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2018年7月22日 (日)

曽田本その1の6英信流居合目録秘訣読み解く2上意之大事7戸脇

曽田本その1
6.英信流居合目録秘訣読み解く
2、上意之大事
7戸脇
戸ノ手前二立ッテ居テアレヱ通レト云テ入ル所ヲ切ラント心懸ルナラバツカツカト戸口ヲ入躰二歩ミ行テ柄ニテ胸ヲ押シツケテ然而引抜テツクベシ亦火急ニテ既二切カケラレタル時ハ或ハ柄ヲ以テハライノケ早ワザヲキカス可シ亦戸ノ内二人アリト思ハバ戸口ヲ直ク二入ル事ナク内二人ノ有ル方二向テ筋違テ入るベシ
読み及び読み解く
 戸の手前に立っていて あれえ通れと云いて入る所を切らんと心懸けるならば ツカツカと入躰に歩み行きて 柄にて胸を押し付けて然して引抜いて突くべし 火急にて既に切掛けられたる時は 或いは柄を以て払い除け 早業を効かすものである 戸の内に人ありと思わば戸口を直ぐに入る事無く 内に人の有る方に向いて筋違いに入るべきである
 この教えも、戸を入る際の心得を述べています。一つは戸口を入るや敵に突き当たるように柄で押付抜刀して突く。二つ目は打ち込んで来る敵の刀を柄で払って抜き打つ。三つ目は戸口を入る際に敵と筋違いに入り抜き打つ。
 大江先生の独創は前回の戸詰で終わりにしておきましょう。大江先生は消えてしまったであろう無双神傳英信流を復活させた中興の祖でいいのでしょう。
 伝書や業技法を正しく伝える剣士が土佐には当時いなかったか、大江先生を羨んで嫉妬するばかりの棒振り剣士ばかりで古伝を伝えるべきだったのでしょう。
 中学生相手の稽古だったため、閉鎖された処の業になっていて変わってしまった事に気が付かなかった事も有るかも知れません。
 後世の者が、戸がある無しなどの事に拘って、対敵意識を薄くしているだけでしょう。古伝の両詰はまだ生きているのは大江先生が両詰を、戸詰・戸脇の二つに分けて業を磨かせたお陰で失伝せずに残ったとも言えます。
 さて、この戸脇の教えの中に「・・火急にて既に切掛けられたる時は或は柄を以て払い除け早業を効かすものである…」の…部分が気になります。
 二本差しならば、他人の家に入るには太刀を腰から鞘ごと腰帯から抜いて左手に持っているでしょう。或は状況から腰に差したままと云うこともありえます。
 この、「柄を以て払い除ける」の業は他流にもあるものですが、此処では何の解説も無ければ、無双直伝英信流の現代の方々も何ら気にもしていない様です。
 鈴木安近先生著「鹿嶋清孝先生伝新陰流居合」、所謂制剛流抜刀術に「戸入(といり)」と云う居合があります。
 紹介させていただきます。
 「左手を鍔元に掛けながら右手を戸に掛け身体を戸と一緒に移動させながら戸を開け、内の気配をさぐりつつ左足から屋内に入る。頭上に切りかかる屋内の敵に向き直り上体を縮めながら、左手で反りを返しながら刀を顔の前に鞘のまま抜きあげ、柄・鍔で敵の刀を受け止め、右手を柄に掛け反りを返しながら上から一拍子に、片手で切りつけ勝つ(左からの敵・右からの敵二通り有)(古記録に「戸脇の大事ー口伝」とあるのはこれか?」
 「左手で柄にて敵の斬り込みを請け、右手で小太刀を抜いて突く」などの応用もあり得るもので研究しておくのも良いと思われます。
 その他にも、水鴎流にも柄にて請け止める業も見られます。この上意之大事戸脇は研究すれば幾重にも業が広がるものです。
 もう一つ「戸の内に人ありと思わば戸口を直ぐに入る事無く 内に人の有る方に向いて筋違いに入るべきである」ですが、これも無造作にまっすぐ入らず、内に人がいるのを見定め、筋違いに入って行き、敵の打ち下ろす筋を外して空振りさせて制するのだと暗示しています。
 棒振り体操に明け暮れているのもいいでしょうが、時には古伝を片手に議論しながら業の研究も良いものです。
 それによって、大江先生の教えもしっかり受け止められる「おおらか」さが身につきます。

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