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2018年2月10日 (土)

曽田本その1の3業附口伝読み解く2詰合之位6位弛

曽田本その1の
3業附口伝読み解く
 
2、詰合之位
 
六本目位弛(仕坐納 打左上段)
 是ハ敵ハ立チ我ハ坐スル也敵ハ太刀ヲ抜イテカムル我ハ 鞘二納メテ右片膝立テ坐スル也敵スカスカト来テ拝ミ打二討ツ也我其時アタル位ニテスッカリと立チ其侭左足ヲ一足引キテ抜敵二空ヲ打タセ同時二右足ヲ一足踏ミ込ミ面へ切リ込ミ勝也
仕太刀ハ此ノ時刀ヲ合ハセ五歩退キ血振ヒ納刀
打太刀ハ其位置二テモ五歩退リテモ不苦
読み
六本目位弛(くらいゆるみ、くらいはずし?)(仕坐納 打左上段)
 是は敵は立ち我は坐する也 敵は太刀を抜いて冠る 我は鞘に納めて右片膝立て坐する也 敵スカスカと来て拝み打ち討つ也 我其の時、当たる位にてスッカリと立ち其の侭左足を一足引きて抜き 敵に空を打たせ同時に右足を一足踏み込み面へ切り込み勝也
仕太刀は此の時刀を合わせ五歩退き血振い納刀
打太刀は其の位置にても五歩退りても苦からず
古伝神傳流秘書詰合五本目「位弛」
 我居合膝二坐したる所へ敵歩ミ来りて打込むを立さま二外し抜き打ち二切る 或は前の如く抜合たる時相手より打を我も太刀を上へはづし真向へ打込ミ勝
読み
 我居合膝に坐したる所へ 敵歩み来たりて打込むを 立ち様に外し抜き打ちに切る 或いは 前の如く抜き合いたる時相手より打つを 我も太刀を上へ外し真向へ打込み勝
読み解く

 「位弛」はくらいはずし、くらいゆるみと読んだら良いのでしょう。
 是は敵は左上段に構える。左上段と曽田先生のメモがあるのでそうしますが、その意味があるかは疑問です。
 左上段は左足を前に出し刀を上段に構え切先は高く45度位に取り柄頭は左足先の辺りに向けます。従って出足(この場合は左足)から前進します。
 我は刀を鞘に納めたまま立膝(居合膝)に座しています。敵スカスカと歩み来て拝み打ちに頭上へ打ち込んで来ます。

 我は敵が上段に構えて歩み寄って来るので刀に手を掛け腰を上げ刀を抜き出し間を計り、敵間境に接するや立ち上がりつつ刀を物打まで上方に抜き、敵踏み込んで拝み打ちに打つや左足を後方に一足引いて右足を追い足捌きにスッカリ立ち、刀を左肩を覆う様に抜き上げ、敵刀に空を打たせるや右足を一足踏み込んで敵の面へ切り込んで勝つ。

 敵はすでに上段に構えて間を越して来ますから、打ち込んでくる起こりは間をよく読んで立ち上がり、充分待って拝み打ちに打つをとらえて左足を後方に引いて間を外して空を切らせるものです。

 この場合の、深く敵が攻め込んでいれば、抜き上げた刀で敵の刀を摺り落とす事も考慮して頭と左肩を十分カバーした抜き上げが大切です。刀を抜いてしまい受け太刀にするのではないでしょう。
 現代居合の正座の部附込の業に相当します。

 敵の切り込みを左足を一足引いて外すのですが、直線に引いたのでは、敵の切り込んで空を切った切先は我が正中線上にあります。我が其の侭真直ぐ打込めば、敵は切先を上げて刺突する事も出来ます、此処は筋を替るか、外した瞬間に斬り下すかでしょう。

 仕太刀は正眼に構え打太刀も正眼に合わせ互いに五歩退いて仕は血振納刀、打は左上段に構え次の業に移る。打はそのままの位置にとどまり、仕に合わせて上段に構えるもよい。とありますがここでは双方下がることにします。

神傳流秘書 詰合 六本目位弛

 我居合膝に座して居る処へ相手上段に振り冠って歩み来たり、真向に打込んで来るのを、立ち上がり右足を引き刀を上に抜き上げ拳を返して真向に打込む。

 或は双方居合膝に坐し、左足を引いて膝に抜合う、相手より上段に振り冠り打込んで来るのを、我は右足を左足に引き付け刀を上に突き上げる様に相手刀を摺り上げ落とし上段に振り冠り踏み込んで真向に打込み勝。

 古伝の位弛では「或は・・」以下の業は現在では見る事の無い動作です。別の業とも思えるのですが、心持ちは同じと言えます。
 刀を体すれすれに引き上げる様に切先下りに抜き上げて相手の打ち込みを右足を引いて間を外すや打込む、相手が深く討ち込んで来た場合は上に抜き上げた表鎬で摺り落してしまうわけです。
 大森流(正座の部)逆刀(附込)の「向より切て懸るを先々に廻り抜打に切・・」の動作の仕組みとなります。

 或は以下は、双方抜き合せた所よりの変化です。「太刀を上へはずし」をどのようにするかがこの間合いでの応じ方でしょう。
 「位弛(くらいゆるみ)」弛は、はずす事ですから、我が体を打ち間から外す事が大切です。

嶋 専吉先生による第19代福井春政先生の「位弛」
 「仕太刀は納刀其の位置に在て立膝。打太刀は五歩退きて立姿のまゝ一旦納刀の後、改めて抜刀左上段の構へ。
 但し帯刀より前進中抜刀するも苦しからず、此場合発足即ち右歩にて抜刀、次の左歩にて上段に冠り、続いて前進のこと。

 打太刀上段にてスカスカと前進し拝み撃に仕太刀の真向に打下す、仕太刀は打太刀の刃が将に己が頭に触るゝ位にて其刹那、敏速に左足より一歩体を退きつゝ刀を抜きて、スッカリと立ち打太刀に空を打たせ直に右足を一歩踏み込み上段より打太刀の面を撃つ。
刀を合はせ各五歩退き血振ひ納刀。
但し次の業例へば「燕返」に移る如き場合打太刀は後方に退らず、その位置に止るも苦しからず
。」

 この場合も古伝の「或は前の如く抜合たる時相手より打を我も太刀を上へはづし真向へ打込み勝」の新たな業は伝承されて居ません。
 神傳流秘書が江戸末期から明治以降に書物で伝承されなかった為と考えてもおかしくないものです。

 「位弛」の敵の切り込みを外し抜き打つ場合、演武を見ていますと、空を切った打太刀は、頭を下げ「さあ、此処へ打込んでください」とばかりの態勢です。そんな稽古を繰返しても意味は無さそうです。外すと打つが一拍子、あるいは外して筋を替えて打つ二拍子。敵も空を切って打たれるのを待つ体制は詰合を「奥」と心得れば如何に・・。

 

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