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2017年6月22日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く10夏原流和之事1捕手和之事10遠行

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
10、夏原流和之事
1)捕手和之事
十本目遠行
遠行
如前相手の右脇を通り後へ廻り両手に亭合手の肩を一寸叩久相手小太刀を抜かんと春る処を両のひぢの可ゞ美二手を懸背中を膝二て押引カる
読み
遠行(えんこう)
 前の如く 相手の右脇を通り後ろへ廻り 両手にて相手の肩を一寸叩く 相手小太刀を抜かんとする処を 両の肘のかがみに手を懸け 背中を膝にて押し引かる
読み解く
 前の如くですから、相手が居合膝に坐す所へ、我は立って歩み寄るわけです。
 相手居合膝に座して居る所へ、スカスカと歩み寄り、相手の右脇を通り後へ廻り込み、両手で相手の肩を一寸叩く、相手小太刀を抜かんと小太刀に手を掛ける処、後ろから相手の両手の肘のかがみを押え、膝を相手の背中に押付け引き倒す。

 「膝にて押引かる」が判断しずらい処です。相手の背後から両手を廻し相手の肘のかがみを押え、膝を背中に押付けると相手は前屈みにされるので、反撃しようと反り返る処を引き倒すと読んでみました。
 前にうつ伏せに押し倒すのも出来るでしょうが「和やわらぎ」と云う事では一寸強引です。
相手の力を借りるべきかと思います。

 業名の「遠行」は、えんぎょう、えんこう、おんぎょう、いずれにしても、もう聞かされることのない業名です。動作との関連を思って見るのですが心当たりが有りません。

そこで、2017年6月18日の捕手和之事八本目胸點の所で参考にした、南山大学の榎本鐘司教授のレポートを再度引用します。

 参考に、南山大学の榎本鐘司教授による「北信濃における無雙直傳流の伝承について」のレポートによりますと、天明三年1783年大矢蕃昌編述・滝沢登愛所持「無双流和棒縄居合目録」にある「和目録」の業名と「夏原流和之事」の捕手和之事の業名の読み若しくは漢字が一致します。

 北信濃の和目録を先に、括弧内は神傳流秘書の捕手和之事とします。

使者取(使者捕)・五月雨(砂乱)・弓返シ(弓返)・附入(附入)・雨天(右転)・右詰(右詰)・左詰(ナシ)・抜捨(抜捨)・急天(胸點)・向面(向面)・猿猴(遠行)・ゑんはい(ナシ)・鐺返シ(鐺返)

 今回の遠行は猿猴の誤認かも知れません。そうであればこの遠行は「えんこう」と読めばいい筈です。
 北信濃の無雙直傳流の伝承された業手附が明らかになれば、また一つ土佐の居合のルーツが見えてきそうです。

 

 

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