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2018年12月28日 (金)

曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の8拳を見込

曾田本その1
9.居合兵法の和歌読み解く
32首の8拳を見込
 如何に人腹を立つゝ怒るとも
       拳を見込心ゆる春奈
読み及び読み解く
 如何に人は腹を立てて怒ったとしても、拳を見つめて心を許すな
 居合兵法の和歌ですから、切った張ったの業技法を促す和歌が主と思ったら大間違いで、刀を抜いてしまってはどうにもならないと、己の拳を見つめて怒りに心を奪われてはならない、という極意の一句でしょう。
 
 田宮流居合歌の伝では
 「人さまに腹をたてつついかるともこぶしを見つめ心志ずめる」
 相手に腹を立て、怒ったとしても、拳を見つめて心を静めるものだ、と歌っています。
 新庄藩の林崎新夢想流の秘歌之大事では
 「人い加尓腹を立徒々い可流累とも心尓刀拳者奈春那」
 人は如何に腹を立てて怒ったとしても、心に刀を持ったとしても、拳は放してはならない。
 どれが、元歌なのかは分かりませんが、如何に怒ったとしても刀を抜き放ってはならない、と戒めています。
 この歌の心は、怒り狂っても「我慢せよ」と都合の良い部下の操縦の歌とは思えません。そんな事では、極意の歌である筈がありません。
 「抜くなよ、抜けばすべてが無に帰すぞ」拳を見つめて、相手の心情も理解し、和する事を求めなさい、為すべき事は刀を抜く事では無い、というのです。
 古歌に
 「心こそ心まよわすこころなれ心に心心ゆるすな」
 柳生新陰流の兵法家伝書では「妄心こそが本心を迷わす妄心である妄心に本心が心を許すな」」と解説しています。
 武蔵も五輪書水之巻で兵法心持の事で「兵法の道において、心の持ちようは、常の心に替る事なかれ。常にも兵法の時にも、少しもかわらずして心を広く直ぐにして、きつくひっぱらず、少しもたるまず、心のかたよらぬように、心をまん中におきて、心を静かにゆるがせて、そのひいきをせざるように心を持つ事肝要也。心の内にごらず、広くして、ひろき所へ知恵を置くべき也。知恵も心もひたとみがく事専也。知恵をとぎ、天下の理非をわきまへ、物事の善悪をしり、よろずの芸能、その道々をわたり、世間の人にすこしもだまされざるようにして後、兵法の知恵となる心也」
 人としての権威の無い者に、十段などの段位を安易に与えることで、権力を得たと錯覚し、刀に置き換えて権力を抜き放って来るのが昨今の連盟会長や、監督、果ては居合の高段者です。逆らえば昇段もままならぬと、下位の者は黙って俯く。
 こんな事はダメだよと、居合兵法の和歌はうたっています。居合の稽古で、手拍子に合わせ合同稽古でせっせと形を抜いて、また翌週も同じ事しか出来ない貧弱な指導者が乱造されています。
 せめて、居合兵法の和歌を味わい、其の心を皆で話し合ってみたいものです。
 
 

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