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2018年12月10日 (月)

曾田本その1の8その他読み解く3羽織

曾田本その1
8.その他読み解く
4、羽織
 介錯ノ時麻上下ノ上二羽織ヲ着ル血飛故也夫故常二上下ノ上二羽織ハキロウ也
読み及び読み解く
 介錯の時、麻上下(裃)の上に羽織を着る、血が飛び裃を汚すからである。それ故に何時もの登城の時などでは、忌み嫌って裃の上に羽織を着るのを嫌うのである。
 介錯の一連の教えは、江戸時代の武家社会に於けるお話しとして、通り過ごすのも良いかも知れません。
 しかし、無調法なので仕来たりの作法は出来ませんと、断る根底に介錯は武士のやるべき事ではないという思いがあって断る事が本来でしょう。現代社会でも何でも請け負うばかりが良いとは言えません。
 自分の意に反する事は、やるべきでは無いでしょう。真正面からやりたくないからごめんなさいでは角が立ってつながらなくなります。
 そこで無調法ですから仰せの通りは出来ませんので、御断りをと下手に出る。それでもと云う事であれば自分の思う存分の働きをすればいい。と言えるかもしれません。
 意に反することをそんな事でやらなければならない状況は無さそうでもあり、尻尾を振るのが好きな人には有りそうにも思います。
 まだまだ、頭越しに命じて来る事もありそうです。嫌ならやめればいい、というのも一つですが、それによってやりたいこともやれなくなるのも、有りそうです。NOと云えな情けない自分を捨てていくには覚悟もいるものです。
 裃の上に羽織を着ないは、介錯の際裃の上に羽織を着るので、普段は裃の上には羽織を着ないと云う心持ちも理解できます。
 それ程の事なのに、古伝の大森流居合之事の7本目順刀は介錯であるとの証しは何処にも見いだせないのです。江戸末期辺りに、替え業が業毎に幾つも行われていたかもしれません。
 その一つが、順刀を介錯に変えて行ったかもしれません。介錯の運剣を何の疑問も無く教えられたとおりに、稽古することに、此の業を稽古日毎にせっせとやっていたことの不思議を今更ながら思い描いています。
 敢えて言えば、自分の犯した非は、自分で腹を斬り、とどめは理解してくれる人に頼んで果てる潔さを持てよと教えているのか、その苦しみを少しでも和らげてやる思いやりを心に持てよと教えているのか。
 平家物語などを読んでいますと、平安末期の武士は戦いに敗れて自ら腹を斬り、頸動脈を切って果てています。
 首取は勝ったものの誉として大将に献上されたものでしょう。
 大森流居合の7本目順刀は「右足を立て左足を引といっしょに立ち抜き打つ也、又は八相に切り跡は前(流刀)に同じ」で介錯の運剣の裁きと一緒ですが、抜刀術としては素晴らしい業となるものです。
 しかし7本目順刀の次は8本目逆刀の初動は、向こうより切って懸るを先々に廻り「抜き打ちに切る」です、其の動作は7本目順刀と同様でしょう。
 順刀には敵の切って懸かる動作に応じる事が何も書かれていないので、これは一方的に抜き打つ動作と捉えられます。だから介錯なんだと云う事も成り立ちそうです。
 だがしかし、一本目初発刀も左刀、右刀、當刀もそして陽進陰退も敵の仕懸けて来る動作は記述されていませんから、一方的な仕かけも古伝には大いにありでいいのでしょう。
 証明できるものは何処にも無い事ですから、大江先生、細川先生系統は現代居合として介錯は順刀として何の疑問も無く稽古すればいい事です。
 但し、古伝を学ぶ者は、上に抜き上げて斬り下ろす抜刀術も心掛けてもおかしな事では無いでしょう。
 古伝神傳流秘書抜刀心持之事には抜刀があります。
 「歩ミ行中に抜打二切敵を先二打心也」
 大森流居合之事には順刀
 「右足を立左足を引と一処に立抜打也又ハ八相二切跡は前二同之」
 全剣連居合の12本目抜き打ち
 「相対して直立している前方の敵が、突然、切りかかって来るのを、刀を抜き上げながら退いて敵の刀に空を切らせ、さらに真っ向から切り下ろして勝つ」
 全居連の刀法二本目前後切
 「敵我が真向に斬込み来るを受流すや顔面に双手上段から斬附け、直ちに後敵の真向に斬下し、更に前敵の真向に斬下して勝つ」
 この前後切の参考にした業は無外流の連です。
 「理合 前後に敵を受けた場合で、先ず前敵の眉間に諸手で抜きつけ、後ろを振り向くや、後敵を真向に斬り下ろして仕留める」
 動作はさして違いの無いものと思います。どの様な状況下でこの業を繰り出すのかがポイントでしょう。
 敵の害意とは、我が果たすべき事は、何時も我に斬られるへぼばかりが居合の仮想敵でしょうか。
 
 

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