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2018年2月20日 (火)

曽田本その1の3業附口伝読み解く2詰合之位11討込

曽田本その1
3業附口伝読み解く
2、詰合之位
十一本目討込(伝書二ナシ)(留ノ打ナリ)
双方真向二打チ込ミ物打ヲ合ハス也
読み
十一本目討込(伝書になし)(留の打なり)
双方真向に打ち込み物打を合す也
古伝神傳流秘書詰合
11本目討込は有りません。
読み解く

*この業は伝書に記載されていないと曽田先生は仰います。詰合之位は十一本と摺りこまれて、最後の業は討込と定番になっているのです。
神傳流秘書には「以上十本」とあって討込の業は記載されてはいません。
 この業附口伝の十本目の霞剣では「・・五歩退り相中段に次に移る也」とありますから十一本目があって稽古もされていたのでしょう。

 双方スカスカと中段に構えて相進み、間境で左足を踏込み上段に振りかむり右足を踏み込んで真向に打ち下ろす、双方の真中上方で打ち合わせ、物打のあたりで鎬が擦れ合って留める。
 双方じわじわと中段に刀を合わせ、五歩退き血振り納刀する。
 是が演武会で見る殆どです。

 真向打ち合いは双方相手の頭上ど真中を物打で真向に打ち込む様にしないと空振りになり易いものです。
 この業は演武の際の締めの業位に思うものではなく、この真向打ちの極意を知ることが重要です。
 詰合之位十一本の中にこの双方真向に打ち合わせる業は、十一本目討込・十本目霞剣・八本目眼関落の三本もあります。三本とも双方の真ん中上部での物打ち付近の表鎬での摺り合いによる相打ちに留めています。
 太刀打之位では十本目打込一本・七本目絶妙剣、五本目月影は敵八相に打込ですから似ていますがちょっと違います。これを八相の構えから上段に振りかむって真向に打ち込めば同じことになります。ですから、この双方真向拝み打ちは、そのまま双方の頭上に打ち込めば相打ちとなるか、この極意技を会得した者が常にここで勝負を得られます。

 この拝み打ちだけをひたすら稽古するだけの価値は高いものです。何故土佐の居合はこの剣術の極意技を稽古させるように組み込んだのでしょう。
 一刀流の「切り落し」、新陰流の「合っし打ち」に影響されていることはどう考えてみても明らかです。

 「打ち込み」は、双方の頭の中心部に真っ直ぐに打ち込む事がポイントです。
 決して刀を斜めにして受け太刀を意識したものでは無く、厳しく注意すべきところでしょう。打太刀の真向に振り下ろす刀を、仕太刀は十分引き付けて真向に打ち下し斬り落します。
 仕太刀は打太刀の頭上を割って打太刀の刀は仕太刀の脇に摺り落ちます。
 打込むわけにいきませんから敵頭上で寸止めする事になります。
 双方、一歩退いて正眼に戻し物打ちを合せ、静かに元の位置に退がり血振り納刀。

嶋 専吉先生の第19代福井春政先生の打込

「打込(伝書になし、留の打なり)共に中段、互に進み間合にて真向に打込み物打を合せて双方青眼となる。
業終って其場にて左膝を跪き血振ひ納刀をなし一旦立ちて更めて正座し帯刀を解き左腰に堤刀にて後退し相互に立礼、更に神前の敬礼を行ひて退場す。」


 十一本目打込みは古伝神傳流秘書にはありません。十本目の霞剣では締まらないと考えて後世の者が追加したのかも知れません。いや曽田先生の独創かも知れません。

 ここは、打太刀が先に真向に斬り込み、仕太刀がそれを斬り落す極意業で締めたいものです。

 以上で業附口伝の詰合之位を終わります。
 嶋先生が昭和17年1942年太平洋戦争に突入し高知にも米軍機が飛来する中を、高知におもむき2週間程第19代福井春政先生や田岡 傳先生に直に指導を受けられた貴重な覚え書です。
 書かれたものから是は曽田先生の業附口伝に依る手附と判断できます。此の頃既に河野百錬先生の「無双直伝英信流居合道」が発行され、曽田先生の業附口伝が世に出て居ました。
 詰合以降は第19代福井春政先生のお持ちの文献から謄写したと書かれています。嶋 専吉先生のお国は何処で、御歳や師匠や所属は何処であったのか、どなたのお弟子さんであったのか、わかりません。

 詰合は居合膝(立膝)から始まる居合らしい組太刀です。古伝神傳流秘書の業手附を学べば「おおらか」力量次第で如何様にも変化を展開できるものです。
 この曽田先生の業附き口伝以降の詰合之位は「位」などと、「しか」とした送りがあるばかりで、特定の動作を要求されてしまい組太刀踊りになってしまう事が残念です。武術は「かたち」の伝承(まね)で終わらせたくないものです。

 詰合之位を終ります。

 

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