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2018年12月23日 (日)

曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の3平らかに勝

曾田本その1
9.居合兵法の和歌読み解く
32首の3平らかに勝
 居合とハ人耳切られ春人切らす
       唯請とめて平二かつ
読み及び読み解く
 居合とは人に切られず人切らず
       ただ請けとめて平らかに勝
 居合と云うのは人に切られる事も無く、人を切る事でもない。相手の思いをただ受け止めて互いに和する事が、平らかに勝つ居合の極意なのである。
 この歌は新庄藩の秘歌之大事の三番目に有ります。
 居合登は人尓幾ら連須人幾ら春
       多々う希とめて堂ひらか尓かつ
 読み
 居合とは人に切られず人切らず
       ただ請けとめて平らかに勝
 居合兵法の和歌と全く同じままです。
 田宮流居合の歌の伝には見当たりません。
 この歌の意味する所は「相手を圧する心意気を以って鞘離れの瞬時に相手を制すること、これ即ち居合の生命にして鞘の内と云う」ようなコミュニケーションの終局の斬り合いの心得とは次元が違います。この教えは第20代河野百錬先生が山田次郎吉先生の日本剣道史にある抜刀術からの引用であって、第7代林六大夫守政の伝書には見当たりません。
 河野百錬先生は、居合の業技法を求めた所までで終わってしまいましたが、この歌心迄手を伸ばしつつあったと思われます。然しそれは表わす事も無く逝ってしまわれました。
 無双直伝英信流居合の終局の目的は神妙剣に有ります。
 「深き習に至りては実は業(事)無し、常住座臥にこれ有事にして、二六時中忘れて叶わざる事なり。
 彼れ怒りの色見ゆる時は、直ぐに是を知って怒りを抑えしむるの□知あり、唯々気を見て治むる事肝要中の肝要也、是れ戦に至らしめずして勝を得る也。
 去りながら我れ臆して誤(謝)て居る事と心得る時は大いに相違する也、兎角して彼れに負けざるの道也、やむ事を得ざる時は、彼を殺さぬ内は我も死なずの道也。亦我が誤りをも曲げて勝には非ず。誤(謝)るべき筋なれば直ぐに誤(謝)るも勝也。彼が気を先に知って直ぐに応ずるの道を神妙剣と名付けたる也、委しくは書面に表わし尽くし難し、心覚えの為に其の端を記し置く也」
 決められた業の動作を追うばかりで、土佐の居合が求めた事は居合兵法の歌に、隠されてもいたのです。
 稽古日に棒振りばかりせずに、この歌を皆で読み解いていく勉強も居合を知る事でもあるでしょう。そんな師に出合えておられる人は、逆に下手な棒振りをそれとばかりに強いる人を師と思い込んでいたりします。
 偶には斜に構える男の見栄を捨てて居合の歌に取り組む師と共に、友も持ちたいものです。
 
 
 
 

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