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2018年3月 2日 (金)

曽田本その1の3業附口伝読み解く3大小詰5胸捕

曽田本その1
3業附口伝読み解く
 
3、大小詰
 
五本目胸捕
 互二對坐打ハ仕ノ胸ヲ捕りテ突ク仕スグニ右手ニテ支エ左手二持タル柄頭ヲ敵ノ脇坪二當テル也又胸ヲ捕リテ引ク時ハスグニ刀ヲ抜キテ突ク也
(向ヲテ居ル右手ニテ胸ヲトリ突ク時ハ其手ヲヲサへ左手ニテ脇坪へ當ル 五藤正亮先生ノ教示)
読み
五本目胸捕(むねとり・むなとり)
 互に対坐 打は仕の胸を捕りて突く 仕直に右手にて支え左手にて持ちたる柄頭を敵の脇坪に当てる也 又胸を捕りて引く時は直ぐに刀を抜きて突く也
(向こうて居る 右手にて胸を取り突く時は 其の手を押え 左手にて脇坪へ当てる 五藤正亮先生の教示)
古伝神傳流秘書大小詰五本目胸留
 詰合たる時相手我胸を取り突倒さんと春る時我右の手尓て其手を取り左の足を後へ引柄頭尓て相手の脇へ當る又引く時は随而抜突く也

読み
古伝神傳流秘書大小詰五本目胸留(むねとめ・むなとめ)
 詰合たる時 相手我が胸を取り突き倒さんとする時 我右の手にて其の手を取り 左の足を後ろへ引き 柄頭にて相手の脇へ当てる 又 引く時は随って抜き突く也
読み解く

 互いに立膝で座している、打が腰を上げて右手で仕の胸を取って突いてくる。仕は右手で倒されまいとして支え、左手で柄頭で敵の脇坪に突き当てる。
又、敵が胸を取って引き込もうとする時はすぐに刀を抜いて突く。

 胸を取られて突き倒されそうなので右手で支え(十六代五藤先生は敵の右手を押える)、左手で柄頭を以て敵の脇坪に当てる。五藤先生は左手で敵の脇坪を突くでした。
 想定が抜けていますからそれを加味しておけば、我は刀を抜かんと左手を鯉口と鍔に取る処、敵は我が胸を捕り突いてくるので敵の手を押さえ左手で持ちたる柄頭で脇坪に当てる。
 脇坪は脇の下の窪んだ所でしょう。

 敵が胸を取って引っ張り込まれる時、太刀を抜いて突くのは敵との間隔が近すぎれば、敵の手を振り払って、左足を後方に引くなりして間を取って抜き出し突くでしょう。
 敵が胸を取って突き倒そうとしたが我は右手で支えて堪えるので、敵は手を離し後ろに引くならば容易に太刀を抜き突く事も出来そうです。

 柄当てと、太刀を抜いて突くのを別々にして二つの業をとらえましたが、ここは、我が左手を刀に掛ける処、敵に胸を取られて突き倒されそうになるので右手で支え踏ん張り、左手で鯉口と鍔を持ちたる柄頭で敵の脇坪に打ち当てる。
 敵怯んで引く所を右手を柄に取り左足を引き、鞘を引いて太刀を抜き切っ先を返して敵の胸を突く。
 この方が業らしいのですが、業手附に忠実に従って稽古した上で見直すべきでしょう。

神傳流秘書 大小詰 五本目胸留
詰合たる時相手我胸を取り突倒さんとする時我右の手にて其手を取り左の足を後へ引柄頭にて相手の脇へ當る又引く時は随って抜き突く也

 詰め合って座している時、我が鍔に手を掛けるや、相手は腰を上げ右足を踏み込んで我が胸を右手で取り、突き倒そうとする。
 我も腰を上げ右手でその手を取るや左足を後方に退き柄頭を以て相手の脇腹にあてる。 又、左足を引くに従って刀を抜出し、切っ先を返して抜き突く。

 この場合は、相手に我が胸を取らせたまま、押されて退くのに従って、左手で持つ刀の柄頭で相手を突くでしょう。
 又は、相手が我が胸を取り突き倒そうとして、我に防がれ敵が後へ引くに従って刀を抜き突く。

 業は二つのようにも読み取れます。
「・・柄頭にて相手の脇へ當る、又相手引くに随って突く也」。「又」を「別に」とするか「それから」とするかですが、ここは一つの業として演じる方が良いのでしょう。

嶋 専吉先生の第19代福井春政先生の大小詰五本目胸留
「互に対座す。打太刀は仕太刀の胸を捕へて突く、仕太刀直に右手にて支へ左手に持ちたる柄頭を打太刀の脇坪に當てるなり。又胸を捕りて引くときは直に刀を抜きて突くなり。

 嶋先生の写されたものは曽田先生の業附口伝と同じものです。省略しても良いでしょうが、「福井先生御所蔵の文献をそのまゝ拝借謄写して他日の研究を期すことゝし・・」と「はしがき」に記されています。
 出処は曽田虎彦先生の業附口伝と想像しますが、是が曽田先生の元本かも知れませんので引続き載せて行きます。

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