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2017年4月25日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事4両詰

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
4)四本目両詰
両詰
 抜て片手尓て左脇を突き直二振向いて右脇を切る
 右脇へ抜打二切り付希左を斬る(曽田メモ追記)
読み
両詰(りょうづめ)
 抜きて片手にて左脇を突き直ぐに振り向いて右脇を切る
 右脇を抜打ちに切り付け左を斬る(曽田メモ追記)
読み解く
 両詰の業名は大江先生の改変によって、我が左右に障碍物や壁など在って、横一線に抜き付けるのが出来ない様な場の状況で、刀を前に抜出し切先を返して前方の相手を刺突し上段に振り冠って打ち下し勝、障害物に当たらない様に狭めた横への血振り、納刀も半身になって上から落とし込む様な納刀をする業として指導されています。
 是は前回の向詰の動作です。業名が入れ替わってしまっています。

 古伝は、相手は一人では無く、左右に一人ずつ詰め寄って座す場合の運剣を、この業としています。従って、先ず右脇の相手を柄頭で牽制し、刀を右に抜くや、左の敵を見て左の敵を刺突し、右の敵に振り向いて上段から斬り下し勝。左右の敵に応じるものです。左右に障碍物は無く、対敵に対する想定なのです。

 大江先生の居合は、対敵意識が乏しいもので、我の置かれた場の状況が優先しています。対敵との位置関係も場の状況によって固定されます。

 右の敵に片手で抜き打ちに斬り付け、左に振り向き斬り付ける。
この、左の敵を突いてから右敵を斬る技と、右敵を片手で抜き打ち、左の敵を斬る、二つの動作で、左右から詰め寄る敵を倒す技です。

 この動作から、是は現代居合の奥居合居業三本目戸詰、四本目戸脇だと気付きます。現代では戸詰、戸脇と場を表す語句に反応して、本来は敵の位置情報を示していたものを、戸襖の有る場の特定の条件での攻防に変化してしまいました。

 古伝は大らかです、左右の敵は、大まかに左側、右側位に考え、敵の位置を動かして二つの動作を使って運剣を自由自在に出来れば良いのでしょう。

 英信流居合目録秘訣の上意之大事「両詰」では「是又仕物抔言付られ又は乱世の時分抔には使者抔に行左右より詰かけられたる事間々これあるなりケ様の時の心得也尤其外とても入用也左右に詰かけられたる時一人宛切らんとするときはおくれを取るなり故に抜や否や左わきの者を切先にて突すぐに右を切るべし其わざ唯手早きに有亦右脇の者に抜手を留らるべきと思う時は右を片手打に切りすぐに左を切るべし」

 古伝には、敵との関係から如何に自らを処するかが述べられています。ですから大江先生が如何に力強く華麗な運剣をされたとしてもそれは単なる運剣技法であって、古伝の根元とは異なると思います。

 現代居合は、特定の場の状況に応じるだけの業技法に偏って、本来の命を懸けて闘う居合心を学ぶことが失われています。

 決められた形を華麗に演じて武術だというのです。演武では無く、武的演舞、芸に過ぎないのですが、多くの人がそれでも武を論ずるのも愉快です。ですから些細なことに拘って、「先代の居合がいい、いや当代だ」など愚かなことも聞かされるのでしょう。

 

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コメント

こんばんは。左の敵を刺す時、①左膝を付き右足を立てた身勢、あるいは②左足を立て踏み込み右膝を付いた身勢かは、敵と我との間合い(敵の動き)次第と思うのですが.....。敵は左後と右前でなければならない!偉い範士がこう言ったなどと枠にはめる指導しかできない高段者には閉口してます。文盲に、いくら神伝流秘書を見せても全く理解できないので、私も諦めました(笑)。こういう段位を嵩に着る輩が不祥事を起こす原因なのかなと思ってます。今年5月の全剣連居合八段審査は金銭スキャンダル疑惑により延期保留。全剣連創立以来、前代未聞。迂闊なこと言うと、ミツヒラ先生のブログが炎上どころか爆発しかねませんけど(笑)。4月末発売の剣道日本、剣道時代にもバッチリ書かれてます。八段の名誉欲と権勢欲!古伝の探求と技法の体得を目指す求道者には、全く理解不能。古流と制定居合では、相容れない「何か」があるのは事実です。流派の枠を超え、制定居合と段位を作ったはイイが、どこかで居合の理念が歪み狂ってきたか?夏にかけて、スキャンダルがどんな結末になったとしても、もう世間に顔向けできない事態となりました。残念ですが、全剣連は居合道部を除名したほうが健全になるかもしれません。

兵法流浪さま
コメントありがとうございます。
左右でも前後でも複数に詰め寄られた場合の応じ方は、古伝でも標準仕様しか語っていないのは、後は自分で工夫しなさいと言っているのでしょう。
それでいいのでしょう。

従って現代居合の想定によってはその様にすればいいだけに過ぎません。と思っています。それが上手に出来ても実戦には何の役にも立たない事は何度も語ってきました。せいぜい昇段審査の演舞か競技会の演舞ですからそれまでです。

標準技法からどれだけバリエーションを生み出せるかが古伝の大らかな教えでしょう。
古伝なんかに興味は無いと云って居る高段者もいますがそれは武的演舞派ですから武術を語る資格はないので相手にせずに聞き捨てています。

審査会の疑念は今後の趨勢がたのしみです。
業を特定し、年齢制限や、現段位取得からの所定年数の経過待ちなど何を基準に定められたのか、何処まで業技法の根源が解かっていて現状維持しているのか疑問です。
現状維持されないと過去にそれで地位を築いた人はみじめになります。
本来総合武術を目指すのが武術であったものを細切れにして置きながら、剣道・居合・杖をワンセット連盟で持ってもそれぞれ独立していたのでは大した意味は無さそうです。
スポーツと武術は所詮別物でしょう。幻を追っているだけに過ぎない気がします。
          ミツヒラ

投稿: 兵法流浪 | 2017年5月 1日 (月) 23時38分

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