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2018年4月 7日 (土)

曽田本その1の4居合根元之巻読み解く6小藤亀江伝来の目録8

曽田本その1
4.居合根元之巻読み解く
、小藤亀江伝来の目録
無雙直伝英信流居合目録
  
極意之大事   
暇乞・獅子洞入・地獄捜・野中幕
逢意時雨・火村風・鉄石・遠方近所
外之剱・釣瓶返・智羅離風車

居合心持肝要之大事
1.捕手和合居合心持之大事
1.立合心之大事
1.太刀目附事
1.野中之幕之大事
1.夜之太刀之大事
1.閨之大事
1.潜り之大事 戸脇之事
1.獅子之洞出之事
1.獅子之洞入之事
右九ヶ条者深秘之極意也非真実之人者努々不可有相伝者也

無双直伝英信流居合就多年御熱心太刀次悉令相伝□向後嗜専要候若御所望之仁於有之者兼而其之人之取罰文御指南尤可仍許免之状如件

明治三十四年六月十五日  
           谷村樵夫自庸
小藤亀江殿
 
読み解く
 曽田虎彦先生の実兄小藤亀江が谷村樵夫自庸より伝授された居合根元之巻に付随する無双直伝英信流居合目録を読み解いてきました。
 免許状の形式は大凡このようにその流の始祖による流を起こした謂れ、その奥義と云える教え、それを行うに当たっての心構えなどの様です。
 伝えた業目録は目録のみで業名が記載されているばかりです。土佐の居合も其の形式に依っています。
 従って、目録を見てもどの様に伝授されたのかはわかりません。中には目録一部で流の最も基本とする奥義の業のみ伝授され他は独習せよとばかりのものもあろうかと思います。
 目録允可は根元之巻とは異なり、「業を教えたよ」というものに過ぎません。中には初伝・中伝・奥伝と分けて居る場合もありますが、それは其処までの伝授の証しでもあり、中には金目当ての巻物に過ぎないものもあったでしょう。根元之巻は「奥義の心を伝えたよ」というものです。これは免許皆伝ですから流の業技法も心得も伝えたものですから師範として道場を開く事を許されたと言えるでしょう。
 流の宗家として立つには紹統印可を現宗家から印可されるもので、根元之巻を師匠から伝授されたとて自称宗家を名乗るべきでは無くその乱立は疑うべきもので、自らが見直すべきでしょう。
 いくつかに分けて小藤亀江伝来の無双直伝英信流居合目録を解説して見たいと思います。
 参考とするものは、英信流目録秘訣しか見当たりません。
 既に発行されているものでは昭和30年1955年発行の第20代宗家河野百錬の無双直伝英信流居合兵法叢書第二編居合兵法極意秘訣第四章英信流居合目録秘訣P61。
 もう一つは昭和57年1982年発行夢想神傳流の木村永寿範士による林崎抜刀術兵法夢想神傳重信流伝書集及び業手付解説の英信流居合目録秘訣P69。
 木村永寿本は夢想神傳流を正当化する事に気を遣いすぎ、林崎甚助重信から伝わり、長谷川主税助英信が時代に合わせて改変し、荒井勢哲清信から伝授され土佐の林六太夫守政が土佐にもたらした無双神傳英信流居合兵法であることをぼやけさせています。
 其の表題によってせっかくの細川家伝来の資料集が無双直伝流を学ぶ者にも伝わらず絶版になっているのは残念です。
 河野本は内容は曽田虎彦からの手書きの伝書集から版を起されていますが、何せ版数も少なく高価で、発行時期も早すぎたためでありましょう、限られた人にしか渡っておらず、其の侭書庫に埃を冠って居るか遺族が破棄したか古本としても市場に出てきません。
 図書館でコピーするか再版を待つばかりです。先師から譲られてお読みの先生は少なかろうと思います。
 日本の国語教育の貧困さからページを開いても読みこなせない若者ばかりで宝の山はいずれ消えてしまうでしょう。
 居合を学ぶ者は国語も学ばなければならない、同時に戦国期から江戸期の日本人の思想や体の使い方も学び、新陰流と兵法家伝書・武蔵の五輪書・一刀流極意なども勉強せざるを得ないでしょう。
 武術はその師の域に達しなければ、指導された意味も術も理解できないものです。形は真似られても術にはならないのが古流だろうと頭も尻も叩かれています。当然伝書を書かれた先人の域に達せられなければ其の内容は理解不能でしょう。
 よく、伝書は、流の極意技を知られない様に書かれているなどの聞き覚えをさせられます。 私はそんな事では無く其の域に達していなければ唯の巻物で口にくわえて呪文でも唱える以外にないものと思っています。
 余談が長すぎました。次回は極意の大事に入ります。
 
 

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コメント

『日本の国語教育の貧困さからページを開いても読みこなせない若者ばかりで宝の山はいずれ消えてしまうでしょう。
 居合を学ぶ者は国語も学ばなければならない、同時に戦国期から江戸期の日本人の思想や体の使い方も学び、新陰流と兵法家伝書・武蔵の五輪書・一刀流極意なども勉強せざるを得ないでしょう。』

以前、「全日本居合道刀法」のところでコメント致しました。全日本居合道連盟 大阪 イシゼキです。

上記のことを痛感しております。
私自信、ページを開いても読みこなせないもののひとりです。

居合年数を重ね、多くの先生方と接する機会が増えました。それと同時に後輩も増えてきました。
居合の捉え方や考え方、伝え方に責任のようなもの感じるようになってきています。しかし、分からないことや知らないことが多く苦慮しています。
正直、こちらのサイトを読みこなすのも難儀しています。

ただ、そんななかでも、最近交流を始めた他連盟の方々もこちらのサイトを参考に学んでいると聞きました。業まえだけでなく、稽古場の確保などいろいろな意見や情報を聞くきっかけになりました。
ミツヒラ様には失礼かもしれませんが、とても感謝しております。


イシゼキさま
コメントありがとうございます。
お久しぶりです。
「俺は師匠からこう習った、そのとうり指導しているのでつべこべ言わずこの通りやれ」と云われても納得できないものはできない、「何故」と問わずとも、明かりが見えるならいいのですが真似ているだけの指導者では得られるものは無さそうです。
人頼りをしないならば自分で考えやって見るばかりです。考えるヒントを求めて随分資料も集めました、違師伝の方とも交流しました。
どれも素晴らしいもので、正統会だけが全てと云う狭量はとっくに亡くなっています。
どれも間違ってはいないからです。それでも演じる業の動作は正統会が柱になっています。古伝を読みこなすには文字を知り、言葉を知り、意味を弁え、動作に変じ、結果を得るの何一つとして疎かに出来ないと思っています。
最近は、伝書を書いた人の域に達し得ないうちはその心を理解できないと云う難問にぶち当たって泣いています。
      ミツヒラ

投稿: イシゼキ | 2018年6月 9日 (土) 15時28分

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