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2017年5月25日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事19弛抜

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
19)十九本目弛抜
弛抜
 如前歩ミ行敵より先に打を躰を少し開き弛之て抜打に切也
読み
弛抜(ゆるみぬき・はずしぬき)
 前の如く 歩み行く 敵より先に打つを 躰を少し開き弛して 抜き打ちに切る也
参考 如前の十八本目抜打
 歩み行中に抜打二切敵を先二打心也
読み解く
 この業は、手附をよく読み、現代居合の奥居合立業の「受流」と違う事に気が付きます。それは「敵より先に打を躰を少し開き弛之て抜打に切」の所です。
 敵が斬って来るのを、体を少し開いて敵の刀を弛し(外し)て、敵を抜打つのです。
 双方歩み行き間合いに至るや、相手が抜刀して真向に斬り下ろして来る、我は両手を刀に懸けると同時に、右足右斜め前に少し踏み込み体を開き、右半身となって相手の打ち込みを外し、左足を右足に追い相手の真向に打込む。敵の打ち込みを外してしまえば真向でも片手袈裟でも横一線の抜き付けでも、下からの切上げでも状況次第に応じられるものです。

 稽古ではまず「体を少し開き弛之て」ですから刀を上に抜上げ左足前ならば右に、右足前ならば左に筋を替えて相手の打ち込みを外し同時に斬り下ろすでしょう。
 
 或いは、右足前ならば左足を右足前右にチドリに踏込み右足を右に踏込み体を左に開きつつ刀を抜上げ敵の打ち込みを外すや真向に切り下す。これは奥居合立業の受け流しの「かたち」となりそうです。但し請けて流すのではないと考えます。
 
 夢想神伝流の山蔦先生の居合では「弛抜」を「受流」とされている様ですが、受け流しとは違います。相手の太刀を我が太刀で受けるのでは無いのです。安易に太刀で請ける事は進められません。
 「抜き打ちに切」ですから刀を上に抜き上げ片手でも諸手でも斬り下ろすのでしょう。
 全剣連の制定居合の12本目の場合は「前方の敵が突然切りかかって来るのを刀を抜き上げ乍ら退いて敵に空を切らせて、真向に切下す」ので是は仕掛けられたのに応ずるものです。前回の「抜打」に上げておきましたが、これは「刀を抜き上げ乍ら退いて敵に空を切らせて」ですから後方に退いて敵の刀を外しています。此処では「躰を少し開き弛之」です。退くと開くは違います。
 細川義昌先生の系統と思われる白石元一先生の居合術手引では「弛抜(ゆるみぬき・はずしぬき)」を「馳抜(はせぬき)」としている様でこの出典は解りません。恐らく「弛」と「馳」の弓偏と馬偏の崩し字による取り違いから生み出されたとも思われます。
馳抜(双方駈足にて摺違ひ様に行ふ意)
 正面に対し立姿小走に馳せ摺れ違ひ様右足を中心に左足を斜右前に踏み出して斜右後向きに方向を転じつゝ刀を抜き右足を左足に引きつけ上段に振り冠り、右足を踏み出すと同時に斬りつく。
 是は神傳流秘書の抜刀心持之事の11本目「行違」の替え技の様です。
行違
 行違に左の脇に添へて拂ひ捨冠って打込也
 参考に、敵に真っ向から切って懸られた場合、左足をやや左前に踏み刀を抜き上げ右足を稍々左に踏込み筋を外し、打ち込んで来る敵の右拳に右足通りに打ち込む、新陰流の「斬釘截鉄(ざんていせってつ)が使えそうです。
 

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