曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く7重信流3大小立詰1袖摺返
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立って居る処へ、相手我が右脇から近寄って来て、我が柄を右手で、鐺を左手で取り抜かさない様にする。
又は、相手が我が右より近づいてきて組付くので、ひじを張って相手の組み付を緩め体を低く沈めて中に入り相手の足を取って押し倒す。
この手附は「中に入り」で終わっています。後の先を取って次の動作はご自由にと云う処とも思えませんがそこまでです。
曽田先生による五藤先生の業附口伝大小立詰二本目袖摺返
「打は横より組付仕肱を張りて一當すると同時にすぐに打の刀を足にすけて後に投る也
(五藤先生は一當して中に入り刀を足にすけ後へ投ると記せり)
(左右共同前横合より組付ひじを張り一當して中に入り刀を足にかけ後へ投げる左右共同前)」
*五藤先生の場合は、組み付いてくるので肘を張って、相手の脇腹に一當して怯む隙に「打の刀を足にかけ」と云って、相手の刀(鞘でしょう)を相手の足のかゞみに懸け後ろに投げるのですが、此処は神傳流秘書では我が刀の柄を相手の足のかゞみに懸け後ろに投げ倒す、と読めます。
この業附口伝は神傳流秘書の大小立詰一本目は袖摺返ですが五藤先生の業附口伝は二本目が袖摺返です。
一本目は「〆捕」で、業の内容が異なります。〆捕は神傳流秘書では四本目に位置します。
順序は好きなようにしてもいい、気乗り次第だと云っていましたが敢えて順番を変えた理由が解りません。
業名の袖摺返は大江先生が奥居合立業の七本目袖摺返として古伝抜刀心持之事の十一本目行違を改変した業に名付けています。 古伝神傳流秘書の抜刀心持之事には袖摺返しに相当する業は有りません。
大江先生が奥居合を改変されたと言われていますが其の痕跡は証明できません。大江先生以前に変えられた様な気がしています。江戸末期から明治にかけて谷村派も下村派も正統を伝承しきれないまま引き継がれてきたような気がして大きな断層を見て居る様です。
参考に古伝抜刀心持之事十一本目行違
「行違に左の脇に添へて払い捨冠って打ち込むなり」
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