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2018年4月 3日 (火)

曽田本その1の4居合根元之巻読み解く6小藤亀江伝来の目録4

曽田本その1
4.居合根元之巻読み解く
6、小藤亀江伝来の目録
4.無雙直伝英信流居合目録
外之物之大事  
 1、行連・2、連達・3、逐懸切・4、惣捲・5、雷電・霞
読み解く
外之物之大事の業名から次の伝書に相当する業名を拾い出してみます
1、行連
古伝神傳流秘書抜刀心持之事 行連
 立って歩み行内に抜て左を突き右を切る両詰と同事也
白石元一長谷川流奥居合 行連
 右側の敵を抜き打ちに右片手にて斬りつけ、直ちに刀を返し右方より振り冠り(左手 を添えて)右足を踏み出し左方の敵を斬る。
尾形郷一無双神傳抜刀術兵法 行連:
 左右の者を斬る、右へ振り向くなり、抜打ちに(右の者へ)斬付け直左へ振返りつつ諸手上段に振冠り右足踏込んで(左の者へ)斬込む。
大江正路剣道手ほどき 行連:
 進行中右に斬付け又左を斬る、左足を左横に踏み、上体を稍や左横に寄せ右足を右横に踏み出す時、中腰にて抜き付け、上段にて右を斬る、其足踏みのまま、左に体を返して、上段にて中腰にて斬る。
英信流居合目録秘訣(参考) 行連:
 右を片手打に左を諸手にて切る事も有り是は皆気のりにてする心持ち也、歩み行くうちに刀を抜我が左の方を突き其侭冠て右の方を切是は敵を左右につれたち行く時の事也或我を左右より取こめんとする時抔の事也
2、連達
・連達古伝神傳流秘書抜刀心持之事 連達:
 歩み行内前を右の拳にて突其侭に左廻りに振返り後を切り又前へ振向て打込也
白石元一長谷川流奥居合 連立:
 前後重なりて歩行中、右足を踏み出すと同時に前方の敵を抜き打ちに右片手にて斬りつけ、返す刀にて後方の敵を斬る。
尾形郷一無双神傳抜刀術兵法 連達:
 前後の者を斬る、右手を柄に掛けるなり抜打に(前の者へ)斬付け直ぐ(後の者へ)斬込む。
大江正路剣道手ほどき 連達:
 進行中左を突き右を斬る、右横へ右足を踏み、体を右に避け、刀を斜に抜き、左横を顧みながら刀を水平として左を突き、右へ体を変じて上段にて斬る。
逐懸切英信流居合目録秘訣(参考) 行連:
 右を片手打に左を諸手にて切る事も有り是は皆気のりにてする心持ち也、歩み行くうちに刀を抜我が左の方を突き其侭冠て右の方を切是は敵を左右につれたち行く時の事也或我を左右より取こめんとする時抔の事也
3、遂懸切
・古伝神傳流秘書抜刀心持之事 追懸切
 抜て向へ突付走り行其侭打込也
白石元一長谷川流奥居合 追掛:
 前方を行く敵を追い掛けて斬る、右足にて刀を抜き刀先を返し中段に構え小走りに追い掛け、左足を踏み出したる時振り冠り、右足を出すと同時に大きく真向より斬り下ろす。
尾形郷一無双神傳抜刀術兵法 追掛斬:
 刀尖を前に、柄頭を腹部に引き付け諸手となり小走に前方へ走り往きつつ上段に振冠り右足踏込んで斬込む。
・大江正路剣道手ほどき 
 該当せず
英信流居合目録秘訣(参考) 逐懸切:
 刀を抜我が左の眼に付け走り行て打込但敵の右の方に付くは悪しし急にふり廻り又ぬきはろをが故也
4、惣捲
・古伝神傳流秘書抜刀心持之事 
  業名該当せず 五方切が元であろう
 歩み行内抜て右の肩へ取り切又左より切又右より切又左より切段々に切下げ其侭上へ冠り打込む也
・白石元一長谷川流居合 
 業名該当せず 五方斬りであろう
 (前方の敵を五回に斬る意)右足を出すと同時に左側にて刀を大きく抜くや直ちに上段に取り、先づ右袈裟がけに斬り振り冠り続いて左袈裟掛けに切り、返す刀にて右より胴を払い腰を落として左より足を払い、再び立姿となり右方より上段に取り真向に斬り下ろす。
尾形郷一無双神傳抜刀術兵法
 業名該当せず 五方斬であろう
 (前方に立って居る者を斬る)鯉口を切り左足踏み出し右手を柄に掛け右足を踏み出す同時に刀を引抜刀尖を左後へ突き込み頭上より右肩へ執り対手の左袈裟に斬込み 其刀を右上より振返へし頭上より左肩に執り対手の右大袈裟に斬込み 又其刀を左上より振返し右腕外へ執り腰を低めて対手の左腰より横一文字に斬込み 甲手を返へして左腕外へ執り 更に腰を下げ対手の向脛を横に払い腰を伸しつつ諸手上段に振り冠り(真向幹竹割に)斬り下す。
大江正路剣道手ほどき 惣捲り:
 進行中面、肩、胴、腰を斬る、右足を少し出して、刀を抜き、其足を左足に引き寄せ、右手を頭上へ廻し、右肩上に取り、左手を掛け稍や中腰にて(右足より左足と追足にて)敵の左面を斬り、直に左肩上に刀を取り、追足にて敵の右片を斬り、再び右肩上段となりて、敵の左胴を斬り、再び左肩上段となり右足を踏み開き敵の右腰を目懸け刀を大きく廻し体を中腰となして敵の右腰を斬り、中腰のままにて上段より正面を斬る。(‥一連として早きを良しとす)
英信流居合目録秘訣(参考) 惣捲形十:
 竪横無尽に打振て敵をまくり切る也故に形十と有也常の稽古の格には抜打に切り夫より首肩腰脛と段々切り下げ又冠り打込也
霞:
 俗に撫斬りという、抜き付け、手を上に返して、左面水平に刀を打ち返す、直に上段となりて前面を斬る。
5、雷電・霞八相
・古伝神傳流秘書抜刀心持之事 見当たらず
白石元一長谷川流居合 見当たらず
・尾形郷一無双神傳抜刀術兵法 見当たらず
・大江正路剣道手ほどき 雷電見当たらず
 霞の業名あり、古伝の向払の業を霞と改めたのか、その必要も無いと思われるが理解できません。霞八相については知っていたのか疑問です。
霞:(俗に撫斬という)正面に座して抜き付け、手を上に返して、左側面水平に刀を打ち返す、直に上段となりて前面を斬る。
・英信流居合目録秘訣(参考) 雷電・霞八相:
 雷電霞の二ヶ条当流極秘中の秘にして大事この外に無 請流に心明らかにして敵の働きを見と云教有れ共当流には雷電の時の心亦霞ごしに見るが如くの心の所に大事の勝ある事を教る也 夢うつつの如くの所よりひらりと勝事有其勝事無疵に勝と思うべからず 我が身を先ず土壇となして後自然に勝有 其勝所は敵の拳也 委しき事は印可に有 八相は四方八方竪横自由自在の事也 故に常に事形の修練熟せされば時に臨て其習い出会う事無し 本文には教を広く云亦曰八相に打下ろす所にて大事の勝有則二星也
 小藤亀江の居合目録の手附がどのようなものだったかは判りません。然し英信流居合目録秘訣の外之物大事と業名もその順番もすっかり同じですから目録は英信流居合目録を参考に作成されたと思われます。
 曽田本とは別に、細川家に伝わる伝書にも英信流目録秘訣はあったはずです(木村永寿著 林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流傳書集及び業手付解説P69)。
 細川義昌の道統とされる白石元一、尾形郷一両先生の行連・連立(連達)・追掛(追掛斬)はほぼ同じ手附ですが、古伝神傳流秘書とも英信流目録秘訣とも異なるものもあり、何処かで改変があったのでしょう。
 それにしても、大江正路の業名も業手附も、独創と言っていいのか疑問です。次回は上意之大事で同様の事をやってみます。古伝は何処かでねじ曲がって、バラバラになってそれぞれの道統を歩いている様です。
 雷電・霞などは現代居合では忘れられた剣術の心得でしょう。新陰流がチラつきます。
 
 

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