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2019年1月18日 (金)

曾田本その1の9居合兵法の和歌読み解く32首の29皆すたる

曾田本その1
9.居合兵法の和歌読み解く
32首の29皆すたる
技をよく習納むと思ふとも
     心掛春ハ皆春多留べ之
読み及び読み解く
 技をよく習い納めたと思っても、常に稽古を心掛けなければ皆すたる(廃る)であろう。
 まさに歌の通りだろうと思うのですが、もう少し捻って考えて見ませんと「かたち」ばかり師匠の技を真似た者と、其処から業本来が行き着く至極の境地を得た者とでは大きな隔たりがある筈です。
 この歌も、今日まで受け継がれているならば、「かたち」いわゆる業の動作の順番を習ったままに演じて出来たと思っている程度の者を対象に歌っているとすれば、「すたれる」のレベルは業の動作の順番を忘れてしまう様なものでしょう。
 現代居合は、昇段審査や競技会によって業の順番、かたちや拍子が特定に絞り込まれて指導されその「かたち」が少しでも外れると「違う」と云って型にはまった居合踊りを上手に演じるのですから、「技をよく習い納むと思う」レベルは相当低いものでしょう。
 道場での稽古の仕方なども、師匠が前に出て、弟子は師匠の方を向き師匠の模範演舞を拝見し、師匠がたとえば「前」と云って両手を「パン」と打って弟子達が一斉に真似をする。
 それで師匠は制定居合位で模範演武を終わり、古参の高段者に模範演舞を譲って正座の部、抜刀法程度を合同体操の様にやって約一時間を過ごします。休憩の後自由稽古に入るのが人数の多い所の一般の様です。
 そんな稽古法を毎週やって10年も20年も過ごして何の疑問も持たなければ、師匠の「かたち」が嫌でも身についてしまうものです。
 その上昇段審査の形や拍子を、個人指導を受けたのでは、心の無い死に物の居合人が続々と生み出されてもおかしくないものです。
 この稽古法は、講習会などで講師が模範を示し講習生達が講師の合図で、動作をやって見る合同訓練形式と云えるでしょう。
 講習会で講師が述べた事を理解するには、その業を一人で出来るのはもちろんの事、業の術理を理解していなければ、右から入って左へ抜けるか、勘違いの覚えになってしまいます。
 多くは講師ほどに修練を積んでいない者が多い為、そのレベルにならないと理解できない事もあるものです。
 しかし最も手っ取り早く一定のレベルに到達させるには、模範演武を看取りいさせ一斉に真似をさせる合同稽古は合理的な練習の仕方です。
 余程の修練を積んだ者が模範演武をしない限り、癖だらけのものになって武術などととても言えるものでは無いのです。その上「武術は・・」などの蘊蓄を述べられると辟易します。
 明治の頃徴兵制度で武士でない者を駆り立てて戦場に向かわせなければならなかった、手っ取り早く兵士としての初歩的動作を身に着けさせる必要がありました。
 上官の号令と共に自由に動かせる兵士を量産するには最も適した方法が、この模範を示し一斉にまねをする合同練習方法だったと云えるでしょう。
 名人上手などは不要なのです。寧ろ秩序を乱すものに過ぎないのです。相も変わらずその方法で稽古をしている道場長の多い事。
 現代居合を良くする者には、この歌は理解不能の歌でしょう。なぜならば「かたち」ばかりの技の習い納めですから、廃っても知れています。
 武術は武的「かたち」は出来ても、術が決まらなければ武術にはなりません。
 常に術が決まる為に修錬していませんと、術は決まりません。その上年齢と共に衰える筋力や俊敏性などと共に、頭の回転も鈍くなることもあるでしょう。其の為には「かたちや拍子」にそれ相当の工夫と無駄の無い動作の練度が磨かれない限り術が決まらなくなります。
 居合は一人でする仮想敵相手の運剣刀法です。
 あらゆる想定を自ら描いた仮想敵に演じさせ、根元之巻が指定する「柄口六寸」に至らなければ唯の踊りでしょう。
 大江正路先生の残された現代居合の全ての業を、綺麗に演じられても、それは決められた事を順番通りに演じているだけでしょう。
 正座の前の抜き付けだけを、習い納める事を考えた時、大森流11本、長谷川流10本、奥居合21本、合わせて42本の業数などは初期の内に覚えさせてしまう事も考慮の内です。
 そして正座の前一本をもって何時如何なる条件においてでも応じられる様に習い納めるを考え、学び納める位の事であれば、足腰が立たなくとも修錬を怠る事などありえないでしょう。
 免許皆伝を得たから(最高段位を授与された場合も)十分できると錯覚し、権威を授与されたのだから権力を振り回し自己満足するなどの事では、武術を志ざす者にはありえない事です。
 
 
 
 
 

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