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2017年5月 5日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事9行連

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
9)九本目行連
行連
 立って歩ミ行内二抜て左を突き右を切る両詰に同事也
読み
行連(ゆきつれ、ゆきづれ)
 立って歩み行くうちに 抜いて左を突き 右を切る 両詰に同じ事也
参考 両詰
 抜て片手尓て左脇を突き直二振向いて右脇を切る
 左脇へ抜打二切り付希左を斬る
読み解く
 抜刀心持之事は七本目からは立業です。
 両詰は抜刀心持之事の四本目「両詰」です。
「抜て片手にて左脇を突き直に振向いて右脇を切る、(右脇へ抜打に切り付け左を切る)」

 立って歩み行くところ、行連れに左右より詰め寄られ害意を察し、右の敵を柄頭で牽制し、左に振り向き、抜刀するや左敵を刺突し、すかさず振り返って右の敵を真向から切下して勝。

 両詰に同じであれば、右敵をまず片手抜き打ちに切り、振り向いて左敵を切る、もありでしょう。

 古伝はあくまでも左右の敵であって、そこから敵の位置関係の変化は説いていません。

 大江先生の現代居合はこれを奥居合立業の「行連」と「連達」の二つの業に改変されています。
 「行連」は右敵に抜き打ち、左敵に振り向いて上段から切り下しています。
 「連達」は左敵を刺突し、右敵を上段から切り下しています。

 大江先生の改変の意図が全く理解できません。この神傳流秘書は第九代林安大夫守政により伝えられたものですから、谷村派、下村派の分離以前の伝書です。
 其れを下村派の山川久蔵幸雅が書き写した物が残ったのです。

 現在の無双直伝英信流の奥居合の手附は、江戸末期には変わって来ていたかもしれません、そうであれば正しい伝承は大江先生の道統には無かったとも思われてしまいます。
 かと言って、大江先生は初めは、下村派の下村茂市定の居合を習い後に谷村派の五藤正亮の居合を習ったと事実は解りませんが教え伝えています。両方の根元之巻を受けていた証しは無さそうです。
 解からない事に捉われず、古伝は古伝、現代居合は現代居合として理解することから得るものを得れば良いのだろうと達観しています。

 古伝の心持ちは英信流居合目録秘訣の上意之大事「両詰」で紹介しておきましたが振り返ります。
 「是又仕物抔言付られ又は乱世の時分抔には使者抔に行左右より詰かけられたる事間々これあるなりケ様の時の心得也尤其外とても入用也左右に詰かけられたる時一人宛切らんとするときはおくれを取るなり故に抜や否や左わきの者を切先にて突すぐに右を切るべし其わざ唯手早きに有亦右脇の者に抜手を留らるべきと思う時は右を片手打に切りすぐに左を切るべし」

読み
 これ又仕物など言い付けられ、又は、乱世の時分などには使者などに行き、左右より詰め懸けられたる事、まゝこれ有るなり、斯様の時の心得也。
 もっとも其の外とても入用也、左右に詰め懸けられたる時、一人宛て切らんとする時は遅れを取る也、故に、抜くや否や左脇の者を切先にて突き、直ぐに右を切るべし。
 その技ただ手早きにあり、又、右脇の者に抜き手を留めらるべきと思う時は、片手打ちに切り、直ぐに左を切るべし。

 この、古伝の教えは「其わざ唯手早きに有亦右脇の者に抜手を留らるべきと思う時は右を片手打に切りすぐに左を切るべし」に、奥居合の抜刀心持が集約されています。
 ゆっくり・大きく・正確にから、手早く、敵との場合を如何に処理できるか、現代居合の評価法では武術を理解するには不可能です。
 振り向いた時、敵は既に上段から打ち込んで来ているのです。 

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