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2017年7月23日 (日)

刀法の解釈の4解説の比較

刀法の解釈
 
4、解説比較
 
Ⅰ)昭和52年1979年「全日本居合道刀法」配布時の解説
(1)礼式
◎平常坐したる時は、刀の下緒は輪にたばねて、刃を内側に向け鐺を後方に、鍔が膝の線にある程度にし右側に置く。
◎始礼(神座並に刀に対する礼)
1、刀を下緒と共に右手に、拇指を鍔に懸けて栗形の部を握り、右腰に鞘を約45度位に刃を上にして堤げる。
2、演武の場所に進みて正坐し、刀を膝の前約1尺程の処に鐺を右に柄を左に刀刃を我が方に向けて下緒を刀の向ふ側に添へて静かに置く。
3、次に前に両手をつき両食指と拇指を接して三角形を作り深く頭を下げる。
4、礼を終りて右食指を鍔にかけて刀を把り、体の中央膝の前方に立て、左手を鞘の下方三分の一程度の処にかけて鐺を持ち上げ腰に帯刀す。
 此時下緒は後に鞘にかけ、柄頭は体の中央にある程にさす。
◎終礼は前記の始礼を略逆行する。
◎正座の姿勢は、膝は肩の巾、足は深く重ねず拇指を重ぬる程度とする。
(2)血振
 血振いは斬下した(又は正眼に直った)右拳の位置から右側約1尺切先下りに刃を右にし(刃は少し下向けに)正面の線に並行に開く。
Ⅱ)平成15年2003年第七代会長の全日本居合道刀法解説
 
 「神座の立礼をせずに座礼を以て神座の礼とする」。が原則です。
 刀法から始める演武は神座の立礼をしなくともよい筈ですが、現在では、第7代会長の解説では左手に刀を提げて演武場所に進み、刀を右手に持ち替え神座への立礼を行います。
 刀を左手に再び持ち替え、会長に礼をし、その腰に提げたまま演武の方向に向き直って座し、刀礼をし帯刀しています。
 「礼を終りて右食指を鍔にかけて刀を把り、体の中央膝の前方に立て、左手を鞘の下方三分の一程度の処にかけて鐺を持ち上げ腰に帯刀す」は、第7代会長の解説では鞘の三分の一では無く刀の三分の一と変わっています。
 「下緒は後に鞘にかけ、柄頭は体の中央にある程にさす」については下緒は鞘の上から懸けて後ろに垂らす様に読み取れますが、現行では下緒が長い事も有り前に廻して左側で袴の紐に掛ける様にしています。
 ある地区の記念に配られた下げ緒が180cm程で短く、丈高く業によっては下緒が邪魔になります、後に垂らしただけでいますと、必ず前に廻し袴の帯に懸ける様に言う物知り顔のもの知らずが声を掛けています。だったらもっと長い下緒を配布すべきだったでしょう。
 神座への礼を全居連の演武で行うのは、刀法以外の自流の業も演じるためか、配布時の解説とは変わっているのか、刀法のみの場合にのみ適用されるものなのか明解な指導を受けた覚えはありません。
配布「◎平常坐したる時は、刀の下緒は輪にたばねて、刃を内側に向け鐺を後方に、鍔が膝の線にある程度にし右側に置く。」
 会長解説も同様であり、補足として「鐺を後方にして我が正中線と平行に置き、且つ座したる右大腿より約六~七寸(約20cm位)外側に置く。刀の下緒は三等分して輪に束ね、我が右側に置きたる刀の棟側に添えておく。」
 
 ある地区の前地区会長の場合は袴を見事に左右に蝶の羽の様に広げて座り、広がった袴の上に刀が置かれています。
 武術の心構えを欠いており、袴を踏まれたり、刀を手にする前に立ち上がれば刀は転がってしまいます。武術は見栄えを競うものではないでしょう。小さな心構えが伝わって来なければ、立派な解説書を出されていますがこの写真一枚ですべての解説が偽物に見えてしまいます。
配布「◎始礼(神座並に刀に対する礼)」
「1、刀を下緒と共に右手に、拇指を鍔に懸けて栗形の部を握り、右腰に鞘を約45度位に刃を上にして堤げる。」
 
「2、演武の場所に進みて正坐し、刀を膝の前約1尺程の処に鐺を右に柄を左に刀刃を我が方に向けて下緒を刀の向ふ側に添へて静かに置く。」
 配布の時の堤刀は右手に提げている様に制定され、そのまま演武の場所に座して刀礼の体勢を整えたのでした。
 第7代会長の解説では、刀を下緒と共に左腰に左手にて提げ、演武の場所に至り、その場所で右手で袴の裾を払う様に捌き、左膝より床に着き、次いで右膝を着き正座する。
 左手は刀を握り、左腰に把り、右手は大腿部の上に置く。
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 配布時「血振いは斬下した(又は正眼に直った)右拳の位置から右側約1尺切先下りに刃を右にし(刃は少し下向けに)正面の線に並行に開く。」ですが、第7代会長は刀及び刀刃は床に水平を最も良いとされています。
*
 第七代会長の所作の幾つかは、それまで配布時の所作をそれとしてきた先生方には戸惑いもあったと思われます。
 どちらかというと無双直伝英信流正統会の所作に近づいてしまったと言えるでしょう。
 
 
 
 
 
 

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コメント

はじめまして。

私は全日本居合道連盟近畿地区に所属しております。

多くの資料を比較分析されているこちらのサイトに多くを学ばさせていただいております。昭和の頃からの先生も無く、多くの書籍の存在も知りえなかった私や道場の方々は深く感謝しております。

私は居合を初めて5年、四段です。大会に出たことも無く、宗家地域講習会に2度出た程度で礼式についても詳しくありません。ただ、『下緒を三等分にして輪に束ねる』ことをはじめ、下緒の扱い方は特に注意するように指示されています。

刀法が必須の昇段審査会では刀礼し帯刀、演武場所にて国旗対しての立礼、演武正面にあたる審査の先生方対しての立礼の後、演武開始となります。

帯刀して演武場所に出るのを控え礼式、演武場所に出てから帯刀するのを本礼式と認識している程度です。

神座に対しての立礼は、神座と演武正面の方向の違いや『神座は座礼のみ』になると、正座して座礼後にまた立ち上がってからの立礼ということにもなるのかと思いました。

若輩で拙い文章で申し訳ございません。
これからも道場の皆さんと学ばさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

イシゼキさま
コメントありがとうございます。
全日本居合道刀法の礼式は編成された当初と現在は変わったのか、刀法だけ演ずる場合の事なのか何処にも解説が無いので五月の全国大会でも指示されたままを演じています。
それはイシゼキ様の仰る様にしています。
演武場所での座し方も、一歩下がって左足から座して居ましたが、何時の頃からか一歩下がらずにその場で爪先の位置に左膝を落として座す、など変化してきています。どの様な変化にも、拘り無く応じられる様に心がけています。
然し、必ず初めはどうであったのか何故現在の様に変化したのか、因果な性格で確認しながら後ろを見たり前を向いたりして歩いています。
思い違いもあると思いますのでこれからもよろしくご指導ください。
       ミツヒラ

投稿: イシゼキ | 2017年7月26日 (水) 13時35分

ミツヒラ様

誤字脱字があるところに上手く読み取って頂き、お返事ありがとうございます。

イシゼキ様
コメントありがとうございます。
ご丁寧に恐縮です。何処かの大会でお会い出来ればと、楽しみにしています。
        ミツヒラ

投稿: イシゼキ | 2017年7月27日 (木) 12時48分

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