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2018年7月 8日 (日)

曽田本その1の6英信流居合目録秘訣読み解く1外之物ノ大事7詰合ハ二星

曽田本その1
6。英信流居合目録秘訣読み解く
1、外之物ノ大事
7詰合ハ二星
 詰合ハ二星二ツヅマル敵之拳也二星一文字ト云時ハ敵ノコブシヲ抜払フ事也惣而拳ヲ勝事極意也
読み及び読み解く
 この教えも現代居合しか知らず、居合の業と其の順番だけを指導された者には、なぞなぞのようなもので何も理解できない所です。
 河野百錬先生が昭和30年に発行した「無双直伝英信流居合兵法叢書」がありながら最高段位の先生すら知らなかったと云うばかりです。
 ここで云う詰合は古伝神傳流秘書にある「重信流也 従是奥之事極意たるに依而格日に稽古する也」と前書きのある「詰合」でしょう。
 詰合の業は古伝では「詰合」10本、江戸末期以降のものは「詰合之位」と呼ばれ11本となります。
 「‥之位」などの呼び名は土佐の居合にはもともと無かったものでどこぞからの借り物か、当時の如何にもとする流行用語でしょう。
 「詰合ハ二星」を読んでみます。
 詰合は二星に約まる(つづまる) 敵の拳也 二星一文字と云う時は 敵の拳を一文字に抜き払う事である そうじて拳に勝つ事が極意である
 土佐の居合の免許皆伝である根元之巻に「・・霊夢有大利得以腰刀三尺三寸勝九寸五分事柄口六寸勝之妙不思議之極意一国一人之相伝也腰刀三尺三寸三毒則三部に但脇指し九寸五分九曜五古之内証也・・」と示唆しています。
 是もこのままでは理解不能な極意の伝授ですが居合の根元を追及していけば自ずから開けてくるはずです。
 詰合の業のうち相手の抜き付けを下で受けて打ち返す業は十本中以下の五本の様になっています。
1、発早
 楽に居合膝に坐したる時相手左の足を引下へ抜付るを我も左の足を引て虎の一足の如く
 抜て留め打太刀請る上へ取り打込み勝也
2、拳取
 如前に足を引抜合我左の手にて相手の右の拳を取り制す也
3、岩浪
 拳取りの通り相手より拳を取りたる時我よりも前の如く取り我が太刀を放し右の手にて敵の
 肘のかがみを取り左脇へ引たおす
4、八重垣
 如前抜合たる時相手打込を我切先に手を懸けて請け又敵左より八相に打を切先を上にし
 て留又上より打を請け相手打たんと冠を直に切先を敵の面へ突詰める
5、鱗形
 如前抜合せ相手打込むを八重垣の如く切先に手を添へ請留直に敵の太刀を摺落し胸をさす也
 他の五本も拳を捕えてしまえば相手は何も出来ないものです。
 何故、初動が「発早」の抜き付けの「相手左の足を引下へ抜付るを我も左の足を引て虎の
 一足の如く留め」なのでしょう。
 もともと、虎の一足でも、座した相手の足に抜き付けるなど術理に合わない運剣でしょう。当然相手の上半身に抜き付けるものでしょう。
 詰合は双方居合膝から刀を抜き乍ら左足を退いて抜き付けています。相手が左足を引いて抜き付けて来ても膝と膝で三尺離れて居れば、体軸の間は少なくとも後二尺ありますから五尺の開きがあります、左足を引いてしまうと五尺以上の間になって相手の切先はチョット体を引けば我が体に届かない。
 従って相手との居合膝の膝間隔は二尺が良い所です。大小詰を考慮すればなおさらです。相手の抜き付けんとする拳を目がけて抜き払うのがこの詰合の極意でしょう、次の運剣動作は請け留められた場合の応用動作に過ぎません。それをこの英信流居合目録秘訣の外之物ノ大事詰合ハ二星は述べているのです。
 横一線の抜き付けを双方でやったのでは、怪我だらけです。稽古では斜めに抜き合わせているだけでしょう。
 二星はここでは拳だと云っています。土佐の居合に影響を及ぼしている新陰流では拳以外に敵の眼を「目付二星之事」の教えもあります。次いでですが柳生新陰流の柳生兵庫助利厳による「始終不捨書」には「六寸之事」として我が太刀先三寸と敵の拳三寸と合わせれば六寸という浅く拳に勝つ、柄口六寸の教えもあります。
 ある地区の指導者は物打で斬り込み更に深く斬り込む運剣を可として、恥ずかしげもなく指導して居ました。これは土佐の居合の根元を伝えるだけの力量の無い、仮想敵相手の一人演武だけを頼りにした武的演舞の教えによるのでしょう。
 詰合之位として手附とビデオを頼りに稽古され是は極意の組太刀だから範士以上が習うものなどと勝手に云っていますが、刀を持った踊りの稽古に過ぎません。わけもわからない者の教えは無双直伝英信流では無いでしょう。
 ある無双直伝英信流の流派の先生は「大江正路先生によって伝承された無双直伝英信流は根元之巻とその目録は居合と居合道形7本だけである、詰合などを稽古し公の場所で演じるなどとんでもない、見つけ次第に除名だ」と息巻いています。その癖どこぞの柔術やら運剣を取り込み何を言っているのか疑問だらけです。
 大江先生の時代は、廃藩置県、廃刀令などによって武士の失業によって、古来からの武術は伝承が立ち消える寸前だった、また日本が欧米に追い付け追い越せの時代で日本の伝統の幾つかは消えざるを得なかった時代です。
 大江先生には無双直伝英信流の伝書類も業技法の伝授も充分なされたのか疑問だらけです。然し今日のこの流の繁栄の礎を築かれこの文化の消滅を防がれた事は何よりの事です。
 この時代には、其の時失念したものを古伝を頼りにしてでも呼び覚ますことが出来ない様な事では、無双直伝英信流の指導者などと云えるわけは無いでしょう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

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