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2017年12月28日 (木)

曽田本その1の2英信流目録読み解く1居合棒太刀合之巻6大森流居合之位5陽進刀

曽田本その1
2.英信流目録読み解く
居合棒太刀合之巻
 兼 大森流居合 小太刀之位
6、大森流居合之位
 
五本目陽進刀
 是盤正面二坐春る也右の足一足ふみ出し立なり二抜付左をふみ込ミ討込ム也春く尓右腋へ開キ其侭納ム也
 陰退刀其侭左の足を跡へ引其時亦抜付打込ミ血ふるひの時立左の足を右尓揃へ納る時右を一足引也
読み
五本目陽進刀陰退刀(ようしんとういんたいとう)
 陽進刀 是は正面に座す也 右の足一足踏み出し立つなりに抜き付け 左を踏み込み討ち込む也 すぐに右腋へ開き其の儘納む也
 陰退刀 其の侭左の足を跡へ引き 其の時亦抜付け打込み 血ふるいの時立ち左の足を右に揃え納める時右を一足引く也
参考
 古伝神傳流秘書の大森流居合之事「陽進陰退」
陽進陰退
 初め右足を踏出し抜付け左を踏込んて打込ミ開き納又左を引て抜付跡初本ニ同し
読み
陽進陰退(ようしんいんたい)
 はじめ右足を踏み出し抜付け 左を踏み込んで打込み開き納める 又左を引きて抜き付け跡初本に同じ
読み解く
 是は正面向きに座している。ここでは、「立つなりに抜き付け」です。正座の前の様に、右足を踏み込んでいますが、立ち上がって抜き付ける様に読めます。
 腰を上げ右足を踏み込むならば現代居合の正座の「八重垣」です。
 右足を踏み込み抜き付け、立ち上がりつつ、振り冠って左足を踏み込んで真向に打ち下ろします。
 すぐに右に刀を開き、其の体制の儘納刀。充分手ごたえあっての納刀でしょう。

 陰退刀の解説がなくて解かりませんが、現代居合に面影があるとすれば下がりつつ抜きつけることで、左足を後ろへ引いて再び抜き付け切り下ろす。この二度目の抜き付けは新たな敵とも、先に切り倒した敵とも何の状況説明もありません。

古伝神傳流秘書の大森流之事「陽進陰退」
「初め右足を踏出し抜付け左を踏込んで打込み開き納又左を引て抜付跡初本に同じ」

*神傳流秘書では「右足を踏出し抜付け」であって英信流目録は「右の足一足ふみ出し立なりに抜付」とは異なります。
 現代居合も、右足を踏み込み立ち上がって抜きつけてはいません。
 右足を踏み込み立ち上がって抜きつける稽古をしてみるのですが「正面に坐する也」ですから、相手も立ち上がって切り込まんとする想定です。

 大江先生の正座の部八重垣は最初に切り倒した敵が、力を振り絞って右足に切り付けてくるので、右脛を囲って敵刀を払い留め、振り冠って打ち下ろして仕留めています。
 夢想神伝流では新たな敵が切り込んで来るので、間を外して抜き打ちに斬り付け、振り冠って打ち下ろしています。この方が古伝を伝承していると思われます。

 細川義昌先生系統と思われる白石元一先生の「陰陽進退」では、「前方の敵を斬りたる後敵再び足に斬り付け来るを応じて防ぎ続いて斬り倒す意」と云って、「敵再び我が足に斬り付け来るを左足を引きつゝ刀を抜きて(刀の鎬にて)受留め防ぎたる後、左足を右足踝の所に引きよせてつくと同時に、左方より刀を上段に振り冠り、右足を出して真向に斬り付ける」

 同じく細川義昌先生系統で昭和49年発行の貫正館梅本三郎先生発行第18代尾形郷一貫心識「居合兵法無雙神伝抜刀術」の「陰陽進退」も白石居合と略同様ですが「・・刀を納めつつ右膝を跪き納め終りたる所へ(別人が向脛薙付け来る)急に立ち上り左足を一歩退くと同時に、刀を前へ引抜き切先の放れ際に左腰を左へ捻り、体は正面より左向きとなり(視線は右の対手に注ぐ)刃部を上に向け差表の鎬にて張受けに受け止め・・・」

 古伝は、一本目は抜付け(横一線の抜き付け)、二本目は真向打ち下し、三本目は抜付け、四本目は真向です。 

 此の英信流目録は安永5年1776年に第12代林益之丞政誠が書きあらわしたもので、それを後の谷村派の谷村樵夫自庸が嘉永5年1852年に書き写されたものです。
 ですからこの伝書は谷村派系統のもので現在の大森流(正座の部)の五本目八重垣はこの動作であるはずです。明治という時代の混乱か時の流れがなせるものか、業手附にも影響して「本当は」どこにあるのでしょう。

 立ち上がって抜き打ちする、座ったままで抜き打ちする。、いずれも行われていたのでしょう。
 二人目の敵に横一線に斬り付けるなのか、張り請けするのか、気力を振り絞った一人目の敵に脛囲いで応ずるなのか、自由に想定をして稽古してみます。
 現代居合では、見られない、右足を踏み出し立つなりに抜き付けて見ますが、慣れれば至極普通の事です。どれも出来て当たり前のことです。

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