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2018年8月 5日 (日)

曽田本その1の6英信流居合目録秘訣読み解く2上意之大事14十文字

曽田本その1
6.英信流居合目録秘訣読み解く
2、上意之大事
14十文字
 敵ト打合スレバ輪ト成リ十ノ形トナル互二打ち合セタル所ハ是十ノ形チ也其十ノ形二成タル所二テ手ヲ取レバ勝也手ノ内輪ノ内十文字ハ別之事ナラス皆一ツ二唱ル事ナリ外ノ事二ハアラス拳ヲ取レト言事ノ教也
読み及び読み解く
 敵と打ち合いすれば輪となり十の形となる 互に打ち合わせたるところは 是十の形に成りたるところにて手を取れば勝つ也 手の内 輪の内 十文字は別のことならず 皆一つに唱える事也 外の事にはあらず拳を取れと云う事の教え也
 「手之内」は敵と戦って、刀で打って来るのを受けるのではなく刀を合わせた時には敵の拳に乗って突くものである。
 「輪之内」は打ち合えば輪にならないと云う事は無い、打って来る請けるの繰返しでは輪になってしまう其輪を外して勝つものだ。
 「十文字」は敵が打って来る時此方からも打ち懸ければ刀と刀が合う処で十文字と成る、請け太刀にならず十文字になった所で相手の刀に乗ると同時に拳を捉えていなければならない。
 従って「手之内・輪之内・十文字」は別々の心得では無く一つの事である。打ち合った時には拳を取っている事の教えである。
 この上意之大事の教えを理解出来なければ、根元之巻に云う処の「柄口六寸勝之妙」は得られるものでは無いでしょう。
 古伝神傳流秘書にある業手附の数々を学んで見なければ得られない事かも知れません。
 現代居合の無双直伝英信流や夢想神傳流の大家であっても、柄口六寸は他所事にしてしまう程の当流の極意なのです。
* 
 古伝における業の項目と業数を上げておきます。
居合及び仕組31本
・大森流之居合事11本
・英信流居合之事10本(抜打なし)
・太刀打之事10本
坂橋流之棒13本
・棒合5本
・太刀合之棒8本
重信流59本
・詰合10本
・大小詰8本
・大小立詰7本
・大剣取10本
・抜刀心持之事居業7本
・抜刀心持之事立業17本
夏原流和之事65本
・捕手和之事11本
・立合11本
・小具足11本
・後立合11本
・小具足割10本
・本手之移11本
以上合計168本
 このうち一人稽古の居合
・大森流居合之事11本
・英信流居合之事10本
・抜刀心持之事14本(大江先生の奥居合では20本)
合計44本(大江先生の居合50本

 無双直伝英信流を極めるには、居合だけでは単純計算で30%足らずの事しか稽古していない事になります。
 尚且つ奥居合と云われる抜刀心持を六段以上で無いと演武してはならないと云って碌に稽古させてもらえない、と云うより指導出来ない先生も多くあるとすれば、大森流と英信流の21本に過ぎず全業の12.5%にしかならないのです。
 中には、河野百錬先生の独創になる抜刀法11本を加えて稽古していますが、既存の業を合わせて立業に組み替えたにすぎず、下からの切り上げる、前敵逆刀と後敵逆刀位が真新しいものでしょう。
 是で、居合を25年だ40年やっていると言われても、特定の形(かたち)だけを続けても武術には程遠いものでしょう。
 前にも書いた記憶がありますが、失伝してしまった業手附は古伝神傳流秘書に残されています。
 しかし日本の国語教育は明治の手書き文章すら読めない日本人を育て、読めても武術用語の意味が解らない、まして動作を読み取ろうにも古人が当たり前としていた身体操作も失念しているのが生活習慣の違いからか現状です。
 見よう見まねで、独学の先生に習おうとしても、多くは思い込みの強い癖だらけでは正しい動作よりも癖が強調して見えてしまい、習う者が余程長けて居ませんと誤った習いばかりになってしまいます。
 たまたま、居合以外に竹刀剣道や柔術などを心得た先生が居ても、明治以降に総合武術が独立分解され、習わなくてもいい様な特殊技法が先行してしまいそれに時間を費やされてしまうものです。
 もっと簡単な「おおらか」なもので良い筈です。
 無双直伝英信流の根元は柄口六寸を自得する事に有ります。
 稽古法も「十段の師匠に習った通りに教えている」と威張って見てもたった2、30%のしかも自分に都合よく斬られて呉れる仮想敵相手の居合演武をやっているばかりの先生では、無理というものでしょう。
 組太刀で鍛えてあると云った所で申し合わせの形演武では形ばかりで武術にはなりそうにもありません。
 真剣を持っての演武にしても、武的な踊りを越えられないでしょう。「真剣の演舞」と聞いて素人の見物人や初心者を驚かすのがせいぜいです。大道芸よりもはるかに劣るし、殺陣師の演舞にも劣ります。
 この上意之大事にある手之内・輪之内・十文字で合刀(いわゆる請け太刀)一拍子で拳に勝つ業技法に至る事は難しいと思います。絶望的な気分に襲われます。
 然し、一人では得られない知識や術理は専門とする人達と集い、知恵を出し合って解決する事は可能です。
 それでも得られないものは、他流にも求めて行く探求心以外にないでしょう。
 「弟子たる者師匠の出来ない事でもやれ」と仰った全居連関東地区初代会長の名言が響いてきます。 
 今では、情けない事に「弟子たる者、わしが教えていない事をするとは何事ぞ」ではさっさとやめた方がいいでしょう。

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