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2017年4月15日 (土)

第五回古伝研究の集いを終えてその2

第五回古伝研究の集いを終えてその2

 古伝神傳流秘書の「詰合」の一本目は発早です。明治以降の「詰合之位」の一本目は八相で呼び名は同じで文字違いです。

 この文字違いは、どう考えても古伝の「発早」に業呼称のもつ意味が有りそうです。詰合之位の八相は古伝を知らないへぼが見よう見まねで覚えた業に、呼び名が「はっそう」なので手近にある「八相」の文字を送ったのでしょう。

 古伝神傳流秘書詰合一本目発早
 「楽々居合膝に座したる時相手左の足を引下へ抜付るを我も左の足を引て虎の一足の如く抜て留め打太刀請る上へ取り打込み勝也」

 古伝は、相打ちではありません。敵に抜き付けられ請け止めています。
相手請け止められて上段に冠らんとする処、我は左足膝を右足に引き付け敵の真向に打ち下す、敵頭上にて物打ち下に左手を添えて十文字に之を請ける、仕太刀は刀諸共斬り下ろして勝。

 この技は素早い動作を仕太刀に要求しています。敵に先を越されても負けない勝ち口を「発早」として「素早く発っしなさい」と云って居る様に聞こえます。

 曽田先生の実兄が指導を受けた第16代五藤孫兵衛正亮・谷村樵夫自庸の口伝が曽田先生の業附口伝として残されています。

明治以降の業附口伝 詰合之位
「一本目八相(口伝に発早とあり)
是は互に鞘に納めて詰合て相向い右膝立て座る也互に左足を一足引きて倒様に抜合する也(互に右脛へ抜付ける)
其儘ひざを突き仕太刀はかむりて面へ打込也此の時打太刀は十文字に頭上にて請け止むる也
互に合せ血振い足を引き納刀」

 これでは、先ず双方刀を抜き付け相打ちです。その上、仕太刀が真向に打ち込むのを充分間を持って十文字請けしています。「かたち」は詰合も詰合之位も素人では見分けは付かないかもしれません。然し全く別物でしょう、この判別が出来るかできないかで演武と演舞の違いとなってしまうのです。

 この一本目の業では、敵は刀に手を懸け腰を上げつつ刀を抜きかけてきます。
 我は一瞬遅れて刀に手を懸け腰を上げつつ切先まで抜出し、敵が抜き付けて来る部位を右膝に誘います。この誘いなど無いと言う人もいるかもしれませんが、後の先の鉄則は誘いです。
 無謀な動作を要求するならば抜き付けんとする敵の柄口六寸に抜き付けて、うまくいけばこの業は終了です。

 英信流居合之事の虎一足の様に「左足を引き刀を逆に抜て留」たならば、即座に左膝を右足に引き付け敵を圧する様に上段に振り冠って真向に打ち下す。
 古伝は立ったままでも折り敷いても良さそうです。此処は虎一足の真向打ち下しに習った方が良いでしょう。立ったままでは敵の反撃を許してしまう事も出来てしまいます。
 此処では敵が受け留められて態勢を変えようと下がろうとする場合も、剣先を上げて上段に振り冠ろうとする事も有り得るでしょう。
 我は素早く詰め入って上段に振冠って敵が受け太刀の態勢になれなければ両断してしまう気勢が必要です。
 打太刀は、反撃できないとならば、頭上で十文字請けするのがやっとの筈です。
 

 打太刀の十文字請けの方法を研究すべきところでしょう。左手の剣先への添え方一つで受け太刀のかたちは出来てしまいます。
 武術は受け太刀を嫌います。受け太刀にもかかわらず反撃できる手の内もある筈です。
 
 もし、仕太刀が申し合わせの演舞位の心構えならば、まず、打太刀は先んじて抜き付けたが受け止められた拍子に振り冠り真向に打ち込んでしまえばいいのです。それを仕太刀は制して勝、であればすごいことになります。
 仕太刀がへぼならば、受け太刀となった拍子に、打太刀は仕太刀の太刀を摺落して詰める事も学ぶべきでしょう。発早は其処まで要求していませんが。
 詰合は一本ずつの業の完成と、詰合全業を通す事に依って、武術を学ぶ様に組み立てられているフシがあります。標準の形を工夫出来たらそれをとことん完成させなくとも次の業でヒントをもらえそうです。

 この古伝研究は、古伝をよく読み、書かれている言葉を読み取って技につなげていきます。現代の動作と古伝の文言のギャップを認められる柔軟な包容力も必要です。師の教えは、こうだっただけでは参考に過ぎません。

 そして、それが現代と結び付けられればホットするのですが、どうもそうもいきそうにありません。しばらく古伝研究会は続きそうです。

 
 

 

 

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