« 曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流1詰合8柄砕 | トップページ | 曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流1詰合9水月 »

2017年2月22日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流1詰合8柄砕

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
1)詰合
八本目柄砕
柄砕(眼関落ノコトナラン 曽田メモ)
 両方高山後ハ弛し木刀二同し(はづし木刀太刀打之位独妙剱の事ならむ 曽田メモ)
読み
柄砕(つかくだき)(眼関落のことならん)
 両方高山後は弛しの木刀に同じ(はづし木刀 太刀打之位 独妙剱の事ならん 曽田メモ)
参考
独妙剱
 相懸也打太刀高山遣方切先を下げ前二構へ行場合尓て上へ冠り互に打合尤打太刀をつく心持有柄を面へかえし突込み勝
読み
独妙剱(どくみょうけん)
 相懸かり也 打太刀高山 遣方切先を下げ前に構え行く 場合にて上へ冠り 互に打ち合う 尤も 打太刀を突く心持ち有り 柄を面へ返し突き込み勝

読み解く
 双方上段に構え、後の動作は弛し木刀に同じだと省略されてしまいました。
 曽田先生は、之を太刀打之位(神傳流秘書では「太刀打之事」の独妙剣の事だろうと言うのですが、太刀打之事独妙剣は「相懸也打太刀高山遣方切先を下げ前に構え行場合にて上へ冠り互に打合尤打太刀をつく心持有柄を面へかえし突込み勝」というものです。
「弛し木刀」なる業名がない限り断定する事はできません。

 曽田先生の業附口伝によれば詰合之位「眼関落」が七本目燕返の次なる業になります。
「是も互に立ち敵も我も真向へかむり相掛りにてスカスカと行き場合にて互に拝み打に討也その時敵の拳と我拳と行合也其時我すぐに柄頭を敵の手元下より顔へはね込み勝也(右足をドンとふみ急に左足を踏み込む也)
互に五歩退り納刀以下同じ」

 曽田先生は五藤先生の業附口伝を元にして考察されたと思われます。
神傳流秘書の詰合と五藤先生の業附口伝以外に詰合を書き表した伝書が見当たらない限り当面はこのような業で稽古する以外にありません。

 木村栄寿先生の林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流傳書集及び業手付解説の神傳流業手付では詰合八本目は柄砕「両方高山跡は地の木刀に同じ」とあって「弛と地」の読み違いでしょうがどちらも証明不能です。
 「眼関落」が同じ業である様な「詰合業手付及び口伝」にありますが引き当てるべきものが見当たりません。

 政岡先生の無双直伝英信流居合兵法地之巻にある無双直伝英信流居合兵法之形は文政二年山川幸雄述坪内長順記神伝流秘書による、と書かれています。幸雄は幸雅と思われますが正誤表に記載されていませんので坪内長順が書写した際の誤記かもしれません。
そこでの詰合は詰合之位とされ八本目は眼関落の業名を採用しています。

 眼関落「(相上段から互に切り結び鍔押となる処をはね上げて顔に当てる 政岡先生述)両方高山にかまえ行打合尤も打太刀をさく心持あり柄をかえして突込勝」とされています。この部分は神傳流秘書の太刀打之事七本目「独妙剣」の文言に類似です。この政岡先生の神伝流秘書の出所は不明です。

この業を読み解くには、これらを参考にして演じてみます。双方上段に構え、切間に至れば打太刀から打ち込んできます。我も真向から打ち下します。所謂合し打ちで相手太刀を斬り落します。これではこの鍔競合いなどに持ち込めません。
 同時に真っ向に打ち下ろしても、太刀に乗られれば斬り込まれます。

 この業を演じているのを見て居ますと、切先が相手の体に届かない遠間で互に同時に打込み、腕の伸びた高い処で物打ちを意図的に合わせています。これでは合し打ちを避けているばかりで、次の鍔押しからの動作を予期した演舞になってしまいます。

 政岡先生の「相上段から互に切り結び鍔押となる」には、間に至り、相手斬り込むを我は請け太刀になる様、相手のやや左面に斬り込み 互に切り結ぶ事になりそうです。請け太刀となった我は請けるや体を沈め踏み込んで、柄を返しつつ相手の手元を押し上げて顔面に柄当てする。

 刀の届かない遠間での切り結びなどする必要は無いでしょう。我は踏み込まずに出足を引いて外してしまい筋を変わって打ち込めばいい。この柄砕は成立しない。

 柄砕が目的の業であれば、相手の真向打ち込みを稍々左に筋を変わって打ち込んで来る柄手を目掛けて打込めば充分柄砕が成立します。あえて太刀打之事に拘るべきとも思えません。

 

 

 

|

« 曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流1詰合8柄砕 | トップページ | 曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流1詰合9水月 »

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流1詰合」カテゴリの記事

コメント

ミツヒラ様

木刀に同じとありますが、もしやこの字は朷ではないでしょうか?朷(トウ)と読み太刀打之位十本目打込に当たるのではないでしょうか?

machidaさま
コメントありがとうございます。朷の文字は曽田本にはどこにも見当たりません。漢字としては存在しても使用される事が殆ど無いようです。樹木の名、木の中心、枝が落ちるなどの状況を意味すると思います。
太刀打之事の十本目打込「相懸又ハ打太刀待処へ遣方より請て打込ミ勝也」でこれは合し打ちの様です。
この柄砕は幻です。現在行われている詰合之位は曽田先生と竹村先生が実演した田口先生と実兄土居亀江の口伝によって曽田先生が書いた業附口伝によるもので、古伝の形を良く残していますので其処から類推されたようです。
実態は判りかねます。
         ミツヒラ

投稿: machida | 2017年2月24日 (金) 01時02分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流1詰合8柄砕 | トップページ | 曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流1詰合9水月 »