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2017年4月

2017年4月30日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事7棚下

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
7)棚下
棚下
 大森流逆刀の如く立て上へ抜打込む時躰をうつむき打込是ハ二階下様の上へ打込ぬ心持也
読み
棚下(たなした)
 大森流逆刀の如く 立って上へ抜き 打ち込む時 躰を俯き打つ 是は二階様の上へ打ち込めぬ心持ち也

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2017年4月29日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事6四角

曽田本を読む
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
6)六本目四角
四角
抜左の後の角を突右の後の角を切右の向を請流し左の向を切又右の向を切る也
読み
四角(しかく、よすみ?)
 抜き左の角を突き 右の後ろの角を切り 右の向こうを請け流し 左の向こうを切り 又 右の向こうを切る也
読み解く
 此の業の敵の配置は解りやすい。先ず左の後、右の後。右の前、左の前です。向は前ですから右前、左前で良いはずです。
 我の位置は×の交点に正面向きに座しているのです。敵は我が方に向いて仕掛けんとしているわけです。
 三角と同じ様に、左後の敵を刺突するや、右廻りに左前の敵の紋所を横に払い、右前の敵の紋所を横に払い、右後ろの敵の紋所を払って、右肩を覆う様に上段に振り冠って真向に斬り下し、右肩を覆う様に刀を振り冠りつつ左廻りに、右前の敵を通過し、左前の敵に上段から真向に斬り下し、即座に左肩を覆う様に振り冠りつつ右廻りに右前の敵に振り向き真向に斬り下す。
 此の場合の回転の軸は左膝で、夫々右足を踏み込んで打ち込むでしょう。

追記

 右後方の敵をビクとさせて真向から斬り下す際、回転の余勢に合わせ右肩を覆う様に振り冠りましたが、ここは、右手首を左に折って、切先を左耳の後方を突く気勢を以って振り冠り真向に斬り下ろす、とする事も十分考慮すべきところでしょう。

 尚、足裁きは、左足膝を軸に四方の敵を倒す。或は右後ろの敵を斬り下ろすや左廻りに右肩を覆う様に振り冠りつつ振り向き、同時に右足膝を床に着き左足を踏み込んで左前の敵を真向に斬り下ろす、即座に右前の敵に振り向き左肩を覆う様に振り冠り左膝を床に着いて右足を踏み込んで右前の敵を真向に斬り下し勝。
 無双直伝英信流では、忘れられた足の踏み替えも大いに此の業で研究できるものです。

 四角は四人の敵に囲まれた場合の刀法ですから相手は×も有+も有です。変形の四人だってあるでしょう。
 大江先生の四方切は左後・左前・正面・右前の配置です。この変形はどの様な意図で創作されたのか不思議です。

 英信流居合目録秘訣では上意之大事「四角」は「三角」にかわる事無し是は前後左右に詰合う之心得也故に後へ迄まわって抜付ける也。

*四角は三角と変わらない、是は前後左右に詰め合う時の刀法で、後ろまで廻って抜き付けるのだと云って居ます。其の儘解釈すれば、正面向きに座って、敵の害意を察し、正面に抜きつけるが如く刀を抜き出しつつ後ろに廻って抜き放つと言う様に読めてしまいますが、そこまでは思いつめる事もないとは思いますが、稽古して見る意味は有りそうです。

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2017年4月28日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事6四角

曽田本を読む
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
6)六本目四角
四角
抜左の後の角を突右の後の角を切右の向を請流し左の向を切又右の向を切る也
読み
四角(しかく、よすみ?)
 抜き左の角を突き 右の後ろの角を切り 右の向こうを請け流し 左の向こうを切り 又 右の向こうを切る也

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2017年4月27日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事5三角

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
5)五本目三角
三角
 抜て身を添へ右廻り二後へ振り廻りて打込也
読み
三角(さんかく・みすみ)
 抜きて身を添え右廻りに後ろへ振り廻りて打込む也

読み解く
 此の業名は江戸時代前期から中期には何と読んだのでしょう。
さんかく・みすみ。みすみ、では聞いただけでは??です。

 業名もしかと読めず、技はおろか対敵の位置関係も解りません。
 業名の三角から我を囲んで三人の敵と対座していると、勝手に思います。

 次に敵の配置ですが「後へ振り廻りて打込」ですから一人は後ろに座している。
そうであれば、我が左右に一人ずつ、後ろに一人の三角。

 あるいは、我が左前に一人、右前に一人、後ろに一人。我は三角形の中に囲まれた状態など思い描きます。

 正面に一人、右に一人、後ろに一人もありです。右が左でもあるでしょう。後ろに二人、前に一人も想定できそうです。

 いずれにしても、三人の敵に我は囲まれ、挑まれた状況でしょう。
 そこで、左後ろ・右後ろ。前の三人に囲まれた我は、刀を抜き放ち刀に身を添うようにして左後方の敵を刺突し、正面の敵をビクとさせつつ、右廻り右後ろに振り向き、右から上段に振り冠って右後ろの敵を切り、右肩を覆うように上段に冠りつつ左廻りに正面の敵に振り向き真向に打ち下ろし勝。

是は左・右・後の敵の場合も同様に出来ます。先ず左の敵を刺突し、右及び後ろの敵をビクとさせておいて、後の敵に打込み、右の敵に打ち込む。

 英信流居合目録秘訣という伝書があります。これも第十代林安太夫政詡の記述と思われますがそこに上意之大事として「三角」が解説されています。
三角
「三人並居る所を切る心得也ケ様のときふかぶと勝んとする故におくれを取る也、居合の大事は浅く勝事肝要也、三人並居る所を抜打に紋所のあたりを切先はづれにはろうときはビクとするなり其所を仕留る也三人を一人づつ切らんと思う心得なれば必仕損ずる也一度に払ふて其おくれに付込んで勝べし」

 是は、三人が正面、左前、右前と並んでいると想定できます。そこで左前の敵に浅く抜き付ける様に抜き放ち、右に切先を流します。
 三人が同時にビクッとする隙に、右から振り冠って右前の敵に上段から斬り付け、右肩を覆う様に振り冠って左前の敵の斬り付け、左から振り冠って正面の敵に斬り下し勝つ。と、読めます。

 夢想神伝流には此の業名が伝わっていますが山蔦先生の場合は戸詰(三角)としていますし、大江先生の戸詰ですから古伝とは言い難いと思います。檀崎先生は三人の敵を迎え、古伝の趣があります。
 細川義昌系統と思われる広島の白石元一先生の三角も古伝を感じます。

 大江先生はこの三角は捨て去っています。
 大江先生は初め下村派、後に谷村派を習って谷村派第17代を名乗ったと言われていますが、大江先生には伝書が伝わっていなかったかもしれません。
 知っていても、中学生向けに業技法を教育上変更せざるを得なかったかも知れません。 明治も30年代になれば、大江先生の時代にはもう古伝は失伝していたかも知れません。 

 然しその事は同時代を生きた細川先生が古伝を継承していますから言いきれません。時を得て谷村派が脚光を浴びて全国に普及したのですが、古伝伝承は下村派に残って消え去る運命にあったものが中山博道先生によって夢想神伝流として生まれ変わり、古伝を伝える正統下村派は消え去ったのかも知れません。

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2017年4月26日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事5三角

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
5)五本目三角
三角
 抜て身を添へ右廻り二後へ振り廻りて打込也
読み
三角(さんかく・みすみ)
 抜きて身を添え右廻りに後ろへ振り廻りて打込む也
 

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2017年4月25日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事4両詰

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
4)四本目両詰
両詰
 抜て片手尓て左脇を突き直二振向いて右脇を切る
 右脇へ抜打二切り付希左を斬る(曽田メモ追記)
読み
両詰(りょうづめ)
 抜きて片手にて左脇を突き直ぐに振り向いて右脇を切る
 右脇を抜打ちに切り付け左を斬る(曽田メモ追記)
読み解く
 両詰の業名は大江先生の改変によって、我が左右に障碍物や壁など在って、横一線に抜き付けるのが出来ない様な場の状況で、刀を前に抜出し切先を返して前方の相手を刺突し上段に振り冠って打ち下し勝、障害物に当たらない様に狭めた横への血振り、納刀も半身になって上から落とし込む様な納刀をする業として指導されています。
 是は前回の向詰の動作です。業名が入れ替わってしまっています。

 古伝は、相手は一人では無く、左右に一人ずつ詰め寄って座す場合の運剣を、この業としています。従って、先ず右脇の相手を柄頭で牽制し、刀を右に抜くや、左の敵を見て左の敵を刺突し、右の敵に振り向いて上段から斬り下し勝。左右の敵に応じるものです。左右に障碍物は無く、対敵に対する想定なのです。

 大江先生の居合は、対敵意識が乏しいもので、我の置かれた場の状況が優先しています。対敵との位置関係も場の状況によって固定されます。

 右の敵に片手で抜き打ちに斬り付け、左に振り向き斬り付ける。
この、左の敵を突いてから右敵を斬る技と、右敵を片手で抜き打ち、左の敵を斬る、二つの動作で、左右から詰め寄る敵を倒す技です。

 この動作から、是は現代居合の奥居合居業三本目戸詰、四本目戸脇だと気付きます。現代では戸詰、戸脇と場を表す語句に反応して、本来は敵の位置情報を示していたものを、戸襖の有る場の特定の条件での攻防に変化してしまいました。

 古伝は大らかです、左右の敵は、大まかに左側、右側位に考え、敵の位置を動かして二つの動作を使って運剣を自由自在に出来れば良いのでしょう。

 英信流居合目録秘訣の上意之大事「両詰」では「是又仕物抔言付られ又は乱世の時分抔には使者抔に行左右より詰かけられたる事間々これあるなりケ様の時の心得也尤其外とても入用也左右に詰かけられたる時一人宛切らんとするときはおくれを取るなり故に抜や否や左わきの者を切先にて突すぐに右を切るべし其わざ唯手早きに有亦右脇の者に抜手を留らるべきと思う時は右を片手打に切りすぐに左を切るべし」

 古伝には、敵との関係から如何に自らを処するかが述べられています。ですから大江先生が如何に力強く華麗な運剣をされたとしてもそれは単なる運剣技法であって、古伝の根元とは異なると思います。

 現代居合は、特定の場の状況に応じるだけの業技法に偏って、本来の命を懸けて闘う居合心を学ぶことが失われています。

 決められた形を華麗に演じて武術だというのです。演武では無く、武的演舞、芸に過ぎないのですが、多くの人がそれでも武を論ずるのも愉快です。ですから些細なことに拘って、「先代の居合がいい、いや当代だ」など愚かなことも聞かされるのでしょう。

 

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2017年4月24日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事4両詰

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
4)四本目両詰
両詰
 右脇へ抜打二切り付希左を斬る
 抜て片手尓て左脇を突き直二振向いて右脇を切る
読み
両詰(りょうづめ)
 右脇を抜打ちに切り付け左を斬る
 抜きて片手にて左脇を突き直ぐに振り向いて右脇を切る
 

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2017年4月23日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事3向詰

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
3)三本目向詰
向詰(むこうづめ)
 抜て諸手を懸け向を突打込也
読み
 抜きて諸手を懸け向うを突き打込む也
読み解く
 居合膝に相対して坐す。相手の害意を察し刀に手を懸け腰を上げ、柄頭を相手の中心に付け前に抜き出し、切先を返して諸手となり、右足を踏み込んで正面の敵を突く。即座に引き抜き上段に振り冠って真向に斬り下ろして勝。
 現代居合の奥居合居業の両詰です。両詰は、両側が狭く障碍物に阻まれて、自由に抜き付けられない様な場での刀の操作法を稽古する業となっています。
 我が体の内で刀を抜き出し突き打込、血振り納刀もやや半身で狭い場所を意識したものです。

 古伝には場の想定は有りません。狭い場などの事は業名を両詰などに改変した為に動作まで制約してしまったのでしょう。
 寧ろ、相対する相手との攻防であるこの流の得意とする横一線のがま口に切る抜き付けをせずに、突きを目的にしています。

 この抜刀の方法は爪先立ち腰を上げて前に刀を抜き出し、相手を牽制するや切先を返し右足を踏み込み上体を乗り出す様にして諸手突きに相手の柄口六寸に摺り込み水月から喉元へ突く心持でしょう。
引き抜き、上段に冠って打ち下す。

 場の想定を思い描くよりも、横一線では不向きと判断し、突き業にしている事に思いを寄せるべき業では無かろうかと思います。
 或は、流の横一線の抜付を知る相手の動作に、横一線を予測させる柄頭で相手の中心線を攻め、相手が下がらんとするか、柄頭を制せんとするやに、抜き出すや切っ先を返して突きで応じるのでしょう。

 其れにしても、何度も言いますが、古伝の業名を改変する理由は何だったのでしょう。
 大江先生の想定は、もともと対敵との想定のみでした。然し「向詰」を「両詰」と業名を変えてしまうと、場の想定が思い描かれてしまいます。
 敵と対する場の周囲の環境が優先され、相手との攻防での状況が置き去りにされてしいます。
 大江先生が改変されたと言われますが、証拠は無く、大江先生に指導された中学生剣士から伝わった言い伝えでしょうか。このような相手を意識させない指導では、一方的な形の繰返しに終わってしまいます。前に対する敵を意識すれば刀の抜き様は自ずから工夫されて然るべきものでしょう。場の想定も当然ですが本末顛倒の観は否めません。
 大江正路先生の「剣道手ほどき」堀田捨次郎共著による「両詰」
「・・右足を少し出して、刀を抜き、柄元を臍下に当て、右足を踏み出して、前方を諸手にて突き、其姿勢のまゝ、上段にて前面真向に斬る」
 
 細川義昌系統の白石元一先生の「大森流長谷川流伯耆流居合術手引」にある「向詰」を稽古して見ましょう。
「・・右足を踏み出して抜刀し、此際刀先が前方に出でざる様、右足を退くと同時に刀尖を先きに返し両手にて柄を握りて臍下前で構へたる後更に右足を踏み出して突き左足を右足踝に引きつけつゝ刀を正面より振り冠り右足を踏み出すと同時に斬り下ろす・・」

「無双神伝居合兵法」の尾形一貫心誠先生の向詰を梅本三男先生が残されています。
「・・例により鯉口を切り右手を柄に掛け、両膝を立つなり右足を少し右前へ踏出し、其の方向へ刀を引抜き、右足を引戻すと共に、刀尖を向ふへ、柄頭を腹部へ引付け諸手となり(刀を水平に構へ)体を少し前へ進め、対手の胸部を突き、更に左足を進ませつつ諸手上段に引冠り、右足を踏込んで斬込み・・」

 先だって、ある人と話している中で、「伝書類は下村派からばかりから出て来て、谷村派からは何も出て来ない、正しい伝承は下村派ではないか」と云われます。
 其の下村派も谷村派と混線してしまい、明治以降はどれがどうとも云えずになっています。
近年は更に、昇段審査の基準などのルールに縛られ特定の形ばかりが稽古されて、古伝の伝えるものは失せつつあるようです。

 谷村派、下村派の分離したのが、第十一代大黒元右衛門清勝からと云われます。この神傳流秘書の筆者が第十代林安太夫政詡かその義父第九代林六太夫守政であれば両派の違いなどは無関係なものです。

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2017年4月22日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事3向詰

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
3)三本目向詰
向詰
 抜て諸手を懸け向を突打込也
読み
向詰(むこうつめ)
 抜きて諸手を懸け向うを突き打込む也

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2017年4月21日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事2柄留

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
2)二本目柄留
虎之一足の如く下を留て打込
英信流之事二本目虎一足
 左足を引き刀を逆に抜て留め扨打込ミ後前に同し
前に同し(一本目横雲の納め)
 ・・開き足を引て先に坐したる通り二して納る
読み
柄留(つかとめ)
 虎一足の如く下を留て打ち込む
英信流之事二本目虎一足
 左足を引き刀を逆に抜て留め扨打込み後前に同じ
前に同し(一本目横雲の納め)
 ・・開き足を引いて先に坐したる通りにして納る
読み解く
 居合膝に座して対座、相手下に抜き付けて来るを、我は刀に手を懸け、左足を引いて切先を下にして抜き請けに留め、上段に振り冠って左膝を着くや真向に斬り下し、刀を横に開き、右足を引いて座したる様にして刀を納める。

 現代居合の奥居合居業二本目脛囲をイメージして柄留を演じて見ました。対座する相手が同じく座する我が右脛に抜き付けて来るなど有るのでしょうか。

 此処は、相手抜き付けんと刀に手を懸けるを、我刀に手を懸けるや左足を引いて刀を返し刃を下にして相手の柄口六寸に抜き付け、怯む相手を即座に真向から斬り下し勝。
柄口六寸への抜き付けは、逆刀で応じました。
 横一線の低い角度での抜き付けも柄頭を低くして抜き出せばいかようにも状況次第でしょう。手首を折った切っ先のみ低い横一線の抜き付けもあるようですが、手首の弱い私には不向きです。

 第十代林安太夫政詡による英信流居合目録秘訣による雷電霞八相より
雷電霞の二ヶ条当流極秘中の秘にして大事、此外に無、・・・、夢うつつの如くの所よりひらりと勝事有其勝事無疵に勝と思うべからず我身を先ず土壇となして後自然に勝有、其勝所は敵の拳也委しき事は印可に有、・・・詰合には二星につづまる敵の拳也二星一文字と云時は敵のこぶしを抜払ふこと也惣じて拳を勝事極意也」


 この「柄留」は古伝であって現代の「脛囲」ではないはずです。すでに失念した極意業でしょう。同時に一本目の「向払」も「柄口六寸」に抜き付け、更に返す刀で「柄口六寸」の払いでも良いはずです。
 競技会や審査会では指定された理合、術理で演じるのは当然ですが、稽古は幾通りも仮想敵を想定し応じるものでしょう。

 柄留の業名は大小詰の三本目柄留と同じです。此方は相手に柄を制された時の応じ方になります。同じ業名が抜刀心持之事にも存在するのは腑に落ちません。

大小詰三本目柄留
抱詰の通り両の手にて柄を取り下へ押付られたる時向のわきの辺りへ拳にて當扨我右の足にて相手の手を踏み柄をもぐ常の稽古には右の足□□を押膝にてこぜもぐ」

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2017年4月20日 (木)

第五回古伝研究の集いを終えてその7

第五回古伝研究の集いを終えてその7

 この第五回古伝研究会は、稽古を終えての覚書がその1~その7に及ぶ長編になってしまいました。感想だけを楽しそうに書くだけならば数行で終わるのですが、古伝の研究が深まり詰合之位を良く稽古する人が増えれば、その蘊蓄は次々に新しい思い付きが吹き出て来るものです。

 それらは、それぞれが、今の実力でしっかり受け留帰ってから振り返りをする事で完成していくでしょう。気になるのは古伝の神傳流秘書の「詰合」を研究するのですが、ともすると参考にする 、明治以降に表された曽田先生の業附口伝の「詰合之位」と混同してしまう事や、現在師匠から習った事、あるいは大家の解説書から出てこれない居附きの姿勢です。

 仕組の業数は大凡、七本~十本ぐらいですがそれぞれの業が独立して完結していると思うのではなく、全業通しで語りかけて来る様に組み立てられているのが古伝神傳流秘書の特徴の一つです。

 習うには、個々の業の基本を学ぶけれど、奥義に至るには通して学び身に付ける様に工夫されています。従って事前準備も「詰合」ならば全業十本をよく読んで置く心掛けも必要です。

 今回は、「詰合」の五本目鱗形を振り返ります。

古伝神傳流秘書「詰合」五本目鱗形
「如前抜合せ相手打込むを八重垣の如く切先に手を添え請留直に敵の太刀を摺落し胸をさす也」

明治以降の曽田先生の業附口伝「詰合之位」五本目鱗形
「坐り方同前左足を一足引き抜合せ 其時敵すぐに我面へ上より打つ也 我もすぐに太刀の切尖へ左の手を添へて十文字に請て左の足を踏み込み摺込み勝也 刀を合せ血振ひ納刀」

 「詰合」一本目の仕太刀、打太刀が入れ替わっています。受け太刀の方法については学んできました。額前頭上で敵太刀を請けて刀諸共両断されては困ります。請けるや摺落して勝を制する事を学ぶものです。

 演武を見て居ますと仕がしっかり額前頭上で十文字請けして、打も打ち込んで拮抗しています。申し合わせですから打は仕が術を出すまで待っています。

 古伝の文章には「請留直に敵の太刀を摺落し胸をさす」とあって「がちんと受け留め、よいしょと摺り落せ」とは書いてありません。

 然し、業附口伝は「十文字に請て左の足を踏み込み摺込み勝」となっています。現代の詰合之位は、足を踏み替えて、若しくは足を踏み替えながら摺落せと言うのです。
 古伝は、違います。これは「十文字に請けた当り拍子に摺落し打の胸に詰めろ」と解するものでしょう。

 やって見ます。
「前の如く抜き合わせ、相手、上段に振り冠りつつ左足膝を右足踵に引き付け打ち込まんとするを、我右足を引くや、切先に左手を添えて額前頭上にて敵太刀を十文字請けする当り拍子に体を左入身となし切先を敵の眉間に付けると同時に摺落し詰める」

 よいしょとばかりに押落すのとは違います。当り拍子に瞬時に落としてしまいます。

 左右何れにても出来るのですが、右足前の場合は右手を切先に添える必要があるので少々修練が必要です。古伝は坐して十文字に請けろとも立って請けろともいっていません。立った方が多少容易です。
 此の十文字請けを理解出来れば一本目の打太刀の十文字請けも、左手を切先に添えて請ける様にしておくのが良いでしょう。柄を左に両手で持ち切先を右に受け太刀とする教えが横行していますが、請け太刀を嫌う場合を研究しておくべきでしょう。

 第五回の研究会はここまでです。以降は次回の「第六回古伝研究の集い」に譲ります。

 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事2柄留

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
2)二本目柄留
虎之一足の如く下を留て打込
英信流之事二本目虎一足
 左足を引き刀を逆に抜て留め扨打込ミ後前に同し
前に同し(一本目横雲の納め)
 ・・開き足を引て先に坐したる通り二して納る
読み
柄留(つかとめ)
 虎一足の如く下を留て打ち込む
英信流之事二本目虎一足
 左足を引き刀を逆に抜て留め扨打込み後前に同じ
前に同し(一本目横雲の納め)
 ・・開き足を引いて先に坐したる通りにして納る

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2017年4月19日 (水)

第五回古伝研究の集いを終えてその6

第五回古伝研究の集いを終えてしその6
 
 古伝神傳流秘書の詰合四本目八重垣
「如前抜合たる時相手打込むを我切先に手を懸けて請又敵左より八相に打を切先を上にして留又上より打を請け相手打たむと冠るを直に切先を敵の面へ突詰める」
 
 明治以降の曽田先生の業附口伝詰合之位四本目八重垣
「是も同じく詰合て坐し前の如く左足一足引てさかさまに抜合也 敵其侭我面を打てくるを我又太刀の切尖へ左手を添へて面を請くる也 夫より立て敵敵すぐに我右脇を打つを我其侭刀を右脇にさかさまに取りて此の時右足を一足引き請け留る也 敵又立ちて左の脇を打ち来るを我又左足を一足引きて左脇を刀を直にして請け止むる也 敵又上段より面へ打ち来るを我又右足を引きて上を請て敵かむる処を我右足より附込み勝也 刀を合せ原位置に帰り血振納刀」
 古伝は相手の膝への抜き打ちを請け留めるが、即座に真向に打ち込まれるので柄を右に左手を切先に添えて顔前頭上で十文字に請ける。
 敵すかさず我が左脇より八相に打ち込んで来るのを切先を上にして受け留める、この受け留方は左手は其侭にして右柄手を左脇に引き下ろし切先を上にして刃で請け留る。
 曽田先生の場合は、「・・・夫より立て敵すぐに我右脇を打つを我其侭刀を右脇にさかさまに取りて此の時右足を一足引き請け留る也・・」、相手の打ち込みに我が右脇が追加されています。
 この請け止め方は、頭上で切先を左に十文字受けした左手を右柄手を其の位置に軸として斜め右下に引き下ろし請け留めるのです。
 右手を引き下ろし左手を右に移動して切先を上にして受ける事も可能なのですが、此処では切先を下にしています。
 さらに相手が我が左脇を打って来るので、今度は右手を左脇下に移動し、左手を左肩上方に移動させて切先上がりで請け留めるのです。
 切先下がりの侭右から左へ平行移動する事も可能です。
 曽田先生の詰合之位では左右の脇での請ける方法はこの様に幾つも可能ですが、何故あえて指定しているのでしょう。
 古伝は左脇への打ち込まれるだけですから、切先上がりだけの指定です、これも何故でしょう。
 頭上での十文字受けも、脇腹の受けも、受け太刀のかたちをしっかり取って防禦をせよと言うのでしょう。
 責められて受け太刀だけではいずれ負けとなります、機をとらえて攻撃に転じよという教えでしょう。
 従ってここは打太刀の前に出る攻撃が続き、再び真向に打ち込まれた、打太刀の次の動作が、その場で振り冠ったか、右足を引いて振り冠ったかによる変化を捉えて攻撃に転じています。
 打太刀は、無造作にずんずん攻め立てれば、間近くなって手詰まりになります。その機を捉えるのも一つでしょう。仕太刀に心得あれば、反撃可能な間合いを常に維持しながら受け太刀となるでしょう。
 左右脇での受け太刀の切先下がりや切先上がりはここでは何れでも良い処でしょう。受け太刀にならず当り拍子で反撃するには機を捉える以外にない筈です。
 切先下がりでも、上がりでも、請けるや相手が上段に振り被るので素早く額前で太刀を水平に戻すことの方が重要でしょう。真向でも左右何れでも応じられる態勢です。
 
 この八重垣は幾つも考えさせられる技です。まず詰合の八重垣でも、詰合之位の八重垣でも自論や師の教えがどうであろうとも文字に表された通りに稽古して、その心持ちに親しく味わってみるべきでしょう。
 多少できる様になると、ともすると自論優先の早とちりに陥るものです。
 古伝は打太刀に立って攻め込めとも、其の場で攻め立てろとも、下がってとも、何も指定していません。古伝はおおらかです。それだけ安易な決め事をして居付くなと云っている筈です。
 参考に三谷先生の詰合之位は恐らく政岡先生譲りと思うのですが、右脇の受けは切先上がり、左脇は切先下がりです。
 なお、頭上での受け太刀は、政岡先生の「仕の左手を物打の峯に添えるには四指を揃えてのばし拇指と人差指の基部に峯を当て掌を前に向け五指は充分のばせて刀の安定を計ること」を採用され、拇指は刀の前に出し、四指が内側にあります。
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事1向拂

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
1)一本目向拂
抜刀心持之事(格を放れて早く抜く也 重信流)
向拂
 向へ抜付返須刀二手を返し又拂ひて打込ミ勝
読み
抜刀心持之事(格を放れて早く抜く也)
向拂(むこうはらい)
 向うへ抜き付け 返す刀に手を返し 又 払いて打込み勝
*
読み解く
   抜刀心持之事は、居合では大森流居合之事・英信流居合之事に続く居業及び立業の居合です。
 (格を放れて早く抜く也 重信流)ということは始祖林崎甚助重信から伝わる重信流であると云っていますですから詰合・大小詰・大小立詰と同様に伝わってきたものと云うのでしょう。格とは掟と形と云った意味合いです。抜刀心持ちは掟や形に捉われずに早く抜くものと云うのでしょう。

 座居か立居なのか仕方などの解説は有りませんが、現代居合では立膝です。抜刀心持之事では、七本目を終ると「従是立事也」と有って八本目人中から立業であると指定されています。現代居合も大方は古伝を引き継いで居ると考えて、居業で立膝に座すとするのが妥当でしょう。

 向拂は、「向へ・・」は立膝に座し正面に相対する相手に、左から右に抜き付け、返す刀で手を返して右から左に切り払い、左から上段に振り冠って打ち込み勝。と読むことが出来ます。

 横一線に抜き打ちに斬り付けたが相手に外され、不十分なので刀を返して、さて、何処に斬り付けるかは相手次第でしょう。

 尤も近いのは相手の出足とも云えるし、踏み込んで抜き打っているでしょうから、相手が後方に退く余裕が無ければ顔面、首も充分狙えるはずです。

 英信流居合目録秘訣では当流申伝之大事に此の業は居合仮名として「向払」が有りますが目録のみで解説は有りません。

 大江先生の奥居合居業の一本目「霞」が相当すると思われます。師伝によって大江先生の霞ですら返す刀の切払う位置はまちまちです。

 参考に、大江先生の霞「正面に座して抜き付け、手を上に返して、左側面水平に刀を打ち返す」

 ここまでの古伝はおおらかですが、現代居合は指定された特定な部位でないと「違う!」の怒声が飛んできます。「格を放れず早く抜く也」ばかりです。

 向払を相手に仕掛けられた場合の応じ方は大剣取の三本目外石に見られます。
大剣取三本目外石」
是無剣の如く放したる時又右より打を留入りてさす

 是は相手居合膝に坐し居る処へ小太刀を下げかくる、相手抜き打つを、出足を引いて外す、相手抜き打ちを外されて手を返し、左膝を右膝に引き付け、右足を踏み込んで右から払って来るのを小太刀で請け留め、即座に中に詰め入って相手の柄を持つ手を制し突く。

 この場合は、我は立業で、相手の「向拂」に応じたものになっています。

 

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2017年4月18日 (火)

第五回古伝研究の集いを終えてその5

第五回古伝研究会を終えてその5
 
 古伝神傳流秘書の詰合三本目の岩浪は、二本目の拳取のように今度は「・・相手より拳を取りたる時」で、拳を取られ制せられそうになった時の攻防です。
 「我よりも前の如く取り我が太刀を放し右の手にて敵のひじのかゞみを取り左脇へ引きたおす」
 相手の拳を同様に取るや拳を取られている右手の太刀を放して、右手を相手から振りもいで自由にし、相手の肘のかゞみに右手を懸けて引き倒すのです。
 
 明治以降の曽田先生の業附口伝も同様業名は「岩浪」です。業名の違いは三谷先生の詳解居合では「波返」、大田先生の土佐英信流は「岩浪」、政岡先生の地之巻は文字違いの「岩波」。
 
 業の部分を敢えて言えば古伝の詰合は「相手より拳を取り・・」ですが、「我が右の手首を左の手にてとる・・」ところでしょう。
 現代の詰合之位では動作は同じですが、この右拳(右手首)を取る時「逆に取る」と付け加えられています。小手を返す様に取るとでも言うのでしょう。
 
 太刀を放すのは、柄の握りを放せば容易ですが、相手に握られた手首を自由にするには柄を放すと同時に拳を後方に引いてやれば簡単に外せます。
 相手を引き倒すには、逆手に取った手首を上に上げる様にして、相手の肘に右手を上から押える様にして掛け右足を踏込み左足を引いて引き倒す。
 また相手の右手首を逆手に返して、我が右手を相手の右ひじの下から差し込み腕を締める様にして右足を踏込み左足を引いて引き倒す。
 
 此処は相手を仰向けに引き倒す方が見栄えが良いでしょうが、俯けに引き倒すも状況次第でしょう。
 
 引き倒した後の始末は古伝にはありませんが、演武では拳で引き倒した相手の顔面でも水月でも短刀を抜いて突くのも古伝ならでわのものです。
 引き倒した相手を引き起こし元の位置に戻る動作は演武のための動作に過ぎずとやかく言わず静かに残心を意識して演ずるものでしょう。
 この岩浪は詰合の業のうち唯一引き倒しのある技です。
 一本目発早で出遅れを取り戻し相手の抜打ちを受け留め、真向打ちで勝負を付ける。
 二本目拳取で引かんとする相手を逃がさずに付け入って制する。
 三本目の岩浪で相手の抜き付けを請けとめたが相手が即座に付け入って我が拳を制しに来るのを逆に攻め引き倒す。
 此処まで稽古する事から一本目の業の有り様を理解させたのでしょう。二本目も三本目も業技法はいかにもですが、この名人であるより一本目の達人でありたいものです。
 どの仕組みでも一本目にその流の極意が秘められていると思えるのです。
 更に一本目の発早を逆に打太刀に攻め込まれた時の対処が八重垣であり、鱗形と考えられます。
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事1向拂

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
1)一本目向拂
抜刀心持之事(格を放れて早く抜く也 重信流)
向拂
 向へ抜付返須刀二手を返し又拂ひて打込ミ勝
読み
抜刀心持之事(格を放れて早く抜く也)
向拂(むこうはらい)
 向うへ抜き付け 返す刀に手を返し 又 払いて打込み勝
 

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2017年4月17日 (月)

第五回古伝研究の集いを終えてその4

第五回古伝研究の集いを終えてその4
 
 第五回古伝研究の集い終えて、その1、その2、その3と続けてきました。
 
 その1は、古伝神傳流秘書の「詰合」と明治以降の曽田虎彦先生に依る「詰合之位」との違いを明らかにしてきました。
 「詰合之位」も古伝かも知れませんが、土佐に持ちこまれた当初の「詰合」とは似て非なるものと云うのは言い過ぎかもしれませんが、違う事を示し古伝研究の集いはあくまでも「詰合」を学ぶ事に拘りました。
 
 その2は、その違いを古伝神傳流秘書「詰合」一本目発早と、明治以降の曽田先生に依る業附口伝にある「詰合之位」一本目八相を比較して武術の形と武的演舞の形の違いを学んでみました。
 同時に、明治以降の先生方の解説書だけに頼れない事も学びました。
 
 その3は、一つの業の要求からいくつもの技法がある事を学び、問題点を洗い出してみました。それが受け太刀の左手の添え方でした。
 その4は、古伝の要求する事を、いたずらに師伝に固執したり、大家の書籍だけで判断したり、個人的に身に付けた武術の力量だけで判断すべきではない事を学んでみました。
 此の事は、その業を認識したその人の武的力量によって大きく差が出るはずです。
 
 先ず、古伝神傳流秘書の「詰合」を原文のまま読み込んで、書かれている要求事項を最も適切と思える方法で演じてみる事です。
 書かれている通り、否定せずに繰返し修錬しているうちにその事の真髄が見えて来るものです
 その一つが、真向に打ち込まれた場合の受け太刀の有り様で、左手の太刀への添え様で学んでみました。
 
 今回は、「詰合」の二本目拳取を考えてみます。
 古伝神傳流秘書の詰合二本目拳取
「如前楽々足を引抜合我左の手にて相手の右の拳を取り刺す」
 
 是だけしか書かれていないのです。抜き合わせる動作は確認済みです。敵の膝への抜き付けを虎一足の如く受け留め、相手の太刀を持つ右拳を取り制して、刺突する。と言うのです。
 相手の右拳をどの様に制するのでしょう。
古伝の太刀打之事の拳取を学んで、更に参考に明治以降に書かれた曽田先生の業附口伝から太刀打之位二本目の附込、詰合之位二本目拳取の両方を参考にして見ます。
*古伝太刀打之事附込
「・・抜合せ相手後へ引かむとするを附け入り左の手にて拳を取る 右の足なれ共拳を取る時は左の足也」
 
*太刀打之位の附込
「・・逆さまに抜き合わせ敵の引かんとする処を我が左の足を一足附込左の手にて敵の右の手首を取る此の時は左下にきて敵の体勢を崩す心持にてなすべし・・」
 
*詰合之位の拳取
「・・さかさまに抜合わすこと前同様也 我其侭左の足を踏み込み敵の右手首(拳ならん 曽田メモ)を左手にて押へる也・・」
 
*政岡先生の地之巻の詰合之位二本目拳取は、手附は古伝の文言に従っていますが、動作は
曽田先生の業附口伝の様です。
「・・打引かんとす 仕左足を打の右足の外側へふみ込み左手で右手首をとって左下に引く、同時に右手を腰に当て剣尖を喉につける」
 
*三谷義里先生の詳解居合の詰合之位(形)の拳取の動作は政岡先生と同じですが、「・・左手で打の右手首を逆にとって左下に引く・・」
 
*太田次吉先生の土佐英信流の詰合之位の拳取は立位から右膝を折り敷いて床に付け「・・仕は打の右外側に左足を踏込み右手首を握り左膝を着いて打を引き付け胸部を突く・・」ですが写真は右膝を床に着いている様です。
古伝は抜き合わせて敵拳を制するのも同じですが、拳の取り方を特定する事も、立っていても、膝を着いても良いのでしょう。
 此処でのポイントは、抜き合わせるや敵にしっかり附け入って、左手で敵の刀を持つ右手を逆手に取って前下に引き落し、その際左膝を床に付けて折敷、敵体を崩し堅めて刺突する事を選んでみました。各々の先生方の思いはそれなりに入ったと思います。
 何故前下に膝を着いて引き落し堅めたかは、非力な女性や老人でも充分応じられる体制である事が大事と見たからです。
 いたずらに剛力を持って制して見ても術とは言えないでしょう。より安易な方法があるのに工夫をしないのでは稽古とは云えそうにありません。
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取10水月

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
10)十本目水月
水月
 相手高山我切先を向へさし付行時八相に拂ふを外し拳へ打込ミ勝
以上十本
読み
水月(すいげつ)
 相手高山 我切先を向へさし付け行く時 八相に拂ふを外し拳へ打込み勝つ
以上十本

読み解く
 相手は上段に構え、我は「切先を向へさし付け」ですから正眼に構え切先は相手の喉元又は眉間でしょう。
 正眼に構えスカスカと間境を越すや、切っ先を右に振り左拳に誘い相手我が左小手に八相に払って来るのを、右足を斜め前に踏込み同時に左拳を右肘に引付これを外すや透かさず相手の拳に打ち込み左足を踏み込み詰める。

 柳生新陰流の「くねりうち」をやってみましたが、ここは相手が我が正眼に構えた刀を上段から八相に払って来るのでこれを、刀を上に外し踏み込んで相手の拳に打ち込む。というセオリー通りの方法から研究していけばいいと思います。
 「八相に払う」は何処を八相に払うかは指定されていません。刀など払ってもチャンバラでは無いので意味は無いでしょう、一刀の下に我が戦力を奪える処へダイレクトに打ち込まれるのでなければ此の業は活きて来ません。従って我が拳に打ち込ませる技も学ぶことになります。

 政岡先生は、相手上段、我は正眼に差し出して行く。相手斜めに我が刀を払って来るのを切っ先を下げて外し、ふみこんで小手を取る。

*これは竹刀剣道の常道でしょう。
 相手も太刀で、我が太刀を払う様な方法はどうも好きになれません。
 相手に我が身を土壇となして撃ち込ませそれを外して勝は土佐の居合の根底に流れている様に思っていますがいかがでしょう。

 以上十本

 以上十本で大剣取を終わります。
 太刀打之事十本、詰合十本、大小詰八本、大小立詰七本、大剣取十本、合計四十五本の仕組(組太刀)は現代居合では指導する人も無く、稽古する人も疎らです。
 心ある方は何人かで研究しあって、この「思いつくままに」の仕方を完成させていただければと思います。

 第17代大江宗家の残された形のみに固執し、古伝の形を遺棄する方達も居られます。
 然しその方達は土佐の居合が総合武術であったことを忘れ、他流の形や動作をいかにもそれらしく取り込んでいたりします。
 大江先生の教えだけでは不足と考えられ、総合武術としての修行を目指すとする事には異論などあろうはずは有りません、然し元々あったものを学ぶ事を拒否したのでは先師を蔑ろにする事で恥とすべきものでしょう。
 秘事と称して伝書を公にしてこなかったのか、伝授された方の子孫に其の素養が無かったかは知りません。

 この時代居合に依って人を殺傷するなど論外の事です。日夜弛まず抜きつけていく修行によって己を見つめ直し、あるべき姿を描き出し、其れに向って目指す事が究極の目的でしょう。

 誤りと気づく事があれば素直に直せばよいだけです。いたずらに立場を固執すれば道を外してしまいます。

 弟子を持ち師匠と云われる先生方は文化の伝承を担っていると認識し、たとえそれが己の直近の先師が持ちこんだものであっても、明らかに他流の形や動作であれば、見直して常に古伝と照らした上で古伝に返るべきものと思います。

 古伝は大らかです。自流の古伝を伝える者が無ければ、他流から学んだものを工夫して古伝の大らかな手附から業技法をよみがえらせる事も許されるでしょう。
 現代まで継承される流派は多くは体系的にも充分研究されています。我が国の伝統文化そのものです。
 それが現代風に変化していても決して間違いではない筈です。
 そんな研究を弟子達とフランクに語り合え、稽古する様にならなければこの道は廃れて行くでしょう。
 「俺の習ったものと違う」など当たり前のことなのに、師匠の教えしかやらないなまけものや、不器用な者も所属年数が来れば段位も上がり得々としています。
 あまり意味の無い事で、へぼに任せれば道は外れてしまいます。
 優れた人には自然に人は学びに来るものです。実力がなくとも長年の功績による段位が高く、所属年数が長いだけで道場を任せれば流派は滅び去っていくでしょう。

 個々の指導者に頼らず、統一理論を以て「ルールやかたち」を統一してしまっては、武術を踊りとなしてしまい武的演舞を良しとして伝統文化の破壊ともなりうるものです。一部の管理者によって本質を誤る事も有りうるはずです。

 現代は、この神傳流秘書の様に、誰でもに公開されています。流派の掟は一部の人に隠されたものでは無く、志す万人に公開されて行かないと消えてしまいます。

 一対一の武術など大量殺戮兵器の前に消えてしまっても良いと思われる程に武器の開発が進んでいます。そんな中では日本の武術は意味の無いものと思えるかも知れません。
 剣術から派生していく武術は相手の害意に応じる仕方の手引から始まり、絶えざる修練によって何時如何なる状況でも即座に応じる事が出来る心と柔軟な身体を学ぶものであろうと思うのです。

 古伝などに興味は無いと嘯く古参の人がいます。稽古の度に前に出て、如何にも模範と言う様に得々と演じるのですが何の感動も覚えないのは何故でしょう。

 昨日も今日も何の進化も無い心も見えないかたちだけものです。講習会に行ってきた説明をされても「かたち」ばかりです、その人から何を学べばいいのでしょう。
 審査や大会の演武として教えられただけのことしか出来ない棒振りの弱さが演舞となって出てしまうからでしょう。そこまでです。
 真摯に取り組んだ者だけに武術は微笑みかけてくれると信じています。

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2017年4月16日 (日)

.第五回古伝研究の集いを終えてその3

第五回古伝研究会を終えてその3
 
 古伝神傳流秘書の詰合を研究しますと、フリーな意見が飛び出してきます。
 まず前回の一本目発早で仕太刀は打太刀の膝への抜き付けを受け留ました。このままでは拮抗して双方身動きが取れません。
 古伝の要求は「・・虎一足の如く抜て留め打太刀請る上へ取り打込ミ勝也」で仕は打の真向に打ち下ろし、打はそれを受け太刀となって請ける事です。
 
 ・拮抗している処を、仕は打の太刀を、摺上げて上段に振り被るように意見を出す人もいます。
 ・打は受け止められるや、即座に左足を少し引いて、拮抗を破り上段に振り被ろうする、その機に乗じて仕は振り冠るも有ります。
 ・拮抗したまま仕は附け入って振り冠るも有ります。
 ・仕が上段に振り冠らんと拮抗を破るや、打は突きに行けばいい、と要求外の意見も有ります。
 
 状況次第で変化は如何様にもあるものです、然し手附の要求事項は守らねば詰合の発早ではなくなってしまいます。
 
 詰合の二本目は拳取、三本目は岩浪、四本目は八重垣、五本目は鱗形ですが、この五本目まで一本目の発早の抜き付けが初動になっています。
 その上四本目・五本目は打に攻められ仕は頭上で十文字請けするように要求されています。
 此の事は、詰合は打に抜き付けられた場合の仕の応じ方の変化を示してくれているのです。
 そして、十文字請けによる居着く事を避けよと教えてくれているとも取れます。
 にもかかわらず、十文字請けの方法に拘って、受け太刀として最も斬撃に耐えられる手の裡に拘る人もいます。
 受け太刀は攻め太刀となっていなければならないのです。
 頭上での十文字請けは一本目は指定されていませんが、四本目八重垣では「如前抜合たる時相手打込を我切先二手を懸けて請・・」と指定し五本目も同様です。
 この切先に手を懸けて十文字請けする方法は一本目にも応用できるのです。
 十文字請けするや攻撃に転ずる事を五本目の鱗形が示しています、「切先に手を添へ請留直に敵の太刀を摺落し胸をさす也」となります。
 其の為には、切先に添える手の内は請けても十分であり、攻撃にも容易に応じられる手懸かりであるべきでしょう。
 現在みられる手懸かりは、左手親指を我が方にして拇指と食指の股に刀の棟を乗せる様に添えて四指は敵方を向けています。これでは上段からの斬撃に耐え切れません。
 
 左手拇指を我が方にして拇指と食指の股に刀の棟を乗せ小指邱に棟をあてがう様に掌を上にし切先に添えるのが最も斬撃に耐え、摺落す動作に支障のない方法です。
 
 拇指を敵方に向けて刀の外に出し、拇指と食指との股に棟を乗せて掌を敵方に向ける方法も考えられます。
 これは斬撃力を掌に受けるので受け太刀としては良い方法です。
 残念ながら、敵太刀を摺り落とし刺突するには刃を下に向ける際、拇指を切る可能性もあります。
 欠点を補う修練を要求されますが其れだけの価値も有りそうです。
 
 
 
 
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取10水月

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
8、大剣取
10)十本目水月
水月
 相手高山我切先を向へさし付行時八相に拂ふを外し拳へ打込ミ勝
以上十本
*読み
水月(すいげつ)
 相手高山 我切先を向へさし付け行く時 八相に拂ふを外し拳へ打込み勝つ
 以上十本

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2017年4月15日 (土)

第五回古伝研究の集いを終えてその2

第五回古伝研究の集いを終えてその2

 古伝神傳流秘書の「詰合」の一本目は発早です。明治以降の「詰合之位」の一本目は八相で呼び名は同じで文字違いです。

 この文字違いは、どう考えても古伝の「発早」に業呼称のもつ意味が有りそうです。詰合之位の八相は古伝を知らないへぼが見よう見まねで覚えた業に、呼び名が「はっそう」なので手近にある「八相」の文字を送ったのでしょう。

 古伝神傳流秘書詰合一本目発早
 「楽々居合膝に座したる時相手左の足を引下へ抜付るを我も左の足を引て虎の一足の如く抜て留め打太刀請る上へ取り打込み勝也」

 古伝は、相打ちではありません。敵に抜き付けられ請け止めています。
相手請け止められて上段に冠らんとする処、我は左足膝を右足に引き付け敵の真向に打ち下す、敵頭上にて物打ち下に左手を添えて十文字に之を請ける、仕太刀は刀諸共斬り下ろして勝。

 この技は素早い動作を仕太刀に要求しています。敵に先を越されても負けない勝ち口を「発早」として「素早く発っしなさい」と云って居る様に聞こえます。

 曽田先生の実兄が指導を受けた第16代五藤孫兵衛正亮・谷村樵夫自庸の口伝が曽田先生の業附口伝として残されています。

明治以降の業附口伝 詰合之位
「一本目八相(口伝に発早とあり)
是は互に鞘に納めて詰合て相向い右膝立て座る也互に左足を一足引きて倒様に抜合する也(互に右脛へ抜付ける)
其儘ひざを突き仕太刀はかむりて面へ打込也此の時打太刀は十文字に頭上にて請け止むる也
互に合せ血振い足を引き納刀」

 これでは、先ず双方刀を抜き付け相打ちです。その上、仕太刀が真向に打ち込むのを充分間を持って十文字請けしています。「かたち」は詰合も詰合之位も素人では見分けは付かないかもしれません。然し全く別物でしょう、この判別が出来るかできないかで演武と演舞の違いとなってしまうのです。

 この一本目の業では、敵は刀に手を懸け腰を上げつつ刀を抜きかけてきます。
 我は一瞬遅れて刀に手を懸け腰を上げつつ切先まで抜出し、敵が抜き付けて来る部位を右膝に誘います。この誘いなど無いと言う人もいるかもしれませんが、後の先の鉄則は誘いです。
 無謀な動作を要求するならば抜き付けんとする敵の柄口六寸に抜き付けて、うまくいけばこの業は終了です。

 英信流居合之事の虎一足の様に「左足を引き刀を逆に抜て留」たならば、即座に左膝を右足に引き付け敵を圧する様に上段に振り冠って真向に打ち下す。
 古伝は立ったままでも折り敷いても良さそうです。此処は虎一足の真向打ち下しに習った方が良いでしょう。立ったままでは敵の反撃を許してしまう事も出来てしまいます。
 此処では敵が受け留められて態勢を変えようと下がろうとする場合も、剣先を上げて上段に振り冠ろうとする事も有り得るでしょう。
 我は素早く詰め入って上段に振冠って敵が受け太刀の態勢になれなければ両断してしまう気勢が必要です。
 打太刀は、反撃できないとならば、頭上で十文字請けするのがやっとの筈です。
 

 打太刀の十文字請けの方法を研究すべきところでしょう。左手の剣先への添え方一つで受け太刀のかたちは出来てしまいます。
 武術は受け太刀を嫌います。受け太刀にもかかわらず反撃できる手の内もある筈です。
 
 もし、仕太刀が申し合わせの演舞位の心構えならば、まず、打太刀は先んじて抜き付けたが受け止められた拍子に振り冠り真向に打ち込んでしまえばいいのです。それを仕太刀は制して勝、であればすごいことになります。
 仕太刀がへぼならば、受け太刀となった拍子に、打太刀は仕太刀の太刀を摺落して詰める事も学ぶべきでしょう。発早は其処まで要求していませんが。
 詰合は一本ずつの業の完成と、詰合全業を通す事に依って、武術を学ぶ様に組み立てられているフシがあります。標準の形を工夫出来たらそれをとことん完成させなくとも次の業でヒントをもらえそうです。

 この古伝研究は、古伝をよく読み、書かれている言葉を読み取って技につなげていきます。現代の動作と古伝の文言のギャップを認められる柔軟な包容力も必要です。師の教えは、こうだっただけでは参考に過ぎません。

 そして、それが現代と結び付けられればホットするのですが、どうもそうもいきそうにありません。しばらく古伝研究会は続きそうです。

 
 

 

 

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曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取9雷電

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
9)九本目雷電
雷電
 相手高山我左の脇へ切先を上構へ行時打込む処を留勝又相手車二かまへる時ハ我切先を下げて行也
読み
雷電(らいでん)
 相手高山 我左の脇へ切先を上(へ)構え行く時 打ち込む処を留め勝つ 又 相手車に構える時は切先を下げて行く也

読み解く
 この雷電も抜けだらけで困りました。
 相手は上段に構える、我は「左の脇へ切先を上構え行」、この構えは左青眼に構え行くとも取れます。この場合は相手が真向に打ち込んで来るのを、右足を踏み込み受けるや撥ね上げて相手の面に打込み勝つ。

 或は左手に柄を持ち左腰に付け右手を切っ先に添えて切先を上げ、スカスカと間境を越し、相手が真向に打ち込んで来るのを、左手を上げ右手をやや低く顔前頭上に相手の刀を十文字に受け、体を右入り身となって刀を擦り落とし詰める。

 次の「又相手車にかまえる時は我切先を下げて行也」です。相手は車に構え待ちかけています。
 我は下段に構えスカスカと間境を越します。相手車から我が左小手に打ち込んで来るを左手を右腕に引付相手の打ち込む刀を外し、相手の流れる小手に打ち勝。

 政岡先生は「上段に対しては右足を引いて体を開き物打の峰に左手をかけ右拳を右腰に当て剣尖を高く構。
 車に対しては左足をふみ出して刀を水平に構える意ならん。尚「打込処を留勝」となっているが六本目の如く右足をふみ込んで額前で受止め直ちに左足をふみ込みつつ右にすり落として左足からふみ込んで水月を突くべきである。

 「車に対しては」左足を前にして切先を下げ刀を水平に構え、相手が車から上段に振り冠って真向に打って来るのを六本目の栄目の様に額前で受止め右に摺り落とし水月を突く。というのです。車の構えから上段に振り冠って真向に打ち込むのは明治以降の竹刀剣道の方法です。余り参考にしたい方法では無いでしょう。車から打ち込む方法は幾つにも有る筈です。
我が構えの隙は何処か、其処へ誘いたいものです。

 

 

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2017年4月14日 (金)

第五回古伝研究の集いを終えてその1

 第五回古伝研究の集いを終えて
 
 朝から、春の雨が降っています。
 
 雨脚も強くなって最短の道路が渋滞になりだしています。
 この雨では集まりが少なかろうと、今日は「詰合」の業技法を深く掘り下げてみようと思い、少しばかり遅れたドアを開けると、何時もの見慣れた顔が迎えてくれます。
 
 前回の研究会(2017年2月28日第四回古伝研究の集い)で土佐の居合の仕組(組太刀)「詰合」を研究して来ました。
 今回(2017年4月11日第五回古伝研究の集い)は「詰合」の業10本を、古伝の文言に従って考えられる動作を幾つか前回で稽古して見たので、最もわかりやすく、演じやすく、技の決まりも明解な動作を集まった方々と選択して見ようと云う事で集まりました。
 そして研究会による古伝神傳流秘書の「詰合」の基本的な動作を詰めておこうと思うわけです。
 師伝と称するものでも、個人的な研究による思い付きのものでも、過去の大家の教本にある真似でもなく、我々が古伝神傳流秘書を読み、やって見て、こうであろうと思われる「詰合」の創作です。
 「詰合之位」は習ったり見たりしていても、古伝神傳流秘書の「詰合」は見た事も無く、知らないし、習った事などある人は稀であろうと思います。
 最も古伝に近く信頼できる政岡先生の地之巻ですら古伝の「詰合」と「詰合之位」が混線しています。他の先生方のものは明治以降の「詰合之位」です。
 
 詰合は、前回も述べましたが、第17代大江正路先生が伝承をせずに置き捨てたのか、下村派の下村茂市師匠に習わなかったのか、習ったけれど中学生には無理として伝承しなかったのか、限られた道場で何を手附にしてか判りませんが細々と打たれるばかりです。
 其れも、古伝では無く曽田虎彦先生が実兄土居亀江が第16代五藤孫兵正亮から習ったものを、記録して業附口伝としてまとめた江戸末期から維新へ掛けて打たれたであろう「詰合之位11本」がほとんどです。
 
 古伝神傳流秘書では呼称は「詰合」であって「詰合之位」ではありません。
 業数も古伝は10本、明治以降のもので現在打たれているものは11本です。
 我々は、古伝神傳流秘書の「詰合」を研究する事が目的です。
 「詰合之位」も古伝の趣を残していますが、江戸末期にはどの流派でも陥った「形」が単なる「かたち」を演ずるものになって武的演舞に成り下がったものとは異なるものです。
 
 古伝の復元は現代人には出来ないとも云われます。
 明治以降の直線的動作で決まった箇所しか打突の優劣を判定しない竹刀剣道の教えと、其の教えに流されてしまった現代居合の体捌きが古伝の復元の困難な壁になるのです。
 
しかし、流派の伝承は現代風に変化したとしても初期の片鱗は何処かに残されているものなのです、ですからその動作は全て捨て去ることはできません。
 
 戦国時代から江戸時代前期の日本人の日常動作や、武術のあり方が理解でき、実施できない限り、元へ戻れないかもしれません。
 
 さらに命を懸けて白羽の下をかいくぐって来て、作られた形の神髄は、現代剣道の棒振り打突体操では計り知れないかも知れません。
 
私達は、あえて、それに刃向かってみたいのです。
 
 古流剣術の形を習い、順番通り演じるのですが、何かおかしい。それは、形の順番とかたちは間違いないのですが、少しも術が決まらないように、刀を操作する現代人の不器用がなせるものの様です。
 かたちばかりで実が無い。出来ているように見えても剛力で無理やり決めたつもりになって居付いてしまう。
 真剣を以って稽古すればさらにかたちまでも決まらなくなります。かたちはなんとか決まっても術が決まらないのです。武術とは術が決まって武術なのです。
 現代の大家と言われる先生方の教えや、技の決まった写真や、動画も難点が見えてしまい、参考程度を越えてくれないのです。
 
 
 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取9雷電

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
8、大剣取
9)九本目雷電
雷電
 相手高山我左の脇へ切先を上構へ行時打込む処を留勝又相手車二かまへる時ハ我切先を下げて行也
読み
雷電(らいでん)
 相手高山 我左の脇へ切先を上(へ)構え行く時 打ち込む処を留め勝つ 又 相手車に構える時は切先を下げて行く也
 
 

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2017年4月13日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取8橇橋

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
8)八本目橇橋
橇橋
 相手高山我も高山尓て懸る場合尓て車二きっしりとしたる時向の眉間へ切先をさし付手本を上突込ミ勝
読み
橇橋(そりはし)
 相手高山我も高山にて懸かる場合にて 車にきっしりとしたる時 向うの眉間へ切先を指し付け手元を上げ突き込み勝つ

読み解く
 この橇橋は業名も不思議ですが、文章の解読は難解です。
 相手も上段、我も上段にてスカスカと間境に至り、懸っていく場合「車にきっしりとしたる」のは相手か我か解らないのです。
 先ず相手が上段から車に構えを替えた時、我は相手の眉間に上段から切先をさし付け手もとを上げて突き込み勝。
 是では相手は何故車に構えを取ったのか相手の意図が読めません。下手に突き込めば踏み込まれて一刀両断で小手を打たれそうです。

 そこで、車にきっしりとするのは我として見ます。双方上段に構えスカスカと間境に至り我は、車に構える、相手左肩に上段から打込んで来るのを、腰を左に捻って外すと同時に相手の眉間に切先をさし付け手元を上げ突き込み勝。この方がすっきりします。柳生新陰流の一刀両断かとも思えます。

 それでは「車にきっしりとしたる時」が何となくぼけますから、双方車に構え、相手より我が右肩に打ち込んで来るのもいいでしょう。

 いずれにしても抜けだらけの手附けですから、どちらでも勝てる方法を稽古していきます。

 政岡先生は、互いに上段で間に入り、相手引いて車にとるところ、我は透かさず眉間に突き込んで勝。

 相手車に取らんと足を踏み替えんとするを機に、我は剣先を下げて正眼に構え踏み込んで眉間に突き込んで勝でしょう。
 他流の技を心得ていれば、返し技も出てきそうです。申し合わせの形打に終わったのでは古伝が泣きそうです。かと言って独創も憚られます。

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2017年4月12日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取8橇橋

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
8、大剣取
8)八本目橇橋
橇橋
 相手高山我も高山尓て懸る場合尓て車二きっしりとしたる時向の眉間へ切先をさし付手本を上突込ミ勝
読み
橇橋(そりはし)
 相手高山我も高山にて懸かる場合にて 車にきっしりとしたる時 向うの眉間へ切先を指し付け手元を上げ突き込み勝つ

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2017年4月11日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取7山風

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
7)七本目山風
山風
 相手高山我切先をさけ前二構へ行時相手打込を左右いずれなり共請請流し拳へ勝
読み
山風(やまかぜ)
 相手高山 我れ切先を下げ前に構え行く時 相手打込むを左右何れなりとも 請け請け流し拳へ勝つ
読み解く
 相手上段、我は「切先を下げ」ですから、下段に構えスカスカと間境を越す、相手は上段から真向に打ち込んで来る、或は右面、左面に打込んで来る、我は左足を左前に踏込み、柄を左に右肩を覆う様に請け留め請け流し拳へ勝。或は右足を右斜め前に踏込み柄を右に左肩を覆う様に請け留め請け流し拳へ勝つ。 
 
 上段からの打ち込みですから真向、左面、右面いずれでも「請請流し」の文言に従って、顔前頭上で十文字に請け留めて、体を躱して摺り落し相手の拳に打ち込み勝。
 十文字請けは真向及び左面へ切込まれても切先を左で請け右に体を躱して打込む、右面の場合は切先を右に十文字に請け体を左に躱して打込む。

 上段からの左右の打ち込みを見分けられない様では応じられず、切先左のみの「請請流す」では不都合も有りそうです。
 出足が右だろうと左だろうと左右いずれにも応じられるようになりたいものです。
 体捌きとそれに付随する足捌きのよい稽古です。
 「請請流し拳へ勝つ」にポイントがある業です。

 真向打ちを誘う様に下段から切先をすっと僅かに上げるのも有でしょう。
 下段からの請け流しは、顔前頭上で正座の部の受流の様にしてみましたが、ここにも幾つもの工夫があってしかるべきものです。例えば、切先を突き上げる様にして請け請け流す。
現代居合の不十分な処を補う良い業です。そして相手の「拳へ勝」ですから、相手は流されて打たしてくれる首や肩ではありません。

 政岡先生は「左右何れなり共請請流し」を左右の足捌きにあてておられます。
「下段に構えて間に入る時、右足の出た時打下されたなら左足を左前にふみ込んで右に請け流し、左足の出た時打下されたなら右足を右前にふみ込んで左に請流すべきならん」
とされています。

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2017年4月10日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取7山風

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
8、大剣取
7)七本目山風
山風
 相手高山我切先をさけ前二構へ行時相手打込を左右いずれなり共請請流し拳へ勝
読み
山風(やまかぜ)
 相手高山 我れ切先を下げ前に構え行く時 相手打込むを左右何れなりとも 請け請け流し拳へ勝つ

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2017年4月 9日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取6栄月

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
6)六本目栄月
栄月
相手高山我切先を左へさし胸へ横耳當かまへ行時相手打込を切先に手を添へ請入る
読み
栄月(えいげつ)
相手高山 我れ切先を左へ指し 胸へ横に当て構え行く時 相手打込むを 切先に手を添え 請け入る

読み解く
 栄月とは何とも風流な業名です。
 相手は上段に振り冠り、我は柄を右に、切先を左に、左手で刀の物打ち下に添え、刀の棟を胸に宛て、スカスカと間境を越し、「ふっと」止まるや、相手真向に打ち込んで来るのを両手を上げ顔前頭上に刃を上にして左足を踏込み十文字に請ける。即座に入り身となって相手の刀を右に摺り落とし、左足を踏み込んで相手喉に突き込む。

 是は面白い業です。刀を抜き出して切先を左に向け横にして左手で刀身をささえて刃を上に向けてスカスカ歩み行くのでしょう。
 我の異様な接近に相手がオヤと思う処をチョット立ち止まって相手の打ち気を誘ってみました。
 十文字請けからの摺り落としは太刀打之事や詰合ですでに稽古済みです。

 政岡先生は無双直伝英信流居合兵法地之巻では「栄目」と業名をあげておられますが之は誤植で「栄月」に訂正されています。
 「左足をふみ出して正面向きのまま柄にかけた右手は腹の右前、物打の峯に添えた左手は腹の左前で、刀は水月の前で刃は前に向き、両前膊は水平に構える。間に入るや正面に切り下されたので額前で十文字に受け止める(刃は上向く)直ちに左足をふみ込みつゝ右にすり落し、左足からふみ込んで水月を突く。」

 この業は、どうやら柳生新陰流の九箇之太刀の「捷径」の様です。

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2017年4月 8日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取6栄月

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
8、大剣取
6)六本目栄月
栄月
相手高山我切先を左へさし胸へ横耳當かまへ行時相手打込を切先に手を添へ請入る
読み
栄月(えいげつ)
相手高山 我れ切先を左へ指し 胸へ横に当て構え行く時 相手打込むを 切先に手を添え 請け入る

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2017年4月 7日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取5栄眼

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
5)五本目栄眼
従是相寸
栄眼
 相手高山我は左青眼二構へる時相手横耳拂ふを放して拳へ勝
読み
従是相寸(これよりあいすん)
栄眼(えいがん)
 相手高山 我は左青眼に構える時 相手横に拂うを放して拳へ勝
読み解く
 是より相寸、ですから我も相手も太刀を持っての攻防です。
 相手高山ですから上段に構えています。この上段は、太刀を頭上に45度に高く構え、左拳は頭上、又は顔前頭上(額の上)でしょう。顔前頭上は竹刀剣術の統一方法の構えでしょう。

 我は左青眼ですから、太刀の切っ先を相手の左目に付け、又は相手の上段に構えた左肘につけ右足前にしてやや半身に構えます。
*
左青眼・右青眼の定義は、曽田本その1の2英信流目録の小太刀之位を参考にします。
 左青眼:敵の左眼へ切先を付ける、この場合右足を前
 右青眼:敵の右眼へ切先を付ける、この場合左足を前

  高野佐三郎先生の「剣道」に従えば、中青眼が基本で、平青眼が左青眼でしょう。右足前の上段を右上段、左足前の上段を左上段と定義されています。それに従えば古伝の左青眼は右青眼となります。

 此処では、英信流目録を優先します。
 相手上段、我は左青眼に構えスカスカと間に入るや「相手横に払う」、さて相手は我のどこを横に払ってくるかは何も書かれていません。
 左青眼に構えた太刀かも知れません、右拳かも、左拳かも知れません。あるいは肩かもしれません。

 上段から「横に払う」は動作が大きくなりますから、相手も工夫が必要です。相手は上段ですから左右いずれでも打ち下ろせます。

 我は左青眼ですから剣先は右です。左拳が相手に誘う様にあるのですが、初めは、相手は八相から横に我が太刀を払ってくるのを太刀を上に外し即座に相手の拳に打ち込む。

 相手が、左拳を払って来る場合は、左拳を上げ相手太刀をはずすと同時に我が太刀先を下げて相手の拳に切り込む。是は柳生新陰流の三学円之太刀の「半開半向」の「ほうり込み」が使えます。

 政岡先生は相手が太刀を八相から横に払って来るのを切っ先を下に外し、流れた相手の拳に切っ先を挙げて打ち込む。
 太刀を下げて外した場合、上に戻してから、外された相手の拳に打ち込むのは拍子が遅れます、上に上げて下すだけで充分な筈です。

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2017年4月 6日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取5栄眼

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
8、大剣取
5)五本目栄眼
従是相寸
栄眼
 相手高山我は左青眼二構へる時相手横耳拂ふを放して拳へ勝
読み
従是相寸(これよりあいすん)
栄眼(えいがん)
 相手高山 我は左青眼に構える時 相手横に拂うを放して拳へ勝

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2017年4月 5日 (水)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取4鉄石

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
四本目鉄石
鉄石
 是も前の如く坐し是は廻り寄りて切らんと心得て抜かざる時行なり二小太刀尓て地をハタと叩いて気をうばうて入りてさ春
従是相寸
読み
鉄石(てっせき・てついし?)
 是も前の如く坐し 是は 廻り寄りて 切らんと心得て抜かざる時 行くなりに小太刀にて地をハタと叩いて 気を奪いて 入りて刺す
是れより相寸
読み解く
 是も相手は「前の如く坐し」ですから居合膝に坐す処、我が「廻り寄りて」は、めぐりよりて、めぐってきて、相手はそばに寄ってくれば切ろうとしているが抜こうとしない時、我は小太刀を下げてスカスカと間境に歩み行き、体を低め、小太刀で地をハタと叩き相手の気を奪い、相手が抜こうと抜くまいと体を低めたまま中に入り、相手の柄手を制して刺す。

 いささか、文章が解りずらいのですが、抜こうとしているが、抜く気があっても抜こうとしない相手の気を奪って付け込んで刺す、という業です。
 仕組の稽古でこの気を出せるかは難しいでしょうが、業に成りきって稽古する事も大切な事だろうと思います。

 政岡先生は、相手が抜かないので抜刀して地面をはたと打つと抜きはじめる、そこを飛び込んで右手をおしあげてさす。としています。

 「従是相寸」これより相寸
四本目までは相手は太刀我は小太刀での攻防でした。五本目以降は相寸です。双方太刀を帯して行います。

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2017年4月 4日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取4鉄石

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
8、大剣取
四本目鉄石
鉄石
 是も前の如く坐し是は廻り寄りて切らんと心得て抜かざる時行なり二小太刀尓て地をハタと叩いて気をうばうて入りてさ春
読み
鉄石(てっせき・てついし?)
 是も前の如く坐し 是は 廻り寄りて 切らんと心得て抜かざる時 行くなりに小太刀にて地をハタと叩いて 気を奪いて 入りて刺す

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2017年4月 3日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取3外石

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
3)三本目外石
外石
 是無剣の如く放したる時又右より打を留入りてさ春
読み
外石(がいせき・そといし?)
 是 無剣の如く放したる時 又 右より打つを留め入りて刺す
無剣 参考
 相手居合膝二坐し居る処へ小太刀をさけかくる相手抜打つを放し入りて刺す

読み解く
 これは、奥居合居業の一本目現代居合の「霞」古伝の抜刀心持之事の一本目「向払」に応じるものでしょう。

 相手居合膝に座す処へ我はスカスカと小太刀を下げて間境を越す、相手抜き打ちに出足を払って来るので出足を引いてこれを外す。相手は手を返して、進んで我が左方より切り替えして来る、これを踏み込んで小太刀で請け留め、中に入って刺す。

 間境に右足で踏み越える処、相手その右足に抜き付けて来る、我は右足を引いてこれを外す。
 相手抜き払って外されたので手を返し、左足を右足に引き付け右足を踏み込んで我が左足に切り返して来る。
 我は左足に小太刀を接する様にしてこれを請け留め、我れ右足を踏み込んで相手に付け入って刺突する。形にはなりますが、すさまじい技です。

 政岡先生は、打の動作は奥居合「霞」の動作である。相手のぬき付けを引き外し、返す刀を受け留め、跳ね上げて飛び込んでさす。
 相手の太刀を我が小太刀で受け止め、跳ね上げる、とされています。

 

 

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2017年4月 2日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書原文8大剣取3外石

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
8、大剣取
3)外石
外石
 是無剣の如く放したる時又右より打を留入りてさ春
読み
外石(がいせき・そといし?)
 是 無剣の如く放したる時 又 右より打つを留め入りて刺す
無剣 参考
 相手居合膝二坐し居る処へ小太刀をさけかくる相手抜打つを放し入りて刺す
 

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2017年4月 1日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く8大剣取2水石

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
8、大剣取
2)二本目水石
水石
 如前く待処へ小太刀をさけかくる時相手深く懸って抜付るを小太刀を持ちたるなり尓て止入りてさ春
読み
水石(みずいし・すいせき)
 前の如く待つ処へ 小太刀をさげかくる時 相手深く懸かって抜き付けるを 小太刀を持ちたるなりにて止め 入りて刺す
読み解く
 相手居合膝に座す処、我は小太刀を下げてスカスカと間境を越して行く。相手、我が胴に抜き付けて来るを、踏み込んで小太刀にて請け止めるや、身を低め相手の懐に入り、左手で相手の右肘を制し刺す。
 小太刀で抜き付けられた太刀を請けるには、腰を入れてしっかり刃で請ける、小太刀を体から離して及び腰になればはねられてしまいます。右足に添えるように踏み込んで請ける事も課題です。

 間境にスカスカと入るは、左足で踏み込み相手の打ち気を誘う様にして、抜き付けて来るや右足を踏み込み小太刀で相手の刀を請け止め、左膝を右足踵に引き付け体を下げ、右足を踏み込み相手の中に付け入って、左手で相手の右肘或は右手首を、下に押し付けて制する。
 又は、相手が、請け止められて、即座に上段に振り被るを機に相手の右肘を我が左手で押上げ小太刀で刺突する。

 政岡先生は、相手が抜き付けて来るのを抜請けに留め、小太刀で相手の太刀をはね上げ飛び込んで刺します。

 

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