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2018年1月29日 (月)

曽田本その1の3業附口伝読み解く1太刀打之位10打込

曽田本その1
3業附き口伝読み解く
1、太刀打之位
 
十本目打込一本(仕打中)(伝書ナシ口伝アリ)(留ノ打込ナリ)

 双方真向ニ物打ニテ刀ヲ合ハシ青眼二直リ退ク
読み
十本目打込一本(うちこみいっぽん)(しだちゅう)
(でんしょなしくでんあり)(とめのうちこみなり)
 双方 真向に物打ちにて刀を合し 青眼に直り退く
参考
古伝神傳流秘書太刀打之事十本目打込
 相懸又ハ打太刀待処へ遣方より請て打込み勝也
読み解く
 太刀打之位の十本目は「打込一本」と曽田先生は書き加えて、これは伝書に書かれていないが口伝にある、と言うのです。
 
 双方中段に構えスカスカと歩み寄り、上段に振り冠って真向に打ち下ろす。「一刀流の切落」、柳生新陰流の「合し打ち(がっしうち)」です。
 土佐の居合は新陰流に影響を受けている事は外せません。ここでの真向打ちは双方物打で刀を合わせてジリッ・ジリッと中段になって、双方後退し血振り納刀する。
 と云うなんとも曖昧な演武が良く行われていますが、真向相打ちに見えて勝負の付く極意を研究する良い業です。
 真向打は最も簡単な刀法であって最も難しい技でもあります。 理屈は解かってもその通りできないと言ったらいいのでしょう。
 上段からの打込みで刃筋が通らない、左右どちらかに片寄り真っ直ぐに打込めないなどよく見かけます。
 真っ直ぐが出来ず、左右どちらかの面打になってしまう×点合わせではこの業は成り立ちません。
 背の高いものが優勢になってしまうようなことも頻繁です。 要はとにかく真っ直ぐに敵の頭上に打ち下ろすこと。
 
 恐らく初心者に指導した名残の侭、双方の真中で物打で刀を合わせたのでしょう。
 止めなければ双方の頭を打つことになるからでしょう。
 止めるとは、意図的に双方の間の真中付近の上で互いに鎬の触れ合う瞬間に止める事です。
 柳生新陰流の合し打ちは、そんな位置で止める事無く、敵の真向に打込んで来るのを真向に打ち込んで相手太刀を外すという凄まじい極意技です。
 この業を演じるには、双方中段に構え相手の眉間に切先を付けスカスカと歩み行き、双方間境で上段に振り冠り、打太刀の打込を、仕太刀は一瞬遅れて打ち込みます。
 打ち勝った仕太刀は打太刀の頭上寸前で寸止めする、打太刀は外されて刀を下段に静かに下ろし負けを表します。
 
 これで、太刀打之位十本を終了いたします。
 
 大江先生の居合道形七本のものでも、申し合わせの形打ち稽古などと安易にしていては只の棒振りにすぎません。
 忘れられた古伝太刀打之位ですが、これを打っている道場は多そうです。
 業手附が古伝のものであるかどうか、神伝流秘書やこの業附口伝と対比していただければと思います。
 第20代河野百錬先生の昭和13年発行の「無双直伝英信流居合道」にある太刀打之位はこの曽田先生の業附口伝からのものの様です。

古伝神傳流秘太刀打之事 十本目打込
 相懸又は打太刀待処へ遣方より請て打込み勝

*「打太刀より討ち込んで来るのを仕太刀請けて打込勝」是だけの文言です。様々な請け方は有るでしょうが「請けると同時に勝」事が到達するところでしょう。
 物打で刀を合わせ仲良く相打ちで演武を納めるなど演舞会ではいざ知らず、違うだろうと思います。
 古伝はおおらかです、手附けの意図するところを読み取って、考えて演じたいものです。

 曽田先生は業附口伝では「伝書になし口伝あり」といっています。この業附口伝を書かれた頃は古伝神傳流秘書をまだ見ていなかったのでしょう。

 政岡先生は「斬り結ぶのみ」としています。切り結んだのでは、次の「勝」が出てきません。伝書の心持ちとは同じように思えなくて首を捻っています。

嶋 専吉先生の「留之剣(打込一本、但し伝書になし)」
 「仕中段・打中段 互に進み間合いにて真向より物打あたりにて軽く打合ひ(音を立てゝ強く撃ち合ふ意にあらず)更に青眼に直りて残心を示し正しき位に復す。
右「留之剣」終らばそのまゝ一旦後方に退き血振ひして刀を鞘に納め更に前進し正座にて刀の終礼を行ひ再度後退して対立のまゝ相互に黙礼をなし、次で神前の敬礼を行ふ」


 古伝神傳流秘書の「打込」にある「相懸又は打太刀待処へ遣方より請て打込み勝」の「遣方より請て打込み勝」の部分を、何度も読み直し空想の世界を駆け巡らせて研究して見るのも楽しいものです。

 相打ちで「形」終了でいいのでしょうか。当代は「「形」は人前でこれ見よがしに打つものではない」と仰います。

 真剣で形を打つなど、大道芸に等しい事を臆面も無く演じるなど・・・・おもいつくままに

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