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2017年3月 1日 (水)

第四回古伝研究の集いを終えて

第四回古伝研究の集いを終えて

 今年の、違師伝交流稽古会の課題は古伝の「仕組」いわゆる「組太刀」の詰合です。現代では「詰合之位」と称されているものです。

 最近は、何処で習ったのかyou tubeや演武会などで拝見する事もあるのですが、戦前の演武の様子が見られるものは無いようです。

 詰合を打っているもので映像で普及しているのは、無双直伝英信流第21代福井宗家と吉村先生のビデオが最も古そうです。昭和58年1983年ころのものだろうと思います。この解説書は見当たりません。

 古伝神傳流秘書の詰合が公開されるまでは、曽田虎彦先生が竹村静夫先生と稽古して演じたという、第16代五藤孫兵衛正亮先生の教えを曽田虎彦先生の実兄土居亀江の口伝から田口先生の指導を受けて業附口伝として書き止められた詰合之位が普及して活字にもなり演武会の出し物にもなったと推察します。

 古伝神傳流秘書の詰合と曽田先生の業附口伝の詰合之位は概ね同じですがじっくり研究して見ると形の心持が古伝の方が武術を学ぶ上で奥深いものがある様に思えます。曽田先生の詰合之位には形は演じるものとしてあるような雰囲気を感じてしまいます。

 詳細は、ミツヒラブログの2017年2月6日~2月26日にわたり「古伝神傳流秘書を読み解く詰合」として発表してあります。

 古伝神傳流秘書の詰合と曽田先生の業附口伝詰合之位の一本目を読んで見ます。

古伝 神傳流秘書 詰合一本目「発早」
 楽々居合膝二坐したる時相手左の足を引下へ抜付るを我も左の足を引て虎の一足の如く抜て留め打太刀請る上へ取り打込ミ勝也

曽田先生の業附口伝 詰合之位一本目「八相」
 (口伝に発早トアリ)是ハ互二鞘二納メテ詰合テ相向ヒ二右膝立テ座ル也 互に左足ヲ一足引キ倒様二抜合スル也(互に右脛へ抜付ケル) 其侭ヒザヲツキ仕太刀ハカムリテ面ヘ打込也 此時打太刀ハ十文字二頭上ニテ請ケ止ムル也 互二合セ血振ヒ足ヲ引キ納刀

 この、違いが理解できない人は、英信流居合之事現在の英信流或は立膝の部の虎一足の古伝を思い出していただければ納得できるでしょう。

古伝神傳流秘書の英信流之事二本目「虎一足」
 左足を引き刀を逆に抜て留め扨打込ミ後前に同し

 古伝は打太刀の脛への抜き付けを仕太刀が後手に請け留めているのです。
 業附口伝では、仕打同時に抜き合わせる相打ちを意味しています。従って双方の間合いの中程で刀を合わせています。
 神傳流秘書の詰合を基に手附を解説された政岡壱實先生も「抜き合わせ留める」とされて相打ちの形になってしまっています。以下の先生方も同様です。
 更に気になるのはどの先生方も立膝に座した間合いが遠すぎ、抜き合せた切先が相手に届かないものばかりです。
 
 詰合之位の活字本を紹介しておきます。
河野百錬先生の昭和13年1938年発行
「無双直伝英信流居合道」

嶋専吉先生の昭和17年1942年発行
「無双直伝英信流居合術乾」

政岡壱實先生の昭和49年1974年発行
「無双直伝英信流居合兵法地之巻」

大田次吉先生の昭和55年1980年発行
「土佐英信流」

木村栄寿先生の昭和57年1982年発行
「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流傳書集及び業手付解説」

三谷義里先生の昭和61年1986年発行
「詳解居合無双直伝英信流」

 
 今回の古伝研究会は、神傳流秘書の詰合を原文を基に研究してみました。詰合を初めて稽古する人も、何度も演武された経験者も、師伝の異なる人も、一堂に会する稽古会ですからその理解度合には違いがあっても居合歴は皆さんそれなりにある様ですからすぐになっとくされておられました。
 古伝神傳流秘書の詰合全業十本を紐解きながらいくつもの解釈による業技法が繰り出せる事を理解していただき、古伝の仕組を味わっていただいたと思っています。
 剣術の形は演武会の見世物ではなかったはずです、白刃の下をかいくぐって来た先師の血と汗が籠っているものです。
 初歩的な動作から極意に至るまで、一つの形からいくつもの技が生み出されなければならないでしょう。
 「かたち」ばかりに拘らない古伝の教えを学んでみました。普段の稽古では見られない師伝との技の違いや、より難しい技を知り、知らない技が出来た時の嬉しさが笑顔となってあふれています。

 

 

 

 

 

 

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