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2017年5月21日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事17抜打

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
17)抜打 上中下 以上十九本
 
 (暇乞三本)(格ノ低キ者二対スル黙礼ノ時。等輩二対スル礼ノ時。目上ノ者二対スル時ノ礼ノ時 曽田メモ)
読み
 抜打(ぬきうち)上中下(じょうちゅうげ)  以上十九本
 
(暇乞三本(いとまごいさんぼん))(格の低き者に対する黙礼の時。等輩に対する礼の時。目上の者に対する時の礼の時 曽田メモ)
読み解く

*古伝神傳流秘書の抜刀心待之事「抜打」は、現代居合の「暇乞」と同じであったかどうか疑問です。
 曽田先生の書き写しでは、「抜打 上中下 以上十九本」となっていますが、メモでは暇乞三本と書き込まれています。「格ノ低キ者二対スル黙礼ノ時。等輩二対スル礼ノ時。目上ノ者二対スル時ノ礼ノ時」の三本で、虎走までで十六本ですから、暇乞三本を加え抜刀心持之事は十九本と云う事になります。

 抜打上中下については、自分より格が低い者へ、同輩の時、目上の時と有りますが、動作においては特にどの様にするのか何も目安はありません。
 曽田先生のメモでは、自分より「格の低き者に黙礼」ですから順次手を床に着く、頭を低く下げるなどの格式に応じた暇乞いの時の礼法が明確だったので、それに従い礼をした上で不意打ちを仕掛けたものと考えられます。

 現代居合の暇乞その1、その2、その3の方法と変わらなかったかも知れませんが不明です。
 曽田メモの身分による礼の仕方の違いと抜き方との関連についても不明です。礼法の専門家による礼法のありようはあるでしょうが、平成のこの時代では身分格式における礼法は既に失われていると思います。
 現代居合では演武に入る前の神前への礼、刀への礼に最も敬意を表する礼が残されています。それは否定するつもりはありませんが、人と人との礼法を身分格式に応じたものとする礼法は忘れられています。
 高級料亭や旅館で請ける礼は「ゆかしい」反面、日常では違和感を覚えます。


 英信流居合目録秘訣では極意の大事の項目の始めに心得があります。
 暇乞「仕物抔を云付られたる時抔其者之所へ行て四方山の咄抔をして其内に切べし隙無之ときは我が刀を取て又近日と立さまに鐺を以て突き倒し其儘引ぬいて突也又は亭主我を送て出るとき其透間を見て鐺にて突たおして其儘引ぬいて突くべし」


 上意を命じられ、抜刀のチャンスが得られず、場を去り際に暇乞の心得を顕わしたもので、不意打と考えられ、決して相手に仕掛けられたから応じたという風にはとらえられません。

 「暇乞いは上意討ちとも称される。主命を帯びて使者に立ち、敬礼の姿勢より抜き打ちする意にして、彼我挨拶の際、彼の害ある動向を察知し、其の機先を制して行う刀法」とされています。(第22代池田宗家の夢想直伝英信流居合道解説より)

 これは、第17代大江正路先生の「剣道手ほどき」から奥居合立業の部の19番暇乞(黙禮)・20番(頭を下げ禮をする)・21番(中に頭を下、右同様に斬る)によると思われます。
19番暇乞(黙禮)「正座し両手を膝上に置き黙禮し、右手柄に掛かるや刀を斜に抜き付け上段にて斬る」
20番(頭を下げ禮をする)「両手を板の間に付け、頭を板の間近く下して禮をなし、両手を鞘と柄と同一に掛け直ちに上に抜き上段となり、前面を斬る」
21番(中に頭を下、右同様に斬る)「両手を膝上に置き黙禮より稍や低く頭を下げて禮をなし、右手を柄に掛け刀を斜に抜き上段にて斬る」

 現代居合とは、20番と21番が入れ替わっていますが堀田捨次郎先生の誤認か不明です。

 木村栄寿先生の「林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流伝書集及び業手付解説」では「抜刀心持之事」の16番目「虎走」の後に「以上十九本」と有りますが、十七・十八・十九は書き込まれていません。
 曽田先生の原本も同様であったのを、曽田先生が「抜打」だがこれは今の「暇乞」だろうと思われ書き込まれたのでは無いかと思います。

 下村派の細川義昌系統と思われる白石元一先生の長谷川流奥居合20番目の「抜打」
 抜打(互に挨拶をして未だ終らざるに抜き打ちに斬る意)「斬り付け。正面に對して正座し抜刀の用意をなしたる後、両手をつきて坐禮を行ひ頭を上げつゝ刀を抜き上体が起き終るまでに已に敵を抜き打ちに斬りつく・・」

 
この動作は、頭を下げ礼をしてから、抜き打つ現代の暇乞いでしょう。この様な業がどうやら継承されてきたと考えられるのでしょう。

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