よく見かける十文字請けから、ねじ込む様な摺り込みとは異なり、請けた瞬間に摺落す方法を上げておきました。

 曽田先生による五藤先生の業附口伝絶妙剣(独妙剣と業名が変わっています)
「是も同じく抜也敵待かけても相懸りにても不苦八相にかたきてスカスカと行き場合にて打込也其時敵十文字に請て又我が真向へ打込也其時我又本の儘にて請け面へ摺り込み勝也(我請たる時は左手を刀峯に当て次に摺り込み勝也)(摺り込みたる時敵刀を右肩に取る 曽田メモ)

 此処は古伝も業附口伝も上段と八相の違いで同じ様です。其の違いは、古伝神傳流秘書は真向打ちです、五藤先生の業付口伝は八相からの打ち込みですから相手の左面へ打込み請け止められ、相手真向に打ち込むでしょう。

 この絶妙剣は大江先生の英信流居合之型からは外されています。相手と間を十分詰めて打込ませ、両手十文字請けと摺り落とし、勝つ位と敗ける位を学ぶ良い業でしょう。後に出てくる詰合の五本目鱗形が座して行う同様の業です。

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2017年1月 3日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文5太刀打之事8絶妙剣

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
5、太刀打之事
8)八本目絶妙剣
絶妙剣
 高山二かまへ行て打込ミ打太刀より亦打込を請て相手の面へ摺り込ミ相手肩へ取る
(請くる時ハ切先二手をそへ頭の上尓て十文字二請希留むるあり)
読み
 高山に構え行きて(仕太刀が)打込み 打太刀より亦打込むを請けて相手の面へ摺り込み 相手肩へ取る
(請ける時は切先に手を添え 頭の上にて十文字に請け留めるのもあり)

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2017年1月 2日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く5太刀打之事7独妙剣

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
5、太刀打之事
7)七本目独妙剣
相懸也打太刀高山遣方切先を下げ前二構へ行場合尓て上へ冠り互に打合尤打太刀をつく心持有柄を面へかえし突込み勝
読み
独妙剣(どくみょうけん)
相懸り也 打太刀高山 遣方切先を下げ前に構え行く 場合にて上へ冠り互に打ち合う 尤も 打太刀を突く心持有 柄を面へ返し突き込み勝つ

読み解く
 独妙剣の業名は大江先生が英信流居合之型を独創する際、太刀打之事を捨て去るつもりでしょうか、英信流居合之型の四本目に盗用しています。
 業名を使っただけで内容は異なり太刀打之事の五本目月影の変形です。
太刀打之事五本目月影を振り返って見ます。
「月影:打太刀冠り待所へ遣方右の脇に切先を下けて構へ行て打太刀八相二打を切先を上て真甲へ上て突付て留め互に押相て別れ両方共車二取り相手打をはつす上へ冠り打込ミ勝
 この、独妙剣と月影の違いは明瞭ですが独妙剣の下段から上段に振り被る際「打太刀をつく心持有」は月影の「打太刀八相二打を切先を上て真甲へ上て突付て留め」の心持ちを思い出せと言うのでしょう。

 打太刀上段、遣方「切先を下げて」は下段に構え、互いにスカスカと歩み寄る、遣方切先を打太刀の喉を突き上げるように上段に振り冠り、双方真向に打合、拳を合わせ押し合い、打太刀退かんとするのに乗じて、遣方右足を踏み込んで柄を突き上げて打太刀の顔面に突き当て勝。
 打太刀の退かんとするに乗じた面への突き上げとしましたが、拮抗した鍔迫り合いを、遣方右足をどんと踏み込みその拍子に柄頭を突き上げ左足を踏み込んで打太刀の顔面を打つのも一つです。

押し合いの拍子を利用して下から相手の腕をかち上げる事も出来るでしょう。然し古伝独妙剣は鍔競合はせずに「柄を面へかえし突込み勝」を基本とします。安易にならない稽古も大切です。

 曽田先生の業附口伝七本目独妙剣(谷村先生・五藤先生の業附口伝では七本目絶妙剣の業名が該当します)
「仕下段・打八相、是は我前へ切尖を下スカスカと行き場合にて互に拝み打に討也敵と我とは拳と拳と行合其時すぐに面へ柄頭を突込て勝也
相懸りにても敵待ちかけても不苦我鍔ぜりとなるや右足をドンと踏み直に左足を踏み込みて敵の拳の下より人中に當てる打の構え不明なるも八相ならん」

 15代、16代の教えは安易な方向に流れた様です、17代は更に安易ですから、大江先生の独創された中学生向きの居合道之型しか知らない道場は、古伝を稽古し直す事も良い様です。

 

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2017年1月 1日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文5太刀打之事7独妙剣

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
5、太刀打之事
7)七本目独妙剱
独妙剱
相懸也打太刀高山遣方切先を下げ前二構へ行場合尓て上へ冠り互に打合尤打太刀をつく心持有柄を面へかえし突込み勝
*読み
独妙剱(どくみょうけん)
 相懸かり也 打太刀高山 遣方切先を下げ前に構え行く 場合にて上へ冠り 互に打ち合う 尤も 打太刀を突く心持ち有り 柄を面へ返し突き込み勝
 

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