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2017年7月27日 (木)

刀法の解釈の5全日本居合道刀法解説(2)立業ロ四方切

刀法の解釈
 
5、全日本居合道刀法解説
 
配布時の解説
 
(2)立業
 
ロ)四方切
 
◎意義
 敵が周囲から斬り懸るに応じて之に勝つ。
◎動作
 前進しながら右足の爪先を右に向けて、右方に踏込み右に向くと同時に片手抜討ちを以て右敵の右肩から袈裟に斬り、切先を水月の高さに止める。抜付けたる瞬間左敵に注目し、左方より旋廻して右足を左方に踏込み双手上段に振冠り左敵の真向を斬下す。斬下した瞬間正面の敵に注目し右足を正面に踏込み双手にて正面の敵の右胴を横一文字に斬り、左から旋廻して左足前のまま後敵の真向を斬り、再び右から廻って右足前のまま正面の敵の真向から両断する。残心し右側に刀を開いて血振いして納刀す。
 この業は水鴎流の獅子乱刀から引用したものと思われます。
 水鴎流の手附けは文章によるものは公開されていない様で、第15代宗家の「純一無雑 瞬機一刀の理 水鴎流居合剣法」のビデオにより看取り稽古して見ます。
 前後左右を敵に囲まれ正面向きに正座しています。
 座したまま腰を上げ、右廻りに右敵に振り向き、右足を踏み出し横一文字に抜打ちし、左敵に振り向きつつ双手上段となって、右足を踏込み左敵の真向に斬り下します。
 その足踏みの侭正面の敵に注目し立ち上がりつつ左脇構えに取るや右足を正面に踏み込み、正面の敵の右胴を横一文字に斬り払い、左から旋回して右足を踏込み後敵を真向から斬り下します。
 後ろ向きのまま、刀を右に開き納刀しつつ体を下し、右廻りで正面に戻ります。
 全居連の刀法では正面の敵は胴を切られたのに再び真向より両断されます。
 胴切りが不充分若しくは後敵に危険を感じ前敵を追い払うなどの事が無ければ、正面に戻っての両断は不要でしょう。
 もし充分斬って正面に戻る演舞(武ではない)ならば、後敵を斬って、正面に戻り、上段からゆっくり刀を下し残心の形を示すべきです。
 刀法は技の基本の形を示すだけで武術的な事は後廻しと言うならば、此の業は四段審査の指定業です。そんな事でいいのでしょうか。
 ある地区の指導者は、この業で正面の敵の右胴を横一文字に斬るに当たって、左敵を真向に切り下すや、切先を上げて鍔を口元まで引き寄せ、左に刀を倒し、左手を左腰に引き付け腰溜めの車に構え、右足を正面に踏み込むや敵の右胴を腰を右に振って両断する様に水平に引き切る指導をして居ます。
 見事に、両断して、つぎに後の敵を真向から斬り下し、正面に戻って、正面の敵を真向から立ったまま切り下しています。「あれ!正面の敵は胴を両断されて崩れている筈なのに」。
 河野百錬先生も福井聖山先生も正面の敵を腰溜めの車でなど切っていないのに、独創してしまった様です。
 正面の敵と背後の敵に攻められた時は、両方の敵を意識しながら敵の仕掛ける前に正面の敵を浅く斬り、ビクとさせて追いやりその隙に背後の敵を斬り倒し、正面の敵を両断するのが、囲まれた時の鉄則です。
 第七代会長の解説からこの業を研究してみます。
◎剣理
 敵が周囲から斬り掛かるに応じて、これに勝つ意也。
術理
 左手鍔にかけるや右足を踏み出し、左足をやや一歩より狭く爪先をやや右に向けて踏み出し、右手を柄に掛けるや右敵に向き、右足爪先を右敵の方に向けながら柄頭を右敵の右肩口に向けながら抜きかけ、右足爪先を右敵正中線より30度位左に向けて大きく踏込み右肩口より水月迄袈裟懸けに斬り付ける。
 
 直ちに左敵に顔を向けるや両踵で左廻りに、右肩を覆う様に双手上段に振り冠り右足を大きく踏み込んで左敵の真向に膝の高さ迄斬り下す。
 
 直ちに左踵を押えながら体をたてつつ、切先を上げて鍔を口元に上げた瞬間顔を前方の敵に向けるや、刀を逆八相の構えの位置を経て把り、その瞬間右足を左足の前に踏み込み、上体を前に投げ入れる感じで左より右に水平に薙ぎ払う様に前敵の胴部に斬り付ける。
 
 直ちに左廻りに双手上段に廻り切り左足前のまま後敵を真向に斬り下す。
 
 右廻りに廻り双手上段となり前敵の真向に右足前のまま斬り下す。
 
 会長の前敵への胴切りは、逆八相から上体を倒して薙ぎ払う様に斬り付けています。これは前敵を追いやる若しくはビクとさせる鉄則に則った動作でしょう。逆八相からの水平斬りの妙技はやるつもりのものしか出来無い技でしょう。
 此処は余談ですが、八相及び逆八相からの切り込みを稽古し、その一つに逆八相からの水平切を稽古すればよいだけです。
 竹刀剣道の形の教えにある八相から上段に振り冠ってから真向打ちや腰車から上段に振り冠って八相に斬り込むしか理解できないのではお粗末です。
 腰車に構えてしまえば前敵は攻め込んで来るので胴を両断する事になります。しかし、それでは後敵に仕掛けられてもいるのですから、間に合わず斬られてしまいます。
 右足を踏込み左敵を斬り下し、逆八相に把る時、右足を左足に引き付けてから正面に踏み込む教えが、先代の頃にあって其の足踏みをしている古老と其の弟子もおられます。これも右足を後足に引き付ける無駄な動作です。
 第七代会長は是も否定されています。正面の敵が斬り込んで来る隙を与えない事も四方に敵を受けた時の心構えでしょう。
 前会長に指導を受けられた方の中にこの胴切りの動作を「刀身を鉛直に鍔が口の高さに至るまで持ち上げ、顔を正面の敵に向けながら、右手首を左横水平に返し、柄から外れた左甲を右掌に添えて刀刃を前に左にした刀身をそのまま水平に左脇胴前に下ろし、右足を90度正面(左足踵前)に二足半長運びながら正面の敵の胴を横一文字に右45度まで切り払う・・」(南野輝久著 無双直伝英信流居合道覚書より)
 ある地区の指導者とよく似た車の構えに至る動作です。是は逆八相から胴切りするのではなく、左腰車にとってから胴切りするので、刀を鉛直に立てる意味があるのでしょうか、古流剣術では見られない動作です。
 左敵を真向に斬り下してその手の位置のまま腰車にとってもおかしくは無いでしょう。飽くまでもこの場合は前敵の胴を両断する動作です。
 DVDも付属しますので拝見していますが、文字であらわされた動作よりも、柄手が良くのびておられますので、ある地区の指導者程では無いようです。
 刀法の制定時の意義及び動作は抜けだらけですから、如何に年期を重ねられたベテランでも状況を充分把握し最も適した運剣操作を確立するには、良く見て良く読み良く考える人と、人真似に過ぎない人とのレベルの違いが歴然と現れます。想定を誤れば意義を達せられないものになります。
 全居連の各流派に共通の「刀法」です。第七代会長の解説書に従い、毎年行われる「刀法講習会」に出席して文字に表せない、あるいは、解説書発行時より進化した運剣動作を身に付け地区の指導をすべきでしょう。
 己が正しいとするならば、その事を会長に進言し改変を望むべきものです。「俺は前会長の動作を忠実に演じているだけで、当代が勝手に替えたのだ」では、最高段位を当代会長から頂戴していながら、やるべき事をやらず、地区に於いて勝手に会長の指導以外の動作を指導するのは「刀法」においては特に如何なものでしょう。
 
 
 
 
 
 
 

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