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2018年9月 3日 (月)

曽田本その1の6英信流居合目録秘訣読み解く4居合心持肝要之大事3太刀目附之事4

曽田本その1
6.英信流居合目録秘訣読み解く
4、居合心持肝要之大事
3太刀目附之事4
 ここでの目付は「敵の足に目を付けべし」でした。そのわけは「是にて場合能く知るるのみならず臆せざる也」といって、足に目を付け、相手の全身も、周囲の状況も場合もよくわかる。それによって相手の顔や眼に目付して惑わされたり、一点に執着して切先に目付するのと違い、自然に遠山の目附となり、真剣勝負での臆する心が無くなる。
 更に「上見ぬ鷲の位」によって心は下に有って、動作は上となり迅速に応じて油断ない心を得られる。とするのでしょう。
 ここでの目付は居合にも通じるでしょうが、仕合う場合の相手を見る目の見、心を感じさせるところです。
 しかし、参考の教本からは、足に目を付ける教えは見当たりませんでした。
 足への目附などで昇段審査や競技会で演武すれば、即座に飛んで来る物知り顔の古参がおられるでしょう。
 武蔵の三十五箇条や五輪書によれば、ありうる、とも云えます。うなじを直ぐにして目を細めてうらやかに、足に目付けが出来るでしょうか。
 多くの教本は、先師の教えを「かたち」ばかりトレースする事で終わっています。仮想敵相手で切られない居合ではそれでもいいでしょう。本物を求めなければ武術にはなりません。
 前後左右に気配りし、相手の動きをとらえられる目付などやって居ると、「かたち」ばかりの者が「違う!」と一点凝視の目附を要求してきます。
谷田左一著高野茂義校閲昭和10年「剣道真髄と指導法詳説」目付の事
 「己の眼をば大体敵の顔面に注ぐのが常である。これ自然の理であって、我々が人に対しては先づ其の面を見るものである。然れども敵の顔面に固定することなく、古人の教の如く遠山を望むと同じく、接近した敵をも遠方を見ると同じ眼で見、爪先から頭上、手先の末に至るまで、一挙一動瞭然として己の眼中に映ぜしめるのである一部分のみに注目する時は其の部分はよく見えるが、全体の挙動を知ることが出来ない。必要に応じて一部分を見ながら全体を見、全体を見ながら一部分を見逃さないやうにせねばならぬ。
 目付に就いては、古来各流派に因って其の説を異にしている。圓明流では「心は顔面に表はれるものであるから目の付け處は顔に及ぶものはない」といひ、又一刀流では二つ目付と称して、敵を一体に視る中にも特に重きを置く處が二つある。一つは剣尖に目を付け、一つは拳に目を付け、又我を忘れることなく、彼我二つ目を付ける必要があるので、旁々之を二つ目付といっている。又四つ目付の教えもある又見当の目附の事がある。或は又撃突の意志は、悉く眼に現はれるものであるから、敵の眼に目を付けて一挙一動を見抜くといひ或は之と異なって激突の意志は眼に現はれる故に、敵の眼と我が眼を見合せないで、わざと臍の辺りなどに注目して迷はす流がある。之を脇目付或は帯の矩といっている。その他腕に眼を付け足になど付ける流もある。
 昔からまた観と見との教がある、観の目は強く、見の目は弱い。観の目は敵の心を見、其の場の位を見、大きく目をつけて其の戦いのけいきを見、折節の強弱を見て正しく勝つ事。
 古語に「眼を開けば則ち誤る」と云っているが、これは其の視る所に著するの謂である。吾人の注意する所に惹かれ易く、注目する所は変化あるものに惹かれ易い。眼で視る時は其の視る所に著して迷を起こす事となる。即ち敵の手を視れば心は手に惹かれ、足を視れば足に偏るものである。敵の色に付き、動作に心を奪はれては意外の失敗を招くに至るから、宜しく大観して偏見すべきではない。敵の色と形との観察を聴き、無形に見、敵の意志が色形に現はれない先に我が心に感じ、我が耳に聴き、我が眼に視、我が鼻に嗅ぐものである。山岡鉄舟は心を以て心を撃つと云っている。斯くの如きは長年月の工夫鍛錬の後にここに達するものである。一朝一夕にして企て及ぶべきものではないが、平素此の心掛けを以て練習すべきである。」
 各流派の伝書が公になって来た昭和の始めにここまで読み込んで纏められたものは少ないでしょう。長文ですが掲載させていただきました。
 なお、谷田左一先生は無双直伝英信流を大江正路先生に習い、山内豊健子爵と共著で「図解居合詳説」を昭和13年に出されています。

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