« 曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取1無剣 | トップページ | 曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取2水石 »

2017年3月30日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取1無剣

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
1)一本目無剣
大剣取 (此太刀打ハ和之伝二有也)
無剣
 相手居合膝二坐し居処へ小太刀をさげかくる相手抜打つを放し入てさ春
読み
大剣取(だいけんとり) (此の太刀打は和(やわら)の位の伝に有るなり)
無剣
 相手居合膝に坐し居る処へ 小太刀をさげかくる 相手抜き打つを放し入りて刺す
読み解く
 神傳流秘書に記載されている太刀打は、太刀打之事10本・詰合10本・大小詰8本・大小立詰7本・大剣取10本合計45本あります。
 更に安永五年1776年に第12代林益之丞政誠による英信流目録に小太刀之位六本が記載されています。これを加えると51本が太刀打となります。
 小太刀之位は神傳流秘書には無い太刀打ですが、間と間合いを覚えるには良い業です。

 大剣取は「此の太刀打は和之伝に有也」ですが之は、神傳流秘書の和は夏原流の和です。「和」は「やわらぎ」と読むようです
 夏原流に有る小具足・小具足割に小太刀(短刀)による仕組が有りますからその辺を言うのかも知れません。小具足とは素手による格闘技では無く短刀を用いた格闘技を一般的に云うものです。
 しかし、夏原流和之事には大剣取らしき太刀打は見当たりません。

 大剣取は神傳流秘書のみに記載されているもので、今までの様に曽田先生による五藤先生の業附口伝は存在しません。従って古伝の文章の不充分な抜けた部分を補うものは居合から類推するばかりです。


 相手居合膝に坐している処へ、我は小太刀を右手に下げ、スカスカと間境を越して行く。
 相手抜き打ちに我が出足に抜きつけて来る、出足を引くと同時に小太刀を下げた右手を上げ、抜打ちを「放し」は、外して透かさず、右足を稍々右に踏込み、相手の中に入り左手で相手の右腕を制し、刺す。

 「・・小太刀をさげかくる・・」ですから、此処は小太刀の切先を下に向け右足の前辺りに下げた無形之位で、相手の座す処にあゆみ行く、相手は間境を越した我が出足を払って来るでも、腰を払って来るでもいいでしょう。
 相手は外されて即座に上段に振り被るか、手を返して霞の様に打ち返すかも知れません。

 居合膝はどのようにするのか不明ですが、現在の立膝の座仕方と思えば良いのでしょう。 但し、夏原流の小具足の処に「両方足を爪立左の膝を付き右の膝を浮けて折る八文字に坐す」とあります。居合膝でも腰を浮かし両足爪先立っている様です。

 現存するテキストでは、政岡先生の昭和49年1974年発行の「無双直伝英信流居合兵法地之巻」に有ります。この出典は何処からのものか不明です。
 私は河野百錬先生のものを使用したのではないかと思っています。多少文言に違いがあるところも有るので確証は有りません。

 河野百錬先生の昭和29年1955年発行の「無双直伝英信流居合兵法双書」に大剣取の項目は有りますが、これは曽田本の神伝流秘書を丸写ししたもので、解説もありません。

 細川家から拝借したものを公開された木村栄寿先生の昭和57年1982年発行の「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流」では「大剣取」は「居合兵法極意之書」として文政12年1829年山川幸雅より坪内清助に授与され、坪内長順の秘書とされる中に「和大剱捕軍馬組附」(やわらぎだいけんどりぐんばくみつけ)と題して記載されています。(P139~140)
 無剱~雷電まで9本で神傳流秘書にある、10本目水月が欠如しています。文言には違いがありますが、概ね同じ手附と判断いたします。
 細川家より拝借したという、木村栄寿本と曽田本の対比により、よりわかりやすいものをと思いましたが「転載・複製を禁ず」との事ですから、当該書籍をお求めの上御確認下さい。

 古伝武術は素晴らしい、世界に誇る日本の伝統文化です。自由に研究させていただければと思いますが、割愛させていただきます。

 政岡先生は「小太刀をさげてかゝる・・」二本目は「持ちたるなりに・・」となっているので、抜刀して正眼とも考えられるが、居合の形として考えて納刀のまゝとしたものである。抜刀して左手を腰に、中段「入身の構」でも可ならん。
「間に入った時払われたので引いて外す、飛び込んでさす」

 政岡先生は、相手が抜き打ちを外され即座に上段に振り被る処、我は踏み込んで左手で相手の右肘を制しています。


 古伝では、ここは「小太刀をさげかくる」ですから、小太刀を抜刀して右手にひっさげて無形の位で間境を越す、此の方が古流の伝らしく、あえて居合の納刀に拘るものでもなさそうです。

|

« 曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取1無剣 | トップページ | 曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取2水石 »

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取1無剣 | トップページ | 曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取2水石 »