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2018年5月25日 (金)

曽田本その1の5居合兵法極意秘訣読み解く2當流申伝之大事10気滅法2

曽田本その1
5.居合兵法極意秘訣読み解く
2、當流申伝之大事
10気滅法
2肩敵之拳二當る
読み解く
1、肩敵之拳二當る
 打込む際、相手の拳に我が肩が当たる程に前懸かりになって斬り込んでいくのでしょう。
 甲冑を着た介者剣法を思わせます。
  柳生新陰流の石舟斎宗厳が孫で後の兵庫助利厳に与えた新陰流截相口伝書事(慶長8年1603年)にある「身懸五箇之大事」の二番目に「敵のこぶし吾肩にくらぶべき事」との教えがあります。
 斬り込んだ時大股になり身を低くする、それによって太刀中に身を入れる「刀中蔵の身」となる。
 兵庫助が尾張大納言に印可相伝の際(元和6年1620年)に進上した「始終不捨書」では身を前懸りにして構えては居着いてしまうから、前を豊かにして「直立たる身の位」で、打ち込み勝には「身之懸五箇」を改善しています。この「居合兵法極意秘訣」は改善前の教えによると思われます。
 それにしても、古い教えを一世紀以上も経っているのに習って来た第九代林六大夫は其の侭信じていたのでしょうか。
 
2、右の手短 左のひじ長
 新陰流截相口伝書事「身之懸五箇之大事」を上げておきます。
 第1 身を一重に成すべき事
 第2 敵のこぶし吾肩にくらぶべき事
 第3 身を沈にして吾拳を盾にしてさげざる事
 第4 身をかかりさきの膝に身をもたせ跡のえびらをひらく事
 第5 左のひじをかがめざる事
 これは第5項目の教えでしょう。
 右手は柄の鍔際を握っていますから容易に前に伸ばせます。左手の肘を曲げると刀が前に伸びません。
 右手は少しゆったりと肘を曲げ、左手の肘を伸ばすように心得ろというのでしょう。無双直伝英信流の斬り下ろした左手拳の位置が臍前一拳か一拳半では少々剣先は伸びが少ない様です。
 腰で切る、腹で切る、ならば左拳を引っ張り込まないのでゆったりとした剣先の伸びが期待できます。
 天井をスイープさせてフィニッシュで両拳を臍前に引き込む可笑しな人を見かけます、大抵その場合手打ちです。
 
3、右の足にて太刀を下し左の足にて勝を取る。
 第4項目に当たるのでしょう。右足を踏出し右足の膝に重心を乗せるようにして太刀を打ち込み、左足膝を伸ばして一重身になって勝。
 この文章からは、右足を踏み込んで中墨に打ち込み上太刀になるや左足を踏込み太刀を摺り込んで敵の拳から腹部へ刺突するとも読めそうです。
4、左の肩を向る事・一手字
 左の肩を敵の方に向ける事によって左肩の前に出た一重身となり、敵が左肩に打ち込んで来るのを十文字勝するというのでしょう。
 第1項目で「身を一重に成すべき事」ですから構えの基本は右足前か左足前の一重身を推奨しています。
 是は敵を誘う手立てかも知れないとも思うのです。
 
 「手字種利剣の目付」などという新陰流の教えから、目付は敵の動きを察知する大切なもので手字は「衣の内合して衣文成るを大体の手字と云う也、手裏見は手の内也」十兵衛の月之抄より、ですから目付の場所は敵の両肩から着物の合わせの辺りを遠山の目付をすると云うのでしょう。
5、足一本の事 峯谷二星
 峯谷から類推すれば踏み出す足一本で敵の動きを峰谷の動きで察知して踏込み足一本で切り下ろすとでも読めます。
 新陰流では足を揃えて立ったりするのを嫌う様です。また大きく左右の足を前後に開いて打込めば最も嫌う居着きになってしまいます。
 峯谷は嶺谷、腕のかがみ、両腕の伸び縮を云う、兵法家伝書より。右肘を嶺、左肘を谷。その際の二星は目の付け処でしょう。
 目であり、両拳も目の付け処です。此処では嶺谷である肩から拳の辺りに目付をするのが良さそうです。
6、右におこり左におこり無刀の事
 新陰流截相口伝書事に見られませんが、敵の打ち出す刀が右であろうと左であろうと、そのおこりに合わせて無刀でも応じられるというのでしょう。
 古伝神傳流秘書の大森流居合之事の冒頭に「上泉伊勢守信綱之古流五本仕形有と云う」は新陰流の「三学円之太刀」の五本と思われます。
 居合の業も、組太刀の業も稽古を本気でやっていますと、三学円の太刀がチラついてきて無刀でも同じ事かも知れないなどと思うこの頃です。
 右のヶ条常に我が心中に能く覚えるべき事也
 林六大夫守政が学んだ真陰流の中にこれ等の教えがあったと思われます。
 しかし、兵庫助は古い介者剣法の方法を改め「直立ったる身」に改善しています。土佐に持ちこまれる一世紀以前の改善です。
 ですから、其の侭失伝せずに引き継がれていたら可笑しなことになっていたかも知れません。
 「温故知新(古きを訪ねて新しきを知る)」そんなことを思いながら、柳生新陰流の古伝も其の幾つかの進化した業も合わせて学んでいます。
 柳生春延氏の柳生新陰流道眼に、上泉伊勢守が柳生石舟斎宗厳に訓示した「兵法は時代によって恒に新たなるべし。然らざれば、戦場戦士の当用に役立たず。また忠孝節義の道を践み行うことはできない」と云う。
 まさにその通りであろうと思います。古伝に返るのではなく、古伝を学び現在を見直し本物を見つける事こそ意味のあるものになると信じています。
 手っ取り早く、意味も解らずに人の真似をするだけの人形にはなりたくないものです。

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