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2017年3月

2017年3月31日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取2水石

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
8、大剣取
2)二本目水石
水石
 如前く待処へ小太刀をさけかくる時相手深く懸って抜付るを小太刀を持ちたるなり尓て止入りてさ春
読み
水石(みずいし・すいせき)
 前の如く待つ処へ 小太刀をさげかくる時 相手深く懸かって抜き付けるを 小太刀を持ちたるなりにて止め 入りて刺す
 

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2017年3月30日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取1無剣

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
1)一本目無剣
大剣取 (此太刀打ハ和之伝二有也)
無剣
 相手居合膝二坐し居処へ小太刀をさげかくる相手抜打つを放し入てさ春
読み
大剣取(だいけんとり) (此の太刀打は和(やわら)の位の伝に有るなり)
無剣
 相手居合膝に坐し居る処へ 小太刀をさげかくる 相手抜き打つを放し入りて刺す
読み解く
 神傳流秘書に記載されている太刀打は、太刀打之事10本・詰合10本・大小詰8本・大小立詰7本・大剣取10本合計45本あります。
 更に安永五年1776年に第12代林益之丞政誠による英信流目録に小太刀之位六本が記載されています。これを加えると51本が太刀打となります。
 小太刀之位は神傳流秘書には無い太刀打ですが、間と間合いを覚えるには良い業です。

 大剣取は「此の太刀打は和之伝に有也」ですが之は、神傳流秘書の和は夏原流の和です。「和」は「やわらぎ」と読むようです
 夏原流に有る小具足・小具足割に小太刀(短刀)による仕組が有りますからその辺を言うのかも知れません。小具足とは素手による格闘技では無く短刀を用いた格闘技を一般的に云うものです。
 しかし、夏原流和之事には大剣取らしき太刀打は見当たりません。

 大剣取は神傳流秘書のみに記載されているもので、今までの様に曽田先生による五藤先生の業附口伝は存在しません。従って古伝の文章の不充分な抜けた部分を補うものは居合から類推するばかりです。


 相手居合膝に坐している処へ、我は小太刀を右手に下げ、スカスカと間境を越して行く。
 相手抜き打ちに我が出足に抜きつけて来る、出足を引くと同時に小太刀を下げた右手を上げ、抜打ちを「放し」は、外して透かさず、右足を稍々右に踏込み、相手の中に入り左手で相手の右腕を制し、刺す。

 「・・小太刀をさげかくる・・」ですから、此処は小太刀の切先を下に向け右足の前辺りに下げた無形之位で、相手の座す処にあゆみ行く、相手は間境を越した我が出足を払って来るでも、腰を払って来るでもいいでしょう。
 相手は外されて即座に上段に振り被るか、手を返して霞の様に打ち返すかも知れません。

 居合膝はどのようにするのか不明ですが、現在の立膝の座仕方と思えば良いのでしょう。 但し、夏原流の小具足の処に「両方足を爪立左の膝を付き右の膝を浮けて折る八文字に坐す」とあります。居合膝でも腰を浮かし両足爪先立っている様です。

 現存するテキストでは、政岡先生の昭和49年1974年発行の「無双直伝英信流居合兵法地之巻」に有ります。この出典は何処からのものか不明です。
 私は河野百錬先生のものを使用したのではないかと思っています。多少文言に違いがあるところも有るので確証は有りません。

 河野百錬先生の昭和29年1955年発行の「無双直伝英信流居合兵法双書」に大剣取の項目は有りますが、これは曽田本の神伝流秘書を丸写ししたもので、解説もありません。

 細川家から拝借したものを公開された木村栄寿先生の昭和57年1982年発行の「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流」では「大剣取」は「居合兵法極意之書」として文政12年1829年山川幸雅より坪内清助に授与され、坪内長順の秘書とされる中に「和大剱捕軍馬組附」(やわらぎだいけんどりぐんばくみつけ)と題して記載されています。(P139~140)
 無剱~雷電まで9本で神傳流秘書にある、10本目水月が欠如しています。文言には違いがありますが、概ね同じ手附と判断いたします。
 細川家より拝借したという、木村栄寿本と曽田本の対比により、よりわかりやすいものをと思いましたが「転載・複製を禁ず」との事ですから、当該書籍をお求めの上御確認下さい。

 古伝武術は素晴らしい、世界に誇る日本の伝統文化です。自由に研究させていただければと思いますが、割愛させていただきます。

 政岡先生は「小太刀をさげてかゝる・・」二本目は「持ちたるなりに・・」となっているので、抜刀して正眼とも考えられるが、居合の形として考えて納刀のまゝとしたものである。抜刀して左手を腰に、中段「入身の構」でも可ならん。
「間に入った時払われたので引いて外す、飛び込んでさす」

 政岡先生は、相手が抜き打ちを外され即座に上段に振り被る処、我は踏み込んで左手で相手の右肘を制しています。


 古伝では、ここは「小太刀をさげかくる」ですから、小太刀を抜刀して右手にひっさげて無形の位で間境を越す、此の方が古流の伝らしく、あえて居合の納刀に拘るものでもなさそうです。

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2017年3月29日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取1無剣

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
8、大剣取
1)一本目無剣
大剣取 (此太刀打ハ和之伝二有也)
無剣
 相手居合膝二坐し居処へ小太刀をさげかくる相手抜打つを放し入てさ春
読み
大剣取(だいけんとり) (此の太刀打は和(やわら)の位の伝に有るなり)
無剣
 相手居合膝に坐し居る処へ 小太刀をさげかくる 相手抜き打つを放し入りて刺す
 
 

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2017年3月28日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流3大小立詰7電光石火

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
3、重信流
3)大小立詰
七本目電光石火
電光石火
 如前後より来り組付を躰を下り相手の右の手をとり前二倒春
 以上七本
読み
電光石火(でんこうせっか)
 前の如く 後ろより来たり組付くを 体を下り 相手の右の手をとり 前に倒す
 以上七本
読み解く
 後ろから組付かれた時は、電光石火に体を沈めて相手の右手を取って前に投げる。一本背負いを彷彿とさせます。
 後ろから羽交い絞めにされたので、相手の右手をそのままでは取れそうもない場合は、体を沈めて相手の手が緩んだ処を一本背負いでしょう。

 曽田先生による五藤先生の業附口伝大小立詰を探してみましたが、同名の業が見当たりません。
 業附口伝では大小立詰七本目は「移り」(伝書になし口伝)
「敵後より組付きたるを我体を落して前に投る也(後ろより組付躰を下り前へ投げる)」


 業附口伝の大小立詰の業名は「移り」になっていますが手附はほぼ同様です。ここでは、あえて右手に拘らず体を落として前へ投げる。
 これらの業は業では無いので変化極まりなし、よりよい方法、状況に応じた瞬時の判断を研究すべきでしょう。形に拘っても技はかからないのです。

 以上七本で大小立詰は終わります。
此処も相手は小太刀、我は太刀を帯して行います。この大小立詰は余り見る機会が有りません。
 之だと言う「かたち」の伝統が師伝として有るのか無いのか失伝してしまった業でしょう。手附に従ってあーだこーだと研究して一つ業に三つ四つ違った技を繰り出していただければ愉快です。
 技を懸けるに当たり、体などの専門的名人が繰り出す妙技を取り入れるべきものでは無いでしょう。ごく自然で容易であって有効な方法が当然ベターと思います。

 以上七本、袖摺返・骨防返・鍔打返・〆捕・蜻蛉返・乱曲・電光石火で重信流の大小立詰を終わります。

 

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2017年3月27日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流3大小立詰7電光石火

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
3、重信流
3)大小立詰
七本目電光石火
電光石火
 如前後より来り組付を躰を下り相手の右の手をとり前二倒春
 以上七本
読み
電光石火(でんこうせっか)
 前の如く 後ろより来たり組付くを 体を下り 相手の右の手をとり 前に倒す
 以上七本

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2017年3月26日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流3大小立詰6乱曲

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
3)大小立詰
六本目乱曲
乱曲
 如前後より来り鐺を取り頻り二ねぢ廻し刀を抜かさじと春る時後へ見返り左の手か右の手尓て取たるかを見定め相手左の手ならば我も左尓て鯉口を押へ相手右ならば我も右にて取る後へ引付んと春るを幸しさり中二入り倒春
読み
乱曲(らんきょく)
 前の如く後ろより来たり 鐺を取り頻りにねじ回し 刀を抜かさじとする時 後へ見返り 左の手か右の手にて取りたるかを見定め 相手左の手ならば我も左にて鯉口を押え 相手右ならば我も右にて取る 後へ引き付けんとするを幸い しさり中に入り倒す
読み解く
 前の蜻蛉返の様に相手後ろより歩み来たり我が鐺を取る。蜻蛉返しの場合は相手は「我が右の手を取り刀の鐺を取り背中に押付られたる時」でした。
 乱曲は、我が鐺を左手か右手で取ってねじ廻し抜かせない様にするのです。其の時我は後ろを振り返って相手が左手で取っていれば我も左手で鯉口を押える。
 相手が右手で鐺を取れば右半身になっているでしょうから、我は左半身になるとでも思えばいいのでしょう。
 「相手右ならば我も右にて取る」ですが、我は右手で何処を取ればいいのでしょう。左手は鯉口を握るのが常識でしたら右手は柄でしょう。文章からは鯉口を右手で取るとも読めます。
 相手後ろへ引かんとするを幸いに、我も後ろへ付入って下がり相手の懐に入るようにして足を掬うなりして倒す。

 ここも曽田先生による五藤先生の業附口伝を参考にしてみます。大小立詰六本目乱曲
 「前後に立ちて行く也敵後より鐺を取りくるくる廻し引く也我其の時すぐに後向きて左右何れなるやを見合せ右手なる時は我左足にて敵の右足を又左手なる時は我右足にて敵の左足を掬い中に入る也
(後ろより鐺を取りくるくる廻し引其時左右を見合せ中に入る)」


 古傳神傳流秘書を少し詳しくしているようですが、左右の手の何れかによって足払いの仕方を変えるようにしています。
 古伝の鯉口を握る手を左ならば左手、右ならば右手の事は無くなり、相手右手ならば我が左足にて相手の右足、相手左手ならば我が右足で相手の左足を払うになっています。何れも相手の状況に応じた体捌きについての教示です。

 相手がどちらの手で我が鐺を取るか、その時どちらの足が前に在るか、相手が下がる時はどちらの足が前になるか、申し合わせなどは意味の無い事です。 

 この乱曲と前の蜻蛉返の様に、英信流の瀧落も鐺を取られています。英信流之事の瀧落では鐺を取られ後ろを振り向き、右手か左手かを現代居合は確かめていますがその違いは何も示されていません。蜻蛉返や乱曲と瀧落を状況次第に遣い込む稽古などにより、居合が生きた武道になるだろうと思います。

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2017年3月25日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流3大小立詰6乱曲

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
3)大小立詰
六本目乱曲
乱曲
 如前後より来り鐺を取り頻り二ねぢ廻し刀を抜かさじと春る時後へ見返り左の手か右の手尓て取たるかを見定め相手左の手ならば我も左尓て鯉口を押へ相手右ならば我も右にて取る後へ引付んと春るを幸しさり中二入り倒春
読み
乱曲(らんきょく)
 前の如く後ろより来たり 鐺を取り頻りにねじ回し 刀を抜かさじとする時 後へ見返り 左の手か右の手にて取りたるかを見定め 相手左の手ならば我も左にて鯉口を押え 相手右ならば我も右にて取る 後へ引き付けんとするを幸い しさり中に入り倒す

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2017年3月24日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流3大小立詰5蜻蛉返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
3)大小立詰
五本目蜻蛉返
蜻蛉返
 相手後より来り我が右の手を取り刀の鐺を取り背中に押付られたる時其儘後へしさり中に入利倒春

読み
蜻蛉返(とんぼかえし)
 相手後ろより来たり 我が右の手を取り 刀の鐺を取り背中に押し付けられたる時 そのまま後ろへしさり中に入り倒す
読み解く
 蜻蛉はトンボです。蜻蛉返ですからバック転と思う処ですが、反転するぐらいでしょう。
 相手後から来て我が右手を右手で取り刀の鐺を左手で取って背中に押付けて来る、其の時その体勢の儘、後づさりして相手に密着するや体を低めて投げ倒す。さて前に倒すか後ろに倒すか、状況次第ではどちらでも出来そうです。
 倒すにあたっては、相手に密着して足技を併用するなり工夫次第でしょう。

 曽田先生に依る五藤先生の業附口伝を参考にして見ます。大小立詰五本目蜻蜓返
「打は仕の後より仕の右手首を後に引き鐺を前に押す直ちに右足を以て掬い中に入る也鐺を後に引き右手首を前に押す時は左足を以て中に入る也
(後ろより右の手首をおさへ跡へ引左手鐺をおさへ前へおす時中に入る)」

*五藤先生は蜻蛉を蜻蜓の文字を使っています。
 小内刈を掛ける様です。小外刈もいいかななど、相手の動作に合わせて右廻り、左廻りと応じるのでしょう。五藤先生は( )の方法で古伝に合わせています。

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2017年3月23日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流3大小立詰5蜻蛉返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
3)大小立詰
五本目蜻蛉返
蜻蛉返
 相手後より来り我が右の手を取り刀の鐺を取り背中に押付られたる時其儘後へしさり中に入利倒春

読み
蜻蛉返(とんぼかえし)
 相手後ろより来たり 我が右の手を取り 刀の鐺を取り背中に押し付けられたる時 そのまま後ろへしさり中に入り倒す

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2017年3月22日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流3大小立詰4〆捕

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
3)大小立詰
四本目〆捕
〆捕
 相懸り二両方より懸る時相手両手尓て我刀の柄を留我左の手尓て相手の脇つ保へ入れて両手を〆引上如何様尓も投る也
読み
〆捕(しめとり、しめほ)
 相懸かりに 両方より懸かる時 相手両手にて我が刀の柄を留める 我れ左の手にて相手の脇坪へ入れて 両手を締め 引上げ如何様にも投げる也

*
読み解く
 双方相懸りに歩み寄る時、相手我が柄を両手で押さえて抜かさない様に制して来る。我は左手で相手の脇坪に入れて、相手の両手を抱きかかえ締め上げて左足を退くや体を沈め左脇に投げ倒す。如何様にも投げると言いますから右脇へ投げるのもありでしょう。

 此の場合は、我は柄に手を懸けている、或はいない、特に指定されていません。
三本目の鍔留が柄に手を掛けた処其の手を留められていますから、ここは柄に手を懸ける前に相手に柄を制せられるとするのでしょう。

 「両手を〆上げ」は相手の両腕の肘のかがみを裏から抱く様に締め上げるのか、手首を取って締め上げるのか、これも特に指定されていません。

 又、右手の動作を特定して居ません。柄を握っている処相手に右手を制されて柄を留められるとも解せます。

 曽田先生による五藤先生の業附口伝大小立詰では〆捕は一本目になっています。
「互に対立する也打は両手にて仕の柄を握るを仕は左手を以て打の左手首を握る也更に此の時直ぐに仕は右手にて打の両腕を絞め込み我が体を台にして之れを極める也
(敵両手にて柄を取る左手にて敵の左の手首を抑え右手にて敵の両肱を押え体を込み〆付ける)」


 第九代の林六太夫守政の時代から100年程後の業手附が五藤先生のものでしょう。
 古伝は、相手の脇坪に左手で入れて締め込んでいます、此処では相手の左手を左手で押えて後に、相手の両肱を右手を巻き込んで締め込んでいます。
 其れでなければならないと言う事ではないと思いますが先ず指示された通りと云うのが稽古の筋でしょう。古伝は抜けだらけです。それだけ自由ですが業附口伝では業違いともなります。


 現代居合では失伝してしまった大小立詰などの古伝を政岡先生は神傳流秘書を元にその著「無双直伝英信流居合兵法地之巻」で復元されておられます。
 大小立詰の〆捕の業の順番が神傳流秘書と異なり、この〆捕は一本目にセットされています。業手附は神傳流秘書の通りです。

 この違いは其の出典が何処から出たものか判りません。政岡先生の地之巻では、神傳流秘書と曽田先生による五藤先生の業附口伝との混線が見られます。
 政岡先生の古伝解説は、出典は曽田先生の書き写された曽田本を元にされたか、河野先生が曽田先生から曽田本を得て書かれた無双直伝英信流居合叢書に依るか、はたまた古伝神傳流秘書の原本に依るのか興味の有るところです。


以下参考に
曽田本その1神傳流秘書による大小立詰四本目〆捕
「相懸り二両方より懸る時相手両手にて我刀の柄を留我左の手尓て相手の脇つ保へ入れて両手を〆引上如何様尓も投る也」

政岡壱實先生の無双直伝英信流居合兵法地之巻による大小立詰一本目〆捕
「相懸りに両方より懸る時相手両手にて我刀の柄を留我右の手尓て相手の脇つぼへ入れて両手を〆上げ如何様にも投る也」

曽田先生による五藤先生の業附口伝大小立詰では〆捕は一本目になっています。
「互に対立する也打は両手にて仕の柄を握るを仕は左手を以て打の左手首を握る也更に此の時直ぐに仕は右手にて打の両腕を絞め込み我が体を台にして之れを極める也
(敵両手にて柄を取る左手にて敵の左の手首を抑え右手にて敵の両肱を押え体を込み〆付ける)」

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2017年3月21日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流3大小立詰4〆捕

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
3)大小立詰
四本目〆捕
〆捕
 相懸り二両方より懸る時相手両手にて我刀の柄を留我左の手尓て相手の脇つ保へ入れて両手を〆引上如何様尓も投る也
読み
〆捕(しめとり、しめほ)
 相懸かりに 両方より懸かる時 相手両手にて我が刀の柄を留める 我れ左の手にて相手の脇坪へ入れて 両手を締め 引上げ如何様にも投げる也

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2017年3月20日 (月)

あれこれ(鶏寒上樹鴨寒下水より)

 畠の隅に植えておいた佐藤錦とナポレオンが春の日差しを浴びて満開になりました。今年もサクランボの食べごろに小鳥たちと競争で収穫するのが思い出されワクワクしてきます。
 家庭ゴミ集積所の脇に樹齢五十年は超える染井吉野の蕾も膨らんであと数日で咲き出すでしょう。ごみ袋を抱えながらご近所の方達と上を見上げて顔を見合せ微笑んでいます。
 
 昨年暮れ、今年は酉年なのでそれにふさわしい言葉から「鶏寒上樹鴨寒下水」を書初めの言葉としました。
 悟りは、人それぞれでしょう。
 何とも、かわいい女剣士に出会って、苦笑いしています。
 
 初段の審査を受けるために、稽古に励んでいた30代の女性です。「段位相応の力を持てとか、規約に縛られるなどは求めていなかった」と言うのか、審査当日メール一つでドタキャンしてきました。
 審査を受けるための基本となる所作の一つ一つ、それらは彼女にとって今までに無かったプレッシャーだったのでしょう。
 着付けが不十分なため、袴がずり落ちたり、胸がはだけてしまったりして、下着が丸出しで目のやり場に困ったものでした。
 書道でも、武道でも、やるべき事をやっておかなければ、次の動作が、充分生きてこないものです。
 お遊戯や、棒振り体操、楽しい仲間がいればいいとでも思っていたのでしょうか。人それぞれとは言え、理解できても迎合する程に悟り切れないまま頭を抱えてしまいます。
 ある道場の、40代の女性は「段位や競技に興味はないの、伝統と云われる業技法は無理にやらせないで」と言っていました。教え魔の古参も遠のき、それでも見よう見まねで一人で稽古に励んでいたようです。
 先日たまたま一人稽古の際その方にお会いしました。稽古をしながら、業の切れ間にそれと無く拝見していました。
 順番通りに業は出来ています、見様見真似であっても5~6年も続けているのですから当然と云えば当然です。
 しかし、全く勝手な、武術には程遠い、棒振りです。習いに徹する時期を持てば、スルスルと、先人が教え示している事が出来て、何故そうするのかも解るのに、無駄な時間が経つばかりです。
 柄握りすら出来ていない為でしょうか、それとも稽古が過ぎたのでしょうか、柄糸が擦り切れてビニールテープでほぐれを捲いてあります。
 他人にいじられるのを嫌うのか、指導されても出来ない不器用を恥じて思うのか、プライドとも違う様です。
 三カ月ほどの個人教授で見事昇段した女性がいます。
 毎回の稽古で疑問にぶつかると「何故そうするのですか」と聞いてきます。武術ですから対敵がいる事、その敵に応じる為の心得を実技を見せながら聞いてもらいます。
 坐し方一つもその理合を解きほぐします。
 納得できれば、即座に其の通りやり始めます。其の日に出来なくとも次の稽古日にはかなり出来ています。そしてぐんぐん腕が上がっていました。
 「この子は何時もそうなの」と、パティシェを目指すために修行しているお店のおかみさんも笑って彼女の調理場に臨む心掛けを聞かせてくれました。プロを目指し励む人には、廻りの人も助けてくれるのでしょう。
 審査当日、彼女がいなければ店は回らないのでしょう、彼女の為に店を休んでくれています。そんなプレッシャーもしっかり受け止めていた女性です。
 彼女はめでたく長年付き合ってきたイタリア料理を目指す愛する人と結ばれてお店を出すために彼の故郷へ旅立って行かれました。
*
 競技会では、優勝をするアスリート女剣士が素晴らしい演武をして楽しませてくれます。その陰にこんな女剣士も居るのもまたよしでしょう。
 
 この、女剣士は先に掲載した書初めの「鶏寒くして木に上り 鴨寒くして水に下る」の女剣士を抜書してこのカテゴリーに掲載しておきました。
 

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曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流3大小立詰3鍔打返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
3)大小立詰
三本目鍔打返
鍔打返
 相懸り二懸り我刀を抜かむと春る其の手を留られたる時柄を放し手を打ちもぐ也
読み
鍔打返(つばうちかえし)
 相懸かりに懸かり 我が刀を抜かんとする其の手を留められたる時 柄を放し手を打ち捥ぐ也
読み解く
 この業はすでに、大小詰の四本目小手留で解説しています。

 四本目小手留「立合の鍔打返に同じ故に此処にては不記」

 右手で柄を握った処を相手に右手で押さえられる、或は両手で押さえられる、そこで柄から手を離し、左手に持つ鍔で相手の手を打ち据えもぐ、と読んでみました。

 古伝は「手を打ちもぐ」とばかりですから想像を働かせるところでしょう。

曽田先生による五藤先生の業附口伝大小立詰鍔打返
「互に対立する也打は仕の抜かんとする右手首をとる也仕は右手を放すと同時に左手に持てる鍔にて打の手首を打つ也」
(抜かんとする時其手を押へる左手にて敵の手首を打)

 打の手首を鍔で打ち柄を握る手を打ち捥いだ後は何も書かれていません。想像を巡らし敵をどの様に制しますか。古伝は自分で考えてやれというのでしょう。おおらかです。

 時代が下がると、どんどん技が固定化されていくのはいつの時代も同じです。より克明にと云うことか、全ての動作をマニュアル化して特定しないと満足できないようです。 想像し創造する事が出来ないとどうなるのでしょう。マニュアルに頼る摺り込まれた事だけが頼りの人間ロボットでしょう。

 

 

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2017年3月19日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流3大小立詰3鍔打返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
3)大小立詰
三本目鍔打返
鍔打返
 相懸り二懸り我刀を抜かむと春る其の手を留られたる時柄を放し手を打ちもぐ也
読み
鍔打返(つばうちかえし)
 相懸かりに懸かり 我が刀を抜かんとする其の手を留められたる時 柄を放し手を打ち捥ぐ也

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2017年3月18日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流3大小立詰2骨防返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
3)大小立詰
二本目骨防返
骨防返
 相懸り二懸りて相手我刀の柄を留めたる時我右の手にて柄頭を取り振りもぐなり
読み
骨防返(ほねもぎかえし 大小詰の二本目骨防扱にホネモギのルビありによる)
 相懸かりに懸かりて 相手我が刀の柄を留めたる時 我が右の手にて柄頭を取り振り捥ぐ也
読み解く
 此の業は大小詰の二本目骨防扱に有りました。「立合骨防返に同じ故に常になし」と大小詰ではいつもは稽古しないと言っていました。

 大小立詰めは、打太刀は小太刀を差し、遣方は太刀を差しての立業です。
 相方スカスカと歩み寄り、相手が我が刀の柄を両手で取って抜かさない様に押し付けて来る。
 我は透かさず右手を柄頭に取って柄を上に引上げ相手の手を振りもぐ。相手が我が柄を取るのが、右手だけ、両手、左手など在りそうですが同じ動作で応じられそうです。

 「振りもぐ」の方法は、柄がしらを両手で取って上に引き上げるだけで外せるでしょう。強く握られていれば、上に引き上げ相手の手首に掛ける様に「引き廻し振りもぐ」。

 振り捥いだら、後は抜き打ちでも柄當でもありでしょう。古伝は語らずです。

 繰り返しになりますが、座した時の大小詰の骨防を参考にしてみます、曽田先生による五藤先生の業附口伝大小詰二本目骨防
互に対座、打は両手にて仕の柄を握る仕は右拳を顔にあて其のひるむ時に乗じ右足を柄越にまたぎ右足内側より右手を柄に添へ右足にて敵の両手を押払うと同時に柄を防ぎ取る也此の時敵は我右脇へ匍ひ倒る也
(向ふて居る両手にて柄を押し付る時直に右手にて面へ当て其儘に乗り右足をふみ込み柄へ手をかけもぐ)」

五藤先生の骨防返の業附口伝大小立詰四本目骨防返
「互に対立する也打は仕の柄を両手にてとりに来る也我は右手にて敵の両手を越して柄頭をとって両手にて上にもぎとる也
(敵両手にて柄を取る時引廻しもぐ)

*五藤先生の「引廻しもぐ」も稽古しておくと良いかも知れません。形や方法が一つだけでは実戦に役立たない場合もあります。
 形ばかりに拘って稽古熱心、その上出足引き足の歩数ばかり上手でも、形だけでは業にはなりません。
 喧嘩慣れしたやくざにはコロッと負ける話も聞いたような・・。江戸末期に竹刀による試合稽古に慣れた者に古流の形稽古を順番通りに演じるばかりの者が打ち負かされる話もある様です。
 現代でも同様で、申し合わせの形稽古に試合う意識をもった工夫がなければ、藁は切れてもスポーツ剣道にポンポン叩かれます。

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2017年3月17日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流3大小立詰2骨防返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
3)大小立詰
二本目骨防返
骨防返
 相懸り二懸りて相手我刀の柄を留めたる時我右の手にて柄頭を取り振りもぐなり
読み
骨防返(ほねもぎかえし 大小詰の二本目骨防扱にホネモギのルビありによる)
 相懸かりに懸かりて 相手我が刀の柄を留めたる時 我が右の手にて柄頭を取り振り捥ぐ也
 

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2017年3月16日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流3大小立詰1袖摺返

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
3)大小立詰
一本目袖摺返
大小立詰(重信流立合也)
袖摺返
 我が立て居る処へ相手右脇より来て我が刀の柄と鐺を取り抜かせしと春る時其儘踏ミしさり柄を相手の左の足のかゞみ二懸け中二入り又我右より来り組付をひぢを張り躰を下り中に入る
読み
大小立詰(重信流立合也)(だいしょうたちつめ(しげのぶりゅうたちあいなり))
袖摺返(そですりかえし)
 我が立ちて居る処へ 相手右脇より来たりて 我が刀の柄と鐺を取り 抜かせじとする時
其の儘踏みしさり 柄を相手の左の足のかゞみに懸け中に入り 又 我が右より来たり組み付くを肘を張り体を下り中に入る

読み解く
 立って居る処へ、相手我が右脇から近寄って来て、我が柄を右手で、鐺を左手で取り抜かさない様にする。
 「抜かせしと春る時」については鐺を背なかに押し付けて来る、としてみました。
 我は其の儘後ろにさがり、柄を相手の左足のかゞみに懸けて体を低めて中に入り押し倒す。足のかゞみとは膝の後ろでしょう。
 又は、相手が我が右より近づいてきて組付くので、ひじを張って相手の組み付を緩め体を低く沈めて中に入り相手の足を取って押し倒す。

 この手附は「中に入り」で終わっています。後の先を取って次の動作はご自由にと云う処とも思えませんがそこまでです。

曽田先生による五藤先生の業附口伝大小立詰二本目袖摺返
「打は横より組付仕肱を張りて一當すると同時にすぐに打の刀を足にすけて後に投る也
(五藤先生は一當して中に入り刀を足にすけ後へ投ると記せり)
(左右共同前横合より組付ひじを張り一當して中に入り刀を足にかけ後へ投げる左右共同前)」

*五藤先生の場合は、組み付いてくるので肘を張って、相手の脇腹に一當して怯む隙に「打の刀を足にかけ」と云って、相手の刀(鞘でしょう)を相手の足のかゞみに懸け後ろに投げるのですが、此処は神傳流秘書では我が刀の柄を相手の足のかゞみに懸け後ろに投げ倒す、と読めます。

 この業附口伝は神傳流秘書の大小立詰一本目は袖摺返ですが五藤先生の業附口伝は二本目が袖摺返です。
一本目は「〆捕」で、業の内容が異なります。〆捕は神傳流秘書では四本目に位置します。
 順序は好きなようにしてもいい、気乗り次第だと云っていましたが敢えて順番を変えた理由が解りません。

 業名の袖摺返は大江先生が奥居合立業の七本目袖摺返として古伝抜刀心持之事の十一本目行違を改変した業に名付けています。 古伝神傳流秘書の抜刀心持之事には袖摺返しに相当する業は有りません。
 大江先生が奥居合を改変されたと言われていますが其の痕跡は証明できません。大江先生以前に変えられた様な気がしています。江戸末期から明治にかけて谷村派も下村派も正統を伝承しきれないまま引き継がれてきたような気がして大きな断層を見て居る様です。

 参考に古伝抜刀心持之事十一本目行違
「行違に左の脇に添へて払い捨冠って打ち込むなり」

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2017年3月15日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流3大小立詰1袖摺返

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
3)大小立詰
一本目袖摺返
大小立詰(重信流立合也)
袖摺返
 我が立て居る処へ相手右脇より来て我が刀の柄と鐺を取り抜かせしと春る時其儘踏ミしさり柄を相手の左の足のかゞみ二懸け中二入り又我右より来り組付をひぢを張り躰を下り中に入る
読み
大小立詰(重信流立合也)(だいしょうたちつめ(しげのぶりゅうたちあいなり))
袖摺返(そですりかえし)
 我が立ちて居る処へ 相手右脇より来たりて 我が刀の柄と鐺を取り 抜かせじとする時
其の儘踏みしさり 柄を相手の左の足のかゞみに懸け中に入り 又 我が右より来たり組み付くを肘を張り体を下り中に入る
 

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2017年3月14日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流2大小詰8山影詰

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
2)大小詰
八本目山影詰
山影詰
 是は後より相手組を刀を抜き懸其手を切ると一拍子二我も共に後へ倒るゝ也
 以上八本
読み
山影詰(やまかげつめ)
 是は後ろより相手組むを 刀を抜き懸け 其の手を切ると一拍子に 我も共に後ろへ倒るゝ也 
 以上八本
読み解く
 大小詰はこの業で終わります。
 我を前にして相手は後ろに座す。
 後ろから相手が抱きついて、我が両腕を絞めて来る時、刀を抜き上げて組み付いている相手の手を切り、その拍子に後ろに相手と一緒に押し倒れる。
 以上八本で大小詰は終了です。

 曽田先生による五藤先生の業附口伝大小詰八本目山影詰
「打は仕の後ろに坐す後より組み付也其時仕は頭を敵の顔面に當て敵ひるむ隙きに我が刀を抜きて打の組みたる手を切る也
(五藤先生は一當して仰向に反りかえると記せり 後ろより組付く頭を一當して仰向にそりかえる)」


 古伝には無かった組付かれたら頭で相手の顔面を打ち怯ませる技が追加されています。
 しっかり羽交い絞めされるとなすすべが無いのですがこの技の追加はあり難いものです。
 組付いた相手の手を切って戦力を奪う事が大切で、羽交い絞めから摺り抜けるなどの技に転化してしまうと古伝の妙が失われます。

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2017年3月13日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流2大小詰8山影詰

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
2)大小詰
八本目山影詰
山影詰
 是は後より相手組を刀を抜き懸其手を切ると一拍子二我も共に後へ倒るゝ也
 以上八本
読み
山影詰(やまかげつめ)
 是は後ろより相手組むを 刀を抜き懸け 其の手を切ると一拍子に 我も共に後ろへ倒るゝ也 
 以上八本

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2017年3月12日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流2大小詰7左伏

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
2)大小詰
七本目左伏
左伏
是は左の手を取る也 事右伏二同左右の違計也 尤も抜かんと春る手を留められたる時は柄を放し身を開きて脇つ保へ當り又留められたる手を此方より取り引倒春事も有也
読み
左伏(ひだりふせ)
是は左の手を取る也 事 右伏に同じ左右の違い計り也 尤も抜かんとする手を留められたる時は 柄を放し身を開きて脇坪へ當たり 又 留められたる手を此方より取り 引き倒す事も有る也
参考に六本目右伏
右伏
我右の方二相手並ひ坐し柄を取られたる時直二我右の手を向の首筋へ後より廻し胸を取り押伏せんと春る二相手いやと春くはるを幸に柄を足耳懸て後へ投倒春 又抜かんと春る手を留められたる時も右の通り二取倒春
読み
右伏(みぎふせ)
 我が右の方に相手並び座し 柄を取られたる時 直ぐに我れ右の手を向こうの首筋へ後ろより廻し胸を取り押し伏せんとするに 相手いやとすくばるを幸いに 柄を足に懸けて後ろへ投げ倒す 又 抜かんとする手を留められたる時も右の通りに取り倒す
読み解く
 前回の右伏の逆で、「是は左の手を取る也 事 右伏に同じ左右の違い計り也」と云っています。
 座し方に指定は無いのですが、今度は我が左側に相手は並び座すとします。
 相手腰を上げ我が左手を取る。我は右手を相手の首筋から廻し胸を取り押し伏せんとする。
 相手押し付けられて嫌と身を起して来るので柄を足に懸けて後ろに投げ倒す。

 尤も我が抜かんとして柄に右手を懸けているならば、其の右手首を相手に取られて抜かさない様に押し付けられて来る。我は此の時右柄手を放し、左足を引いて左に開き、柄頭又は鍔を持つ左手で相手の脇坪に打ち当てる。
 又、柄手を留められた場合、柄手を放し相手の手を取り左手を相手の肘に懸け体を開き引き伏す事も有。

 右伏・左伏も状況に応じて臨機応変に対処する事を教えている様です。

曽田先生による五藤先生の業附口伝大小詰左伏
「右伏の反対業也」
(左脇に坐す右手胸にとり其手を押へ前へ伏)

*随分簡略な反対業の手附です。どの様な方法でも相手を制せられれば正解でしょう。

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2017年3月11日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流2大小詰7左伏

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
2)大小詰
七本目左伏
是は左の手を取る也 事右伏二同左右の違計也 尤も抜かんと春る手を留められたる時は柄を放し身を開きて脇つ保へ當り又留められたる手を此方より取り引倒春事も有也
読み
左伏(ひだりふせ)
是は左の手を取る也 事 右伏に同じ左右の違い計り也 尤も抜かんとする手を留められたる時は 柄を放し身を開きて脇坪へ當たり 又 留められたる手を此方より取り 引き倒す事も有る也
参考に六本目右伏
右伏
我右の方二相手並ひ坐し柄を取られたる時直二我右の手を向の首筋へ後より廻し胸を取り押伏せんと春る二相手いやと春くはるを幸に柄を足よ耳懸て後へ投倒春 又抜かんと春る手を留められたる時も右の通り二取倒春
読み
右伏(みぎふせ)
 我が右の方に相手並び座し 柄を取られたる時 直ぐに我れ右の手を向こうの首筋へ後ろより廻し胸を取り押し伏せんとするに 相手いやとすくばるを幸いに 柄を足に懸けて後ろへ投げ倒す 又 抜かんとする手を留められたる時も右の通りに取り倒す
 

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2017年3月10日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流2大小詰6右伏

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
2)大小詰
六本目右伏
右伏
我右の方二相手並ひ坐し柄を取られたる時直二我右の手を向の首筋へ後より廻し胸を取り押伏せんと春る二相手いやと春くはるを幸に柄を足耳懸て後へ投倒春 又抜かんと春る手を留められたる時も右の通り二取倒春
読み
右伏(みぎふせ)
 我が右の方に相手並び座し 柄を取られたる時 直ぐに我れ右の手を向こうの首筋へ後ろより廻し胸を取り押し伏せんとするに 相手いやとすくばるを幸いに 柄を足に懸けて後ろへ投げ倒す 又 抜かんとする手を留められたる時も右の通りに取り倒す
読み解く
 我が右側に敵は並んで坐す。相手が腰を上げて、左廻りに向き直り、右手を伸ばして我が柄を取る、我は直ぐに右手を相手の首筋へ後ろから廻し敵の胸を取り、押伏せようとすると、相手は押し伏せられまいと柄を放して力を入れて反り返ってくるを幸い、柄を反り返って浮いた膝下に懸けて後ろへ投げ倒す。
 また、我が抜こうと柄に手を懸けた時に、相手が我が柄手を取り右から押し付けてくる時も、我は柄手を放し相手の首筋に右手を後ろから廻し胸を取り押伏せる、相手は押伏せられまいと後ろに反り返ろうとするのを幸いに、浮いた敵の膝下に柄を懸け後ろに投げ倒す。
相手いやと「すくばる」を「ずくばる」として政岡壱實先生は「力なくはむかふ」意に用いる、とされて居ます。
 
 「又 抜かんとする手を留められたる時も右の通りに取り倒す」柄手を取られた時に容易に相手の首に右手を懸けられるかどうかは研究課題です。

曽田先生による五藤先生の業附口伝大小詰六本目右伏
「打は仕の右側に並びて坐す打左手にて仕の胸をとる仕はすぐに其の腕を巻き込みて逆手を取り前に伏せる也
(右脇に坐す左手にて胸を取り来る其手を押え前へ伏せる)

*この江戸末期の手附は古伝の業技法とは異なります。
 相手は我が柄では無く左手で我が胸を取る、我は直ぐに其の相手の左腕に右腕を巻き込み左手で相手手首を逆手に取り前に押し倒す。

 古伝は柄を取るのを、右手、左手どちらとも云って居ません。五藤先生のでは左手で胸を取る。首に巻き反り返る処を後ろへ投げるのではなく、取に来た左腕を制して逆手に取って前に押し伏せています。

 古伝神傳流秘書の成立から概ね100年弱経っているのですから、業技法も替え業やより有効な技法が横行して変化するのでしょう。
 古伝は特定の人しか見る機会はなかったとも言えますから、口伝・口授などではどんどん変わってしまうでしょう。
 この業を古伝と江戸末期のものと見比べていますと、谷村派の五藤先生は第九代が江戸から土佐に持ちこんだ居合の神傳流秘書の存在を知らなかったのではと思えてきます。或は知っていてもその当時の業技法を優先させたのでしょう。どれも出来て土佐の居合です。
 

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2017年3月 9日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流2大小詰6右伏

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
2)大小詰
六本目右伏
右伏
我右の方二相手並ひ坐し柄を取られたる時直二我右の手を向の首筋へ後より廻し胸を取り押伏せんと春る二相手いやと春くはるを幸に柄を足耳懸て後へ投倒春 又抜かんと春る手を留められたる時も右の通り二取倒春
読み
右伏(みぎふせ)
 我が右の方に相手並び座し 柄を取られたる時 直ぐに我れ右の手を向こうの首筋へ後ろより廻し胸を取り押し伏せんとするに 相手いやとすくばるを幸いに 柄を足に懸けて後ろへ投げ倒す 又 抜かんとする手を留められたる時も右の通りに取り倒す
 

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2017年3月 8日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流2大小詰5胸取

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
2)大小詰
五本目胸取
胸取
 詰合たる時相手我胸を取り突倒さんと春る時我右の手尓て其手を取り左の足を後へ引柄頭尓て相手の脇へ當る又引く時は随而抜突く也
読み
胸取(むねとり・むなどり)
 詰合たる時 相手我が胸を取り突き倒さんとする時 我右の手にて其の手を取り左の足を後ろへ引き 柄頭にて相手の脇へ当てる 又 引く時は随って抜き突く也
読み解く
 詰め合って座している時、敵が腰を上げ右足を踏み込んで我が胸を右手で取り、突き倒そうとする。
 我も腰を上げ右手でその手を取るや左足を後方に退き柄頭を以て相手の脇腹に柄当する。又(次に)、敵は脇を柄当てされ、右手を放し後ろへ下がろうとするのに従って我は右手を柄にかけ刀を抜出し、切先を返して抜き突く。
 敵に柄当すれば刀は充分鞘送りされて居ますから鞘引きすれば即座に抜刀可能です。
曽田先生による五藤先生の業附口伝大小詰五本目「胸捕」
 「互に対座、打は仕の胸を捕へて突く仕すぐに右手にて支え左手に持たる柄頭を敵の脇壺に當てる也又胸を捕りて引く時はすぐに刀を抜きて突く也
(向をて居る右手にて胸をとり突く時は其手をおさえ左手にて脇坪へ當る)」
読み解く
 互に対座、打は仕の胸を捕えて押倒そうと突いて来る、仕はすぐに右手を着いて、倒れない様に支え、左手で刀を握り、柄頭で敵の脇坪に柄当てする。相手が胸を取って引き倒そうとするならば直ぐに刀を抜出し、切先を返して相手を突く。
(正面から相手が右手にて胸を取って、突き倒そうとするならば、右手で相手の右手を押え、左手にて相手の脇坪へ当てる)
 「又胸を捕りて引く時はすぐに刀を抜きて突く也」この「又」以下の解釈は、敵と我との間隔など状況次第でしょう。文章に抜けがあるのか研究課題です。

 

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2017年3月 7日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流2大小詰5胸取

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
2)大小詰
五本目胸取
胸取
 詰合たる時相手我胸を取り突倒さんと春る時我右の手尓て其手を取り左の足を後へ引柄頭尓て相手の脇へ當る又引く時は随而抜突く也
読み
胸取(むねとり・むなどり)
 詰合たる時 相手我が胸を取り突き倒さんとする時 我右の手にて其の手を取り左の足を後ろへ引き 柄頭にて相手の脇へ当てる 又 引く時は随って抜き突く也

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2017年3月 6日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流2大小詰4小手留

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
2)大小詰
四本目小手留
小手留
立合の鍔打返二同し故に此処尓てハ不記
読み
小手留(こてとめ)
立ち合いの鍔打返に同じ故に此処にては記せず
読み解く
 立合の鍔打返とは大小立詰の三本目にある鍔打返でしょう。
大小詰は双方「・・始終詰合組居合膝二坐す・・」ですが、大小立詰は立合です。
「鍔打返:相懸りに懸り我刀を抜かむと春る其の手を留られたる時柄を放し手を打もぐ也」
 大小立詰めは立合、立業ですから相懸りに懸り合って、我は柄に手を懸け抜こうとする処、相手に我の右手を取って押さえられる。我は右柄手を離し、相手の手を鍔で打ち付けもぐ。

 右手で柄を握った処を相手に右手で押さえられる、或は両手で押さえられる、そこで柄から右手を離し、左手で持つ鍔で相手の手を打ち据えもぐ、と読んでみました。

 大小詰では相対して座して居るわけですから、相手が身を乗り出して、我が抜かんとする右柄手をとり押さえて抜かさじとする、我は右手を柄から離し、鍔で相手の手を打ちもぐ、でしょう。

曽田先生による五藤先生の大小詰小手留
「打は仕の左側に並びて坐す打の抜かんとする右手を仕向き直りて右手にて捕らへ引き寄せると同時に左手にて柄頭を敵の脇坪に當てる也」
(左脇に座す抜かんとする右手を把る其手をおさえ左手にて脇坪へ柄頭を以て當てる)

*この手附では神傳流秘書の鍔打返(小手留)にはならない様です。
其の上打(相手)と仕(我)は入れ替りになっています。

 これらの、古伝を変えてしまうこの流の習性は伝統的に行われていたのかも知れません。これを称して進化というか、節度がないというか、替え業を正面に据えてしまうのか、それとも居合以外は伝承が不十分でうろ覚えに依るのかなどと思えてきます。
 その一方では、古伝の大らかさを失えば業は固定化され実用に役立たない死にものになります。

 そうであるならば、一つの業から幾様にも想定の変化があり、裏もある事をしっかり伝えてもいい筈です。マニュアルばかりが頼りの現代人には武術は厄介です。

 

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2017年3月 5日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流2大小詰4小手留

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
2)大小詰
四本目小手留
小手留
立合の鍔打返二同し故に此処尓てハ不記
読み
小手留(こてとめ)
立ち合いの鍔打返に同じ故に此処にては記せず
立合の鍔打返とは大小立詰の三本目にある鍔打返でしょう。
大小詰は双方「・・始終詰合組居合膝二坐す・・」ですが、大小立詰は立合です。
「鍔打返:相懸りに懸り我刀を抜かむと春る其の手を留られたる時柄を放し手を打もぐ也」
 

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2017年3月 4日 (土)

第五回古伝研究の集い

第五回古伝研究の集い

 土佐の居合の古伝神傳流秘書を曽田虎彦先生の書き写された直筆本から読み解いて同じ思いの仲間を募って、その古伝研究をやってまいりました。今回は第五回目の御案内をいたします。

 

土佐の居合 古伝神傳流秘書による古伝研究の集い

 

内容:古伝神傳流秘書による詰合・大剣取

    古伝英信流目録による小太刀之位

 

 講義とか実演では無く、参加していただき木刀及び小木刀を持って古伝の解釈及び形の稽古をご一緒にさせていただきます。
 異なる伝承の方々と一つの教本から古伝研究を実施する中で、「私はこの「古伝」はこう解釈する」と自由な考え方から幾つもの疑問を解きほぐして見たいと思います

 

 ご参加いただいた方が、師匠でもあるとご認識いただければ幸いです。

 

 ミツヒラブログの御愛読者に限らせていただきます。

 

1、期日:平成29年4月11日(火) 

 

2、時間:1500分~1800分まで

 

3、場所:神奈川県茅ケ崎市総合体育館

 オーケストラ室

   (使用会名:(無双直伝流)古伝研究会)*古伝神傳流秘書には無雙神傳英信流居合兵法と有りますが仮称です

 

4、住所:253-0041神奈川県茅ケ崎市茅ヶ崎1-9-63

TEL:0467-82-7175

 

5、アクセス:東海道線茅ヶ崎駅北口下車徒歩8分(駐車場あり)

 

6、費用:会場費割勘のみ(500円以内)

 

7、参加の御連絡はこのブログへコメントしていただくか直接ご来場ください。

 

8、御案内責任者 ミツヒラ

 

 

 

 

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曽田本その1の1神傳流秘書を詠み解く7重信流2大小詰3柄留

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
2)大小詰
三本目柄留
柄留
 抱詰の通り両の手尓て柄を取り下へ押付られたる時向のわきの辺りへ拳尓て當扨我右の足尓て相手の手を踏み柄をもぐ常の稽古尓は右の足を押膝尓てこぜもぐ
*「抱詰の通り両の手にて柄を取り・・・」
「大小詰一本目抱詰:楽々居合膝に詰合たる時相手両の手にて我刀の柄を留る時・・」
読み
柄留(つかとめ)
 抱詰の通り両の手にて柄を取り下へ押し付けられたる時 向うの脇の辺りへ拳にて当て 扨 我は右の足にて相手の手を踏み柄を捥ぐ 常の稽古には右の足を押し膝にてこぜ捥ぐ
読み解く
 抱詰の様に相手が両手で我が柄を取って下へ押し付けられた時、我は相手の脇の辺りに右拳で打ち突け、相手が怯んだ隙に我が右足を踏み込んで相手の柄を取った手を踏み付け柄を捥ぎ取る。
 常の稽古では、相手の手を足で踏み付けるのは礼を失するので右の膝で手を押し膝でこぜもぐ。
 「こぜもぐ」はよくわかりません。政岡先生は「無理して放す」とされていますがそんな感じでしょう。

 政岡先生の引用された伝書と少し文言が異なるので読ませていただきます。
「抱詰の通り両手にて柄をとり下へおしつけられたる時相手のあぎの辺りへ拳にて当て扨我が右足にて相手の手を踏み柄をもぐ常の稽古には右の足にて押膝にてこぜもぐ」
「あぎ」はあご、「もぐ」ははなす、「こぜる」は無理して動かす。

曽田先生による五藤先生の業附口伝大小詰三本目柄留
「打は仕の右側に並びて坐す、仕の抜かんとする柄を留む、仕は右手を頚に巻き敵を前に倒さんとす、打倒されまじと後に反る、其の時すぐに仕は打の体の反りて前足の浮きたる下より(膝)柄をかけて後へ倒す力を添ふる也」
(左脇に座す抜かんとする右手を把る其手をおさへ左手にて脇坪へ柄頭を以て当てる)

 五藤先生による手附で曽田先生の実兄土居亀江の口伝を書き表したとされていますが古伝神傳流秘書とでは別物です。
 ( )内が五藤先生の御教示との事です。そこでは、古伝の様な拳では無く柄がしらで相手の脇坪に打ち付けるのですが、それ以降が蜻蛉切れの様ですが古伝の様に右足でこぜ捥ぐでしょう。

 江戸中期と末期の間に、この柄留が変わってしまったのか、大小詰の冒頭にある「是は業にあらざる故に前後もなく変化極りなし始終詰合居合膝に坐す気のり如何様ともすべし先大むね此順とする」とありました。
 業の順番だけでなく、如何様にでも応じていいとも取れる文章です。古伝の持つ独特の雰囲気は、形に拘るなと教えてくれている様です。

 但し古伝の簡単な技が、時に随いややこしくなるのか考え物です。簡単な方法で勝つ為の拍子や気が薄れて複雑にすればするほど役に立たないものになってしまいます。

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2017年3月 3日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流2大小詰3柄留

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
2)大小詰
三本目柄留
柄留
 抱詰の通り両の手尓て柄を取り下へ押付られたる時向のわきの辺りへ拳尓て當扨我右の足尓て相手の手を踏み柄をもぐ常の稽古尓は右の足を押膝尓てこぜもぐ
*「抱詰の通り両の手にて柄を取り・・・」
「大小詰一本目抱詰:楽々居合膝に詰合たる時相手両の手にて我刀の柄を留る時・・」
読み
柄留(つかとめ)
 抱詰の通り両の手にて柄を取り下へ押し付けられたる時 向うの脇の辺りへ拳にて当て 扨 我は右の足にて相手の手を踏み柄を捥ぐ 常の稽古には右の足を押し膝にてこぜ捥ぐ

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2017年3月 2日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流2大小詰2骨防扱

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
7、重信流
2)大小詰
二本目骨防扱
骨防扱(ホネモギ 曽田ルビ)
 立合骨防返に同し故常二なし
立合骨防返
大小立詰二本目骨防返
 相懸り二懸り相手我刀の柄を留めたる時我右の手尓て柄頭を取り振りもぐ也
読み
骨防扱(ほねもぎ)
 立合の骨防返(ほねもぎかえし)に同じ故に常には無い
立合骨防返(たちあいほねもぎかえし)
大小立詰二本目骨防返(だいしょうたちづめほねもぎかえし)
 相懸かりに懸かり 相手我が刀の柄を留めたる時 我右の手にて柄頭を取り振り捥ぐ也
読み解く
 此の業名の読みは、曽田先生のルビが施されています「骨防扱(ほねもぎ)」さてどうでしょう。骨防扱は「立合骨防返」に同じだから、何時もは稽古しない、と云っています。立合とは「大小立詰」のことでしょう。

 大小立詰めは、打太刀は小太刀を差し、遣方は太刀を差しての立業です。
双方スカスカと歩み寄り、相手が我が刀の柄を両手で取って抜かさない様に押し付けて来る。
 我は透かさず右手で柄頭を取って、柄を上に引上げ相手の手を振りもぐ。相手が柄を取るのが、右手だけ、両手、左手など在りそうですが工夫次第でしょう。

 立業では無い坐したる骨防扱では、体を乗り出して柄を取りに来るなど是も同様に我は柄頭を右手で取り上に引上げ振りもぐ。
 振りもぐや打太刀の顔面に柄当てする、其の儘鞘手を引いて片手真向に斬り下す、など出来そうです。

 この「骨防扱」「骨防返」については政岡先生は「防」は「捥」の誤写かも知れない、と仰っています。
 「防」は防ぐ、ささえる、はらう、そなえる、かためる。
 「捥」はもぎる、もぎ切る、ねじきる、ねじってはなす。

 無双直伝英信流は現在では土佐より伝わると思い、土佐の方言がよぎるのですが、本来奥羽地方のものであり、居合以外の業は、他流などと混在していますので時々意味不明の文言に行き当たり当惑します。
 かえって業名に意味を籠めすぎますとあらぬ方に行ってしまうもので、「浮雲」とか「颪」の様な業名の方が正しく伝わる様にも思います。

 曽田先生による五藤先生の業附口伝大小詰二本目骨防
「互に対座、打は両手にて仕の柄を握る仕は右拳を顔にあて其のひるむ時に乗じ右足を柄越にまたぎ右足内側より右手を柄に添へ右足にて敵の両手を押払うと同時に柄を防ぎ取る也此の時敵は我右脇へ匍ひ倒る也
(向ふて居る両手にて柄を押し付る時直に右手にて面へ当て其儘に乗り右足をふみ込み柄へ手をかけもぐ)」

*神傳流秘書の時代は単純でした、江戸末期にはここまで複雑な動作を要求して居ます。幾らでも変化はありうるでしょうが、業技法は単純なものほど有効だろうと思います。

 

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2017年3月 1日 (水)

第四回古伝研究の集いを終えて

第四回古伝研究の集いを終えて

 今年の、違師伝交流稽古会の課題は古伝の「仕組」いわゆる「組太刀」の詰合です。現代では「詰合之位」と称されているものです。

 最近は、何処で習ったのかyou tubeや演武会などで拝見する事もあるのですが、戦前の演武の様子が見られるものは無いようです。

 詰合を打っているもので映像で普及しているのは、無双直伝英信流第21代福井宗家と吉村先生のビデオが最も古そうです。昭和58年1983年ころのものだろうと思います。この解説書は見当たりません。

 古伝神傳流秘書の詰合が公開されるまでは、曽田虎彦先生が竹村静夫先生と稽古して演じたという、第16代五藤孫兵衛正亮先生の教えを曽田虎彦先生の実兄土居亀江の口伝から田口先生の指導を受けて業附口伝として書き止められた詰合之位が普及して活字にもなり演武会の出し物にもなったと推察します。

 古伝神傳流秘書の詰合と曽田先生の業附口伝の詰合之位は概ね同じですがじっくり研究して見ると形の心持が古伝の方が武術を学ぶ上で奥深いものがある様に思えます。曽田先生の詰合之位には形は演じるものとしてあるような雰囲気を感じてしまいます。

 詳細は、ミツヒラブログの2017年2月6日~2月26日にわたり「古伝神傳流秘書を読み解く詰合」として発表してあります。

 古伝神傳流秘書の詰合と曽田先生の業附口伝詰合之位の一本目を読んで見ます。

古伝 神傳流秘書 詰合一本目「発早」
 楽々居合膝二坐したる時相手左の足を引下へ抜付るを我も左の足を引て虎の一足の如く抜て留め打太刀請る上へ取り打込ミ勝也

曽田先生の業附口伝 詰合之位一本目「八相」
 (口伝に発早トアリ)是ハ互二鞘二納メテ詰合テ相向ヒ二右膝立テ座ル也 互に左足ヲ一足引キ倒様二抜合スル也(互に右脛へ抜付ケル) 其侭ヒザヲツキ仕太刀ハカムリテ面ヘ打込也 此時打太刀ハ十文字二頭上ニテ請ケ止ムル也 互二合セ血振ヒ足ヲ引キ納刀

 この、違いが理解できない人は、英信流居合之事現在の英信流或は立膝の部の虎一足の古伝を思い出していただければ納得できるでしょう。

古伝神傳流秘書の英信流之事二本目「虎一足」
 左足を引き刀を逆に抜て留め扨打込ミ後前に同し

 古伝は打太刀の脛への抜き付けを仕太刀が後手に請け留めているのです。
 業附口伝では、仕打同時に抜き合わせる相打ちを意味しています。従って双方の間合いの中程で刀を合わせています。
 神傳流秘書の詰合を基に手附を解説された政岡壱實先生も「抜き合わせ留める」とされて相打ちの形になってしまっています。以下の先生方も同様です。
 更に気になるのはどの先生方も立膝に座した間合いが遠すぎ、抜き合せた切先が相手に届かないものばかりです。
 
 詰合之位の活字本を紹介しておきます。
河野百錬先生の昭和13年1938年発行
「無双直伝英信流居合道」

嶋専吉先生の昭和17年1942年発行
「無双直伝英信流居合術乾」

政岡壱實先生の昭和49年1974年発行
「無双直伝英信流居合兵法地之巻」

大田次吉先生の昭和55年1980年発行
「土佐英信流」

木村栄寿先生の昭和57年1982年発行
「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流傳書集及び業手付解説」

三谷義里先生の昭和61年1986年発行
「詳解居合無双直伝英信流」

 
 今回の古伝研究会は、神傳流秘書の詰合を原文を基に研究してみました。詰合を初めて稽古する人も、何度も演武された経験者も、師伝の異なる人も、一堂に会する稽古会ですからその理解度合には違いがあっても居合歴は皆さんそれなりにある様ですからすぐになっとくされておられました。
 古伝神傳流秘書の詰合全業十本を紐解きながらいくつもの解釈による業技法が繰り出せる事を理解していただき、古伝の仕組を味わっていただいたと思っています。
 剣術の形は演武会の見世物ではなかったはずです、白刃の下をかいくぐって来た先師の血と汗が籠っているものです。
 初歩的な動作から極意に至るまで、一つの形からいくつもの技が生み出されなければならないでしょう。
 「かたち」ばかりに拘らない古伝の教えを学んでみました。普段の稽古では見られない師伝との技の違いや、より難しい技を知り、知らない技が出来た時の嬉しさが笑顔となってあふれています。

 

 

 

 

 

 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文7重信流2大小詰2骨防扱

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
7、重信流
2)大小詰
二本目骨防扱
骨防扱(ホネモギ 曽田ルビ)
 立合骨防返に同し故常二なし
立合骨防返
大小立詰二本目骨防返
 相懸り二懸り相手我刀の柄を留めたる時我右の手尓て柄頭を取り振りもぐ也
読み
骨防扱(ほねもぎ)
 立合の骨防返(ほねもぎかえし)に同じ故に常には無い
立合骨防返(たちあいほねもぎかえし)
大小立詰二本目骨防返(だいしょうたちづめほねもぎかえし)
 相懸かりに懸かり 相手我が刀の柄を留めたる時 我右の手にて柄頭を取り振り捥ぐ也
 

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