« 曽田本その1の3業附口伝原文1太刀打之位9心明剱 | トップページ | 曽田本その1の3業附口伝原文1太刀打之位10打込 »

2018年1月27日 (土)

曽田本その1の3業附口伝読み解く1太刀打之位9心明剱

曽田本その1
3業附き口伝読み解く
1、太刀打之位
 
九本目心明剱(仕納 打上)
 是モ相掛リニテモ相手待チカケテモ不苦敵ハ真向ヘカムリ我鞘二納テスカスカト行也其時我片手ニテ十文字二請ル也其侭二敵引也スグ二我打込ミ勝也気合大事(叓)也云々
 最後二打込ム時ハ敵ノ刀ヲ押シ除ケル様二シテ左足ヲ踏ミ込敵ノ首根二打込ム也
読み
 是も相掛りにしても相手待ち掛けても苦からず 敵は真向へ冠り 我鞘に納てスカスカと行く也 其の時我片手にて十文字に請る也 其の侭に敵引く也 直ぐに我打込み勝也 気合大事也云々 最後に打込む時は敵の刀を押し除ける様にして 左足を踏み込み敵の首根に打込む也

参考
古伝神傳流秘書太刀打之事九本目「心妙剱」
心妙剣(しんみょうけん)
 相懸り也 打太刀打ち込むを 抜くなりに請けて打込み勝つ也 打ち込む時 相手の刀を押し除ける業あるべし
読み解く
  業附口伝の九本目の業名は「心明剱」ですが古伝神傳流秘書では「心妙剣」です。土佐の居合の伝承の曖昧さは昔も今も変わらない様です。これは口伝口授による伝承が主体で伝書はあっても門外不出であったり、読んでも抜けだらけで余程の力量がないと判断し得ないためでしょう。然し「明」と「妙」は、いつ誰によって取り違えたのでしょう。前回の絶妙剱と独妙剱またしかりです。
 
 是も相掛でも打が待ち掛けても良いと言いますが、相掛に、仕は納刀、打は上段に冠ってスカスカと双方歩み行きましょう。

 打は右足を踏み込んで真向に打込んでくる、仕は右足を踏み込み抜刀して是を右片手にて額の上に十文字に刃で請ける。
 打が退かんとする処を、仕は打の太刀を押し除ける様に振り冠り左足を踏み込んで打の首根に打込む。

 「気合大事也云々」ですから敵の退くに乗じて踏み込んでいく気合、敵を退かせる様な気、敵の起こりに反応する気合でしょう。

 相手が打ち込んだ儘、押し付けてくるならば摺落す、剛力で打ち込む相手ならば、体を替って弛み抜きで左に外してしまうべきでしょう。
 打ち込まれた太刀を片手で請け、相手が退きもしないのに左足を踏込み左手を柄に掛けて腕力で敵刀を巻き落とす様な動作が良く見られます、是は疑問です。
 剛力を頼りでは稽古の必要はないでしょう。形ばかり真似る悪癖です。
参考
神傳流秘書の太刀打之事九本目心妙剣
 相懸也打太刀打込を抜なりに請て打込み勝也打込む時相手の刀をおしのける業あるべし 

 打太刀上段に構え、遣方刀を鞘に納め、合懸りにスカスカと歩み寄り、打方真向に打ち込んで来るのを仕は抜くなりにこれを受ける。
 ここまでは、古伝の文面から読み取れます。次の「請て打込勝也」は難題です。どの様にして勝つのか何も書かれていません。
 「打込む時相手の刀をおしのける業あるべし」がそれを教えているのでしょう。

 政岡先生は、「額前で十文字に受けるや直ちに左手を柄にかけつゝ左足を踏み込み体を開きながら刀を右下にまき落とし刀を後ろからまわして首根を斜めに切る」と見事に相手の打ち込みを瞬時に受けていなしています。

嶋 専吉先生の第19代福井春政先生の「心明剣」
 打太刀は真向に冠り、仕太刀は帯刀のまゝ相掛りに前進し間合に至り打太刀上段より仕太刀の面に打下すを、仕太刀間髪を容れず抜刀、双手にて頭上十文字に請け止め、打太刀の引き際に(打太刀は足を替えずに体を僅に退く)右片手にて打太刀の刀を押し除くるが如く右下に払ひ、左足を左方に踏込み打太刀の首根を断つ。
 この業特に「気合大事なり」とあり充分心すべし。
 尚この形に於て仕太刀双手を払ふ業、及び左足の踏込と共に相手の頭べを撃つ動作には特に工夫あるべし。次に刀を合せ五歩後退


 「仕太刀間髪を容れず抜刀、双手にて頭上十文字に請け止め・・右片手にて打太刀の刀を押し除くる」が腑に落ちませんが19代に習ったまま、見たままなのでしょう。
 折角双手で請けたのに、片手で押し除けるのです。

 「気合大事なり」という文言は業附口伝の文言です。業附口伝は曽田先生が書き起こしたものですから当時では古伝とは言い得ません。第19代も業附口伝から学んでおられる可能性があります。
 第19代福井春政先生は第17代大江正路先生の弟子ですから大江先生の居合道形7本以外は習っていないと考えてもおかしくはないでしょう。

 
 

|

« 曽田本その1の3業附口伝原文1太刀打之位9心明剱 | トップページ | 曽田本その1の3業附口伝原文1太刀打之位10打込 »

曽田本その1の3業附口伝読み解く1太刀打之位」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« 曽田本その1の3業附口伝原文1太刀打之位9心明剱 | トップページ | 曽田本その1の3業附口伝原文1太刀打之位10打込 »