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2018年5月 6日 (日)

曽田本その1の5居合兵法極意秘訣読み解く1老父物語4雷電その2

曽田本その1
5.居合兵法極意秘訣読み解く
1、老父物語
4雷電その2
 雷電 両方八相にて打合敵我が右をうくれば亦左え打所を此方より打落し跡え引き敵打をはずし亦引上げ下げ曲尺合心に能々修行無くては成り難し
 太刀おっ取てするするとゆく故切ればきるべし切らずば切るまじ
 亦するすると行かずして身を沈み車にかまえ敵切ってかゝる其拍子をうけず其間合を勝事我心に浮み我より出づべしと知るべし
 亦太刀をあだ切をして二の太刀にて勝位も有是も我より気にのりてゆくべし
 亦相懸にて敵来る時先に敵の太刀をころして勝位有古人和卜刀とも云えり
 亦敵先に切って懸る時左右えひらき勝位有り、みな我気のはたらき也
 亦太刀を敵え差懸切らせて引きすかして跡を切位有
 亦時によりて青眼にかまえて身を能くかこい敵より切一度にすり込鍔きわにて勝位有
 亦敵打時我が太刀をかぶり請又はうけ流して勝位有
 亦敵打時身をしずみちんたいにて敵の手首を打払いて勝位有
 亦中墨を打ち払ひて勝位も有
* 
 ここは、雷電についての様々な展開を書いているようです。然しよく読んでみると前回までの二刀によるものとは違う様です。
 両方八相に構え打ち合う、敵我が右を打って来るので請ければ、亦左へ打込んで来る処を、此方から打ち落してしまい、後に退て敵の打ちを外し、亦上、下と打ち合う間合いの心持ちは能々修行しなければ会得し難いものである。
 太刀を取ってスルスルと間に接するので、切れば切る、切らずば切らずの心持ちである。
 亦、スルスルと行かずに、身を沈めて車に構える、敵切って懸かるその拍子を敵刀を受けずにその敵の切って来る間合いを期して勝事、是は我が心に浮かび上がりむしろ我から斬りかかって勝つものと知るべきである。敵の斬り間は我が斬り間です。車に構えれば左肩を敵にさらす様な構えですから敵が左肩に斬り込んで来る拍子に敵の小手に斬り込み勝。
 是は真陰流(新陰流)の三学円の太刀一刀両断を思わせます。
 
 次の亦、「太刀をあだ切をして二の太刀にて勝」は、八相から大きく斬り込む風にして、敵が受けずして外すや、空を斬った太刀を残して誘いう、あるいは斬り流して誘い、ここぞと斬り込んで来る処を筋を替って斬り込み勝。
 これも真陰流(新陰流)の九箇の必勝か逆風であろうと思います。
 
 次の亦は「古人和卜とも云えり」と業名を先に出しています。これも真陰流(新陰流)の九箇の太刀の四本目和卜であれば敵は上段から我が青眼に構える左拳に打ち込んで来るのを、太刀を上げずに打ち落し敵の喉に切先を付けて勝。打ち込んで来る敵の太刀に十文字に乗って打ち落すとでも言ったらいいのでしょう。太刀を上げて叩き落すのでは、落すと同時勝にはなれません。
 
 次の亦、「敵先に切って懸る時左右え開き勝」は高く八相に構える左肘を斬って来るので左肘を引き付けて外して右に踏込み左と踏込み、打ち外された敵の左拳を上から切り下ろす。元に戻って、左肘を再び深く切って来るので左足を左前に踏込み体を左に披き上から敵の右腕に斬り下ろす。
 これは真陰流(新陰流)の天狗抄の花車とも言えます。「みな我気のはたらき也」と添えられています。敵の太刀に触れる事無く、外すや斬るの一拍子です。
 次の亦、「太刀を敵え差懸切らせて引きすかして跡を切る」この「太刀を敵え差懸け」がどのようなものかで悩みます。竹刀剣道などでは、敵に突き込む様にして払わせて其の拍子に乗って打つ、などの事も有るでしょう。
 ここは、真陰流(新陰流)の業の様ですから、太刀を払わせるのではお粗末です。そこで敵に太刀を持った拳ごと差し懸け、ここぞと拳に切り込んで来るのを外すや斬り込む、九箇の太刀の十太刀かくねり打ちが該当しそうです。
 次の亦は、「時によって青眼に構えて身を能く囲い敵より切一度に摺り込み鍔際にて勝」は青眼ですから真陰流(新陰流)であれば、切先は敵の左眼に付け、左拳は左脇前、右拳は正中線上でしょう。
 是で身を能く囲い、になりました。敵より左拳を切って来るので其の拍子に先ほどの和卜の要領で敵刀を落とし鍔際から摺り込み喉を突く。これは天狗抄の明身の様です。
 次の亦は、「敵打時我が太刀をかぶり請亦はうけ流して勝位有」といいます。敵が打ち込んで来るのを請けて廻し打ちして、あるいは請けるや請け流して打込むのでしょう。いずれも敵の打ち込む刀を受ける拍子を捉えて打ち込む、のですがこれは真陰流(新陰流)の基本でしょう。
 廻し打ち、はね打ち、によるものの様です。
 次の亦は、「敵打時我身を沈み沈躰にて敵の手首を打ち払ひて勝」是は先ほどの九箇の十太刀のくねり打ち、あるいは三学円の太刀の半開半向で青眼に構えた左拳を切って来るので左手を右上腕に引き付け敵の斬り込みを外すや腰を落とし膝をぐっと下げる様にして敵の手首を斬り払う。
 次の亦は、「中墨を打拂ひて勝」。この中墨の言葉は中心軸(正中線)と云えばいいのでしょう。真陰流(新陰流)の使いでしょう。これは抜けがありすぎて思いつくことが出来ません。
 新陰流の独特の「合し打」が語られていません。双方上段から真向に斬り下ろします。敵が我が真向に打ち込んで来るのをわずかに遅れて同様に斬り込み敵太刀を打ち落して敵の真向を斬り下ろす極意業です。「中墨を打拂う」の払うが気になります。
 此処までの読み解くは、この古伝を研究するに当たり、尾張柳生新陰流の名古屋春風館道場の関東支部長赤羽根龍夫、大介父子に入門し学んでいます。
 江戸初期から中期の他流にも同様の業は存在するかもしれませんが、土佐に持ち込まれた無双神傳英信流居合兵法は第九代林六太夫守政が江戸で身に付けたもので、剣術の師匠は真陰流の大森六郎左衛門と明記されています。
 真陰流・新陰流の違いは不勉強ですが上泉伊勢守信綱の流であれば柳生新陰流が脈打っていても間違いないでしょう。
 
 
 
 
 
 
 
 

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