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2017年5月7日 - 2017年5月13日

2017年5月13日 (土)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事13追懸切

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
13)十三本目追懸切
追懸切
 抜て向へ突付走り行其侭打込也
読み
追懸切(おいかけきり)
 抜いて向うへ突き付け 走り行 其の侭打込む也
読み解く
 此の業は現代居合では見る事も無い業です。
刀を抜き出し、正面の相手に切先を突き付け、走り込んで間境に至れば上段に振り冠って右足を踏み込んで真向に打ち下すと云う業でしょう。
 相手は抜刀せずに歩み来るのか、抜刀して上段に構えているのか手附は何も指定していません。或は前方を後ろ向きに歩み行くのか、状況を判断し、どのように走りこむのか難しい業です。

 英信流居合目録秘訣の外之物の大事に遂懸切が有ります。
「刀を抜我が左の眼に付け走り行て打込但敵の右の方に付くは悪し急にふり廻りぬきはろうが故也左の方に付て追かくる心得宜し」

 古伝の追懸切を補足している様です。
「刀を抜我が左の眼に付け」ですから左足前の左正眼の構えでしょう。距離が離れていれば左足・右足・左足と常の走り込みでいいでしょうが、間境では左足前にして上段となり右足を大きく踏込んで打ち下す。
 次の「但敵の右の方に付くは悪し」ですが、敵の右側から打ち込まんとすれば「急にふり廻り抜はろう」と云う事は敵は後向きで同方向に歩み行く、それを追いかけて刀を打ち下すと解釈できます。従って敵の左側から追掛けて切れというのでしょう。

 古伝神傳流秘書の抜刀心持之事の追懸切は想定を指定して居ません。英信流居合目録は、一つの想定からの運剣の心得でしょう。此の業は、闇打ちの心得の様です。大江先生の中学生向きの業としては教育上不向きです。

 下村派細川義昌先生系統と思われる白石元一先生には「追掛(前方を行く敵を追い掛けて斬る意)」という業があります
 「・・右足にて刀を抜き刀先を返し柄を手許にし左手を柄に添えて持ち中段に構えたる儘にて数歩小走りに追掛け、左足を踏み出したる時に振り冠り、右足を出すと同時に大きく真向より斬り下す」

 古傳の手附ではカバーできないので色々考案されていったのでしょう。敵は後向きに前方を歩み行くのを追い掛けている想定になっています。現在の正座の部追風(虎一足)との混合の様でもある気分です。

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2017年5月12日 (金)

曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事13追懸切

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
13)十三本目追懸切
追懸切
 抜て向へ突付走り行其侭打込也
読み
追懸切(おいかけきり)
 抜いて向うへ突き付け 走り行 其の侭打込む也

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2017年5月11日 (木)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事12夜ノ太刀

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
12)十二本目夜ノ太刀
夜ノ太刀
 歩み行抜て躰を下り刀を右脇へ出し地をパタと打って打込む闇夜の仕合也
読み
夜ノ太刀(よるのたち)
 歩み行き 抜きて体を下り 刀を右脇に出し地をパタと打って打ち込む 闇夜の仕合也
読み解く
 闇夜の仕合の時の業とも云えるし、心得ともいえるものなのでしょう。月や星のない夜は本当に真っ暗でした。
 最近は山に登っても町明かりが届いて真っ暗闇に出会うこともなくなってしまいました。
 此の業の雰囲気から推測すれば、大江先生の現代居合の奥居合立業の信夫でしょう。

 真っ暗闇で相手の居場所も判らない時、歩み行きて相手の気配を察し、刀を抜き出し、体を沈めて右脇の地面に「ハタ」と刀の切っ先を打ち付け、相手がその音に誘われ打ち込んでくる処を打ち込んで勝。

 足さばき体裁き、運剣法などは、現代居合に準じればいいのでしょう。相手の存在位置を事前に察知して誘いをかけるのか、相手の存在位置を知らずに音を立てて誘うのか、後者はよほどの手慣れでないと難しそうです。相手も我が存在を知るとも云えるでしょう。

 英信流居合目録秘訣では、極意の大事に「地獄捜」そして「夜之太刀」として心得があるのですが、これも業とも心得とも云えるものです。
地獄捜
 「闇りに取籠り者有るときの心得也夫れ巳成らず惣じて闇にて人をさがすの術也刀の身と鞘と半分抜掛て鐺を以て一面にませ捜すべし鐺に物之さわるを證に抜て突べし亦鞘口三寸計に切先を残し居ながら静かに四方へ廻してさぐるべし九尺四方何事も知れ申」

読み解く
 暗がりに取り籠り者が有る時の心得なり 夫れ巳成(?)らず(己からならず) 惣じて闇にて人を捜す術なり 刀身と鞘と半分抜きかけて、(柄を持って)鐺を以って一面に ませ捜す(かきまわしさがす)べし 鐺に物の触るをあかしに 抜いて突くべし 又 鞘口三寸ばかりに切先を残しながら静かに四方へ廻し探るべし 九尺四方何事も分かるものだ

 

夜之太刀
 「夜中の仕合には我は白き物を着べしてきの太刀筋能見ゆるなり場合も能知るゝものなり放れ口もなり安し白き肌着抔を着たらば上着の肩を脱ぐべしかまえは夜中には下段宜し敵の足を薙ぐ心得肝要なり或は不意に下段になして敵に倒れたる見せて足を薙ぐ心得もあるべし」

読み解く
 夜中の仕合には 白き物を着るべし 敵の太刀筋よく見ゆるなり 場合もよく知るゝものなり 放れ口もなり易し(抜刀の機を捉えやすい?) 白い肌着などを着たのならば上衣の肩を脱ぐべし 構えは夜中には下段が良い 敵の足を薙ぐ心得肝要である 或いは不意に下段になして 敵に倒れたと見せて足を薙ぐ心得もあるものだ

 

 更に居合兵法極意巻秘訣には月夜之事・闇夜之事とあって「是従兵術嗜の个條迄先生御註訳」
月夜之事
 「月夜には我は陰の方に居て敵を月に向わすべし我はかくれて敵をあらわす徳有り」

読み
 月夜には 我は影の方に居て 敵を月に向わすべし 我は隠れて 敵を顕わす得あり

闇夜之事
 「闇の夜は我が身をしずめて敵の形を能見透かすべし兵器の色をはかるべし若難所有らば我が前に当て戦うべし敵のすそをなぐる心持よし」

読み
 闇の夜は 我が身を沈めて 敵の形をよく見透かすべし 兵器の色をはかるべし もし難所あらば 我が前に当て戦うべし  敵の裾を薙ぐる心持よし


 敵も、同様の心得をもって相対すると思うと、どうかな、など思ってしまいますが、まずやってみる事が大切でしょう。
 現代居合の奥居合立業の信夫が相当すると思います。この業で敵の位置を360度、何れなり共認識して誘い込むなど、一人稽古で楽しんでみるのもいいかも知れません。

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2017年5月10日 (水)

第六回古伝研究の集い

土佐の居合 古伝神傳流秘書による古伝研究の集い

 

第六回古伝研究の集い

 

 古伝神傳流秘書を曽田虎彦先生の書き写された直筆本から読み解いて同じ思いの仲間を募って、その古伝研究をやってまいりました。

 今回は第六回目の御案内をいたします。

 

内容:古伝神傳流秘書による詰合・大剣取

    古伝英信流目録による小太刀之位

 

 講義とか実演では無く、参加していただき木刀及び小木刀を持って古伝の解釈及び形の稽古をご一緒にさせていただきます。
 異なる伝承の方々と一つの教本から古伝研究を実施する中で、「私はこの『古伝』はこう解釈する」と自由な考え方から幾つもの疑問を解きほぐして見たいと思います。

 ご参加いただいた方が、師匠であるとご認識いただければ幸いです。

 ミツヒラブログの御愛読者に限らせていただきます。

 

1、期日:平成29年6月25日(日) 

 

2、時間:12時00分~15時00分まで

 

3、場所:神奈川県茅ケ崎市総合体育館 オーケストラ室

   (使用会名:(無双直伝流)古伝研究会)*古伝神傳流秘書には無雙神傳英信流居合兵法と有りますが仮称です

 

4、住所:253-0041神奈川県茅ケ崎市茅ヶ崎1-9-63

TEL:0467-82-7175

 

5、アクセス:東海道線茅ヶ崎駅北口下車徒歩8分(駐車場あり)

 

6、費用:会場費割勘のみ(500円以内)

 

7、参加の御連絡はこのブログへコメントしていただくか直接ご来場ください。

8、御案内責任者 ミツヒラ

 

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曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事12夜ノ太刀

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
12)十二本目夜ノ太刀
夜ノ太刀
 歩み行抜て躰を下り刀を右脇へ出し地をパタと打って打込む闇夜の仕合也
読み
夜ノ太刀(よるのたち)
 歩み行き 抜きて体を下り 刀を右脇に出し地をパタと打って打ち込む 闇夜の仕合也

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2017年5月 9日 (火)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事11行違

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
11)十一本目行違
行違
 行違二左の脇二添へて拂ひ捨冠って打込也
読み
行違(ゆきちがい)
 行き違いに 左の脇に添えて 払い捨て 冠って打ち込む也
*
読み解く
  この手附は抜けだらけですが、稽古をしたくなる業です
 「行違二
」ですから、相手が前から歩み来り、行き違う、いわゆる擦違う時に相手の害意を察しての動作でしょう。
 「左の脇二添へて拂い」は相手は前から来て我が左脇を通り過ぎようとするか、我から相手の左脇に外すかは自由です。
 行き違う寸前に刀を前に抜き放ち左脇に刀の棟を当て切先を後ろに刃を外向けて、左腕の上に右腕を乗せて、右足を一歩前に踏み出し、すれ違い様に相手の左胴を引き切る。その足の儘左廻りに相手に振り向き上段に冠り打ち下す。

 此の業の初動は現代居合の奥居合立業袖摺返の動作です。
* 
 英信流居合目録秘訣の上意之大事
 行違「我左脇を通す宜し切る事悪しと知るべし行違さまに抜て突事宜し又敵先に抜んとせば先んじて早く柄にて胸を突くべし行違の詞の掛様の事大事有・・・・」


読み
行違
 「我が左脇を通すよろし 切る事 悪しと知るべし 行き違い様に 抜いて突く事よろし 又 敵先に抜かんとせば 先んじて早く柄にて胸を突くべし 行き違いの詞の掛け様の事大事あり・・・・」

 英信流居合目録では左脇をすれ違う時に突くのが良いと言っています。或は相手の胸を突いてしまえというのです。払い捨てる行違とは相手を左脇を通す様にする処は同じようですが後は、突くべきだと云っています。
 「行違の詞の掛様の事大事有」は不明ですが「上意」の一声でしょうかすれ違うどのタイミングか研究課題でしょう。
 

 英信流秘書は第9代林六大夫守政の居合を本人が書いたのか、第10代林安太夫政詡の記述と思われます。
 しかし、「英信流居合目録秘訣 先生口受ノ侭ヲ記」と書かれ、奥書きがありません。英信流居合目録秘訣の記述者は不明です。第9代の口授を第10代が書いたのかも知れませんが、いずれにしても、第9代が江戸で修行した「抜刀心持之事行違」を「切る事悪し」と批判しています。

 第17代大江正路先生がこの動作を改変して現代の人混みをかき分け敵を切る「袖摺返」とされたと思われますが確証は有りません。土佐の居合は、多くの替え技があった様で、明治期にはどれが元であったか混乱していたかもしれません。土佐に持ちこまれた元は神傳流秘書の教えだけでしょう。
 これとて、始祖林崎甚助重信の居合とは別物のようです。

 細川先生系統と思われる白石先生の摺違
「歩行中摺違ふ際敵を斬る意、歩行中敵と摺れ違う一歩手前に於いて(左足にて鯉口を構え右足を踏み出して)刀を抜き、左足を出すと同時に刀を左側に取る。此時右手は左肘の外に位置し、左手は鯉口を持ちたるまま、右脇腹に取り左右の腕は交叉す。続いて右足を踏み出し摺れ違いざまに敵の胴を横に払い、直ちに振り返り右足を出すと同時に、再び上段より斬り下ろす。」

 この白石先生のテキストは昭和12年の発行大森流長谷川流伯耆流居合術手引きによります。古伝の趣を伝えていると思います。

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2017年5月 8日 (月)

曽田本その1の1神傳流秘書原文9抜刀心持之事11行違

曽田本その1
1.神傳流秘書原文
9、抜刀心持之事
11)十一本目行違
行違
 行違二左の脇二添へて拂ひ捨冠って打込也
読み
行違(ゆきちがい)
 行き違いに 左の脇に添えて 払い捨て 冠って打ち込む也

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2017年5月 7日 (日)

曽田本その1の1神傳流秘書を読み解く9抜刀心持之事10連達

曽田本その1
1.神傳流秘書を読み解く
9、抜刀心持之事
10)十本目連達
連達
 歩ミ行内前を右の拳尓て突其儘二左廻り後を切り又前へ振向て打込也
読み
連達(つれだち)
歩み行く内に前を右の拳にて突き そのままに左廻り 後ろを切り 又 前へ振り向いて打込也
読み解く
 連達ですから同じ方向に連れだって行くわけです、前を歩いて行く敵の後頭部を右拳で突き、其のまま左廻りに後ろに振り向いて、後ろの敵に抜き打ちに切り付ける、右廻りに振り向いて前の敵に真向から打ち込む。
 後の敵には「後を切り」ですからどの様に抜き付けるか指定されていません。上に抜き上げ真向に斬る、或は袈裟に斬る、廻りながら物打ちまで抜いて横一線に抜き付ける、斬り上げる、如何様にも状況次第です。
 足さばきは、「其儘」の文言に従い前の敵に右足を踏み込み後頭部に拳で突きを入れた右足前で振り返り左足前で斬る。
 振り返って前の敵を斬るのも、足捌きは其の儘右足前で真向に斬る。但し前に振り返るのは右廻りです。
然し、足を踏み替えて左に廻り左足を踏み込んで打ち込むもありでしょう。

此の業は現代居合の奥居合立業の行違の動作の原型の様です。
行違は敵は前方から歩み来り行き違うのが本来です。ここは我を中にして縦に並んで歩み行くのです。
古伝は拳の突きですが、大江先生は柄頭で前方の敵の人中を打ち突くの違いです。

 英信流居合目録秘訣の外之物の大事に連達が有ります。
外之物の大事とは「外の物とは常の表の仕組より外の大事と云う事也」といって其の儘では通常の居合の業技法では無い技法とでも云うのでしょう。

連達「是亦歩行く内に向を刀の柄にて突き左廻りに後ろえふり廻る拍子に抜打に後ろを切又初柄にて突たる方を切是は我前後に敵を連達たる時の事也旅行抔のとき盗賊抔跡先つれ達時此心得肝要也」

読み
連達「これ又、歩み行く内に向うを 刀の柄にて突き 左廻りに後ろへ振り廻る拍子に抜き打ちに後ろを切り 又 初め柄にて突きたる方を切る 是は我が前後に敵を連れ達ちたる時の事也 旅行などの時 盗賊など後先連れ達つ時 此の心得肝要なり」

 これは現代居合の行違と動作は同じですが、敵は同方向に我を中に歩み行くわけで、現代居合では敵が前方から来るのとは敵の想定が異なります。

 大江先生の行違は「進行中正面を柄頭にて打ち、後を斬り又前を斬る」で敵は業名の「行違」から判断すれば前方より歩み来るでしょう。

 細川先生系統と思われる白石元一先生は連立(前後に重なりて歩行中の敵に対して行う)、と前置きして「右足を踏み出すと同時に前方の敵を抜き打ちに右片手にて斬り付け、返す刀にて後方の敵を斬る(両手にて)」と拳で突くとか柄頭で突くとかは無く、さっぱりしています。

 どちらも、古伝の替え技になっています。時代とともにより有効な動作に変化するのは当然ですが、想定を変えてしまった大江先生の場合は、それによって他の古伝もいじることになってしまいます。
 それも、居合が進化したというよりも、明治維新を挟んだ混乱期の為せることと思えばそれまでです。

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