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2017年2月 8日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流1詰合1発早

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
1)詰合
一本目発早
詰合(重信流也 従是奥之事 極意たる二依而格日二稽古する也)
 
一本目発早
 楽々居合膝二坐したる時相手左の足を引下へ抜付るを我も左の足を引て虎の一足の如く抜て留め打太刀請る上へ取り打込ミ勝也
読み
詰合(つめあい)(重信流也 是より奥之事 極意たるによりて確実に稽古する也)
 発早(はっそう)
 楽々居合膝に座したる時 相手左の足を引き下へ抜き付けるを 我も左の足を引きて虎の一足の如く抜きて留め 打太刀請ける上へ取り打込み勝つ也

読み解く
 詰合(重信流である、これより奥の事、極意なので確実に稽古するものである)
この詰合以降の業は極意業と言っています。
 是より重信流とは詰合・大小詰・大小立詰・大剣取・抜刀心持之事となります。
 但し大剣取は「此太刀打は和之伝二有る也」と添え書きがあるので重信流では無いかもしれません。神傳流秘書にこれ以上の説明は有りませんので実証できません。
 古伝を置き捨ててしまった明治の土佐の居合は奥の稽古が不十分です。その分、業の技法の末節に拘り過ぎているようです。場の想定を特定してしまい、物差しで測るような運剣動作のありように、先師は嘆いているでしょう。
 古伝の教えを知らなかった為に、他の武術を取り込みおかしな技法を得々として指導したりしているところもあります。中には、大江先生が残した業以外は無双直伝英信流に非ずと息巻く次第です。
 大江先生も中学生向けにやむなく古伝を置き捨てにして来ただけかも知れません。或は業名ばかりで指導されなかったかも知れません。然し謂れも無く置いて行かれた土佐の居合の業も、心得もそこには生死を懸けて学んだいくつもの事が散りばめられ、心を洗われます。
 詰合もそんな憂き目にあっている仕組の太刀打です。おおいに稽古し、独りよがりの空間刀法から抜け出るきっかけを作りたいものです。居合の仕組としては最も良い稽古内容です。
 詰合が打てない者が、時と共に棒振り上段者になって、間と間合いなどと知ったかぶりの武術論を述べるのを聞いていますと虚しくなります。
 最近は詰合を、演武会の出し物の様にされている処も有る様ですが、あくまで稽古業であるはずです。形から抜け出せなければただの申し合わせの踊りです。

一本目発早

 楽々居合膝に座したる時相手左の足を引下へ抜付るを我も左の足を引て虎の一足の如く抜て留め打太刀請る上へ取り打込み勝也


 「楽々居合膝に座したる時」ですが居合膝の座し方の説明は有りません。相対して座す時の武士の座し方は時代考証ではどうだったのでしょう。
 戦国末期では正座は一般的でなかったと云う事を信じれば、胡坐か片膝を立てた坐り方だったでしょう。
 変時に、即座に応じられる座り方は右片膝を立て足裏を着き、左膝を着き爪立った立膝の構えでしょう。其の儘尻を左足に下ろし足を寝かせれば略現代の居合膝です。
 この詰合は戦国末期に林崎甚助重信から引き継いで居る業ならば片膝立てた座仕方と云えそうです。
 河野先生は甲冑を付けた時の座仕方、と云い切っていますが其れも有でしょうが甲冑など江戸中期には殆ど不要です。そこまで言い切るのは疑問です。寧ろ攻撃態勢を保持した体構えと考えた方が自然です。

 此処で、神傳流秘書が「居合膝」と指定しているのは、居合う、互に座して向かい合う時、位の意味のもので、座仕方は何時でも応じられる体構えと考えればいいでしょう。それが現在の居合膝であってもいいと言えます。

 江戸時代から殿中の座し方は正座となり庶民にも広まっていったと聞いています。この詰合を正座から始める事も無駄な事とは言えません。異変を察したならば両爪先を立て右足を左膝の位置までスット出して体を臨戦態勢に変化させれば済むでしょう。

 互に片膝を立てて座している時敵より、腰を上げて左足を引くや我が右足に抜き付けて来る、我も即座に左足を引いて敵の刀を右足斜め前で虎一足の様に(左足を引き刀を逆さに抜て留め)受け留める。

 古伝は、相打ちではありません。敵に抜き付けられ請け止めています。
相手請け止められて上段に冠らんとする処、我は左足膝を右足に引き付け座すや敵の真向に打ち下す、敵頭上にて物打ち下に左手を添えて十文字に之を請ける処刀諸共斬り下ろして勝。

 曽田先生の実兄が指導を受けた第16代五藤孫平衛正亮・谷村樵夫自庸の口伝が曽田先生の業附口伝として残されています。

業附口伝 詰合之位
「一本目八相(口伝に発早とあり)
是は互に鞘に納めて詰合て相向い右膝立て座る也互に左足を一足引きて倒様に抜合する也(互に右脛へ抜付ける)
其儘ひざを突き仕太刀はかむりて面へ打込也此の時打太刀は十文字に頭上にて請け止むる也
互に合せ血振い足を引き納刀」

*古伝の教えを失って、形ばかりの仕組の手附になってしまった様です。下に互に抜き合せる相打ちです。
古伝は打太刀に抜き付けられ、敵の剣先は我が膝下に付き、我は敵の刀を受払う事で後の先を取って勝ちとなっています。
 稽古は古伝の心持ちとすべきで、互いの真中で刀も届いて居ない様な位置で相打ちなど何千回稽古したところで何も生まれてこないでしょう。
 「虎の一足の如く抜て留め」この文言がポイントです。

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コメント

ミツヒラ様

虎の一足のようにとありますが、これは相手の拳に抜きつけになるのでしょうか?

machidaさま
コメントありがとうございます。
虎一足は「左足を引き刀を逆に抜て留め・・」ですから切先を下にして刃を外に向けて相手刀を受け留める、と読めます。
お互いに立膝に座し、相手が横一線に抜き付けるとすれば、我が顔面から右足膝位の位置でしょう、我も抜かんと柄に手を掛け腰を上げて居れば柄口6寸の柄手も充分狙えます。
 詰合の形では、現代では相手が右足膝又は脛に抜きつけて来るので我も同様の位置に抜き付ければ防いだ形にはなります。
 基本形はそれでも、稽古ではどこに抜きつけられても虎一足の方法で応じる、或は外しを学ぶものだろうと思います。もっと上は打の機を察して先を取る。
 詰合にはこの十文字請けが5本目まで続きます。常に同じ位置に申し合わせで抜き付け、受け払われていたり、相打ちしていても意味は無いと思っています。
 力量に応じた変化を学ぶべきではないでしょうか。よく見かける真剣で決めた形を打って見てもそれは武的演舞でしょう。
       ミツヒラ
 

投稿: machida | 2017年2月10日 (金) 03時25分

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