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2017年4月20日 (木)

第五回古伝研究の集いを終えてその7

第五回古伝研究の集いを終えてその7

 この第五回古伝研究会は、稽古を終えての覚書がその1~その7に及ぶ長編になってしまいました。感想だけを楽しそうに書くだけならば数行で終わるのですが、古伝の研究が深まり詰合之位を良く稽古する人が増えれば、その蘊蓄は次々に新しい思い付きが吹き出て来るものです。

 それらは、それぞれが、今の実力でしっかり受け留帰ってから振り返りをする事で完成していくでしょう。気になるのは古伝の神傳流秘書の「詰合」を研究するのですが、ともすると参考にする 、明治以降に表された曽田先生の業附口伝の「詰合之位」と混同してしまう事や、現在師匠から習った事、あるいは大家の解説書から出てこれない居附きの姿勢です。

 仕組の業数は大凡、七本~十本ぐらいですがそれぞれの業が独立して完結していると思うのではなく、全業通しで語りかけて来る様に組み立てられているのが古伝神傳流秘書の特徴の一つです。

 習うには、個々の業の基本を学ぶけれど、奥義に至るには通して学び身に付ける様に工夫されています。従って事前準備も「詰合」ならば全業十本をよく読んで置く心掛けも必要です。

 今回は、「詰合」の五本目鱗形を振り返ります。

古伝神傳流秘書「詰合」五本目鱗形
「如前抜合せ相手打込むを八重垣の如く切先に手を添え請留直に敵の太刀を摺落し胸をさす也」

明治以降の曽田先生の業附口伝「詰合之位」五本目鱗形
「坐り方同前左足を一足引き抜合せ 其時敵すぐに我面へ上より打つ也 我もすぐに太刀の切尖へ左の手を添へて十文字に請て左の足を踏み込み摺込み勝也 刀を合せ血振ひ納刀」

 「詰合」一本目の仕太刀、打太刀が入れ替わっています。受け太刀の方法については学んできました。額前頭上で敵太刀を請けて刀諸共両断されては困ります。請けるや摺落して勝を制する事を学ぶものです。

 演武を見て居ますと仕がしっかり額前頭上で十文字請けして、打も打ち込んで拮抗しています。申し合わせですから打は仕が術を出すまで待っています。

 古伝の文章には「請留直に敵の太刀を摺落し胸をさす」とあって「がちんと受け留め、よいしょと摺り落せ」とは書いてありません。

 然し、業附口伝は「十文字に請て左の足を踏み込み摺込み勝」となっています。現代の詰合之位は、足を踏み替えて、若しくは足を踏み替えながら摺落せと言うのです。
 古伝は、違います。これは「十文字に請けた当り拍子に摺落し打の胸に詰めろ」と解するものでしょう。

 やって見ます。
「前の如く抜き合わせ、相手、上段に振り冠りつつ左足膝を右足踵に引き付け打ち込まんとするを、我右足を引くや、切先に左手を添えて額前頭上にて敵太刀を十文字請けする当り拍子に体を左入身となし切先を敵の眉間に付けると同時に摺落し詰める」

 よいしょとばかりに押落すのとは違います。当り拍子に瞬時に落としてしまいます。

 左右何れにても出来るのですが、右足前の場合は右手を切先に添える必要があるので少々修練が必要です。古伝は坐して十文字に請けろとも立って請けろともいっていません。立った方が多少容易です。
 此の十文字請けを理解出来れば一本目の打太刀の十文字請けも、左手を切先に添えて請ける様にしておくのが良いでしょう。柄を左に両手で持ち切先を右に受け太刀とする教えが横行していますが、請け太刀を嫌う場合を研究しておくべきでしょう。

 第五回の研究会はここまでです。以降は次回の「第六回古伝研究の集い」に譲ります。

 

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