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2017年5月15日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事14五方切

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
14)十四本目五方切
五方切
 歩ミ行内抜て右の肩へ取り切又左より切又右より切又左より切段々切下げ其侭上へ冠り打込也
読み
五方切(ごほうきり)
 歩み行く内に 抜きて 右の肩へ取り切り 又左より切り 又右より切り 又左より切り 段々切り下げ そのまま上へ冠り打込む
*
読み解く
 此の業は現代居合の「惣捲」のようです。
 大江先生の「惣捲り」では、「抜て右の肩へ取り」は間境で右足を踏み出し刀を前に抜出し、右足を引いて八相に構える。
 そして右足を踏み込み、①右から相手の左・②左から相手の右・➂右から相手の左・までの斬り付けです。上段に振り冠って真向に切下します。
 古伝は更に④左から相手の右と「段々切げ」ですから「左面・右肩・左胴・右膝」に歩み足で追い込みながら切り付けて行く。
 この際相手は、我が切込みを刀で受けつつ下がるも、外しながら下がるも、切られつつ下がるもありでしょう。
 「其儘上へ冠り打込」ですから、四刀目の切り付けは左足を踏み込み十分切り払って右から上段に振り冠り右足を踏み込んで打ち込むでしょう。

 英信流居合目録秘訣によれば「惣捲形十」としてあります。
「竪横無尽に打振て敵をまくり切る也故に形十と有也常に稽古の格には抜打に切り夫より首肩腰脛と段々切り下げ又冠り打込也」

読み
 総捲形十(そうまくりかたじゅう)
「縦横 無尽に打ち振りて 敵を捲り切る也 故に形十と有り 常に稽古の格(決まり)には 抜き打ちに切り それより 首肩腰脛と段々切り下げ 又 冠り打込む也」

 ここに「惣捲」の文言があるのでそれを大江先生は業名に引き継いだのでしょう。現代居合の惣捲は左面・右肩・左胴・右腰・真向です。空間刀法の切り替えしです。

 細川義昌先生の系統の白石元一先生の「五方斬」
「右足を出すと同時に左側にて刀を大きく抜くや直ちに上段に取り、先ず右袈裟がけに斬り振り冠り続いて左袈裟掛けに切り、返す刀にて右より胴を払い腰を落して左より足を払い、再び立姿となり右方より上段に取り真向に斬り下ろす」

*それぞれ大いに稽古して見るものです。現代居合は形を限定していますがそれは、大会や審査の形と割り切って確実にそれを演じられることも必要でしょう。

 古伝は一方的に捲り切りして居る様ですが、現代居合の惣捲は、相手に先を取られ、撃ち込まれたのを外して左面に打ち込む・・いい業です。

 古伝の文章を読んでいますと、決して八相から上段に冠り直して斜め切りしていません。構えは通過点に過ぎず体を右に左に筋を替えつつ打ち込んでいるようです。「段々切下げ其侭上へ冠り打込也」と最後は上段に冠って真向に切り下すのです。これは現代居合が明治以降の竹刀剣道に侵されて失伝している運剣法です。

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