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2018年4月 8日 (日)

曽田本その1の4居合根元之巻読み解く6小藤亀江伝来の目録9

曽田本その1
4.居合根元之巻読み解く
、小藤亀江伝来の目録
無雙直伝英信流居合目録
  
極意之大事 
 
1.暇乞・2、獅子洞入・3、地獄捜・4、野中幕・5、逢意時雨
・6、
火村風・7、鉄石・8、遠方近所・9、外之剱・10、釣瓶返・11、智羅離風車
読み解く
 極意の大事に相当する教えは恐らく戦後の師匠から弟子へ伝えられた形跡は知る限りでは見られません。
 無双直伝英信流及び夢想神傳流でも、刀を抜き付ける居合の業技法に偏ってしまっていると思われます。
 指導を受ける者も、聞いては見ても現代には有り得ないことぐらいで右から左へ聞き流してしまうかも知れません。
 項目ごとに、英信流居合目録秘訣の極意を味わってみます
1、暇乞
英信流目録秘訣
 仕物抔を云付られたる時抔其者之所へ行て四方山の咄抔をして其内に切べし隙之無ときは我が刀を取て又近日と立さまに鐺を以て突き倒し其侭引ぬいて突く也又は亭主我を送って出る時其透間を見て鐺にて突たおして其侭引ぬいて突くべし
 現代居合はいつの間にか、相手の害意を察して、機先を制して後の先もしくは先々に制するものと理解しています。しかし古伝は相手の害意を察するとも、後の先とも状況を指定していません。どの様な状況でも教えられた業技法を以て勝也です。
 古伝神傳流秘書の抜刀心持之事にも英信流居合之事にも大森流居合之事にも暇乞と称する業名は見当たりません。
古伝神傳流秘書大森流居合之事 抜打
 坐して居る所を向うより切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み開いて納る 尤も請流に非ず此所筆に及ばず
 この抜打は相手に打ち込まれたのを請け流して勝、後の先を表しています。
古伝神傳流秘書英信流居合之事 抜打
 大森流の抜打に同じ事也
古伝神傳流秘書抜刀心持之事 抜打
 抜打上中下
 「(暇乞三本)格の低き者に対する黙礼の時、等輩に対する礼の時、目上の者に対する礼の時 曽田メモ」
 曽田本その1の1神傳流秘書抜刀心持之事の17本目に「抜打上中下」と有りますがその手附けは有りません。
 そこには曽田先生のコメントとして「(暇乞三本)格の低き者に対する黙礼の時、等輩に対する礼の時、目上の者に対する礼の時」とあって、抜打について、地位の格差による礼法の違いを以て抜き打ちの仕方が違う様にメモられています。
 何時の時代かに抜打と暇乞の時の頭の下げ具合による抜刀法とを合体させた業が付加されたのかも知れません。
 木村永寿先生の林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流伝書集及び業手付解説「神傳流業手付」の抜刀兵法傳来の抜刀心持之事には抜打上中下 「(暇乞三本)格の低き者に対する黙礼の時、等輩に対する礼の時、目上の者に対する礼の時 曽田メモ」に相当する記述は有りません。私は曽田虎彦先生が、当時土佐の居合で一般化した大江正路の居合の暇乞三本を書き加えた様に思います。
 その暇乞三本と英信流目録秘訣の仕物を言い付けられた時何が何でも首を取って帰らなければならない使命を帯びて、相手の隙を伺い奇襲する先制攻撃がコラボしている様に思います。
 現代では、奥居合の暇乞は卑怯な奇襲戦法として演武会では演じてはならないとまで飛躍している場合があります。
 お辞儀の角度がいか様でも、敵が攻撃を仕掛けて来る事も有る筈で、それに応じる後の先の技は暇乞三本でもあり得ることです。拡大解釈すべきものでは無さそうです。
白石元一長谷川流奥居合
 暇乞という業名は見当たりません。業手付から類推します。
 長谷川流奥居合の二十本目抜打
 (互に挨拶をして未だ終らざるに抜き打ちに斬る意)正面に対して正座し抜刀の用意をなしたる後、両手をつきて坐礼を行い頭を上げつゝ刀を抜き上体が起き終るまで已に敵を抜き打ちに斬りつく。
 この手附は互に挨拶をし、相手が起き上がる前に抜き打てと言っている様です。これは将に先制攻撃です。
尾形郷一神傳流居合兵法
 英信流奥居合之部ニ十本目抜打
(対坐して居る者を斬る)正面に向い対座し、刀を鞘なり前腹へ抱へ込む様に横たへ両手を前につかへ 頭を下げ礼をして俯きたるまま両手引込め鯉口と柄を執り 急に腰を伸しつつ刀を右前へ引抜き刀尖を左後へ突込み 諸手上段に引冠りて斬込む 
 「刀を鞘なり前腹へ抱へ込む様に横たへ両手を前につかへ」を忠実にやれば「両手を前につかへ」の解釈、手をつかえ(支・閊・痞)によって前屈みになって両手を床に着くと解釈できます。白石元一居合と同様でしょう。
大江正路剣道手ほどき 
 奥居合十九本目暇乞(黙礼)
 両手を膝上に置き黙礼し、右手柄に掛るや刀を斜に抜き付け上段にて斬る
 奥居合二十本目暇乞(頭を下げ礼をする)
 両手を板の間に付け、頭を板の間近く下し礼をなし、両手を鞘と柄に同一に掛け直ちに上に抜き上段となり前面を斬る
 奥居合二十一本目暇乞(中に頭を下、右同様に斬る)
 両手を膝上に置き黙礼より稍や低く頭を下げて礼をなし、右手を柄に掛け刀を斜に抜き上段にて斬る。
 大江正路の暇乞は後の先とも先とも不明ですがこの文章では、お辞儀をしつつ不意打ちの先制攻撃の色が濃そうです。
 大江正路の剣道手ほどき大森流居合の十一本目抜打を見てみましょう。
 「対坐にて前の敵を斬る心組にて其正座の儘刀を前より頭上に抜き、上段に冠り、身体を前に少しく出し、前面の頭上を斬る」
 是では正座の部の抜打ちも不意打ちの雰囲気です。古伝の「坐して居る所を向うより切て懸るを其のまゝ踏ん伸んで請流し打込み開いて納る 尤も請流に非ず此所筆に及ばず」は何処に行ってしまったのでしょう。
 この一方的な抜打は白石居合にも尾形居合にも同様と云う事は、細川義昌に伝えた下村派第十四代下村茂市定の教えであったと思われます。
 当然の事で下村茂市定を師匠とした吉宗貞義を師とする曽田虎彦にも通ずるものかも知れません。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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