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2017年6月18日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事8胸點

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
8)八本目胸點
胸點
 歩ミ行相手の胸を足二亭蹴る平常の稽古二ハ此業なし子細ハ胸を蹴る故也
読み
胸點(きょうてん)
 歩み行き相手の胸を足にて蹴る 平常の稽古にはこの業なし 仔細は胸を蹴る故也
読み解く
 相手が居合膝に坐すところへスカスカと歩み行き、相手の胸を足で蹴り倒す。平常の稽古には此の業は行わない。その理由は胸を足蹴にするからである。

此の業名「胸點」と読みましたが、其の場合は、きょうてん・むねてん・むねつけとなるでしょう。
「點」の行書の様に書かれていますが「占」と「犬」は同じ様な崩しですから「胸黙」とも読めます。それでは、きょうもく・むねもく・きょうぼく・むねだまり・・。

 河野先生の無双直伝英信流居合兵法叢書では、この業名は「胸蹴」とされています。恐らく「點」か「黙」判断できず、業の有り様から「蹴」に変えてしまったのでしょう。
 この業は後に「本手之移」という中に「支點當」或は「支黙當」と云って鐺を取られて陰嚢を蹴る業がありますので、其処では河野先生も「支点當」と「點」を当用漢字の「点」にしています。何れが正しいかは判りません。

 武士の顔や胸を足蹴にされるのは屈辱です。稽古中だとて心すべきことだったのでしょう。
胸などは簡単に肋骨が折れることもあるでしょうから、稽古では古伝に従うのがよさそうです。

 参考に、南山大学の榎本鐘司教授による「北信濃における無雙直傳流の伝承について」のレポートによりますと、天明三年1783年大矢蕃昌編述・滝沢登愛所持「無双流和棒縄居合目録」にある「和目録」の業名と「夏原流和之事」の捕手和之事の業名の読み若しくは漢字が一致します。

 和目録を先に、括弧内は捕手和之事とします。

使者取(使者捕)・五月雨(砂乱)・弓返シ(弓返)・附入(附入)・雨天(右転)・右詰(右詰)・左詰(ナシ)・抜捨(抜捨)・急天(胸點)・向面(向面)・猿猴(遠行)・ゑんはい(ナシ)・鐺返シ(鐺返)

今回の胸點は急天の誤認かも知れません。この北信濃の無雙直傳流の伝承された業手附が明らかになれば、また一つ土佐の居合のルーツが見えてきそうです。

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