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2017年4月18日 (火)

第五回古伝研究の集いを終えてその5

第五回古伝研究会を終えてその5
 
 古伝神傳流秘書の詰合三本目の岩浪は、二本目の拳取のように今度は「・・相手より拳を取りたる時」で、拳を取られ制せられそうになった時の攻防です。
 「我よりも前の如く取り我が太刀を放し右の手にて敵のひじのかゞみを取り左脇へ引きたおす」
 相手の拳を同様に取るや拳を取られている右手の太刀を放して、右手を相手から振りもいで自由にし、相手の肘のかゞみに右手を懸けて引き倒すのです。
 
 明治以降の曽田先生の業附口伝も同様業名は「岩浪」です。業名の違いは三谷先生の詳解居合では「波返」、大田先生の土佐英信流は「岩浪」、政岡先生の地之巻は文字違いの「岩波」。
 
 業の部分を敢えて言えば古伝の詰合は「相手より拳を取り・・」ですが、「我が右の手首を左の手にてとる・・」ところでしょう。
 現代の詰合之位では動作は同じですが、この右拳(右手首)を取る時「逆に取る」と付け加えられています。小手を返す様に取るとでも言うのでしょう。
 
 太刀を放すのは、柄の握りを放せば容易ですが、相手に握られた手首を自由にするには柄を放すと同時に拳を後方に引いてやれば簡単に外せます。
 相手を引き倒すには、逆手に取った手首を上に上げる様にして、相手の肘に右手を上から押える様にして掛け右足を踏込み左足を引いて引き倒す。
 また相手の右手首を逆手に返して、我が右手を相手の右ひじの下から差し込み腕を締める様にして右足を踏込み左足を引いて引き倒す。
 
 此処は相手を仰向けに引き倒す方が見栄えが良いでしょうが、俯けに引き倒すも状況次第でしょう。
 
 引き倒した後の始末は古伝にはありませんが、演武では拳で引き倒した相手の顔面でも水月でも短刀を抜いて突くのも古伝ならでわのものです。
 引き倒した相手を引き起こし元の位置に戻る動作は演武のための動作に過ぎずとやかく言わず静かに残心を意識して演ずるものでしょう。
 この岩浪は詰合の業のうち唯一引き倒しのある技です。
 一本目発早で出遅れを取り戻し相手の抜打ちを受け留め、真向打ちで勝負を付ける。
 二本目拳取で引かんとする相手を逃がさずに付け入って制する。
 三本目の岩浪で相手の抜き付けを請けとめたが相手が即座に付け入って我が拳を制しに来るのを逆に攻め引き倒す。
 此処まで稽古する事から一本目の業の有り様を理解させたのでしょう。二本目も三本目も業技法はいかにもですが、この名人であるより一本目の達人でありたいものです。
 どの仕組みでも一本目にその流の極意が秘められていると思えるのです。
 更に一本目の発早を逆に打太刀に攻め込まれた時の対処が八重垣であり、鱗形と考えられます。
 
 
 

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